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東の国
ゲイル、出立!
兎にも角にも、俺の夢と希望をのせ、ゲイルは旅立つ。
「『東国に興味があって』って感じで行ってみるわ」というので、「王国からの大使」としてゲイルに結婚式の招待をしてきてもらうのではなく、あくまでも「一冒険者」「王国貴族の一人旅」として下見。
帝国から貰ったマジックバッグ(大)にお土産やら念のためお医者のお薬やらなんやらかんやら、しこたまに詰め込んで行く。お薬を持っていくのは「東国で病人と遭遇した時のためだな。俺は医者だ。患者が居りゃあそりゃ治療すんだろ?」っていう理由。東国では魔法は一般的ではないみたいだし、簡単にヒール使うわけにもいかないもんね。
運のいいことに、東国の商団さんがバースに年に一度やってくるそうで、それがちょうど3日後。
なのでまずはルーダ転移でバースに飛び、バースくんに商団を紹介してもらって話を聞いたり、向こうで話が聞けそうな人が居たら教えて貰う。
ある程度の情報を聞き出したら、ここで満を持してのブリード便。
国交を妨げている「氷の山」だってブリードさんならひとっとび。なにしろブリザードドラゴンですし。庭みたいなものだもん。
とはいえ、さすがにドラゴンで乗り付けるわけにもいかない。なので東国の人を驚かせないように氷の山を超えたあたりで降ろして貰い、あとは馬に乗り換え地を駆けて入国となります。
ちなみに馬はバースでいつもゲイルが乗っている子をブリードさんが持っていく。
運ばれてしまう馬には申し訳ないんだけど、ゲイルがヒールしてくれるから許して欲しい。
出発前夜。
俺は久しぶりにゲイル抱っこで寝ることに。
最近はレオンと寝ることが多いから、改めて、となるとなんだかちょこっと恥ずかしい。
でもやっぱりゲイルの抱っこは落ち着くーー!!
ふう!すっぽりと収まるこの感じ、たまりませぬ!
フカフカの胸に顔を埋め、すうっと深呼吸。
あー、ゲイルの匂いだあ……。
ゲイルの匂いをかぐと反射的に「ほわん」となってしまう。これは俺の身体に染み付いた長年のアレです。
信頼と愛情の蓄積?
身体から力が抜け、内側からぽかぽかしてくる。ぬるま湯に浸かっているかのような、たまらない安心感。
レオンといる時とは違う。レオンといる時は、ソワソワとかドキドキとか。とにかく、落ち着くけど落ち着かないから。
ぐりぐりと額を擦り付けて思う存分「お父様」を堪能する。
もう大人なので、さすがの俺だっていつもこんなことをしてるわけじゃない。
でも、今はゲイルと俺しかいないし。しばらく会えないし。
沢山充電しておかなきゃ。
「えへへへへー。いいにおい!」
くんかくんかして、せっかくなのでなんか口が触れたところをハムハムしておれば、俺の背中をナデナデしていたゲイルがコツンと額を合わせて来た。
「こおら、あんまり嗅ぐなよ。俺だってもうオッサンだぜ?さすがに……」
「オッサンじゃなくてゲイルだよ?」
「もう40超えてんだぜ?オッサンだろうがよ」
「ゲイルだよ?」
マジなトーンになってしもうた。
ゲイルはゲイルという属性に所属するのであって、あのオッちゃんたちのような「オッサン」に属することはないでしょうに。世界中の誰に聞いても同じことを言うと思う。
俺がいたって本気だと察したのか、ゲイルが「全く」と笑って俺をぎゅむっと抱き込んだ。
「俺の息子も、いくつになってもサフィだもんな。成人しようと、結婚しようと、俺にとっては可愛い息子、小さなサフィだ。それと同じか」
「うん。俺はずっとゲイルの息子だし。カッコよくなりたいけど、ゲイルの可愛い息子。だからみんなが居ない時には、遠慮なく抱っこして!」
「ははは!この甘えんぼめ!」
「いいじゃん。ゲイルだって俺を抱っこしたいでしょ?俺も抱っこしてほしいし。
需要と供給の一致でござりますのでね!」
「ふは!懐かしいな、その言い方!『ござりますのでね』!さすがに最近じゃあ言わなくなったか」
「俺も成長したの。
だってしょうがないじゃん、ずっと人と会話とかせずに育ったんだもん。丁寧に話しようと俺なりに頑張ってたの!」
「うん、お前は頑張ったよ」
「でしょ!ゲイルが居たからね!ゲイルに恥をかかせちゃダメだと思って」
これはほんと。あの頃の俺にとって、ゲイルは全てだった。
神様で太陽。俺を見つけて愛して温めてくれた人。
「お前はずっと俺の自慢の息子だぞ?昔も今もな」
優しい眼差しに、つん、と鼻の奥が痛くなった。
うう……。
泣かないようにしてたのに……。
だって、ゲイルが行くの、俺のわがままのせいなんだもん。俺のせいでゲイルが旅にでるのに……
「……ゲイルもずっとずっと、俺の自慢のお父さまだからね。
あのね、無理しないで下見だけでいいからね?あとで俺も行くし。
ゲイルは一人なんだから、危ないところとか行かないでよ?
困った人とか全員助けなくてもいいんだからね。できる範囲でいいの。無理は禁物!!
いつでもルーとかルーダとか呼んでいいから!二フェンとも暇してるし!
ブリードさんだっていつも暇してるっていうから、何かあれば遠慮なく呼んで!
後からお礼したらいいから!」
「……ああ。そうだな。危ないところには行かない。
できることにだけ手を出す。無理はしねえ。
何かあればルーたちを呼ぶ。
だから……泣くな、サフィ」
「……ううーっ……。ごめん、ゲイル…。俺がワガママ言ったから……!
でも、でも、大陸みんな仲良しで、結婚式とかに出てくれて、東国だけ、東国だけ声も掛けないっていうのはなんか違う気がするんだもん……っ。
呼んできてくれなかったならいいの。知らんぷりっていうのが……っなんか、なんか嫌なんだもんっ!
でも、でも、ゲイルに無理させたかったわけじゃない。俺がササーって行くつもりだったの……っ
俺なら警戒もされないでしょ?それに俺ツエエですし」
「ふふ。確かにサフィを見て警戒するやつはいねえだろうなあ」
ゲイルの大きな手がゆっくりと俺の頭を撫でる。
俺はこの手によって救われた。この手によって温められてきたんだ。
「大丈夫だ。サフィ。『俺ツエエ』はお前だけじゃないだろう?俺だってツエエ。
なんといっても『ゲイル』だぜ?お前のお父さまは最強だ。俺を信じろ」
抱き寄せられた胸から伝わるぬくもりと鼓動。
とくんとくんとくん。
大丈夫、大丈夫。そう言っているようで、ふ、と息が漏れた。
そうだよね。ゲイルだって聖女だし、聖獣を従え、ドラゴンを友とする冒険者でもある。
最強の名は盾じゃあない。
でも俺が心配してるのはそういうことじゃないの。
「………あのね、昔は気付かなかったんだけど。
パパとか、公爵とか、ゲイルっていろんな人を惹きつけるでしょ。東国の人だってゲイルとあったら絶対に好きになると思う。だってカッコいいし。最高に美人だし。セクシーだし。いい匂いするし。頭もいいし、優しいし、親切だし…「ち、ちょっと待て!サフィ、俺を褒め殺しする気か?」
「待たない!本気で言ってるし!
とにかく!悪意なら聖女の力が弾いてくれるけど、いきすぎた好意は弾けないでしょ。
好きすぎて誘拐監禁とかだってあるかもしれないじゃん!!
結婚してください、とか、永遠に東国にいて欲しいだとかあるかもしれないじゃん!!
絶対に絶対に絶対に!!知らない人には付いていかないでね。あと。知らない人からもらったものも食べちゃダメだし。知らない人から出された飲み物も飲んじゃダメだからね!」
「俺はガキか!てか、食いもんとか飲み物とかはいいだろ。害意と同じく毒だって弾くんだし」
俺は神妙な表情で首を振った。
ダメだよゲイル。まだまだ甘いよ。
大人な俺は知ってる。世の中には毒じゃない毒もあるの。
「ビヤクとか」
俺の言葉にゲイルからピリッとした殺気が放たれた。
「まさか、誰かに盛られたのか?!何かされたのか?!」
ガシっと肩を掴んで揺さぶるゲイル。その勢いにびっくり。
「?俺に?そんなわけないでしょお?ビヤクは大人に盛るものでしょおが!」
眉をひそめて教えてやれば、ガクリとゲイルから力が抜けた。
「脅かすなよ……ビビったぜ。てか、お前なんでビヤクなんて知ってんだ?どういうもんか分かってんのか?」
ゲイルにも知らないことがあるのですな。
仕方がない。ここは俺が教えておかねば。
チチチと指を振ってゲイルに教える。
「ビヤクは、大人のための愛のスパイス。それを飲むとヘロヘロしてアチチになって服とか脱いではだかんぼになりたくなるのです。そうしてジゴになって後から後悔するものだから」
「……あー……う、うん。間違っては…ねえ……か?そうかあ……ギルドかあ………くっそ、アイツら……!!」俺のサフィに何を教え込んでやがる!!」
「教えられたわけじゃないよ?お尻押さえてお酒飲んでる人がクリスに絡んでるのを見たの。ビヤク盛られたって」
「そっちかよ!!」
ビタン!
いきなり自分の額を叩いたゲイル。
めっちゃくちゃ真剣な目で、ゴッチンと額を合わせ俺に言い聞かせてきた。
「サフィ、いいか?盗み聞き禁止だ。特に俺の居ない時や、ギルドにキースが居ない時は、長居をするな。
してもいいが、酔っ払いの話は聞くな。いいか?!」
余りの勢いに慌ててこくこくと頷く。
盗み聞きとは人聞きの悪い。聞こえちゃっただけだし!!
でも言ったら怒られそうだから黙って頷いた。
「盗み聞き、禁止。理解しました!!
だけど、ゲイルも絶対に絶対に約束してよね!知らない人には付いていかない、知らない人から何も貰わない。ビヤク注意!!服は脱がない!!」
「分かった分かった!守る、守るから、お前も守れよ?いいか?」
「はーい!約束したからね!!」
ここまで言っておけばゲイルもビヤクでジゴの後悔はしないだろう。
誘拐監禁も大丈夫。
ちょっとだけほっとした。
「『東国に興味があって』って感じで行ってみるわ」というので、「王国からの大使」としてゲイルに結婚式の招待をしてきてもらうのではなく、あくまでも「一冒険者」「王国貴族の一人旅」として下見。
帝国から貰ったマジックバッグ(大)にお土産やら念のためお医者のお薬やらなんやらかんやら、しこたまに詰め込んで行く。お薬を持っていくのは「東国で病人と遭遇した時のためだな。俺は医者だ。患者が居りゃあそりゃ治療すんだろ?」っていう理由。東国では魔法は一般的ではないみたいだし、簡単にヒール使うわけにもいかないもんね。
運のいいことに、東国の商団さんがバースに年に一度やってくるそうで、それがちょうど3日後。
なのでまずはルーダ転移でバースに飛び、バースくんに商団を紹介してもらって話を聞いたり、向こうで話が聞けそうな人が居たら教えて貰う。
ある程度の情報を聞き出したら、ここで満を持してのブリード便。
国交を妨げている「氷の山」だってブリードさんならひとっとび。なにしろブリザードドラゴンですし。庭みたいなものだもん。
とはいえ、さすがにドラゴンで乗り付けるわけにもいかない。なので東国の人を驚かせないように氷の山を超えたあたりで降ろして貰い、あとは馬に乗り換え地を駆けて入国となります。
ちなみに馬はバースでいつもゲイルが乗っている子をブリードさんが持っていく。
運ばれてしまう馬には申し訳ないんだけど、ゲイルがヒールしてくれるから許して欲しい。
出発前夜。
俺は久しぶりにゲイル抱っこで寝ることに。
最近はレオンと寝ることが多いから、改めて、となるとなんだかちょこっと恥ずかしい。
でもやっぱりゲイルの抱っこは落ち着くーー!!
ふう!すっぽりと収まるこの感じ、たまりませぬ!
フカフカの胸に顔を埋め、すうっと深呼吸。
あー、ゲイルの匂いだあ……。
ゲイルの匂いをかぐと反射的に「ほわん」となってしまう。これは俺の身体に染み付いた長年のアレです。
信頼と愛情の蓄積?
身体から力が抜け、内側からぽかぽかしてくる。ぬるま湯に浸かっているかのような、たまらない安心感。
レオンといる時とは違う。レオンといる時は、ソワソワとかドキドキとか。とにかく、落ち着くけど落ち着かないから。
ぐりぐりと額を擦り付けて思う存分「お父様」を堪能する。
もう大人なので、さすがの俺だっていつもこんなことをしてるわけじゃない。
でも、今はゲイルと俺しかいないし。しばらく会えないし。
沢山充電しておかなきゃ。
「えへへへへー。いいにおい!」
くんかくんかして、せっかくなのでなんか口が触れたところをハムハムしておれば、俺の背中をナデナデしていたゲイルがコツンと額を合わせて来た。
「こおら、あんまり嗅ぐなよ。俺だってもうオッサンだぜ?さすがに……」
「オッサンじゃなくてゲイルだよ?」
「もう40超えてんだぜ?オッサンだろうがよ」
「ゲイルだよ?」
マジなトーンになってしもうた。
ゲイルはゲイルという属性に所属するのであって、あのオッちゃんたちのような「オッサン」に属することはないでしょうに。世界中の誰に聞いても同じことを言うと思う。
俺がいたって本気だと察したのか、ゲイルが「全く」と笑って俺をぎゅむっと抱き込んだ。
「俺の息子も、いくつになってもサフィだもんな。成人しようと、結婚しようと、俺にとっては可愛い息子、小さなサフィだ。それと同じか」
「うん。俺はずっとゲイルの息子だし。カッコよくなりたいけど、ゲイルの可愛い息子。だからみんなが居ない時には、遠慮なく抱っこして!」
「ははは!この甘えんぼめ!」
「いいじゃん。ゲイルだって俺を抱っこしたいでしょ?俺も抱っこしてほしいし。
需要と供給の一致でござりますのでね!」
「ふは!懐かしいな、その言い方!『ござりますのでね』!さすがに最近じゃあ言わなくなったか」
「俺も成長したの。
だってしょうがないじゃん、ずっと人と会話とかせずに育ったんだもん。丁寧に話しようと俺なりに頑張ってたの!」
「うん、お前は頑張ったよ」
「でしょ!ゲイルが居たからね!ゲイルに恥をかかせちゃダメだと思って」
これはほんと。あの頃の俺にとって、ゲイルは全てだった。
神様で太陽。俺を見つけて愛して温めてくれた人。
「お前はずっと俺の自慢の息子だぞ?昔も今もな」
優しい眼差しに、つん、と鼻の奥が痛くなった。
うう……。
泣かないようにしてたのに……。
だって、ゲイルが行くの、俺のわがままのせいなんだもん。俺のせいでゲイルが旅にでるのに……
「……ゲイルもずっとずっと、俺の自慢のお父さまだからね。
あのね、無理しないで下見だけでいいからね?あとで俺も行くし。
ゲイルは一人なんだから、危ないところとか行かないでよ?
困った人とか全員助けなくてもいいんだからね。できる範囲でいいの。無理は禁物!!
いつでもルーとかルーダとか呼んでいいから!二フェンとも暇してるし!
ブリードさんだっていつも暇してるっていうから、何かあれば遠慮なく呼んで!
後からお礼したらいいから!」
「……ああ。そうだな。危ないところには行かない。
できることにだけ手を出す。無理はしねえ。
何かあればルーたちを呼ぶ。
だから……泣くな、サフィ」
「……ううーっ……。ごめん、ゲイル…。俺がワガママ言ったから……!
でも、でも、大陸みんな仲良しで、結婚式とかに出てくれて、東国だけ、東国だけ声も掛けないっていうのはなんか違う気がするんだもん……っ。
呼んできてくれなかったならいいの。知らんぷりっていうのが……っなんか、なんか嫌なんだもんっ!
でも、でも、ゲイルに無理させたかったわけじゃない。俺がササーって行くつもりだったの……っ
俺なら警戒もされないでしょ?それに俺ツエエですし」
「ふふ。確かにサフィを見て警戒するやつはいねえだろうなあ」
ゲイルの大きな手がゆっくりと俺の頭を撫でる。
俺はこの手によって救われた。この手によって温められてきたんだ。
「大丈夫だ。サフィ。『俺ツエエ』はお前だけじゃないだろう?俺だってツエエ。
なんといっても『ゲイル』だぜ?お前のお父さまは最強だ。俺を信じろ」
抱き寄せられた胸から伝わるぬくもりと鼓動。
とくんとくんとくん。
大丈夫、大丈夫。そう言っているようで、ふ、と息が漏れた。
そうだよね。ゲイルだって聖女だし、聖獣を従え、ドラゴンを友とする冒険者でもある。
最強の名は盾じゃあない。
でも俺が心配してるのはそういうことじゃないの。
「………あのね、昔は気付かなかったんだけど。
パパとか、公爵とか、ゲイルっていろんな人を惹きつけるでしょ。東国の人だってゲイルとあったら絶対に好きになると思う。だってカッコいいし。最高に美人だし。セクシーだし。いい匂いするし。頭もいいし、優しいし、親切だし…「ち、ちょっと待て!サフィ、俺を褒め殺しする気か?」
「待たない!本気で言ってるし!
とにかく!悪意なら聖女の力が弾いてくれるけど、いきすぎた好意は弾けないでしょ。
好きすぎて誘拐監禁とかだってあるかもしれないじゃん!!
結婚してください、とか、永遠に東国にいて欲しいだとかあるかもしれないじゃん!!
絶対に絶対に絶対に!!知らない人には付いていかないでね。あと。知らない人からもらったものも食べちゃダメだし。知らない人から出された飲み物も飲んじゃダメだからね!」
「俺はガキか!てか、食いもんとか飲み物とかはいいだろ。害意と同じく毒だって弾くんだし」
俺は神妙な表情で首を振った。
ダメだよゲイル。まだまだ甘いよ。
大人な俺は知ってる。世の中には毒じゃない毒もあるの。
「ビヤクとか」
俺の言葉にゲイルからピリッとした殺気が放たれた。
「まさか、誰かに盛られたのか?!何かされたのか?!」
ガシっと肩を掴んで揺さぶるゲイル。その勢いにびっくり。
「?俺に?そんなわけないでしょお?ビヤクは大人に盛るものでしょおが!」
眉をひそめて教えてやれば、ガクリとゲイルから力が抜けた。
「脅かすなよ……ビビったぜ。てか、お前なんでビヤクなんて知ってんだ?どういうもんか分かってんのか?」
ゲイルにも知らないことがあるのですな。
仕方がない。ここは俺が教えておかねば。
チチチと指を振ってゲイルに教える。
「ビヤクは、大人のための愛のスパイス。それを飲むとヘロヘロしてアチチになって服とか脱いではだかんぼになりたくなるのです。そうしてジゴになって後から後悔するものだから」
「……あー……う、うん。間違っては…ねえ……か?そうかあ……ギルドかあ………くっそ、アイツら……!!」俺のサフィに何を教え込んでやがる!!」
「教えられたわけじゃないよ?お尻押さえてお酒飲んでる人がクリスに絡んでるのを見たの。ビヤク盛られたって」
「そっちかよ!!」
ビタン!
いきなり自分の額を叩いたゲイル。
めっちゃくちゃ真剣な目で、ゴッチンと額を合わせ俺に言い聞かせてきた。
「サフィ、いいか?盗み聞き禁止だ。特に俺の居ない時や、ギルドにキースが居ない時は、長居をするな。
してもいいが、酔っ払いの話は聞くな。いいか?!」
余りの勢いに慌ててこくこくと頷く。
盗み聞きとは人聞きの悪い。聞こえちゃっただけだし!!
でも言ったら怒られそうだから黙って頷いた。
「盗み聞き、禁止。理解しました!!
だけど、ゲイルも絶対に絶対に約束してよね!知らない人には付いていかない、知らない人から何も貰わない。ビヤク注意!!服は脱がない!!」
「分かった分かった!守る、守るから、お前も守れよ?いいか?」
「はーい!約束したからね!!」
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