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俺の平凡な日常
俺と冒険者
ゲイルについて城下をウロウロするようになり、すっかり「ギルドのマスコット」扱いされておりますサフィです。
みなさん、いかがお過ごしでしょうか?
俺は、順調に冒険者ロードを歩んでる、はずだよ!
最初はゲイルとお兄様とがっちりガードで城下に来ていた俺ですが。
ゲイルのおかげでギルド長の庇護下に入り、知り合いも増え、俺のサンダーボルトもそれなりに知れ渡り、まあもろもろのお陰で城下解禁となっております。
といってもひとりで勝手に来るのはダメ。
ギルドを拠点として、ゲイルが来る時に連れてきてもらって、その辺で自由行動。
帰るときには一緒に帰る感じ。
それで知り合いのいるあたりをうろちょろしているのです。
カフェもすっかり常連扱い。
とらさん獣人のカイルさんは、いつも新作だというケーキを「試食だ」と言ってふるまってくれるの。
沢山の獣人さんともお友達になれたし、幸せ!
落としたリンゴを拾ってあげた縁で知り合った、果物屋さんのおばちゃんとも仲良し。
いつも会うたびに「寄っていきな!」ってお茶をのませてくれたり、おかしをくれたりする。
お隣の八百屋のおいちゃんも仲良しなんだよ。
「サフィ!ちっこいなあ!野菜を食えよ」
っていっつも俺に何かしらの野菜を食べさせようとするのがたまに傷。
「たべてるもん!お野菜のパンとか!すっごく美味しいんだからね!」
って言ったら、作り方を教えてくれっていうので教えてあげた。
あのミカミカが作ってくれるやつ。
ペーストにして混ぜてるっていうやつね。
そしたらすっごく感謝されてしまった。
お野菜嫌いの子が多くって、なんとか食べてもらう方法はないかって考えてたんだって。
次に行った時には、なんともう八百屋さんの入り口に「サフィちゃんの野菜パン」コーナーが!
子供にも人気で「野菜嫌いの子も食べてくれる」とお母さん方に大変喜ばれてるらしい。
看板商品になったって喜んでた。
「名前を使わせてもらう代わりにサフィちゃんは食べ放題だ!」
ということで、小腹が空いたときとかちょくちょくお世話になっている。
出店のおじちゃんも顔なじみ。
失敗した切れはじとかをお口に入れてくれるのです。
他にもいろいろな顔見知りが出来て、俺が行くと
「おお!サフィちゃん、来たか!これもってけ!」
ってバナナくれたり
「サフィ!うちの嫁からサフィが来たらやってくれってクッキー持たされてんだ。持っていきな!」
とかいっていろいろなものをくれるの。
嬉しいんだけど、…もしかしてみんな、俺のこと「食べ物食べさせとけばご機嫌だ」って思ってない?
あんまり色々貰うもんだから、ゲイルが
「あんまり甘やかされてるのも教育によくねえ気がするなあ…。サフィの首に『サフィにものを与えないで下さい』って下げておくか?」
とか言い出した。俺は動物園のサルか何かですか?!
ちょっとそれはひどいとおもうの…。
冒険者の知り合いも増えてた。
まずは、最初に俺が「たのもー」した見た目チャラ男で中身はまじめな優しいお兄さんのキース。
16才ながらに既にB級の冒険者という有望株!
若いのに冒険者には一目置かれております。
面倒見がいいので、初級冒険者とかにも慕われてる。
ちょっとミカミカっぽいと密かに思っている俺。
そして、ゲイルのお友達、ギルド長。
グリズリーみたいな強面ですが、意外と優しい子供好き。
自称「ギルドのサフィ後見人」。
俺が行くと、忙しいはずなのにすぐに2階から降りてきて、俺を膝に載せてくつろぎモードになっちゃう。
それでよく受付のお姉さんのアリーによく怒られてる。
あと、お菓子大会のときに美味しいバラのお菓子を教えてくれた、綺麗な女冒険者のお姉さん。
イバラ姫こと、ナラ。
銀髪に紺色の瞳のクールな美人さんです。
モテモテなんだけどあまりにもすげない態度らしく、イバラのようだってことで通称イバラ姫で通ってる。
23歳のC級冒険者
ナラとパーティーを組んでいる小柄のショートカットのお姉さん、シオン。
茶髪に茶色の眼の元気なお姉さんで、剣士。彼女もC級冒険者。まだ15歳なんだって。
ナラの事をお姉さんみたいに慕ってる。
2人はとっても仲良しで、まるで本当の姉妹みたいなの。
猫ちゃんのドーナッツを持ってきた、お髭の冒険者ことドンク。
ドンクもC級。ハンマー使い。
見た目40くらいなんだけど、実際にはまだ32歳らしい。もじゃもじゃお髭のマッチョで、意外なことに可愛いものが好きで子供も好き。
だけど子供には好かれないという可哀想な人。
まずはそのお髭をそってみたら、って言ったんだけど「髭は俺のアイデンティティなんだ」と譲らない。
あとはちょっと怒りんぼの(しょっちゅう「てやんでい!」だとか「クソが!」とか怒鳴ってるんだけど、俺がいるときはなるべく汚い言葉は使わないようにしてるらしい。出ちゃってるんだけどね)の、ガロン。
50歳近い古参の冒険者で、剣士。
罠とかを見つけるのが上手いらしい。
お酒が大好きで、いつも赤い顔をしてる。
ご機嫌だと俺をぎゅうぎゅう抱っこしたがるので、俺はなるべく近寄らないようにしてたりする。
だって酒臭いんだもの!
だけど、新人について行ってやったり、さりげなあく人助けしたりしてる。
口は悪いけど、いい人なの。
最初の時はちょっと怖かったけど、慣れてみたら乱暴な言い方も平気。
いい人だって分かったからね。
ゲイルがギルドに来る日には、いろんな冒険者が治療して貰いにやってくる。
ヒールが使えない平民は、基本的には薬草で治療したり、ちょっと高いけどポーションで治療したりするの。
だけど、それでも治せない怪我はあるし、後遺症として残ってしまった怪我もある。
それをゲイルが治療しているんだって。
簡単な怪我なら薬。
ちょっと難しい怪我、病気の時にはヒールしてるそうな。
治療費は…なんと時価!
お金がないような新人冒険者や町の人からは、ほんの少しだけしか貰わない。
だから、行きたいけどお金が無くて病院に行けない人とかがどんどんやってくるのです。
その代わりにものすごい高額を稼ぐような高ランク冒険者からは、それなりの治療費を貰っているんだって。
このシステムだと高額を支払う人が文句をいいそうなものなんだけど、そうはならない。
高ランク冒険者には高ランクとしての役割があって、下位の冒険者の面倒をみたり助けたりするのもその1つなのだそう。
ここではうまく「助け合い」のバランスがとれているんだよね。
そんなとこも、俺がギルドを好きな理由だったりする。
でもって、ゲイルの治療に当てはまらない人は、なぜか俺に回されてたことが判明。
「最近疲れがとれなくて、夜も眠れないんです…。病気ではないというんですが、体がずっと重くて」とか
「頭痛が酷くて。薬も効かないしヒールして貰えませんか?」みたいなの。
そういう人に、ゲイルはこう言っているらしい。
「下にサフィがいるからちょっと膝にでも乗せとけ。
嫌がったらやめろよ。優しく頼むぞ」
は?なにそれ?
俺ってお人形とかそういう扱い?
どおりで最近疲れたような顔で俺を抱っこしたがる人が多いと思った!
あまりにもお疲れの人には「お疲れなんだねえ。頑張ってね!」ってなでなでしてあげたりして。
俺を抱っこしてるうちになんだか知らんけどみんな元気になって清々しい顔して帰っていくから「まあいっか」って思ってたんだけど。
大元はゲイルだった!
猛抗議したら、それにはちゃんとした理由があった。
前にルーダから言われてた「サフィがいると幸せになる」ってやつ。
その説、ここにきて俄然信憑性が高まったのである!
最初は噂だった。
俺が来た時に会った冒険者とか、俺と話をした冒険者とかがこんなことを言い出したらしい。
曰く。
「悩まされていた腰痛が良くなった」
「体が軽くなった気がする」
当然それはなんとなくの笑い話的なものだったのだが、それを聞いた冒険者も
「あれ?俺もなんだが!」
「私もそうなの!」
と言いだした。
さすがにこれは何かあるのでは、とこの件はギルド長にまで持ち込まれることに。
そこで何かいつもと違うことがなかったかと聞き取り調査をした結果…俺が浮かんだ。
何かが良くなったり、運が良くなったり、いいことがあったりした冒険者は、なんとみんな俺と会っていたのである!
他に共通点が見つからなかったので、ギルド長も「サフィが関係しているのか?」と思い、眉唾だろうがと念のためデータを取ってみることにした。
俺が居る人いない日の冒険者の怪我や病気の割合、依頼達成率などを比べてみたのだ。
すると驚くべきことが分かった。
俺が居る日の依頼達成率、大幅アップ!
怪我の割合、大幅下落!
つまりみんなものすごく精力的に依頼を受け、かつ怪我もなく無事に依頼達成しておったのでござります!
そして、そういう冒険者に聞き取りをしてみたところ。
「体の調子が凄くよかった」
「集中できて、効率よく討伐できた」
「技の威力が上がった気がする」
実際に本人だけでなく周りから見ても明らかに好調に見えたのだと言う。
そのことをゲイルに相談すると……心当たりがありまくったわけだ。
これはきっと「サフィがいるとみんな幸せ」効果じゃなかろうか、と。
そこでゲイル、治療に来た人を何人か俺のところに回してみた。
すると、特に治療したわけでもないのに、俺と居るだけで明らかに回復していく。
ゲイルは確信した。
「あ。やっぱこいつ、やらかしてるわ」と。
そんなわけで、なんだか治療が微妙な人は俺のところに回されておったわけなのです。
まあ、いいけど。
「サフィってそんなに悪人に会ったことねえだろ?」
「……ちいさいころ、すごくいじわるなじじょさんに、いやなこといわれてたよ?
あとせんせいにぼうりょくされてた」
「……ああ。そうだな」
ゲイルが思い出したのか怖い顔をした。
そして気を取り直すようにコホンと咳をして続ける。
「回復してからは、ほとんどの奴がお前に親切だったり優しかったりしないか?」
「うん。いい人がいっぱい。みんなやさしいよ」
「最初からそうだったわけじゃねえんだよ。
あのな…実は、貴族連中の中でも多少問題のあった奴まで、お前に会ってからいい奴になってんだ」
え?ゲイル、なに言っちゃってんの?
「たしかにアイクおじさまとかはさいしょ悪い人っぽかったけど。
話したらそんな悪い人じゃなかったよ?
他の反王家も、ごかいとかすれちがいとかあっただけで、みんな話せばわかる人だったでしょ」
「話して分かんねえ奴どころか、話もしねえ奴も多かったんだよ。
それがサフィと会っただけですっかり毒気が抜かれちまった」
「えええええ?!………マジですか?」
「…………マジだな」
ちょっとそれは言葉もない。
反王家って意外と気のいいおっちゃんだったじゃん、なんて思ってたよ…。元々は違ったんかい。
ポカーン、な俺にゲイルは苦笑。
ポリポリと頬を掻いた。
「まあ、俺も確信は持てなかったんだが。
実は冒険者でも、問題行動してたヤツらが急に大人しくなった」
「はあ?みんなさいしょからしんせつだったよ。
おかおか怖い人はいたけど」
「本来個人主義の乱暴者も多いんだよ、冒険者ってヤツは。そんなヤツらまで気のいい冒険者になっちまった。
つまり、サフィの能力ってえのは…」
「ってのは?」
ドキドキドキ!
「人の善性を引き出す力。
ものごとを良い方向に動かす力。
人の身体や心を癒す力。
まとめたらこんなとこだと思う」
え?なに?
ちょっと難しくてよくわかんない。
結局どういうこと?
きょとんとする俺に、ゲイルがかみ砕いて教えてくれた。
「よーするにだ!
悪い人をいい人にする力、ラッキーを呼ぶ力、病気や心を治す力、ってやつだな!」
「おおおおおお!!そ、それってすごくない?」
「スゲエんだよ…。
てか、魔法とか色々規格外だとは思ってたんだが。まさかこんなことまでしてたとはなあ…!
でもこう考えるとすべてに説明がつくんだよ」
なんか、なんか俺って思ったよりすごい。
チートが過ぎるじゃん!
ルーダの言った「サフィがいるだけで幸せになる」「平和になる」ってこういうことだったんかーい!
ウソでしょ?ある種の洗脳じゃん!
それってヤバくない?!
「もしかして、みりょうてきな?
みんなをせんのうてきな?」
無意識にぶるぶると身体を震わす俺。
ものすごい悪人は別として、悪い人にも人権はあると思う。
それなのに勝手にその人格を書き換えるみたいなことしちゃってて、いいの?!
ゲイルはそんな俺をそっと抱きしめてくれた。
そして凄く優しい目で俺の目をのぞき込むようにしてこう言ってくれる。
「いいや。ちがう。
きっと、悪い人は心のどこかが傷ついてんだよ。
それをサフィが治してくれるから、いい人になるんじゃねえのかな。
つまりそいつの心の傷を治した結果ってことだ。
気に病む必要はない」
そうかなあ。そうならいいけど。
俺を抱きしめたまま、ゲイルは独り言みたいに呟いた。
「サフィはこの世界を癒してんのかもなあ…。
どっかで壊れかけたこの世界を、サフィの明るさや優しさや元気で癒してんだよ。
……俺やみんなにしてくれたみたいに」
「……ゲイルも傷付いてたの?」
「……そうかもなあ。
医者やっててもすべての人を救えるわけじゃないからな。救えねえ命もある。
あの時もう少し早ければ、と思わなかった日はねえな…」
「いまは大丈夫?」
「ははは。もう大丈夫だ。
サフィと一緒にいると、悩んでんのが馬鹿らしくなるんだよ。
やれることを精一杯やればいいってサフィが教えてくれたんだ。
失う命より、これから救う命をみるってことだな!」
「えへへ。ゲイルはたくさんの人をたすけてるよ!
じまんのお父様だよ!」
「そうか?お前だって、沢山の人を救ってるんだぞ。
自慢の息子だ!」
でも。そうしたら俺はどうしたらいいんだろう?
そんな凄い力があったなんて。
俺、何をしたらいいの?
「………オレ、もっとなにかしたほうがいいのかなあ?」
世界行脚とか?
でも大好きなみんなと離れたくない!
そんな俺に、ゲイルはあっさりとこう言った。
「何もしなくていいだろ」
「え?だって、みんなをいやしたりできるのに?」
「そこにいるだけでいいって言ったろ?
どこにいて、何をしてたっていいんだよ。
お前は好きに生きろ。そうすれば世界は勝手に良くなっていく。
サフィは楽しく幸せに好きなことを好きなようにやっていたらいいんだ!」
「……ちょっとそれって、オレにつごうがよすぎ!」
「まあ聖女だからな!聖獣の守護まであるんだし!
ちょっとくらい都合よすぎたって仕方ねえだろ!」
ゲイルがあはははと大口を開けて笑った。
「あははは!オレにつごうのいいせかい、よきですな!」
俺もアハハと笑う。
そうだね。考えてもしょうがないもんね。
ルーダだって俺がいるだけでいいって言ってたし。
俺は好きなとこで好きなことをやっていきましょー!
でも、ちゃんと勉強とかもするし、嫌いなものだって食べれるように努力しますけれどもね!
自分で自分をあまやかさぬように!そこんとこは精進いたしまする!
俺の心を読んだかのようにゲイルが言った。
「まあ、お前が悪いことしたときには、お父様がしっかりと叱ってやるから!
だから、好きなようにしろ!」
うん。好きなようにする!!
それでいいんだよね、神さま。
みなさん、いかがお過ごしでしょうか?
俺は、順調に冒険者ロードを歩んでる、はずだよ!
最初はゲイルとお兄様とがっちりガードで城下に来ていた俺ですが。
ゲイルのおかげでギルド長の庇護下に入り、知り合いも増え、俺のサンダーボルトもそれなりに知れ渡り、まあもろもろのお陰で城下解禁となっております。
といってもひとりで勝手に来るのはダメ。
ギルドを拠点として、ゲイルが来る時に連れてきてもらって、その辺で自由行動。
帰るときには一緒に帰る感じ。
それで知り合いのいるあたりをうろちょろしているのです。
カフェもすっかり常連扱い。
とらさん獣人のカイルさんは、いつも新作だというケーキを「試食だ」と言ってふるまってくれるの。
沢山の獣人さんともお友達になれたし、幸せ!
落としたリンゴを拾ってあげた縁で知り合った、果物屋さんのおばちゃんとも仲良し。
いつも会うたびに「寄っていきな!」ってお茶をのませてくれたり、おかしをくれたりする。
お隣の八百屋のおいちゃんも仲良しなんだよ。
「サフィ!ちっこいなあ!野菜を食えよ」
っていっつも俺に何かしらの野菜を食べさせようとするのがたまに傷。
「たべてるもん!お野菜のパンとか!すっごく美味しいんだからね!」
って言ったら、作り方を教えてくれっていうので教えてあげた。
あのミカミカが作ってくれるやつ。
ペーストにして混ぜてるっていうやつね。
そしたらすっごく感謝されてしまった。
お野菜嫌いの子が多くって、なんとか食べてもらう方法はないかって考えてたんだって。
次に行った時には、なんともう八百屋さんの入り口に「サフィちゃんの野菜パン」コーナーが!
子供にも人気で「野菜嫌いの子も食べてくれる」とお母さん方に大変喜ばれてるらしい。
看板商品になったって喜んでた。
「名前を使わせてもらう代わりにサフィちゃんは食べ放題だ!」
ということで、小腹が空いたときとかちょくちょくお世話になっている。
出店のおじちゃんも顔なじみ。
失敗した切れはじとかをお口に入れてくれるのです。
他にもいろいろな顔見知りが出来て、俺が行くと
「おお!サフィちゃん、来たか!これもってけ!」
ってバナナくれたり
「サフィ!うちの嫁からサフィが来たらやってくれってクッキー持たされてんだ。持っていきな!」
とかいっていろいろなものをくれるの。
嬉しいんだけど、…もしかしてみんな、俺のこと「食べ物食べさせとけばご機嫌だ」って思ってない?
あんまり色々貰うもんだから、ゲイルが
「あんまり甘やかされてるのも教育によくねえ気がするなあ…。サフィの首に『サフィにものを与えないで下さい』って下げておくか?」
とか言い出した。俺は動物園のサルか何かですか?!
ちょっとそれはひどいとおもうの…。
冒険者の知り合いも増えてた。
まずは、最初に俺が「たのもー」した見た目チャラ男で中身はまじめな優しいお兄さんのキース。
16才ながらに既にB級の冒険者という有望株!
若いのに冒険者には一目置かれております。
面倒見がいいので、初級冒険者とかにも慕われてる。
ちょっとミカミカっぽいと密かに思っている俺。
そして、ゲイルのお友達、ギルド長。
グリズリーみたいな強面ですが、意外と優しい子供好き。
自称「ギルドのサフィ後見人」。
俺が行くと、忙しいはずなのにすぐに2階から降りてきて、俺を膝に載せてくつろぎモードになっちゃう。
それでよく受付のお姉さんのアリーによく怒られてる。
あと、お菓子大会のときに美味しいバラのお菓子を教えてくれた、綺麗な女冒険者のお姉さん。
イバラ姫こと、ナラ。
銀髪に紺色の瞳のクールな美人さんです。
モテモテなんだけどあまりにもすげない態度らしく、イバラのようだってことで通称イバラ姫で通ってる。
23歳のC級冒険者
ナラとパーティーを組んでいる小柄のショートカットのお姉さん、シオン。
茶髪に茶色の眼の元気なお姉さんで、剣士。彼女もC級冒険者。まだ15歳なんだって。
ナラの事をお姉さんみたいに慕ってる。
2人はとっても仲良しで、まるで本当の姉妹みたいなの。
猫ちゃんのドーナッツを持ってきた、お髭の冒険者ことドンク。
ドンクもC級。ハンマー使い。
見た目40くらいなんだけど、実際にはまだ32歳らしい。もじゃもじゃお髭のマッチョで、意外なことに可愛いものが好きで子供も好き。
だけど子供には好かれないという可哀想な人。
まずはそのお髭をそってみたら、って言ったんだけど「髭は俺のアイデンティティなんだ」と譲らない。
あとはちょっと怒りんぼの(しょっちゅう「てやんでい!」だとか「クソが!」とか怒鳴ってるんだけど、俺がいるときはなるべく汚い言葉は使わないようにしてるらしい。出ちゃってるんだけどね)の、ガロン。
50歳近い古参の冒険者で、剣士。
罠とかを見つけるのが上手いらしい。
お酒が大好きで、いつも赤い顔をしてる。
ご機嫌だと俺をぎゅうぎゅう抱っこしたがるので、俺はなるべく近寄らないようにしてたりする。
だって酒臭いんだもの!
だけど、新人について行ってやったり、さりげなあく人助けしたりしてる。
口は悪いけど、いい人なの。
最初の時はちょっと怖かったけど、慣れてみたら乱暴な言い方も平気。
いい人だって分かったからね。
ゲイルがギルドに来る日には、いろんな冒険者が治療して貰いにやってくる。
ヒールが使えない平民は、基本的には薬草で治療したり、ちょっと高いけどポーションで治療したりするの。
だけど、それでも治せない怪我はあるし、後遺症として残ってしまった怪我もある。
それをゲイルが治療しているんだって。
簡単な怪我なら薬。
ちょっと難しい怪我、病気の時にはヒールしてるそうな。
治療費は…なんと時価!
お金がないような新人冒険者や町の人からは、ほんの少しだけしか貰わない。
だから、行きたいけどお金が無くて病院に行けない人とかがどんどんやってくるのです。
その代わりにものすごい高額を稼ぐような高ランク冒険者からは、それなりの治療費を貰っているんだって。
このシステムだと高額を支払う人が文句をいいそうなものなんだけど、そうはならない。
高ランク冒険者には高ランクとしての役割があって、下位の冒険者の面倒をみたり助けたりするのもその1つなのだそう。
ここではうまく「助け合い」のバランスがとれているんだよね。
そんなとこも、俺がギルドを好きな理由だったりする。
でもって、ゲイルの治療に当てはまらない人は、なぜか俺に回されてたことが判明。
「最近疲れがとれなくて、夜も眠れないんです…。病気ではないというんですが、体がずっと重くて」とか
「頭痛が酷くて。薬も効かないしヒールして貰えませんか?」みたいなの。
そういう人に、ゲイルはこう言っているらしい。
「下にサフィがいるからちょっと膝にでも乗せとけ。
嫌がったらやめろよ。優しく頼むぞ」
は?なにそれ?
俺ってお人形とかそういう扱い?
どおりで最近疲れたような顔で俺を抱っこしたがる人が多いと思った!
あまりにもお疲れの人には「お疲れなんだねえ。頑張ってね!」ってなでなでしてあげたりして。
俺を抱っこしてるうちになんだか知らんけどみんな元気になって清々しい顔して帰っていくから「まあいっか」って思ってたんだけど。
大元はゲイルだった!
猛抗議したら、それにはちゃんとした理由があった。
前にルーダから言われてた「サフィがいると幸せになる」ってやつ。
その説、ここにきて俄然信憑性が高まったのである!
最初は噂だった。
俺が来た時に会った冒険者とか、俺と話をした冒険者とかがこんなことを言い出したらしい。
曰く。
「悩まされていた腰痛が良くなった」
「体が軽くなった気がする」
当然それはなんとなくの笑い話的なものだったのだが、それを聞いた冒険者も
「あれ?俺もなんだが!」
「私もそうなの!」
と言いだした。
さすがにこれは何かあるのでは、とこの件はギルド長にまで持ち込まれることに。
そこで何かいつもと違うことがなかったかと聞き取り調査をした結果…俺が浮かんだ。
何かが良くなったり、運が良くなったり、いいことがあったりした冒険者は、なんとみんな俺と会っていたのである!
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すると驚くべきことが分かった。
俺が居る日の依頼達成率、大幅アップ!
怪我の割合、大幅下落!
つまりみんなものすごく精力的に依頼を受け、かつ怪我もなく無事に依頼達成しておったのでござります!
そして、そういう冒険者に聞き取りをしてみたところ。
「体の調子が凄くよかった」
「集中できて、効率よく討伐できた」
「技の威力が上がった気がする」
実際に本人だけでなく周りから見ても明らかに好調に見えたのだと言う。
そのことをゲイルに相談すると……心当たりがありまくったわけだ。
これはきっと「サフィがいるとみんな幸せ」効果じゃなかろうか、と。
そこでゲイル、治療に来た人を何人か俺のところに回してみた。
すると、特に治療したわけでもないのに、俺と居るだけで明らかに回復していく。
ゲイルは確信した。
「あ。やっぱこいつ、やらかしてるわ」と。
そんなわけで、なんだか治療が微妙な人は俺のところに回されておったわけなのです。
まあ、いいけど。
「サフィってそんなに悪人に会ったことねえだろ?」
「……ちいさいころ、すごくいじわるなじじょさんに、いやなこといわれてたよ?
あとせんせいにぼうりょくされてた」
「……ああ。そうだな」
ゲイルが思い出したのか怖い顔をした。
そして気を取り直すようにコホンと咳をして続ける。
「回復してからは、ほとんどの奴がお前に親切だったり優しかったりしないか?」
「うん。いい人がいっぱい。みんなやさしいよ」
「最初からそうだったわけじゃねえんだよ。
あのな…実は、貴族連中の中でも多少問題のあった奴まで、お前に会ってからいい奴になってんだ」
え?ゲイル、なに言っちゃってんの?
「たしかにアイクおじさまとかはさいしょ悪い人っぽかったけど。
話したらそんな悪い人じゃなかったよ?
他の反王家も、ごかいとかすれちがいとかあっただけで、みんな話せばわかる人だったでしょ」
「話して分かんねえ奴どころか、話もしねえ奴も多かったんだよ。
それがサフィと会っただけですっかり毒気が抜かれちまった」
「えええええ?!………マジですか?」
「…………マジだな」
ちょっとそれは言葉もない。
反王家って意外と気のいいおっちゃんだったじゃん、なんて思ってたよ…。元々は違ったんかい。
ポカーン、な俺にゲイルは苦笑。
ポリポリと頬を掻いた。
「まあ、俺も確信は持てなかったんだが。
実は冒険者でも、問題行動してたヤツらが急に大人しくなった」
「はあ?みんなさいしょからしんせつだったよ。
おかおか怖い人はいたけど」
「本来個人主義の乱暴者も多いんだよ、冒険者ってヤツは。そんなヤツらまで気のいい冒険者になっちまった。
つまり、サフィの能力ってえのは…」
「ってのは?」
ドキドキドキ!
「人の善性を引き出す力。
ものごとを良い方向に動かす力。
人の身体や心を癒す力。
まとめたらこんなとこだと思う」
え?なに?
ちょっと難しくてよくわかんない。
結局どういうこと?
きょとんとする俺に、ゲイルがかみ砕いて教えてくれた。
「よーするにだ!
悪い人をいい人にする力、ラッキーを呼ぶ力、病気や心を治す力、ってやつだな!」
「おおおおおお!!そ、それってすごくない?」
「スゲエんだよ…。
てか、魔法とか色々規格外だとは思ってたんだが。まさかこんなことまでしてたとはなあ…!
でもこう考えるとすべてに説明がつくんだよ」
なんか、なんか俺って思ったよりすごい。
チートが過ぎるじゃん!
ルーダの言った「サフィがいるだけで幸せになる」「平和になる」ってこういうことだったんかーい!
ウソでしょ?ある種の洗脳じゃん!
それってヤバくない?!
「もしかして、みりょうてきな?
みんなをせんのうてきな?」
無意識にぶるぶると身体を震わす俺。
ものすごい悪人は別として、悪い人にも人権はあると思う。
それなのに勝手にその人格を書き換えるみたいなことしちゃってて、いいの?!
ゲイルはそんな俺をそっと抱きしめてくれた。
そして凄く優しい目で俺の目をのぞき込むようにしてこう言ってくれる。
「いいや。ちがう。
きっと、悪い人は心のどこかが傷ついてんだよ。
それをサフィが治してくれるから、いい人になるんじゃねえのかな。
つまりそいつの心の傷を治した結果ってことだ。
気に病む必要はない」
そうかなあ。そうならいいけど。
俺を抱きしめたまま、ゲイルは独り言みたいに呟いた。
「サフィはこの世界を癒してんのかもなあ…。
どっかで壊れかけたこの世界を、サフィの明るさや優しさや元気で癒してんだよ。
……俺やみんなにしてくれたみたいに」
「……ゲイルも傷付いてたの?」
「……そうかもなあ。
医者やっててもすべての人を救えるわけじゃないからな。救えねえ命もある。
あの時もう少し早ければ、と思わなかった日はねえな…」
「いまは大丈夫?」
「ははは。もう大丈夫だ。
サフィと一緒にいると、悩んでんのが馬鹿らしくなるんだよ。
やれることを精一杯やればいいってサフィが教えてくれたんだ。
失う命より、これから救う命をみるってことだな!」
「えへへ。ゲイルはたくさんの人をたすけてるよ!
じまんのお父様だよ!」
「そうか?お前だって、沢山の人を救ってるんだぞ。
自慢の息子だ!」
でも。そうしたら俺はどうしたらいいんだろう?
そんな凄い力があったなんて。
俺、何をしたらいいの?
「………オレ、もっとなにかしたほうがいいのかなあ?」
世界行脚とか?
でも大好きなみんなと離れたくない!
そんな俺に、ゲイルはあっさりとこう言った。
「何もしなくていいだろ」
「え?だって、みんなをいやしたりできるのに?」
「そこにいるだけでいいって言ったろ?
どこにいて、何をしてたっていいんだよ。
お前は好きに生きろ。そうすれば世界は勝手に良くなっていく。
サフィは楽しく幸せに好きなことを好きなようにやっていたらいいんだ!」
「……ちょっとそれって、オレにつごうがよすぎ!」
「まあ聖女だからな!聖獣の守護まであるんだし!
ちょっとくらい都合よすぎたって仕方ねえだろ!」
ゲイルがあはははと大口を開けて笑った。
「あははは!オレにつごうのいいせかい、よきですな!」
俺もアハハと笑う。
そうだね。考えてもしょうがないもんね。
ルーダだって俺がいるだけでいいって言ってたし。
俺は好きなとこで好きなことをやっていきましょー!
でも、ちゃんと勉強とかもするし、嫌いなものだって食べれるように努力しますけれどもね!
自分で自分をあまやかさぬように!そこんとこは精進いたしまする!
俺の心を読んだかのようにゲイルが言った。
「まあ、お前が悪いことしたときには、お父様がしっかりと叱ってやるから!
だから、好きなようにしろ!」
うん。好きなようにする!!
それでいいんだよね、神さま。
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