もう我慢なんてしません!家族からうとまれていた俺は、家を出て冒険者になります!

をち。「もう我慢なんて」書籍発売中

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たくさんの感謝と共に(おみやげ配るだけ!)

俺、おみやげ配り終えた!(護衛ズ)

豪華か華麗なお花摘み…もとい、食事を終えた俺は、最後の配達人に。

相手は…、そう。
王家の居室、プライベートゾーンの護衛さんたちである!
王城に初めて入ったあの日、いきなり王城で待つように言われてどっきどきの俺に着いて来てくれた彼ら。
レインボーが分かった時も、お披露目会2をやろうぜ、って決めたときも、さりげなあく俺を守ってくれていた。
陰になり日向になりして、王家と俺を守ってくれた護衛さんたちなのであります!
王様の護衛さんと、俺が来た時に俺に着いてくれる護衛さん。その数、合わせて10人の精鋭なり!

その中でも初日から仲良くなったグリーンアローズメンバーの護衛ズ、ミシャとジグルドに、みんなの分もお土産をまとめて託すのだ。
2人はちょっと護衛っていうより俺の中ではイツメン(いつものメンバー)になってしまってる。
息をするように自然になにげなあく傍で守ってくれてる2人が俺は大好きなのである。

俺が城に来るといつの間にかさりげなあく近くに居てくれるから、今日も…と探しましたら案の定。ミシャとジグルドは食堂のお外に控えてくれておりました。
俺は「こんにちわ!ちょっといいですか」して、着いてきてもらい、お兄様のお部屋の前で「まっててね」とお願い。
大急ぎでおみやげを持ってきた。

「ふう、ふう…おまたせですっ!
これっハンカチ!剣のししゅうがあるのです!
ごえいさんたちにおみやげ。
初めてお出かけしたのでっ自分ではたらいたお金で買いました!
いつもオレを守ってくれてありがとうございまする!
王さまのごえいさんなのに、オレまで守ってくれて、いっしょにあそんでくれてありがとう!
いつもとっても安心できるので、かんしゃのきもち。
王家のとこにいる護衛さんみんなの分もあるから、わけてあげてね」

はい、と渡したら、ミシャはハンカチを見つめたままパチパチと瞬き。

「え?サフィラス様が?わざわざ働いて?」
「そう。自分のお金じゃなきゃいみがありませんので。
おせわになってありがとうのきもちとして」

目を丸くしたミシャ。
今度は指でハンカチを指した後、忙しなく自分とジグルドを指す。

「ご自分のお金でこれを俺たちに?」

いつも「私」って言ってるのに、俺って言った!
めっちゃ「素」だ!

「うん。そうだよ。ミシャとジグルドの分もあるの」

俺の言葉にようやく理解したらしい。
ミシャの顔がふにゃっと崩れた。

「…子供がそんな気を遣わなくていいんですよ…!」

俺の頭を右手で優しくぽんぽん、と叩く。
優男みたいな外見を裏切る、騎士らしい大きくて硬いてのひら。何度も血豆を潰しながら、どれだけの修練を重ねたんだろう。
その果てにここにいる。
柔らかな笑顔、こちらに緊張させぬ気の抜けた物言いで、俺のそばに居てくれるんだ。

俺はミシャの手をとり、そのてのひらを撫でた。

「傷だらけで硬いね」
「お見苦しいですよねえ。すみません」

苦笑して慌てて手を引っ込めようとするのを、ぎゅっと掴むことでとめる。
そして温かなミシャのてのひらに、そっと頬を寄せた。

「あのね。オレはこの手が大好き。がんばってきた、カッコいい手。強くてあったかくて、いつもみんなを守ってくれるステキな手。
ありがとうね、ミシャ。これからもよろしくね」
「…とても…とても光栄です、サフィ様。
ありがとうございます」

ミシャの声は僅かに湿っていた。

「ハンカチも……大切にしますね」

優しい仕草で俺からそっと手を抜き、大切そうに両手でハンカチを撫ぜる。

すると隣で待っていたジグルドが、待ちかねたようにミシャからハンカチを1枚奪い取った。

「ミシャだけズルいですよ。
これは私の分でいいんですよね?
私が頂いてよろしいですよね?
サフィ様のおみやげ、とても嬉しいです!」

めっちゃいい笑顔!

「絶対に使わず永久保存いたしますねー
「え?使おうね?」
「もったいないので」
「使って!ダメになったらまたあげますので!」
「!!早速使わせて頂きます!」

言ったくせにいそいそと懐にしまいこんだジグルド。
その目は…まさかジグルド、俺を「推し」に据えちゃってる⁈ハンカチがまさかの推しグッズ扱い!
いつのまにかジグルド、サフィガチ勢になっておった。
これ絶対マリーの影響だと思う!マリーがジグルド捕まえて何やら講釈たれてるの見たことあるし!
ああ…。優秀な護衛騎士さんが…マリーの餌食に…。

ちょっと遠い目をしてたら、ジグルドが何か期待するようにじっと俺を見つめてた。

「?どうしたの?」
「私の手も握ってみますか?」
「え?」

グイッと手が突き出される。
お、おう!ありがとう。
せっかくなのでにぎにぎ。

「うん。ジグルドの手もカッコいいね。
沢山がんばってくんれんした、りっぱなきしさんの手」

俺の言葉に爽やかな笑顔を見せるジグルド。
出会った時はクールワイルド系かしこい系お兄さんだったのに、まるでワンコ。
ワンコは更ににこにこグイグイ迫ってきた。

「どうですか?この手もお好きですか?」

すんごいくるね!ジグルド!

「う、うん。好き」

「大好きですか?」
「うん。大好き。こういう手になりたいの」

言ったとたん、

「え?サフィ様が?」
「こんな手に?」

ジグルドとミシャ、いきなりの困惑顔。

「え?カッコいいでしょ。
オレ、冒険者になりますし」

2人で困ったように顔を見合わせたあと、申し訳なさそうにおずおずと言った。

「あの…サフィ様は剣より魔法の方を極められた方が…」
「人には向き不向きがありますし…」
「よろしければ、探索にも私たちがご一緒させて頂きますので…」

なに、その俺には剣の才能がないと言わんばかりの言い草は。

「……オレ、さいのーない?」

上目遣いでいじける俺に、ミシャが言いづらそうに口を開く。

「い、いえ!あの…恐らくですが…このような手になるのを許されない方がいらっしゃるのではないかと…」
「しかも…複数人いらっしゃるのではないなと……」

心当たりない、とは口が裂けても言えない。
心当たりありまくり!

確かに、豆でもつぶせばすぐにゲイルが手にクリーム刷り込みそうだし、お兄様が俺に自分でヒールさせるかドエライポーションぶっかけてきそう。
ミカミカは包帯ぐるぐるしてきそうだし、ティガーは何枚も手袋縫ってくれそう。
豆ができてもあんなカッコいい手になるまえに治されちゃうよね…。

「ぶつりてきに、むり?」
「「ですね……」」

なんと俺に甘い世の中なんだ!!!
もっと厳しくいこう⁈

打ちひしがれた俺を励ますように

「サフィ様の魔法は最強ですから!剣など使わずとも敵は一網打尽ですよ!」

とミシャ。

「そうそう!魔法が使える冒険者など聞いたことがありませんし!サフィ様が史上初では?」

とジグルド。

た、確かに!
全く服を乱れさせる事なくしれっと倒しちゃうのもカッコいいかも?
力が弱くても剣に魔法乗せたら良くない?
史上初の魔剣士!響きもいい!

俺は俄然やる気になった。

「オレがめざす冒険者は、まけんし!」
「おお!いいですねえ!」
「素晴らしい!」

拍手で盛り上げてくれる2人。

ぎゅ!
ぎゅ!
とハグをして「いつもありがとう」と告げたら、2人は最高の笑顔を見せてくれた。


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