もう我慢なんてしません!家族からうとまれていた俺は、家を出て冒険者になります!

をち。「もう我慢なんて」書籍発売中

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東の国

大事なお話があります。

俺は大急ぎで酔っ払い連中の中から公爵、キースとミカミカを集める。
公爵はゲイルの部屋の前で待機してたからすぐに見つかった。
キースはさっきの場所でミカミカの膝枕をしておりました。ご満悦のところ申し訳ない。

「今からミカゲ陛下と大事な話をします!話をある程度纏めて、急いで王国に帰らなきゃだから!
大急ぎになったの、ママ公爵のせいだからね!公爵!約束違反したらダメじゃん、もう!ゲイルと早く結婚しなきゃだから!分かった?」
「結婚?!」

いきなりの宣言に、公爵がかああっと見事に赤くなる。
色が白いだけに真っ赤になると凄い、

「よ、良いのか?」

「良いも悪いもないでしょ!もうゲイルと……えっと……おとなの…ごにょごにょ…したでしょ!結婚してからじゃなきゃダメなのに!しょうがないから早く結婚して!」

「!無論だ!ゲイルにさえ了承してもらえるならば、戻り次第籍を入れよう!」

「あー、サフィ、さっきの今でどういうことになったんだ?」
「それ俺も聞きたい」

「キース、ミカミカ、ごめんね。詳しいことは後からね!とにかく、早く帰ってゲイル結婚させなきゃだから!東国の人と契約のお話だけでもしておきましょう!レオンだって待ってるし!」

「なんだかわからんが、了解。ミカはどうする?」

「よくわからんが参加する」


キースの近くにいた護衛のブルー&レッドを連れ、お世話になったサモンさんと、元宰相のコテツさんを拾ってミカゲ陛下のもとに向かう。




陛下は穏やかな表情で子供たちを膝に載せて寛いでいた。
炎に照らされたその表情は驚くほどに柔らかい。

「ミカゲ陛下ー!お話してもいいですか?」

声を掛けると、陛下よりも先に子供たちが俺に気付いた。

「あー!ゲイルとサフィだ!」
「ゲイル、飴もっとある?」
「サフィ、あそぼー!」

わらわらと我先にと俺やゲイルの手や足にしがみついてくる。かわいい。

「ごめんね。今から俺たちとっても大事なお話があるの。だからまた後で遊ぼう!」

頭をなでなでして、ひとりひとりの手を取りながらさり気なくクリーンとヒールしておく。

「えー!絶対だよ」
「うそついたらハリセンボンノマスだからね!」

針千本飲ます!懐かしい!やっぱりここ、ぜったいに昔日本人が居たね!

小指を絡めて「お約束」というと、子供たちは大人しく母親のもとに戻っていった。
いい子たちだ。

「みんなとってもいい子ですね」

思ったままを口にすると、陛下が柔らかな眼差しで笑った。

「自慢の子らなのだ」

みなが揃っているのに気付くと、瞬時に為政者の顔になる。

「で、どうした?何か話があるのだろう?……場所を移ろう」

うん!さすが話が早い!



ぞろぞろと陛下の執務室へ。

会議室としても使用されているというその部屋は、畳敷きに巨大なテーブルがドーンと置いてあった。
その周りにはなんと懐かしの座布団。


どこにどう座ればいいのか分からず立ちつくす公爵、キース、ミカミカ。

「……座らぬのか?」

「じゃあ、俺から!」

陛下の横にドカリと胡坐をかいて座る俺。その横にゲイルも腰を下ろす。
公爵、キース、ミカミカも遠慮がちに俺たちの真似をして座布団の上に座った。
俺たちの向かい側にコテツさんとサモンさんも腰を下ろす。ブルーとレッドはミカゲ陛下の後ろ。
測らずしも、王国勢と東国勢とに見事に分かれた形になる。


「では、お話をさせていただきます」

俺は座布団をどけて後ろに下がると、背筋を伸ばし足を畳んできちんと正座。
両手を膝の上に八の字に置き、額が畳に付くくらいに深くお辞儀。
背筋をまっすぐに保ったまま顔を上げ、ミカゲ陛下を見つめた。

俺がした正式な「正座礼」に目を見開く陛下。

「改めてご挨拶申し上げます。
私はドラゴンライダーであり冒険者のサフィラスであるとともに、王フリューゲル王国のグリフィス伯爵家の嫡男であり、皇太子レオンハルトの婚約者、貴族サフィラス・グリフィス。
此度は父を探してお忍びで参りましたため、騙すような形となり申し訳ございません。
東国の皆様のお力になれればと、さきほど一旦王国に戻った際、皇太子殿下より正式に東国との交渉権を得てまいりました」

俺のやりたいことを察したゲイルが俺に続く。

「改めて名乗らせて頂く。医者であり、フリューゲル王国、グリフェイス伯爵家が当主、ゲルリアス・グリフィスだ。名乗るのが遅れ申し訳ない。息子の婚姻に先立って、同じ大陸にすむもの同士、東国の方にも参加いただければと、正式な案内に先立ってまいりました。あとは……ご存じのとおり。差し出がましいことを致して申し訳ございません」

「同じく、ゲルリアスの婚約者、フリーゲル王国、グランディール公爵家が当主、フィオネル・グランディール。戻らぬ婚約者を迎えに参った次第」

「私はドラゴンバスターS級冒険者のキース。ゲルリアスの息子で、サフィラスの専属護衛兼側近だ。隣にいるのは我が妻、ブルーム辺境伯家が三男、ミカエル・ブルーム。皇太子殿下の側近兼侍従だ」

俺の妻なんだぞー、とドヤってミカミカの分まで挨拶しちゃったキースに、ミカミカが困って頬を掻いた。
ミ、ミカミカ?言うことなかったらそれでいいんだからね?
と思ったら、ニコッとほほ笑んで曰く。

「あー……私は聖なる夜を夫と過ごすために参りました」

ミカミカ、単なるノロケじゃん!最後の二人、堂々とノロケた!
聞いていた東国勢も「あーー……」みたいになっている。ほんと、うちの人たちがごめん。

俺は慌てて最後の纏めをした。

「身分を明かさずにおりましたこと、お許し下さい。状況が状況であったゆえ……」

ってゆーか、ちゃんとご挨拶したし、もういいよね。

「なんだか東国が大変そうだったから、来賓として対応させるのは申し訳ないかなって思ったのです。
ごめんなさい」












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