もう我慢なんてしません!家族からうとまれていた俺は、家を出て冒険者になります!

をち。「もう我慢なんて」書籍発売中

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東の国

閑話休題 サフィちゃんのクリスマス

メリークリスマス!

ゲイルのことでそれどころじゃなくって忘れてた!
大変だ!
もうクリスマスじゃん!!

とりあえず東国のひとは数日くらい問題なかろう。
食べ物もあるし、温かくしている。

ブリードさんにはハクと旧交を温めてもらって。

「ゲイル!クリスマスだよ!!
プレゼントを配らなきゃ!
子供たちが精霊さんを待ってる!
夢を奪ったらダメ!
一旦帰ろう。大至急で!」

「ああああ!ヤベエ!もうそんな……!日にちの感覚おかしくなってたわ!」

ちょうどいいことに、ここには陛下とブルーしかいない。


「えっと、陛下、ブルー。大切なお話があります。
王国にはクリスマスっていう文化があってね?」

「?ん?そ、そうか。それはどういうことなのだ?」

「聖獣様に感謝する日なの。みんな生まれた日を感謝するでしょ?
聖獣のお誕生日ってわかんないから、12月25日を聖獣様が生まれた日ってことにして、みんなでお祝いすることにしたの。
良い子にはクリスマスイブに聖獣の使途がプレゼントをくれることになっててさ。
大人同士、家族、親しい人どうしで贈り物をしあったり、子供達には両親や親せきやご近所サンタさんが贈り物をくれるんだよ。
孤児院の子供たちや金銭的に難しいご家庭用には俺とゲイルが配ってるの」

「おお!そのようなことを!いわゆる慈善事業ですな!」
「冒険者とはかようなこともするのだな。素晴らしい行いだ」

うーん。ちょっと違うけど、まあいいか。

「で、もうバレてるから言っちゃうけど、ついでにまとめてヒールもして回ってるんだよね。
必要な人は街の広場に集まって貰って、まとめてエリアヒールしてるの」

俺の言葉に二人とも苦笑した。

「分かっているようだが、貴重な能力ゆえ慎重に動くべきだと思うぞ?
助けてもらった我らが言うことではないのだろうが……」

「うん。分かってる。俺だって分かってるから最初は隠してたでしょ?
でも、東国の人達ならいいかなって思って。
王国もおんなじ。みんな知ってるけど、それを利用しようとしたりしないから。
俺もゲイルもギルドで普通に冒険者に使ってるしね」

「王国は良い国なのだな。それを聞いただけでも分かる」

「うん。すごくいい国だよ。それにね、もっと良くなる。
で、話を戻すけど。ギルドだけじゃなくって、困ってる人ってたくさんいるでしょ。
だから、プレゼントを配りながらついでにヒールしてるの。
いつもそんなことできないから、年に一回だけだけどさ。
それでも、希望があれば頑張れるでしょ?
聖獣の使途が毎年癒してくれる、自分たちを想っててくれるって、それだけでも救いになるでしょ。
だからさ。絶対に裏切ったらダメなの」

俺の話しを陛下もブルーも真剣に聞いてくれた。
特に「希望があれば頑張れる」というのが身につまされたみたい。

「希望がないというのは……とても苦しいものだ。
年に一度、その日に必ず助けが来る、そう思っているだけで救われるものは多いはずだ」

「でしょ?
で、それが今晩なの!王国の12月24日の夜!プレゼント配る日が今日なの!
だから、俺とゲイルは一旦王国に戻るから!」

俺の言葉に陛下がぎょっと目を見開いた。

「今からか?!間に合うのか?!」

「聖獣の使徒だからね。
この日は聖獣の力を借りることができるのです!
ってことで、今から見るのは内緒にしてて!

キースと公爵はこっちに残ってフォローお願い!
ゲイルは俺と行くよ!

「ルーダー!!お迎えに来てーっ!」


もくもく、ぼわーんっとルーダが登場!

「おお、遅かったな」

「フェ、フェ、フェンリル様っ?!」

陛下とブルーがガバリと平伏した。
なんとハクも。

「え?ハクも?」

【聖獣様に御目文字叶うとは光栄に存じます。
この地を守るものとしてかような体たらく、お恥ずかしい限りです】

「うむ。精霊にできることには限界もあろう。いたしかたあるまいて。
我も干渉できぬゆえ、すまぬな。
此度は聖獣としてではなくサフィラスとの契約により従魔として来ておるのだ。
そう固くならずとも好い」

「とりあえず、ここを守ってくれてたハクが元気になったから、もう大丈夫そう!
ゲイルも見つかったしね。
で、今日ってばクリスマスイブでしょ!」

「なんと!もうそんな日か。人の時間はあっという間だな」

「だから、大急ぎで一旦帰ろう!ゲイルと俺を連れて戻って!
で、夜はまたいつものやつ!あんだーすたん?」

「承知!ならば急ぐぞ!ゲイル、サフィ、乗れ!」

「おう!頼んだ!
ミカゲ、ちょっと戻ってくる。またこっちに来るから、ちと待っててくれ!」


ぼわぼわーん!




こうして俺たちはあっという間に王城に戻った。
戻る寸前、消える俺たちを見て陛下があんぐりと口を開けていたが、キースと公爵がフォローしてくれることだろう。
任せたよ、二人とも!







「サフィ!!」

戻った途端、ものすごい衝撃が俺を襲う。
レオンだ。

「良かった!心配していたんだよ?大丈夫だったか?ゲイルは見つかった?」

ぐるぐる回転チェック。
全身チェックが終わったらまたまたぎゅむっと抱きしめられた。

「ああ……サフィだ……」



「おーい。俺もいるんだが?」





※※※※※


みなさま、メリークリスマス!
更新が遅れ気味で申し訳ござりませぬ……。

いつもサフィちゃんをご拝読いただきありがとうございます。
こんなに長く続けられたのは、応援して下さる皆様のおかげでござります。
長くなりすぎて、この設定覚えていらっしゃるかしら?

そう、サフィちゃんはサンタさんを王国に持ち込んでいたのです。
そうして精霊の使徒として大活躍しておったのでした。

今日と明日は閑話休題となります。
みなさま、良いクリスマスになりますように!
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