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東の国
水戸黄門する
ミカミカのお陰でなんとなあくほっこりしたところで、俺は大事なことを思い出した。
これこれ!これ出さなきゃじゃん!忘れてた!
「ひかえおろー!この書状を目に入れるのでござる!」
じゃじゃじゃじゃーん!と陛下の前に広げて見せたのは、レオンに貰った王国の委任状。
要するに、東国との交渉権を全て婚約者であるサフィラスに一任する、条約締結についても、宰相であるグランディール公爵のサインで可能なものとする、と言うようなことが書いてある。
そして最後には、王国とレオンの名と、正式なサイン。
「一応俺たちの身分の証明みたいな?これで本物だって分かるでしょ?」
「お!サフィにしちゃあちゃんと考えてるじゃないか!」
「そうでしょうとも。ゲイル、もっと褒めて!」
えへんと胸を張る俺。
一方、ミカゲ陛下や東国勢は、みんなで顔を突き合わせて「お主はどうだ?」「いや、陛下こそ」などとボソボソ。
あ。あれ?そこは「おおー!」とかやるところなのでは?
一応もう一回やってみた。
「これは王国の正式な委任状であるぞ!このかt……じゃない、我を誰だと心得る!えっと……王国の王子の婚約者であるぞ!ひかえおろー!」
「こら!調子に乗るな!」
ゴツンとゲイルの拳が頭におちた。
だって、せっかく貰ってきたのに、ミカゲ陛下たち驚いてくれないんだもん。
「えっと、書状……あるんだけど……」
しょんぼりと呟けば、書状をためすがえつしていた陛下が、申し訳なさそうに口を開いた。
「あー……すまないが、我らは外交をしてこなかった故……他国のサインと言うものを見たことがないのだ」
「え?だ、誰も?」
ブルー&レッドも、コテツさんも、みいんな首を縦に振った。
「そ、それじゃあ、これ見ても本物かどうか判断つかないってこと?」
「……すまぬ……」
「じゃあ、これ、無駄だったってこと?」
「そうなるな。だ、だが!このようなものなどなくとも、ゲルリアス殿とサフィラス殿たちのことは信じておるゆえ!そこな宰相殿も、当初よりそれなりの地位にある方だと御見受けしていた」
「うむ!溢れ出る気品と言うかですな、その、所作が……!」
「ええ?じゃあ俺は?俺とキースは?」
「………」
「気品とか美しい所作とか溢れ出ちゃったりしてなかった?」
ブルー&レッドが気まずそうに目をそらし、コトラさんが口元を押さえて顔を背けた。」
ミカゲ陛下?陛下は俺の気品、感じちゃってたよね?ね?
「……あー……S級やドラゴン使いとは、さすがゲルリアス殿のお子たちであると……。正直、サフィラス殿が皇太子殿下の婚約者であるということが一番の驚きであった。……皇太子殿下はなかなか懐の大きな御仁であるようだな」
おい!どういう意味?失礼ですぞ!
とにもかくにも、書状の意味はなかったけれども、俺たちの身分についてはそう驚くこともなく信じてもらえた模様。
「じゃあ、もういいよね?信じてくれたよね?」
ブスっとしながらクルクルと書状を丸めて懐へ。これはお大事。東国の人には豚に真珠だったけど。
せっかくレオンがくれたんだもん!大事ったら大事!
「では、お話にうつりましょう!
はい。では、王国からの希望をお伝えします。えっと、もう言ったと思うけど、ミソとショウユ、ほかにお米とか干物とか、そういうものを輸入したいです!特にミソとショウユ!
といっても、地産地消で自分たちの分しか作ってなかったりしたら無理だと思うから。これは余剰分ができ次第ということで。でも、ちょこっとだけ取引とかじゃなくってお土産に貰えたら嬉しい!」ミソシルとか飲みたいし、生姜焼きが食べたいっ!焼きおにぎりもっ!!」
最後の方は力が入りすぎて机から身を乗り出してしまった。
余りの俺の熱意に、陛下たちがなんとなあくその身を後ろに引いている。
「サ、サフィラス殿は東国の食について詳しいのだな」
あ。なんだか少し警戒されちゃった?
そっか。鎖国みたいになってるから、他の国にこう言う情報がいっていないんだ。
「え、えっと、本で読んだの!東国を出た人が書いた日記みたいなの!それに出てた料理がおいしそうで食べてみたかった!」
ちょっと苦しい言い訳かなって思ったんだけど。
「すまん。俺の息子、食いしん坊なんだ……」
「サフィは食いもんに対する執着が凄いよなあ。甘い物とかもさ」
俺の家族がナイスフォローしてくれた。……フォローだよね?まさか本気で言ってないよね?
おかげでちょっと警戒を滲ませた陛下から力が抜けた。
大丈夫、安心して。敵対するつもりはないし、後で裏切ったりもしないから!
「あははは!小さいときにいっつもお粥とかパンとスープがちょっとだけとかで、お腹空かしてた記憶があるからかな。食べものって大事だなって思うんだよねー」
頭の後ろに手を当てておどけて見せれば、その言葉が公爵にクリーンヒット!
とたんしょんぼりと肩を落とし、うな垂れてしまった。
これこれ!これ出さなきゃじゃん!忘れてた!
「ひかえおろー!この書状を目に入れるのでござる!」
じゃじゃじゃじゃーん!と陛下の前に広げて見せたのは、レオンに貰った王国の委任状。
要するに、東国との交渉権を全て婚約者であるサフィラスに一任する、条約締結についても、宰相であるグランディール公爵のサインで可能なものとする、と言うようなことが書いてある。
そして最後には、王国とレオンの名と、正式なサイン。
「一応俺たちの身分の証明みたいな?これで本物だって分かるでしょ?」
「お!サフィにしちゃあちゃんと考えてるじゃないか!」
「そうでしょうとも。ゲイル、もっと褒めて!」
えへんと胸を張る俺。
一方、ミカゲ陛下や東国勢は、みんなで顔を突き合わせて「お主はどうだ?」「いや、陛下こそ」などとボソボソ。
あ。あれ?そこは「おおー!」とかやるところなのでは?
一応もう一回やってみた。
「これは王国の正式な委任状であるぞ!このかt……じゃない、我を誰だと心得る!えっと……王国の王子の婚約者であるぞ!ひかえおろー!」
「こら!調子に乗るな!」
ゴツンとゲイルの拳が頭におちた。
だって、せっかく貰ってきたのに、ミカゲ陛下たち驚いてくれないんだもん。
「えっと、書状……あるんだけど……」
しょんぼりと呟けば、書状をためすがえつしていた陛下が、申し訳なさそうに口を開いた。
「あー……すまないが、我らは外交をしてこなかった故……他国のサインと言うものを見たことがないのだ」
「え?だ、誰も?」
ブルー&レッドも、コテツさんも、みいんな首を縦に振った。
「そ、それじゃあ、これ見ても本物かどうか判断つかないってこと?」
「……すまぬ……」
「じゃあ、これ、無駄だったってこと?」
「そうなるな。だ、だが!このようなものなどなくとも、ゲルリアス殿とサフィラス殿たちのことは信じておるゆえ!そこな宰相殿も、当初よりそれなりの地位にある方だと御見受けしていた」
「うむ!溢れ出る気品と言うかですな、その、所作が……!」
「ええ?じゃあ俺は?俺とキースは?」
「………」
「気品とか美しい所作とか溢れ出ちゃったりしてなかった?」
ブルー&レッドが気まずそうに目をそらし、コトラさんが口元を押さえて顔を背けた。」
ミカゲ陛下?陛下は俺の気品、感じちゃってたよね?ね?
「……あー……S級やドラゴン使いとは、さすがゲルリアス殿のお子たちであると……。正直、サフィラス殿が皇太子殿下の婚約者であるということが一番の驚きであった。……皇太子殿下はなかなか懐の大きな御仁であるようだな」
おい!どういう意味?失礼ですぞ!
とにもかくにも、書状の意味はなかったけれども、俺たちの身分についてはそう驚くこともなく信じてもらえた模様。
「じゃあ、もういいよね?信じてくれたよね?」
ブスっとしながらクルクルと書状を丸めて懐へ。これはお大事。東国の人には豚に真珠だったけど。
せっかくレオンがくれたんだもん!大事ったら大事!
「では、お話にうつりましょう!
はい。では、王国からの希望をお伝えします。えっと、もう言ったと思うけど、ミソとショウユ、ほかにお米とか干物とか、そういうものを輸入したいです!特にミソとショウユ!
といっても、地産地消で自分たちの分しか作ってなかったりしたら無理だと思うから。これは余剰分ができ次第ということで。でも、ちょこっとだけ取引とかじゃなくってお土産に貰えたら嬉しい!」ミソシルとか飲みたいし、生姜焼きが食べたいっ!焼きおにぎりもっ!!」
最後の方は力が入りすぎて机から身を乗り出してしまった。
余りの俺の熱意に、陛下たちがなんとなあくその身を後ろに引いている。
「サ、サフィラス殿は東国の食について詳しいのだな」
あ。なんだか少し警戒されちゃった?
そっか。鎖国みたいになってるから、他の国にこう言う情報がいっていないんだ。
「え、えっと、本で読んだの!東国を出た人が書いた日記みたいなの!それに出てた料理がおいしそうで食べてみたかった!」
ちょっと苦しい言い訳かなって思ったんだけど。
「すまん。俺の息子、食いしん坊なんだ……」
「サフィは食いもんに対する執着が凄いよなあ。甘い物とかもさ」
俺の家族がナイスフォローしてくれた。……フォローだよね?まさか本気で言ってないよね?
おかげでちょっと警戒を滲ませた陛下から力が抜けた。
大丈夫、安心して。敵対するつもりはないし、後で裏切ったりもしないから!
「あははは!小さいときにいっつもお粥とかパンとスープがちょっとだけとかで、お腹空かしてた記憶があるからかな。食べものって大事だなって思うんだよねー」
頭の後ろに手を当てておどけて見せれば、その言葉が公爵にクリーンヒット!
とたんしょんぼりと肩を落とし、うな垂れてしまった。
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