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東の国
俺たちの未来
ゲイルと公爵に反対?
そんなの……
きっと10年前ならあり得ないって怒り狂ったと思う。
「ゲイルに裏切られた」って思いこんで、ショックで引きこもりになったかもしれない。
5年前でも「公爵だよ?!本気?!」って言ったと思う。
でも、今は正直……あーあ、と言う感じなのだ。
愛してもらいたくて、その眼差しを向けてもらいたくってそれだけを想っていた頃もあった。
諦めて、存在ごと「どうでもいい人」って思ったこともある。
「なんで俺はこんな目にあったの?親なのになにしてくれんだよ!」って。大嫌いって叫んだこともある。
でもね、10年だよ。
10年って、拒否し続けるにはあまりにも長い。
ゲイルはずっとそんな俺に寄り添ってくれた。
俺が死にそうになっている時には俺の代わりに公爵を怒鳴りつけてくれた。
公爵がひたすら俺に尽くしている時には、当たり前のように侯爵を遠慮なくこき使い。
時に俺がきつく当たりすぎるときにはさり気なくフォローしてくれた。
公爵は、ゲイルや俺に何を言われても黙って受け止めた。
俺にこき使われようと、それすら嬉しいのだと。ひたすらに献身することで俺への愛を示し続けた。
俺に許しを求めることも、愛を求めることもせずただ傍に居てくれた。
困ったときには手を差し伸べ、俺の知らないところで俺のために動いてくれていた。
そりゃあ絆されるよ。
家族じゃないって言ってるけど、本当は家族っていうか親戚くらいには大事に思ってる。
ゲイルは誰にでも好かれる。だって俺のお父様だからいうんじゃないけど、それだけ魅力的な人なんだもん。
誰だってゲイルに会えば好きになる。
パパだって「実は」なんて言い出したくらいだよ?いっそ魔性じゃん。
ゲイルは強いから頼らえることに慣れてるの。
それで全部解決できちゃうから、できることはやってやるのが当たり前だって思っている節がある。
でも、ゲイルだって人間なんだもん。辛いときや苦しいとき、悲しい時だってある。
弱音を吐きたいこともある。
俺を頼って欲しいって思うけど、俺はどうしたってゲイルの「護るべき対象」だから。
俺の前では強くあろうとする。
「……強がりなゲイルが唯一弱音を吐く相手が、公爵なんだもん。
寂しかったとき、ゲイルが一番に頭に浮かべたのが公爵なんだもん。
弱っている自分の側にいることを許した人が公爵なんだもん。
そんなの許すしかないじゃん。
公爵しかないって思うじゃん。
でも、でも。ワガママだけど、まだ俺、ゲイルの一番で居たい。
俺の一番はレオンにしなきゃなのにごめんだけど、俺はゲイルの一番で居たいの。
だからこそ、言って欲しかった。公爵と婚約してもいいか、って。
そしたら、ちょっと拗ねて意地悪いうかもだけど、たぶん公爵をイジメるけど、それでも「いいよ」って言えたのに」
言いながら簿とボトボトと涙が零れた。
ゲイルは一人ぼっちだった俺の全てだった。
本当はそんな義務なんてないのに、俺のお父様になってくれた。
俺を愛し、守ってくれた。その大きな胸に包んでくれた。大好きを沢山教えてくれた。
レオンと結婚しても、俺とゲイルはそのままだってそんな勝手なことを想ってたの。
一人ぼっちになるゲイルが心配だって言いながら、ゲイルの横に当たり前のように誰かが居る覚悟なんてできてなかった。
こんなにも寂しいんだ。
ゲイルの幸せが嬉しいのに。おめでとうって言ってあげなきゃなのに。
でも、こんなにも寂しいんだ。
ふらふらと吸い寄せられるようにゲイルの胸に飛び込んだ。
ゲイルも当たり前のように俺を受け止め、頭を撫でてくれる。
「……ゲイル、俺、ゲイルの気持ちが分かったかも。ゲイルの幸せ、嬉しいけど寂しい。
おめでとうって言わなきゃなのに、でもやっぱり寂しいの。
俺にはレオンもいるのに。
ゲイルもこんな気持ちだったの?」
「……親なんてみんなそういうもんだ。子供は親から巣立っていくもんだからな」
「……ずっと巣立たなくて良かったのに」
「ふは!そんなことしたら俺がレオンに恨まれちまう!……いいんだよ、サフィ。お前はそれでいいんだ。
俺はな、寂しいけど誇らしい。俺の、俺たちの息子がこんなに立派に育って、大人になった。それだけで十分なんだよ。
本当は耐えられると思ったんだ。だが、思ったよりも俺は弱かったみたいでな、ああなっちまった。後悔はねえよ。遅かれ早かれこうなる運命だったんだろう。だが、もっと先だろうと思ってた。俺にもまだ覚悟ができていなかった。だからお前に言うのが遅れちまった。すまん」
「うん。いいよ。謝ってくれたから。それに俺も分かったから」
でもこれだけは言わせてほしい。
「公爵は俺の大事なゲイルを奪うんだから、俺に悪いなってずっと思ってて。それでその分ゲイルを大事にして。泣かせたらサンダーだからね!」
そんなの……
きっと10年前ならあり得ないって怒り狂ったと思う。
「ゲイルに裏切られた」って思いこんで、ショックで引きこもりになったかもしれない。
5年前でも「公爵だよ?!本気?!」って言ったと思う。
でも、今は正直……あーあ、と言う感じなのだ。
愛してもらいたくて、その眼差しを向けてもらいたくってそれだけを想っていた頃もあった。
諦めて、存在ごと「どうでもいい人」って思ったこともある。
「なんで俺はこんな目にあったの?親なのになにしてくれんだよ!」って。大嫌いって叫んだこともある。
でもね、10年だよ。
10年って、拒否し続けるにはあまりにも長い。
ゲイルはずっとそんな俺に寄り添ってくれた。
俺が死にそうになっている時には俺の代わりに公爵を怒鳴りつけてくれた。
公爵がひたすら俺に尽くしている時には、当たり前のように侯爵を遠慮なくこき使い。
時に俺がきつく当たりすぎるときにはさり気なくフォローしてくれた。
公爵は、ゲイルや俺に何を言われても黙って受け止めた。
俺にこき使われようと、それすら嬉しいのだと。ひたすらに献身することで俺への愛を示し続けた。
俺に許しを求めることも、愛を求めることもせずただ傍に居てくれた。
困ったときには手を差し伸べ、俺の知らないところで俺のために動いてくれていた。
そりゃあ絆されるよ。
家族じゃないって言ってるけど、本当は家族っていうか親戚くらいには大事に思ってる。
ゲイルは誰にでも好かれる。だって俺のお父様だからいうんじゃないけど、それだけ魅力的な人なんだもん。
誰だってゲイルに会えば好きになる。
パパだって「実は」なんて言い出したくらいだよ?いっそ魔性じゃん。
ゲイルは強いから頼らえることに慣れてるの。
それで全部解決できちゃうから、できることはやってやるのが当たり前だって思っている節がある。
でも、ゲイルだって人間なんだもん。辛いときや苦しいとき、悲しい時だってある。
弱音を吐きたいこともある。
俺を頼って欲しいって思うけど、俺はどうしたってゲイルの「護るべき対象」だから。
俺の前では強くあろうとする。
「……強がりなゲイルが唯一弱音を吐く相手が、公爵なんだもん。
寂しかったとき、ゲイルが一番に頭に浮かべたのが公爵なんだもん。
弱っている自分の側にいることを許した人が公爵なんだもん。
そんなの許すしかないじゃん。
公爵しかないって思うじゃん。
でも、でも。ワガママだけど、まだ俺、ゲイルの一番で居たい。
俺の一番はレオンにしなきゃなのにごめんだけど、俺はゲイルの一番で居たいの。
だからこそ、言って欲しかった。公爵と婚約してもいいか、って。
そしたら、ちょっと拗ねて意地悪いうかもだけど、たぶん公爵をイジメるけど、それでも「いいよ」って言えたのに」
言いながら簿とボトボトと涙が零れた。
ゲイルは一人ぼっちだった俺の全てだった。
本当はそんな義務なんてないのに、俺のお父様になってくれた。
俺を愛し、守ってくれた。その大きな胸に包んでくれた。大好きを沢山教えてくれた。
レオンと結婚しても、俺とゲイルはそのままだってそんな勝手なことを想ってたの。
一人ぼっちになるゲイルが心配だって言いながら、ゲイルの横に当たり前のように誰かが居る覚悟なんてできてなかった。
こんなにも寂しいんだ。
ゲイルの幸せが嬉しいのに。おめでとうって言ってあげなきゃなのに。
でも、こんなにも寂しいんだ。
ふらふらと吸い寄せられるようにゲイルの胸に飛び込んだ。
ゲイルも当たり前のように俺を受け止め、頭を撫でてくれる。
「……ゲイル、俺、ゲイルの気持ちが分かったかも。ゲイルの幸せ、嬉しいけど寂しい。
おめでとうって言わなきゃなのに、でもやっぱり寂しいの。
俺にはレオンもいるのに。
ゲイルもこんな気持ちだったの?」
「……親なんてみんなそういうもんだ。子供は親から巣立っていくもんだからな」
「……ずっと巣立たなくて良かったのに」
「ふは!そんなことしたら俺がレオンに恨まれちまう!……いいんだよ、サフィ。お前はそれでいいんだ。
俺はな、寂しいけど誇らしい。俺の、俺たちの息子がこんなに立派に育って、大人になった。それだけで十分なんだよ。
本当は耐えられると思ったんだ。だが、思ったよりも俺は弱かったみたいでな、ああなっちまった。後悔はねえよ。遅かれ早かれこうなる運命だったんだろう。だが、もっと先だろうと思ってた。俺にもまだ覚悟ができていなかった。だからお前に言うのが遅れちまった。すまん」
「うん。いいよ。謝ってくれたから。それに俺も分かったから」
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