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東の国
ゲイルストップが入りました
しーん。
えっと……いいとか悪いとかなんでもいいから何らかの反応を頂きたいんだけどもね。
色々言い過ぎた?
静けさを破り「ちょっといいか」とゲイルが手を挙げた。
発言は挙手制になったみたい。
「はい。ゲイルどうぞ」
こほん、と咳をひとつして、ゲイルが頭を掻く。
「あー、まずだな。ブリードをここに呼んで何ができるか相談してみねえか?
そもそも、ブリードに氷を自由自在にできるのかどうかがわかんねえだろ?
フィオにできてもブリードに可能か、ブリードがやってくれるかはまた別だ」
「うん。それはその通り」
周りのみんなもふむふむと頷いている。
「まずは陛下に外交の意志があるのか、トンネルを開通させてもいいのかどうか。
そこんとこを決めてもらおうぜ。
氷を融かす云々はおいておいて、トンネルなら最悪俺だけでもできるしな。
まあその場合は時間をある程度貰う必要があるが……」
「ええー?!またゲイルに会えなくなるの?!無理無理!!」
ドッカンとゲイルに体当たりして、腕の下に潜り込んだ。
甘えん坊だと言われようと、どうでもいい!
俺ってばゲイルを失うところだったんだから!間に合ったけど!
お前もうすぐ成人だろう、って?
ゲイルの前では些細な事。
ここにレオンが居ても「しょうがないなあ」って許してくれるはず。
なんだかんだレオンは俺に甘いから。
「サフィ、ここ一応よそんちだから。今大事な話の最中。ゲイルの膝から降りような」
でもここにいるのはキースお兄ちゃんなので、容赦なく襟を掴まれベリッと引き剥がされた。
ミカミカにいいつけてやるからねっ!
「だってまたゲイルが死にそうになったらどうするの?
ゲイルってば、自分の限界分かってないもん。またやらかすかもしれないじゃん!」
ジタバタする俺を見て、陛下がすまなそうに眉を下げた。
「他国の者にそこまでさせてしまったのは、私の責任だ。すまぬ。
無知とは恐ろしいものだな。過労と同じものだと判断してしまったのだ。
安静にしておれば回復するものとばかり……。取り返しがつかなくなるところだった。
改めて謝罪しよう。ゲイル、すまなかった。心からお詫びする。
そして、縁もゆかりもなかった我が国にそこまで尽くしてくれたことに礼を言う。ありがとう。
この借りは必ず返す」
「いや、俺自身自分の限界が分かってなかった。ここまで魔力を使うことがなかったもんでな。
サフィ、ありがとな。お前が来てくれると信じてたぞ?
さすがに今回のことで俺も反省した。俺にも限界があるんだって理解した。
二度目はねえ。だから、大丈夫だ」
二人にそこまで言われたら……うん、っていうしかないじゃん。
「……何か大きなことをするときには、安全対策大事だからね。
まずは自分の安全を確保。そこからだから。
今回の場合はまずここに付いたらすぐにマーク。そしたらすぐに助けてできたでしょ?俺だってすぐに来れたし。
ゲイルはなんでもできるから、すぐに一人でやろうとするでしょ。
でも、みんなでできるならみんなでやるべき。リスクは分散させるの!」
俺の言葉にキースが笑う。
「確かにサフィはなんでもできるが、周りも容赦なくこき使うもんな」
「そりゃそうでしょ。俺ひとりでやったら、俺に何かあったら終わりでしょおが!
いろんな人がやってれば、一人くらい欠けても大丈夫でしょ?
これをリスクマネジメントというのです」
堂々と胸を張って正論を吐けば、大人たちがみんな身につまされたような顔になった。
全員色々思うところがあるらしい。
大人って!!
「ってことで、俺じゃなきゃできないことはやるけど、他にできる人がいたらどんどん振るよ。
陛下も言ってたけど、ここは東国だもん。東国の人が動かなきゃ意味がないでしょ。
お節介してる自覚はあるからね。
でも、東国の人にはどうしようもない天災で国がつぶれそうなのをそのまま見てるのは違うでしょ?
だから、俺はアイディアを出す。やっていいっていうなら、俺にしかできないことをする。
つまりドラゴンと一緒にトンネル掘りね!俺、ドラゴンライダーだし!」
「いやはや、ドラゴンライダーとはドラゴン使いでもあるのだな。すさまじいものだ」
ミカゲ陛下の言葉にキースが突っ込んだ。
「いや、普通は違うぞ?
ドラゴンバスターとして言わせてもらうが、過去にドラゴンを倒した奴は居ても、使役したやつはいないからな?
サフィだからだぞ?まあその後ゲイルもドラゴンを手名付けてやがったけど……。
基本的にこいつらだけだと思ってほしい」
「そうなのか?」
陛下、澄んだ目を俺に向けるのをやめて!
「……えっとお……成り行き上?俺の方がツエエでしたのでね。
仲良くなるにこしたことはないでしょ?便利だし。
ちょっとまえまで新婚さんだったけど、わりと暇してるみたいだし。
ブリードをこっちに呼ぶと、伴侶のドラゴンが『これで身体を休めることができる』って泣いて喜ぶし」
「……伴侶のドラゴン?」
「新婚さんだからねー。ネヤってるみた……んぐっ」
ゲイルとキースから同時にバシッとお口をふさがれた。
「ってことで、とりあえずミカゲ、そっちでどうしたいのか相談してくれるか?
外交する気はあるのか、するのなら鉄鉱石も取引するのかどうか。
サフィのいうように特産品としてのスパイスは良く売れると思うぞ?
やって損はねえ。
トンネルを開通させて商人に行き来させてもいいし、これまでどおり、年に一度の取引を続けるのもいい。
どちらにしろ、選択肢が増えるってえのは悪いことじゃねえだろ?
すぐに答えがでないってんならそれでいい。ひとまず俺たちは引き上げる。
だが、この氷漬けの状態だけは早急に対処しねえとな。
そこはブリードに聞いてみようと思う。
ここの……そうだな、城門の前に来て貰ってもいいか?
危険はない。それは俺が保証する。どうだ?」
えっと……いいとか悪いとかなんでもいいから何らかの反応を頂きたいんだけどもね。
色々言い過ぎた?
静けさを破り「ちょっといいか」とゲイルが手を挙げた。
発言は挙手制になったみたい。
「はい。ゲイルどうぞ」
こほん、と咳をひとつして、ゲイルが頭を掻く。
「あー、まずだな。ブリードをここに呼んで何ができるか相談してみねえか?
そもそも、ブリードに氷を自由自在にできるのかどうかがわかんねえだろ?
フィオにできてもブリードに可能か、ブリードがやってくれるかはまた別だ」
「うん。それはその通り」
周りのみんなもふむふむと頷いている。
「まずは陛下に外交の意志があるのか、トンネルを開通させてもいいのかどうか。
そこんとこを決めてもらおうぜ。
氷を融かす云々はおいておいて、トンネルなら最悪俺だけでもできるしな。
まあその場合は時間をある程度貰う必要があるが……」
「ええー?!またゲイルに会えなくなるの?!無理無理!!」
ドッカンとゲイルに体当たりして、腕の下に潜り込んだ。
甘えん坊だと言われようと、どうでもいい!
俺ってばゲイルを失うところだったんだから!間に合ったけど!
お前もうすぐ成人だろう、って?
ゲイルの前では些細な事。
ここにレオンが居ても「しょうがないなあ」って許してくれるはず。
なんだかんだレオンは俺に甘いから。
「サフィ、ここ一応よそんちだから。今大事な話の最中。ゲイルの膝から降りような」
でもここにいるのはキースお兄ちゃんなので、容赦なく襟を掴まれベリッと引き剥がされた。
ミカミカにいいつけてやるからねっ!
「だってまたゲイルが死にそうになったらどうするの?
ゲイルってば、自分の限界分かってないもん。またやらかすかもしれないじゃん!」
ジタバタする俺を見て、陛下がすまなそうに眉を下げた。
「他国の者にそこまでさせてしまったのは、私の責任だ。すまぬ。
無知とは恐ろしいものだな。過労と同じものだと判断してしまったのだ。
安静にしておれば回復するものとばかり……。取り返しがつかなくなるところだった。
改めて謝罪しよう。ゲイル、すまなかった。心からお詫びする。
そして、縁もゆかりもなかった我が国にそこまで尽くしてくれたことに礼を言う。ありがとう。
この借りは必ず返す」
「いや、俺自身自分の限界が分かってなかった。ここまで魔力を使うことがなかったもんでな。
サフィ、ありがとな。お前が来てくれると信じてたぞ?
さすがに今回のことで俺も反省した。俺にも限界があるんだって理解した。
二度目はねえ。だから、大丈夫だ」
二人にそこまで言われたら……うん、っていうしかないじゃん。
「……何か大きなことをするときには、安全対策大事だからね。
まずは自分の安全を確保。そこからだから。
今回の場合はまずここに付いたらすぐにマーク。そしたらすぐに助けてできたでしょ?俺だってすぐに来れたし。
ゲイルはなんでもできるから、すぐに一人でやろうとするでしょ。
でも、みんなでできるならみんなでやるべき。リスクは分散させるの!」
俺の言葉にキースが笑う。
「確かにサフィはなんでもできるが、周りも容赦なくこき使うもんな」
「そりゃそうでしょ。俺ひとりでやったら、俺に何かあったら終わりでしょおが!
いろんな人がやってれば、一人くらい欠けても大丈夫でしょ?
これをリスクマネジメントというのです」
堂々と胸を張って正論を吐けば、大人たちがみんな身につまされたような顔になった。
全員色々思うところがあるらしい。
大人って!!
「ってことで、俺じゃなきゃできないことはやるけど、他にできる人がいたらどんどん振るよ。
陛下も言ってたけど、ここは東国だもん。東国の人が動かなきゃ意味がないでしょ。
お節介してる自覚はあるからね。
でも、東国の人にはどうしようもない天災で国がつぶれそうなのをそのまま見てるのは違うでしょ?
だから、俺はアイディアを出す。やっていいっていうなら、俺にしかできないことをする。
つまりドラゴンと一緒にトンネル掘りね!俺、ドラゴンライダーだし!」
「いやはや、ドラゴンライダーとはドラゴン使いでもあるのだな。すさまじいものだ」
ミカゲ陛下の言葉にキースが突っ込んだ。
「いや、普通は違うぞ?
ドラゴンバスターとして言わせてもらうが、過去にドラゴンを倒した奴は居ても、使役したやつはいないからな?
サフィだからだぞ?まあその後ゲイルもドラゴンを手名付けてやがったけど……。
基本的にこいつらだけだと思ってほしい」
「そうなのか?」
陛下、澄んだ目を俺に向けるのをやめて!
「……えっとお……成り行き上?俺の方がツエエでしたのでね。
仲良くなるにこしたことはないでしょ?便利だし。
ちょっとまえまで新婚さんだったけど、わりと暇してるみたいだし。
ブリードをこっちに呼ぶと、伴侶のドラゴンが『これで身体を休めることができる』って泣いて喜ぶし」
「……伴侶のドラゴン?」
「新婚さんだからねー。ネヤってるみた……んぐっ」
ゲイルとキースから同時にバシッとお口をふさがれた。
「ってことで、とりあえずミカゲ、そっちでどうしたいのか相談してくれるか?
外交する気はあるのか、するのなら鉄鉱石も取引するのかどうか。
サフィのいうように特産品としてのスパイスは良く売れると思うぞ?
やって損はねえ。
トンネルを開通させて商人に行き来させてもいいし、これまでどおり、年に一度の取引を続けるのもいい。
どちらにしろ、選択肢が増えるってえのは悪いことじゃねえだろ?
すぐに答えがでないってんならそれでいい。ひとまず俺たちは引き上げる。
だが、この氷漬けの状態だけは早急に対処しねえとな。
そこはブリードに聞いてみようと思う。
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