もう我慢なんてしません!家族からうとまれていた俺は、家を出て冒険者になります!

をち。「もう我慢なんて」書籍発売中

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ギルド50周年記念祭りだよ!

俺の知り合い続々と来場(おっちゃんたち)

そうこうしていたら、明らかにぎっちぎちの馬車が2台。
公爵とエリアスの送迎で、おっちゃんたちご来場!


俺は急いでお迎えに行った。
孤児院関連で下心あるしね。

「ようこそです!お祭りにようこそ!」

「おう!サフィちゃん!来たぞー!」

やってきおっちゃんの姿をみて、俺は自分のおでこをパチン!
やっちまったー!
おっちゃんたち、平民服のつもりなんだろうけど、王様より酷い!明らかに上等な生地だし、上着にマントに色々装備しちゃってる!
宝石とか飾りが無ければ「平民服」だと思っておる!平服の基準がおかしいお金もちあるあるだね!って、笑えなーい!こんなことで発動しなくていいから!
そう。この会場ではこやつら、明らかに浮きまくりなのです。
招待状に「平民ぽい服で」じゃなくって、具体的にイラスト付きで図解しておくべきだった…。
まあ、キラキラ馬車で乗り付けた段階でお察しなんだけどね…。

一応みんなには「貴族も呼んだ」って言っておいたんだけど、それでも冒険者さんたちや街の人の顔には
「高位の貴族じゃん!」
「不敬とか言ってくるタイプじゃん!」
「こんなんとは聞いてねえ!」
って書いてある。
ごめんね。ちょっとたくさん市居の常識ってものを知らない人なの。
でも、今日はこの人たち、しゅくせーもふけーもしないから!
ご機嫌で過ごすはずだから!


みんなの注目の元、2台の馬車からぞろぞろと降りてきたおっちゃんたち!
馬車から降りるや否やオレをギュウっと抱っこ。

「最近はなかなか会えなかったからなあ。寂しかったぞ!」
「次は私だぞ!」
「おい、そろそろ放せ!交代だ!」

だの大人げないことこの上なし!

それを見ていたみんなの顔から怯えが消え、なにか残念なものを見る顔に。

「なんだ、レオンの仲間か…」
「サフィの被害者か」
「とりあえずサフィ与えときゃ文句ねえだろ」

とか言っちゃってる!なに俺のその「加害者」とか「餌」みたいな扱い!
でもまあ、おっちゃんたちに関しては当たらずしも遠からず。
俺がいれば問題ないから、安心しててね!
孤児院のみんなのためなら、俺は喜んで加害者にでも餌にでもなりましょー!



「はーい。みなさん、並んでくださいねー!
サフィのお祭りツアーですのでねー!」

俺はおっちゃんたちと2列に並べ、祭り会場をごあんなーい!

「ここではまもののおにくを食べれます」
「このパンはオレもいっしょにかんがえたの」

いろいろな見どころを教えながら会場を一回り。

魔物の肉って聞いておっちゃんたち。

「……これは人が食べていいものなのか?」
「いや、家畜のえさでは?」

なんて言いだして冒険者が「おいゴルァ」
ちょっと一触即発的な空気になりましたが。
俺が「おいしいよ」と口に入れて見せたら、アイクおじさまが慌てて手を出し

「サフィ!ここに出すのだ!ぺっしなさい!ぺっ!
腹を壊したらどうする?!」

と過保護な保護者よろしく手にペッてさせようとしたので収まった。
え?なぜかって?
冒険者がドン引きしたから!

「おいおい。手に吐き出させようとしたぞ?」
「サフィのためなら躊躇ちゅうちょねえな」
「こいつら、単なるサフィに過保護なじいちゃん連中じゃね?」
「ああ。レオン枠だからなあ。サフィの保護者ならちょっとくらいおかしくてもしょうがねえな」

お兄さま!おかしな保護者の代名詞にされてますよー!ちょっとこらしめてやってくださーい!


その後、うむを言わさずおっちゃんのお口に「はい」「はい!」「はい!」
お肉を突っ込んでやった。
みんな目を白黒させてたけど、俺があげたからぺってすることもできず恐る恐るもぐもぐ。
作った人にしつれーですよ!

と。ぱああああ、と顔を明るくさせた。

「…ん?………美味い…!美味いではないか!!」
「おお!なんだこの肉!先日の晩餐に出たメインよりも美味いぞ!」
「このたれの味が絶妙だ!材料はなんなのだ?教えて貰えるかね?」
「固いが、噛めば噛むほど味わい深い!なんだか力が湧くぞ!

手のひら返しの大絶賛!
そらそうよね。貴族の食事っておいしいんだけど上品なお味。
こういったガッツーん、な濃ゆい味ってあんまりないもんね。
「ザ・漢飯」が嫌いな男なんぞおらぬのじゃ!

目を見開いてふんすふんすと大興奮のおっちゃんたち。

「そちらも1つ、いや3つくれ!」
「私はあれとそれとこれと2つづつだ!」
「全部1本づつ包んで欲しい!」

ワイのワイのと、焼かれていた肉を総ざらいしおった。
これにはドンクも大笑い。

「おいおい!さっき家畜のエサとか言ってなかったかー?」
「いやはや、申し訳なかった!とても美味だ!
魔物肉に偏見を持っていた自分を恥じるばかり。
これは大変美味い!すばらしい腕をしておるな!」

おっちゃん、バツが悪そうに眉をさげて素直に頭を下げたのでした。

そして。さすが高位貴族。下位貴族を束ねるだけあって、学習能力が高い。
「ここの食べ物はとてもおいしい」「味わったことのない味」だと学ぶや否や、あちこちにさあっと消え。
数刻後、あらゆる食べ物を両手に抱えホクホク顔で戻ってきた。

「サフィ!すばらしいな!ここは!
定期的に祭りを開催してくれ!」

動向を見守っていた冒険者たちも街の人も、おっちゃんたちのあまりの変わり身の早さに爆笑。
すっかり遠慮もなくなり

「サフィちゃんには世話になってっからな!これ持って行きな!」
「これも食ってみろ!こういうの食ったことねえだろ!」

なんて色々振舞ってくれた。
俺は大声でみんなに向かって叫ぶ。

「あのねー!このひとたち、お金持ちですのでー!
エンリョなく売りつけてよきですよおおおおう!!
今のうちにふっかけておきなされー!」

「おい!その言い方は身も蓋もないぞ!」

苦笑するおっちゃんに、俺は「貴族とはそういうものでしょ」といってニヒヒ。
アイク叔父様に

「全く。サフィにはかなわんなあ!」

とおでこを優しくペチンとされたのでした。
おっちゃんたち、沢山お金を落としてくれたよ!わっほーーーい!良かったねみんな!




孤児院にも勿論案内した。
てゆーか、こっちが俺的にはメインだから!

上手くいくとは思ってるけど、それでもちょっとドキドキ。
カフェにもよらず、一目散に奥のおチビちゃんのところにゴー!

「みんなー!この人たちはね、オレがお世話になってる人たちなの。
とってもやさしいおじさんたちなのです!
ごあいさつできるひとー!」

俺の声に、おちびちゃんたちがわらわらわら。

「おじさん!さふぃのおともだち?」
「だっこして!だっこして!!」

ちょっと驚いたおっちゃんたちも、かわいい歓迎にふにゃりと頬をゆるませる。



「おうおう。良いぞ。さあ、来い!」
「おじちゃん、このおようふく、つるつる。きもちいいね」

可愛いアンリがおっちゃんのお膝に乗り込んで胸もとにすりすり。
うっとりと気持ちよさそうに抱っこして貰ってる。



「あのね、ぼくね。じゅーすあじみしたの。おいしいのできた」

コールが小さなおててを伸ばしておっちゃんの手を取る。

「そ、そうなのか?それはよかった」

しゃがんで目線を合わせるちょい貴族にしては強面のおっちゃん。
強面なのに全く気にしない(冒険者で慣れてるからね)コールに、おっちゃんデレデレ。


あっちこっちでおっちゃんたちがかわいいチビッ子を膝にのせ、背中に乗せ、手を引かれ…。
孫とおじいちゃんみたいな光景が繰り広げられている。

これこれ!これなのよ!
見て!あの子供たちの幸せそうな甘えっぷり!
おっちゃんたち沢山いるから、1人1おじちゃんいるもんね!ビバ!ひとり1オジ!
みいんなお膝に載せて貰ったり抱っこして貰ったりなでなでして貰って嬉しそう。
おっちゃんたちも、なんの含みもない笑顔を向けられ、ちょっと撫でるだけで幸せそうにする子供たちにふにゃふにゃになって言うなり。
わかるわかるー!みんなとっても素直なよいこ!
ふにふにほほっぺ、癒されるでしょ?!
小さなおてて、ぐうかわだよね!!


俺はおっちゃんたちを残してそおっと外にでた。
おっちゃんたち、しばらくそこで癒されててね。



外に出たら、ゲイルがニヤニヤしながら覗いてた。

「サフィ。これを狙ってたんだろ?」
「えへへ。子どももおっちゃんも両方幸せ。よきよき。
子どもにはスキンシップがだいじだもんね!」

俺もゲイルにぎゅうってして甘えた。
ふわあー、と体の奥底から幸せが湧き上がってくる。
これこれ!この幸せを味わって欲しいの子供たちにもおっちゃんたちにも!
無条件の信頼ってやつなのよ!

俺も嬉しくなってにへにへしてたら、たまたまこっちを見たアイクおじさまと目があった。
おじさま、きゅうっと目を細めてニヤリ。

「私たちを嵌めたな?」

俺は満面の笑みでお返事。

「うん!結果よけれ全て良き、でしょ?
オレにくれるあいじょう、子どもたちにもあげて!」


そしたら叔父様、抱っこした子のほっぺにすりすりしながら無言で親指立ててきた。

ふは!
うんうん。幸せでしょ?
抱っこされてる子どもも幸せそうだよ、叔父様!
良かった良かった。

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