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五年後
キースとミカミカとレオン
ところで。
「ミカミカが戻ってこない………」
「俺が話をつけてやる!」と般若の形相で俺をゲイルにむかって「ポーイ」したまんま、ミカミカが戻ってきませぬ。
あれから公爵だってパンツ履いたし、情緒が行方不明になったゲイルにヨシヨシだってしたのに。
それでもまだ戻ってこない。
そもそもどうしてミカミカはあんなにオコだったのだろうか。
思い出してみよう。
ミカミカに「ポーイ」っとされる前、俺はミカミカと何を話していた?
えと……
「あ!ちんこぺろりした話だ!!」
「あ゛あ゛ん゛?!」
ひい!
ゲイルから聞いたことがないヤバい声がした!!
「ち、ちがくて!ちんこぺろりしてないよって話だった!あ、あははははー!!間違えた!」
今度は公爵とゲイルが般若になった。
ゲイルから静電気みたいなのでちゃって、バチバチいってる!!
「……どういう話なのかな?
サフィ、お父様にお話してごらん?」
「うむ。順を追って、きちんと話をしなさい。よいな?」
公爵からはもの凄い冷気が放たれ、部屋の気温が一気に下がる。机に霜が浮かび、グラスの中に微かに残っていたワインが凍ってゆく。
さっむ!!さっむ!!吐く息が白くなっちゃった!!
「「サフィ?!」」
どうしてみんなそんなに俺のネヤ聞きたがるの⁈
仕方なく俺は、もう一回ミカミカにしたのと同じ、「おしっこ出たと思ったら違うよってレオンが味見してセイツーだった話」をした。
話を聞いたゲイルは、額を押さえて天を仰ぎ、「あーーー!」
公爵は同じく額を抑えて下を向き「うーーーむ!」
ふう、ふう、と何度も呼吸をし、息を整え、ようやく言った。
「事情は分かった。サフィ、それ、俺以外には言わないようにな?」
「ミカミカに言った。セイツー報告のときに。そうしたら『俺が話つけてやるっ』ってなって、ゲイルのとこにポイされた。ゲイルのとこも来るつもりだったからいいんだけど」
「…………レオン殿下はよくやっていると私は思う。うむ。非常に……よくやっている。それくらいは……許容範囲なのではないか?」
「うーん……何とも言い難いが………男として尊敬に値する。よくぞ耐えた」
あれ?どういう話?
なんでレオンがエライねって話になった?
うーむ。
あ!!そうだった!!
「それでミカミカが般若になってレオンのところに行ったっきり戻ってこない!
レオンがピンチなのでは?」
そう、婚約者の俺の脳は、ようやくレオンからの救難信号をキャッチしたのである!
「俺、ちょっとレオンのところに戻るから!」
急いで向かおうとするのだが、今だ情緒が迷子なゲイルが放してくれませぬ。
「ちょ、ちょっと!放して、ゲイル!多分だけど、レオンのピンチなんだってば!」
すると俺を抱っこしたまま、すくっと立ち上がるゲイル。
「俺も行く」
「私も行こう」
「………は?」
こうして俺は、もうセイツーした大人だというのに、情緒迷子ゲイルと、公爵と共にレオンの部屋に向かったのでした。
ゲイルはともかく、公爵は来なくていいでしょおよ!
廊下を早歩きで進むゲイル&腕の中の俺。そしてその後ろからついてくる忠犬公爵。
俺とゲイルはともかくその後ろに宰相様という意味不明な三人組に、すれ違う護衛さんや使用人さんが「?!」と二度見してきます。
ああ……つらい……。
ゲイルの抱っこは好きだけど!!大好きだけれども!!
大きくなってからは「抱っこで移動」はやめてたのにいいいっ!!
もう大人なのにいいい!!
仕方なく「ゲイルが抱っこしたがってね?」「俺はもう大人なのにね。ゲイルってば寂しンボだよねー」と言い訳しながら進みます。
そうして部屋に辿り着けば……
「えっと………どうして扉に耳を押し当ててるの、キース?それってばデバガメってゆうやつでは?」
いくら夫とはいえどうなのでしょうか!
みんなの憧れS級ともあろうお方が、とっても情けないお姿だよ⁈
眉を顰める俺に、なぜか大慌てでキースが駆け寄ってきた。
「サフィ、どうしてゲイルに抱っこされてるんだ?!どこか痛めたのか?
くっそ!!レオンのやつ……!!!まさかもうそこまで…!ヤツも所詮そこまでの男だったか…」
俺の頭をなでなでしながら、視線は俺のおしりに………。
「こら、どこ見てんだ」
キースにくるりと背を向けて俺を隠したゲイルが、苦笑しながら一言。
「落ち付け。尻は無事だ」
とたんキースは肩をガクリと落として安堵のため息を吐いた。
「……ふう。驚かすなよ……レオンを疑っちまったじゃねえか」
「ご、ごめんね?」
とりあえず謝っておこう。
「ところで、キースは何してたの?ミカミカ、まだいる?レオンは無事?」
キースが言うには、俺のことが心配で眠れなかったミカミカは「野暮なことはするな」というキースの言葉も聞かずにまだ陽も出ぬうちから俺の部屋の前でウロウロ。
そんなミカミカをキースは影からそっと見守っていたのだそうな。
「レオンの気持ちも分かるだけになあ……。いざって時は止めてやろうかと」
ところが、俺が部屋から出たとたん俺を抱えてミカミカが走り去り、去ったかと思えば一人で戻ってきて般若の形相でレオンの部屋に飛び込んだ。
慌てて止めようとするキースに「来たら絶交」と言い残して……。
「これはレオンやりがったな、ってさ」
レオンを問い詰めたいが、入ったら絶交だとミカミカに言い渡されている。
困ったキースは、俺に直接話を聞くわけにもいかず、どうしたもんかと部屋の様子を伺っていたのだという。
「ああ……すまん。心配をかけたな」
俺の保護者が謝った。
「えっと……俺は無事。セイツーしただけ!心配してくれてありがとねキース」
とりあえず俺も謝ります。
「レオンがご迷惑をおかけいたして申し訳ござりませぬ」
ゲイル抱っこのままペコリと頭を下げれば、キースが柔らかく目を細めて俺の頭をそっと撫でた。
「………サフィが無事ならいいさ。
こっちこそ、ミカが暴走しちまったみたいで、すまん。
だがアイツもサフィとレオンのことを心配していたんだ。許してやってくれ」
「うん。ミカミカは俺とレオンのお母さんみたい。俺、ミカミカもキースも大好きだし怒ってないよ。
心配してくれて嬉しいもん。
ごめんね、いつも奥さんにお世話かけちゃって」
「ははは!いいさ。二人とも俺らの可愛い弟みたいなもんだからな。………大人になったんだな、おめでとう、サフィ」
!!!そうそう、これ!俺が求めてたの、これなのですよ!!
「うん!そうなの!俺、大人になった!!
おめでとうって言ってくれたの、キースだけ!ゲイルも公爵も言ってくれなかった!」
ぱああ、と顔を明るくした俺に目を丸くしたキース。
「ダメな親父さんたちだなあ!」
「だよねー!息子が大人になったら、まずは『おめでとう』でしょうに!」
うむうむ、と頷きあう俺たちに、慌てて大人組は言った。
「サ、サフィ、おめでとう!!大人になって良かったな!」
「う、うむ!とてもめでたい!おめでとう!」
遅いってばっ、もうっ!
「ミカミカが戻ってこない………」
「俺が話をつけてやる!」と般若の形相で俺をゲイルにむかって「ポーイ」したまんま、ミカミカが戻ってきませぬ。
あれから公爵だってパンツ履いたし、情緒が行方不明になったゲイルにヨシヨシだってしたのに。
それでもまだ戻ってこない。
そもそもどうしてミカミカはあんなにオコだったのだろうか。
思い出してみよう。
ミカミカに「ポーイ」っとされる前、俺はミカミカと何を話していた?
えと……
「あ!ちんこぺろりした話だ!!」
「あ゛あ゛ん゛?!」
ひい!
ゲイルから聞いたことがないヤバい声がした!!
「ち、ちがくて!ちんこぺろりしてないよって話だった!あ、あははははー!!間違えた!」
今度は公爵とゲイルが般若になった。
ゲイルから静電気みたいなのでちゃって、バチバチいってる!!
「……どういう話なのかな?
サフィ、お父様にお話してごらん?」
「うむ。順を追って、きちんと話をしなさい。よいな?」
公爵からはもの凄い冷気が放たれ、部屋の気温が一気に下がる。机に霜が浮かび、グラスの中に微かに残っていたワインが凍ってゆく。
さっむ!!さっむ!!吐く息が白くなっちゃった!!
「「サフィ?!」」
どうしてみんなそんなに俺のネヤ聞きたがるの⁈
仕方なく俺は、もう一回ミカミカにしたのと同じ、「おしっこ出たと思ったら違うよってレオンが味見してセイツーだった話」をした。
話を聞いたゲイルは、額を押さえて天を仰ぎ、「あーーー!」
公爵は同じく額を抑えて下を向き「うーーーむ!」
ふう、ふう、と何度も呼吸をし、息を整え、ようやく言った。
「事情は分かった。サフィ、それ、俺以外には言わないようにな?」
「ミカミカに言った。セイツー報告のときに。そうしたら『俺が話つけてやるっ』ってなって、ゲイルのとこにポイされた。ゲイルのとこも来るつもりだったからいいんだけど」
「…………レオン殿下はよくやっていると私は思う。うむ。非常に……よくやっている。それくらいは……許容範囲なのではないか?」
「うーん……何とも言い難いが………男として尊敬に値する。よくぞ耐えた」
あれ?どういう話?
なんでレオンがエライねって話になった?
うーむ。
あ!!そうだった!!
「それでミカミカが般若になってレオンのところに行ったっきり戻ってこない!
レオンがピンチなのでは?」
そう、婚約者の俺の脳は、ようやくレオンからの救難信号をキャッチしたのである!
「俺、ちょっとレオンのところに戻るから!」
急いで向かおうとするのだが、今だ情緒が迷子なゲイルが放してくれませぬ。
「ちょ、ちょっと!放して、ゲイル!多分だけど、レオンのピンチなんだってば!」
すると俺を抱っこしたまま、すくっと立ち上がるゲイル。
「俺も行く」
「私も行こう」
「………は?」
こうして俺は、もうセイツーした大人だというのに、情緒迷子ゲイルと、公爵と共にレオンの部屋に向かったのでした。
ゲイルはともかく、公爵は来なくていいでしょおよ!
廊下を早歩きで進むゲイル&腕の中の俺。そしてその後ろからついてくる忠犬公爵。
俺とゲイルはともかくその後ろに宰相様という意味不明な三人組に、すれ違う護衛さんや使用人さんが「?!」と二度見してきます。
ああ……つらい……。
ゲイルの抱っこは好きだけど!!大好きだけれども!!
大きくなってからは「抱っこで移動」はやめてたのにいいいっ!!
もう大人なのにいいい!!
仕方なく「ゲイルが抱っこしたがってね?」「俺はもう大人なのにね。ゲイルってば寂しンボだよねー」と言い訳しながら進みます。
そうして部屋に辿り着けば……
「えっと………どうして扉に耳を押し当ててるの、キース?それってばデバガメってゆうやつでは?」
いくら夫とはいえどうなのでしょうか!
みんなの憧れS級ともあろうお方が、とっても情けないお姿だよ⁈
眉を顰める俺に、なぜか大慌てでキースが駆け寄ってきた。
「サフィ、どうしてゲイルに抱っこされてるんだ?!どこか痛めたのか?
くっそ!!レオンのやつ……!!!まさかもうそこまで…!ヤツも所詮そこまでの男だったか…」
俺の頭をなでなでしながら、視線は俺のおしりに………。
「こら、どこ見てんだ」
キースにくるりと背を向けて俺を隠したゲイルが、苦笑しながら一言。
「落ち付け。尻は無事だ」
とたんキースは肩をガクリと落として安堵のため息を吐いた。
「……ふう。驚かすなよ……レオンを疑っちまったじゃねえか」
「ご、ごめんね?」
とりあえず謝っておこう。
「ところで、キースは何してたの?ミカミカ、まだいる?レオンは無事?」
キースが言うには、俺のことが心配で眠れなかったミカミカは「野暮なことはするな」というキースの言葉も聞かずにまだ陽も出ぬうちから俺の部屋の前でウロウロ。
そんなミカミカをキースは影からそっと見守っていたのだそうな。
「レオンの気持ちも分かるだけになあ……。いざって時は止めてやろうかと」
ところが、俺が部屋から出たとたん俺を抱えてミカミカが走り去り、去ったかと思えば一人で戻ってきて般若の形相でレオンの部屋に飛び込んだ。
慌てて止めようとするキースに「来たら絶交」と言い残して……。
「これはレオンやりがったな、ってさ」
レオンを問い詰めたいが、入ったら絶交だとミカミカに言い渡されている。
困ったキースは、俺に直接話を聞くわけにもいかず、どうしたもんかと部屋の様子を伺っていたのだという。
「ああ……すまん。心配をかけたな」
俺の保護者が謝った。
「えっと……俺は無事。セイツーしただけ!心配してくれてありがとねキース」
とりあえず俺も謝ります。
「レオンがご迷惑をおかけいたして申し訳ござりませぬ」
ゲイル抱っこのままペコリと頭を下げれば、キースが柔らかく目を細めて俺の頭をそっと撫でた。
「………サフィが無事ならいいさ。
こっちこそ、ミカが暴走しちまったみたいで、すまん。
だがアイツもサフィとレオンのことを心配していたんだ。許してやってくれ」
「うん。ミカミカは俺とレオンのお母さんみたい。俺、ミカミカもキースも大好きだし怒ってないよ。
心配してくれて嬉しいもん。
ごめんね、いつも奥さんにお世話かけちゃって」
「ははは!いいさ。二人とも俺らの可愛い弟みたいなもんだからな。………大人になったんだな、おめでとう、サフィ」
!!!そうそう、これ!俺が求めてたの、これなのですよ!!
「うん!そうなの!俺、大人になった!!
おめでとうって言ってくれたの、キースだけ!ゲイルも公爵も言ってくれなかった!」
ぱああ、と顔を明るくした俺に目を丸くしたキース。
「ダメな親父さんたちだなあ!」
「だよねー!息子が大人になったら、まずは『おめでとう』でしょうに!」
うむうむ、と頷きあう俺たちに、慌てて大人組は言った。
「サ、サフィ、おめでとう!!大人になって良かったな!」
「う、うむ!とてもめでたい!おめでとう!」
遅いってばっ、もうっ!
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