もう我慢なんてしません!家族からうとまれていた俺は、家を出て冒険者になります!

をち。「もう我慢なんて」書籍発売中

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俺の平凡な日常

俺、きぞくですってばあ2

実は、ゲイルと俺は貴族って言う事を隠していた。
まあ平民には基本的に魔力がないから、隠してても魔力量とか属性持ちとかでバレてたんだけども。
そこはそれ。みんな空気読めるのです。
なので公式にはバレてないことになっていた。

とはいえ、暗黙の了解として「貴族の血を引いて落とし種」説が割と優勢。
次点として下位の貴族、もしくは貴族の4男とか5男とか。
そんな風に思ってたっぽい。
俺たちも特にそこに関しては触れずに、そこに誰も突っ込まずやってきたのです。
元々冒険者って訳ありの人もいるから、身分だとか出自だとかお互いに突っ込まないのが普通なのだ。


でもね、ぶっちゃけここまでギルドに慣れた今となっては今さらです。
バレてもどうってことない。
だって俺の身分とかでみんなの態度が豹変することはないって信じてるもん。
流れの冒険者だとかが仮に誘拐だとか俺を利用だとかしても、俺ツエエもん。
現実的に無理でしょお。

だから思い切って「血のつながりあるよー」ってカミングアウトしたんだけども。


「マジかーー!!」ってなに?!
まさか、信じられなってゆーの?
この俺の溢れ出る高貴なオーラ!
みんなが可愛いって言ってくれるこのお顔を見て言ってる?
お肌だってぷるんぷるんでしょ?
みよ!このふっくらした魅惑のやわらかほっぺを!

ぷう、とほっぺを膨らませる俺。
困り顔になってしまったライリオ。

「え?冗談じゃね?」
「マジだろ。サフィでもあるまいし、あの坊ちゃんたちはそんなな下らねえ嘘つかねえよきっと」

「なんですってえ?!オレはくだらないウソつくとでも?
もお、みんなぜっこうだから!ぜったいに抱っこさせてあげないんだからね!!」

「「「ええええ?!」」」
「いや、サフィちゃんは可愛い!最高だ!高貴な空気に満ちてる!」
「そうそう!俺はさいしょっからサフィは高位貴族だろうなって思ってたぞ!」
「俺なんて天使だとおもってる!」
「俺だって大天使だと思ってるし!」
「サフィは正義だと思ってるぞおおおお!!」


「はあ?!抱っこさせてあげない、ってどういうこと?!
みなさん、私のサフィを抱っこしているんですか?!」

「いや、だって可愛いし」
「癒されるしなあ」
「抱っこするだけで能力値上がる気がすんだよなー」
「分かる分かる!サフィちゃんはギルドのエンジェル!」

「だからといって、気軽に私のサフィを抱っこしないでくれませんか?」

あ、あかん!お兄様の頭にメロンのマークが。
今こそ空気読めよ、冒険者!
この暗雲が見えないのっ?!
お兄様にしゅくせーされちゃうよっ!

「まあまあ。
君達はサフィのお友達かな?
はじめまして。俺はキース。A級冒険者をしている」

おおっと、ここで救世主キースが登場!
依頼に出てないときはたいてい顔を出してくれるのです。
冒険者の中でもキースへの信頼は別格!
困った時のティガー、困った時のキースだと思ってる。

それに、お気づきだろうか?
そう!キースは何とB級からA級冒険者にランクアップしたのだ!!
17歳で破竹の勢い!すごすぎるうううう!!
美形で気遣いができて優しくて、おまけにA級冒険者!
完璧じゃん!

今日もヤバ気な空気を感じ、さりげなくフォローにきてくれたのじゃろう。
うんうん。さすがだよね。

「あ、あのね!お兄さま、きいて!
キースはね、まだ17さいなのにもうA級なの!すごいことなんだよ!
そこらへんのおいちゃんだってまだC級なのに!
A級ぼうけんしゃって、あんまりいないのに!
それに優しくてきづかいいもできるよきお兄さんなのです!」

ふんすふんすと自慢の友だちキースを自慢する俺。
褒められたキースはといえば、ちょっと困ったみたいに微笑んだ。

「そんなに褒められると困る。たいしたもんじゃねえけどな。
まあ、なんか困った時には呼んでくれ」

よろしく、と爽やか笑顔で手を差し出すキース。
するとお兄様がギラリと目を光らせた。

「あなたがキースさんですか?
はじめまして。レオンです。
がいつもお世話になっているようですね。申し訳ない。
サフィはなのです」

その笑顔が怖い!圧がはんぱない!
しかも「私の」「私の」連呼されてる!!

これにはさすがのキースも困惑。

「あ、ああ…。確かにサフィは可愛いな。
いつも元気だし、サフィが来てからギルドが明るくなったんだ。
冒険者同士の連携も取れるようになったし。
孤児院の子どもたちも笑顔が増えた。
みんなサフィのおかげだと感謝してる」

にこ。
出ました!
幾多のお姉さま方をメロメロにしファンクラブまで作らせた伝説のすまーいる!

お兄さま、俺めっちゃ褒められてる!
大好きなサフィちゃんが褒められてるんだよ?ご機嫌になったかなー?

「そうですか。
「あなたの事はサフィから聞いています。
大変優秀な冒険者だそうですね。人望も厚いとか」

って。
目が笑っていないだと?!
しかもお怒りがマシマシになっておる。なぜ?!


「私もサフィといるととても幸せなんです。
私のサフィはみんなを幸せにしますからね。
ちょっと目を離すとどこかに行ってしまって、新たなファンを増やしている…。
全く、目が離せないんですよ。
A級冒険者のキースさん、でしたか?
これからも私のサフィをよろしくお願いしますね?」

さ…さむい。
ここは北極かなにか?
空気が心なしか薄くなってきた気がする……。
むちゃくちゃ「私の」「私の」聞こえたのは気のせいだよね?そう信じたい!

ぶるぶると震えていると、ライリオが口をパクパク。

(な・ん・と・か・し・て?)

むりいいいい!!
キースのおひさまのような微笑みですらこうなっちゃうんだよ?
無理だってええええ!

すると向こうからは冒険者が口をパクパク。

(きー・す・が・や・ら・れ・る?)

ヤバいヤバいヤバい!!


俺は決死の覚悟で声をあげた。

「お兄さま!!!」
「ん?どうしたの、サフィ?」

あまーい!!甘さ100%ボイスうううう!!

「ああああ、あのね、あのね、お兄さまだってオレの大好きでごじまんのお兄さま!
キース、あのね、お兄さまもまほうつかえるの!
火とかだせるし。剣とかも強いの!あたまもよき!しかもやさしい!!
抱っこもじょうずだし、ねるときもおせなかぽんぽんってしてくれるの!」

キースばかり褒めたせいでオコなのかもと思い、俺はお兄様を褒めて褒めて褒めまくった。

「かみだってキラキラ!
ほら!お目目だってお空みたいでしょ!みて!」

お兄様のお顔を両手でつかんでお目目をみつめ、それをぐいっとキースに向ける。

「あ、ああ。確かに綺麗な目だ」

「でしょー!」

ドヤア!
俺のお兄様ってカッコよきなの!
ね、お兄様!

とお兄様を見たらば、お怒りは収まったけれども真っ赤になってしもうた!
え?どうした?

「やりすぎだよサフィ……」

とリオ。

「いやあ、すげえ口説き文句だわアレ…。そら兄ちゃんもこうなるわ…。
兄ちゃんも苦労するなあ……」

と冒険者まで呆れたように首を振って、お兄様に同情的な眼差しを送る。

「私の苦労と心労を分かっていただけますか?」
「うんうん。分かる分かる!
あれで無意識だもんなあ…。サフィちゃん、最強だぜ……」
「ここでは俺がしっかりと守るから、まあ…がんばれ!」

おお。お兄様と冒険者の間になにか通じるものが生まれた!!

「ねえ、僕も入れてー!僕もそれなりに大変なんだよー」
「うむ。サフィは無意識に人たらしだからな…」
「たっくさんのおじさまがうちに来るんだよー」
「うむ。なかなか癖のある方々ばかりな…」

「そら大変だ!
あんたらも苦労してんだなあ……」

ライリオとも何か生まれた!

でも、でも。
嬉しくないのはなぜ?!俺、ディスられてる?


「………みんな、オレがいるとたいへん……?」

しょんぼり。
そうか。俺みんなに苦労させちゃってるんだね……。

「サ、サフィ?違うよ?
あのね、サフィが可愛すぎて大変だね、という話だからね?」
「そ、そうだよ。みいんなサフィと一緒にいたいね、って話なんだからね!」
「そうだ。サフィは皆に好かれるからな」

「………ほんと?」
「「「ホントだよ!」」」

ならいいけど。
でも。

「ぼうけんしゃのみんなは、しばらく抱っこきんしれーはつれーしますので!」
「「「「マジかーーーーーーー!!!」」」」

「あ。キースはれいがいとします」
「そうなの?ありがとうな!」
「え?どうしてキースだけ特別なの?まさか、サフィはキースが…」



お兄さま、またオコ!
もーーーー!!どうしてなのおおおおお!!!
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