もう我慢なんてしません!家族からうとまれていた俺は、家を出て冒険者になります!

をち。「もう我慢なんて」書籍発売中

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東の国

東国王

東国の大広間。
といったらいいのだろうか。
王国などの広間とは違い、30畳くらいの個室というほうが近いのかもしれない。
石造りの広い部屋の奥に平安時代の御簾台のような一段高い箇所があり、そこにいくつもの大きなクッションが置かれていた。草履は履いたままだし、座面も織物のようなものなのだけれど畳のような感覚なのかもしれない。
その中央。
朱の塗りが施された座椅子にもたれ、黒髪の男性が座っていた。
ストレート長い髪を背に垂らし、和服とチャイナ服の間のような変わった衣装を身に纏っている。
紺を基調に全体に金糸の刺繍が施されているのが、さすが王族という感じ。
キリリと切れ上がった眦の美丈夫だ。

「東国国王、ミトラ・ミカゲだ。君たちを歓迎する、と言いたいところだが、見ての通り我が国は今それどころでははなくてな。君はゲルリアス殿の息子だと聞いておるのだが……」

取り繕うことなく厳しい現状を押し出してきた。
この感じ、嫌いじゃない。

まずはきちんとした礼節を持って口上を述べる。

「此度は突然の訪国にもかかわらずお目通り頂き感謝いたします。私はゲルリアスが息子、サフィラスと申します。ドラゴンライダーあと……サンダーエンジェルという二つ名を冠する冒険者でもあります。バース国に向かった父が約束の期日となっても戻らぬため、その足取りを追いここまでやって参りました。
父はここに滞在しているのとコテツ殿より伺いました。どうか、父に会わせて頂きたく」

「お初にお目にかかります。私はサフィラスのバディであるS級冒険者、ドラゴンバスターのキース。氷の山を越える友の力になれればと、同行いたしました」

「ご拝謁を賜り感謝いたします。私はフィオネル。ゲルリアスの婚約者です。お互いの所在を示す魔道具を共に身に着けておりますゆえ、同行した次第。此度の天災、陛下のご心痛がいかほどなものかお察しいたします。我らでお力になれることあらばなんなりと」

キースはともかく、どう見ても貴族にしか見えない公爵は「ゲイルの婚約者」の立場で押し通すことにしたみたい。
本当かどうかはさておき。

これで一通りの挨拶は終わったね。
礼儀は遠したよね?

よし。
じゃあここからは……

「ということで、失礼を承知で率直に申し上げます。わが父ゲイルを救うために私は参りました。
私は非常に勘がよいのです。その勘が、父の危機だと私を駆り立てております。
どうか今すぐゲイルに会う許可を頂きたく。ゲイルを治療できるのは私しかおりません」

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