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幼年期
7、新しい家族
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公爵家は、伯爵家から馬車で2時間半くらいのところだった。
王都に屋敷を持つのは基本的に高位貴族。
高位貴族になればなるほど、王都での社交があるから、領地の邸、いわゆるカントリーハウスとは別に王都にタウンハウスを持っていることが多い。
夫人や子供はカントリーハウスに、当主はタウンハウスにという貴族もいれば、カントリーハウスに領主代理を置いて一家全員タウンハウスに、という貴族もいる。
そのタウンハウスなんだけれど、そもそも王都には人口の割に土地が少ないから、カントリーハウスほどの大きさじゃないのが一般的なのだ。
ちなみに、ボクのおうちだった伯爵家は、王都から3時間くらい。
通えない距離じゃないけれど、毎日往復するのは大変、そんな微妙な距離。
なので実のお父様はほとんど邸にいなかったのです。
で、クライス公爵邸ですが……タウンハウスなのにすんごくおっきい!
なんと、門には門衛さんが二人も!
門から続くお屋敷までのアプローチもすごい。森みたいなのが続いていて、向こうがみえないんだもん!
まだ貴族教育は少しのボクだって、これくらいのことはわかる。
タウンハウスの大きさはそのまんま貴族の力を示すから、つまりこれは公爵様がすっごおく力のある貴族だということ!
「そりゃあ伯爵家に来て」なんて無理だよね、って妙に納得しちゃった。
門を守っている門衛さんも、なんだかとてもビシッとしている。
ボクたちが公爵家の馬車に乗っていたからか「ようこそおいで下さいました!」と敬礼してくれた!
色々聞かれることもなくそのまま通してくれたから、ボクは横を通りすぎちゃう前に、慌てて頭を下げてご挨拶した。
「ボク、これからお世話になりますので。よろしくお願いします!」
馬車の中からだったけれど、ちゃんと見えたみたい。
後ろの窓からバイバイって手を振ってみたら、振り返してくれたの。
優しそうな門衛さんで良かった!
門から続くアプローチは、本当にちょっとした森だった。
小さな池とかもあって「ここ、王都だよね⁈」ってなった。
森の中を5分ほど馬車で走ったら、ようやく広々と開いたスペースが。
馬車留めのあるエントランスだ。
中央に噴水と花壇があり、そこを回り込むようにして玄関に向かう。
「お待たせしました。到着致しました」
重力なんてないみたいに軽やかに馬車が停まり、御者さんが素早く台を置いてボクを馬車から下ろしてくれる。
「ありがとうございます」
とお礼を言ったら、「どういたしまして」とほほ笑んでくれた。
御者さんとも仲良くなれそう。良かったあ!
「ふ、ふわああああ!」
改めてお屋敷を見ると……すっごおく大きい!
建ってるというより、聳えているという言葉の方がしっくりくる。
3、4、5…5階建て⁈
思わずボクはお母さまの服の裾を掴んだ。
「お、お母さま!ボク、ほんとにこのおうちの子になるの⁈大丈夫⁈」
お母さまはぶるぶるするボクを見て「あらあら!」と笑う。
「お母様も最初は驚いたわ。でもね、クリスならすぐに慣れるわ。大丈夫。
敷地内だから安心してお池で釣りをしたり、森をお散歩したりできるのよ?
どう?楽しそうでしょう?」
それは楽しそうだけれど!
でも、領地じゃなくてタウンハウスなのに敷地に森があるんだよ⁈
しかもお城みたいなお屋敷!
なんか「お母さまのオマケ」なボクが居てもいいのかなあ。
「やっぱり、ボク、叔父さまと…」
言いかけたところで、玄関前に立っていた50歳くらいの灰色の髪の男の人がこちらにやって来た。
この人が公爵様?
と思ったら、違ったみたいだ。
その人はボクたちの手前まで来るとピタリと足を止め、胸元に片手を当て90度に腰を折った。
「奥様、おぼっちゃま、ようこそ公爵邸へ!
クリストファー様でいらっしゃいますね。
わたくしはクライス公爵家で家令を務めさせて頂いております、ジェームズと申します。
お目にかかれて光栄です」
どうやら公爵様ではなく家令さんだったみたい。
柔らかな物腰だけれど、一つ一つの動きが流れるように美しい。
とっても仕事ができそうな人だ。
「ありがとう。どうかお顔を上げてちょうだい?」
お母さまが促してようやく顔を上げてくれた。
なのでボクはジェームズの目をしっかり見つめながらご挨拶できた。
「ボクはクリストファー。クリスと呼んでください。どうぞよろしくお願いします!」
そうしたら、「私は使用人でございますから、敬語を使わなくてよろしいのですよ?どうか楽になさってください」って優しく注意されてしまった。
高位貴族はそういうものなのかもしれない。
だけど、ボクはまだ子供だから丁寧に話したいの。
そういうのってダメなのかなあ?
王都に屋敷を持つのは基本的に高位貴族。
高位貴族になればなるほど、王都での社交があるから、領地の邸、いわゆるカントリーハウスとは別に王都にタウンハウスを持っていることが多い。
夫人や子供はカントリーハウスに、当主はタウンハウスにという貴族もいれば、カントリーハウスに領主代理を置いて一家全員タウンハウスに、という貴族もいる。
そのタウンハウスなんだけれど、そもそも王都には人口の割に土地が少ないから、カントリーハウスほどの大きさじゃないのが一般的なのだ。
ちなみに、ボクのおうちだった伯爵家は、王都から3時間くらい。
通えない距離じゃないけれど、毎日往復するのは大変、そんな微妙な距離。
なので実のお父様はほとんど邸にいなかったのです。
で、クライス公爵邸ですが……タウンハウスなのにすんごくおっきい!
なんと、門には門衛さんが二人も!
門から続くお屋敷までのアプローチもすごい。森みたいなのが続いていて、向こうがみえないんだもん!
まだ貴族教育は少しのボクだって、これくらいのことはわかる。
タウンハウスの大きさはそのまんま貴族の力を示すから、つまりこれは公爵様がすっごおく力のある貴族だということ!
「そりゃあ伯爵家に来て」なんて無理だよね、って妙に納得しちゃった。
門を守っている門衛さんも、なんだかとてもビシッとしている。
ボクたちが公爵家の馬車に乗っていたからか「ようこそおいで下さいました!」と敬礼してくれた!
色々聞かれることもなくそのまま通してくれたから、ボクは横を通りすぎちゃう前に、慌てて頭を下げてご挨拶した。
「ボク、これからお世話になりますので。よろしくお願いします!」
馬車の中からだったけれど、ちゃんと見えたみたい。
後ろの窓からバイバイって手を振ってみたら、振り返してくれたの。
優しそうな門衛さんで良かった!
門から続くアプローチは、本当にちょっとした森だった。
小さな池とかもあって「ここ、王都だよね⁈」ってなった。
森の中を5分ほど馬車で走ったら、ようやく広々と開いたスペースが。
馬車留めのあるエントランスだ。
中央に噴水と花壇があり、そこを回り込むようにして玄関に向かう。
「お待たせしました。到着致しました」
重力なんてないみたいに軽やかに馬車が停まり、御者さんが素早く台を置いてボクを馬車から下ろしてくれる。
「ありがとうございます」
とお礼を言ったら、「どういたしまして」とほほ笑んでくれた。
御者さんとも仲良くなれそう。良かったあ!
「ふ、ふわああああ!」
改めてお屋敷を見ると……すっごおく大きい!
建ってるというより、聳えているという言葉の方がしっくりくる。
3、4、5…5階建て⁈
思わずボクはお母さまの服の裾を掴んだ。
「お、お母さま!ボク、ほんとにこのおうちの子になるの⁈大丈夫⁈」
お母さまはぶるぶるするボクを見て「あらあら!」と笑う。
「お母様も最初は驚いたわ。でもね、クリスならすぐに慣れるわ。大丈夫。
敷地内だから安心してお池で釣りをしたり、森をお散歩したりできるのよ?
どう?楽しそうでしょう?」
それは楽しそうだけれど!
でも、領地じゃなくてタウンハウスなのに敷地に森があるんだよ⁈
しかもお城みたいなお屋敷!
なんか「お母さまのオマケ」なボクが居てもいいのかなあ。
「やっぱり、ボク、叔父さまと…」
言いかけたところで、玄関前に立っていた50歳くらいの灰色の髪の男の人がこちらにやって来た。
この人が公爵様?
と思ったら、違ったみたいだ。
その人はボクたちの手前まで来るとピタリと足を止め、胸元に片手を当て90度に腰を折った。
「奥様、おぼっちゃま、ようこそ公爵邸へ!
クリストファー様でいらっしゃいますね。
わたくしはクライス公爵家で家令を務めさせて頂いております、ジェームズと申します。
お目にかかれて光栄です」
どうやら公爵様ではなく家令さんだったみたい。
柔らかな物腰だけれど、一つ一つの動きが流れるように美しい。
とっても仕事ができそうな人だ。
「ありがとう。どうかお顔を上げてちょうだい?」
お母さまが促してようやく顔を上げてくれた。
なのでボクはジェームズの目をしっかり見つめながらご挨拶できた。
「ボクはクリストファー。クリスと呼んでください。どうぞよろしくお願いします!」
そうしたら、「私は使用人でございますから、敬語を使わなくてよろしいのですよ?どうか楽になさってください」って優しく注意されてしまった。
高位貴族はそういうものなのかもしれない。
だけど、ボクはまだ子供だから丁寧に話したいの。
そういうのってダメなのかなあ?
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