キュートなモブ令息に転生したボク。可愛さと前世の知識で悪役令息なお義兄さまを守りますっ!

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幼年期

14、ボクの部屋2

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ジル兄さまが案内してくれたのは、階段を上がって左側。2階の南側の部屋だった。
奥に向かって3部屋あるうちの一番奥。
廊下の突き当りには窓もあり、そこからサラサラと風にゆれる木の葉が見える。
とても日当たりが良く、風通しも良さそうだ。

「隣が私の部屋だから、何かあればいつでも来るといい。
さあ、ここがクリスの部屋だ」

重厚な扉を開くと……

「わああああ!」

20畳はありそうな広々とした空間。
南向きの大きな窓からはそよそよと気持ちのよい風が入り、やわらかそうな水色のカーテンを揺らしていた。
空気もなんだか澄んでいる。とてもいい部屋だ。

家具も揃いのものが用意されていた。
チェストと丸テーブル、椅子……。色は全部オフホワイトに統一されている。
そのせいか、部屋全体が爽やかで明るく見える。
アクセントとしてところどころに金色の蔦のような模様が繊細に描かれており、上品なしつらえだ。

窓の前には大きなデスクが置かれ、その上には磨きこまれた真鍮製のデスクライトが美しい光沢を放っている。
本を読んだりお手紙を書いたりするデスクなのかな?
横の書棚には既に何冊もの本が用意されていた。

「とても素敵な部屋ですね。ボク、すごく気に入りました!
本はボクが読んでもよいものなのでしょうか?どんなものがあるのか、拝見してもよろしいですか?」

「気に入ってくれて良かった。
本はとりあえず私の読んだものと同じものを用意した。本が好きなのか?」

「はい。ボク、本が大好きなんです。
小さな頃からお母さまや叔父さま、侍女のマーシャが読み聞かせをしてくれて。
あ!それは文字が読めなかった頃の話ですので。今はもう自分で読めますよ?」

「そうか。ならば、また一緒に本を買いに行こう。
本を読むことはとても素晴らしいことだからな。沢山読むといい」

「ありがとうございます。
一緒にお買い物に行けるのは嬉しいのですが、本はまだ買っていただかなくても大丈夫です。
こちらの本がお兄さまが読まれた本なら、ボク、まずここの本から読みたいです。
ボク、お兄さまのようにかっこいい人になりたいので。
でも……あの……わからないところがあったら、教えて頂いてもよろしいですか?」

こんなにして頂いた上、更に新しい本だなんて申し訳ない。まずはあるものを読ませて頂こう。
というのは建前で。
実際のところ、ボクはここの本だけで充分なのだ!
だって、ジル兄さまが読まれた御本なんだもの!繰り返し繰り返し読みたい!

まず一冊手に取ってみる。

「……ドラゴンライダー?」

冒険者のお話だろうか?お兄さまもこういうのがお好きなのかな?

「ああ、それは実際に存在したとされる伝説の冒険者の話なのだ。
その方は今の王国の基盤を作ったとされている。
サフィラス様という名を聞いたことがあるか?」

「!あります!伝説の聖女様ですよね?」
「うん。その方の逸話を集めたものなのだ。興味はあるか?」

むちゃくちゃある!
だって、その方は昔々うちの伯爵家にいらしたことがあるのだ。
本当か嘘かは分からないけど、少なくとも、我が家の歴史にはそうある。
小さな頃から、ボクはサフィラス様のお話を聞くのが大好きだった。
貴族で冒険者で王妃様で聖女様!
何それ、と思うけど、そんな方が実際にいらしたといわれているのが凄いと思う。

「ボク、サフィラス様が大好きなのです。ものすごい方なのに実在していたとされているのが驚きですよね。
魔法を使って色々な魔物を倒したと聞きましたが、サフィラス様はドラゴンに乗ることもできたのですか?」
「ああ。そう言われている。サフィラス様は従えたドラゴンの鱗も所持されていたそうだ。
実際に、彼が残したという遺物も多数存在している。知っているか?」

「ええ⁈そうなのですか⁈
知りませんでした!そんなの、凄すぎる!」

「時間があるときに話してやろう。
我が公爵家も家宝としていくつか所有している。見たいか?」

「ええ⁈
見たい!見たいに決まっています!
やっぱり実在したんですね!うわあ!」

さすが公爵家。所有物のスケールが違いすぎます。

興奮のあまりぴょんぴょんと飛び上がるボク。
だってサフィラス様の私物だよ?本物なら凄すぎる!



思わぬ凄い話に案内が中断してしまったけれど、そこからまた他の家具などを見せて頂いた。

壁際に置かれた座り心地のよさそうなソファは、濃紺。金色の淵飾りがついている。
両サイドにはふっくらした水色のクッションまで並べられていた。
座ってみると、ボクがゆったり横になっても十分な大きさだ。
クッションを枕にして仮眠できるようになっているのかもしれない。

ホールにあった家具とは明らかに系統が違う。
もしかしてこの部屋の家具が金色と水色だというのは、ボクの瞳の色なのだろうか?
ボクのためにわざわざ揃えてくれたのかな?
それってすごく嬉しいな。




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