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不穏な影
転校生
後から思い返すと、こんな平和な毎日がおかしかったのかもしれない。
たしかに俺は最強だ。聖女だし(ヒミツでけど)、魔法の能力だってピカイチ!権力も後ろ盾も凄いことになっている。この国で俺に手出しする貴族はいないだろう。
平民で何も知らない人には、たまに絡まれるけど、そっちはギルドの後ろ盾や俺のツエエでなんとかなる。
だから。
俺もみんなも油断していたのだ。
レインボーが分かった日にはあんなに警戒していたのに。
屋敷から出ず、結界を貼りゲートで行き来するほど厳重体制を築いていたのに。
平和なら毎日に平和ボケしてしまった。
その日、俺のクラスに1週間遅れの転校生が来た。
豪奢なオレンジ色の髪を波うたせ、瞳は金色のタイガーズアイ。覇者のオーラに溢れた様子はまるで獅子のよう。
「はじめまして。私はナージャ・ベルクリフト。アッシュハルト帝国から留学してきた。仲良くしてくれると嬉しいな?」
教室に入って来たときから俺にロックオン!
仲良く、と言いながら俺だけに向かって微笑んだ。
ひ、ひいい!何このひと!なんか変!
むちゃくちゃ俺を見てくる!
「じゃあ、みんな。授業までまだ時間がある。ナージャと仲良くしてやってくれ!」
先生はサクッとナージャを置いて出て行ってしまった。
ひい!ナージャ、まだ俺を見てる!
ビビり散らしていたら、ナージャはスタスタと俺の横に。
すかさずリースくんが俺を庇って前に。リースくん!カッコいい!
「サフィに何か用でも?」
するとナージャはリースくんを綺麗に無視。スッと膝を折り俺の手を取って手の甲にチュウをしてきた。
「ぎゃあ!」
俺は慌てて手をブンブン振る。
き、気持ち悪いっ!!
「名前を聞いてもいいか?」
教室中が固唾を呑んで見守る中、俺は答えた。
「名前はさっきリースくんが呼んでました!」
「君の口から聞きたいんだ。教えて?」
「イヤです!」
キッパリとお断りして、慌てて手を取り返す。
しかしナージャはしつこかった。
「この国の者は、留学生に対してとてもつれないんだな……。残念だ」
くそう!コイツ嫌いっ!
「サフィラス!サフィって呼ばないでね。仲良くないので。サフィラスって呼んでくださいませ」
「よろしく、サフィ」
「サフィって言わないで!よろしくしません!」
俺のあからさまな塩対応にみんなドン引きだけど、知らん!
会ったばかりだけど、ナージャはダメ。背中がビリビリしてる。コイツは敵だって。
オコな俺の背をぽんぽんと宥め、今度はミルくんが俺とナージャの間に割り込んだ。
氷点下の視線をナージャくんに向け、毒舌炸裂!
「帝国では嫌がる子に無理やり迫るような教育をしているの?これはマナー違反なんじゃない?
悪いけど、仲良しって無理になるものじゃないでしょ?サフィはかわいいから一目惚れしちゃったのかな?でももう少し考えて行動したら?嫌われたく無いでしょ」
ミルくん!なんて頼りになるの!
でもミルくんに叱責されてもナージャは堪えていないようだった。心底不思議そうな表情で首を捻る。
「?だって考えている間に奪われたら困るだろう?」
あ。こいつ話が通じない人だ。
きっと王族。みんなが自分に従うのが当たり前だと思ってる。
俺は心底ムカついた。
ナージャに対峙すると、すうー、と息を吸った。
「困るのはナージャだけでしょ。俺はぜんぜんこまりませんし?そもそも、奪われるってなに?ナージャのものじゃないよね?人をモノみたいに言う人、キライ。仲良くしたくありません!だから近寄らないでくださいませね。
それでもしつこかったら、変態さんって認定するから!ヤバい人決定だから!
あと、俺のお友達にも嫌なことしたらダメだからね!
俺ツエエですので!悪い人にはお仕置きしますのでね?」
ふう!言ってやったぜ!
俺だって言う時には言うんだからね!
フンスと胸を張れば、教室から拍手がおきた。
「凄いよサフィ!やればできるんだね!」
「サフィ、えらいぞ!よく言った!」
こんなアウェイな状況でもナージャはめげなかった。
「何か誤解してないか?
あのね、私が手に入れたいと思って手に入らなかったものは無いんだ。その代わり、私は自分のものは大切にする。サフィのことも可愛がって欲しいものを全て与えて幸せにするぞ?」
どんだけ皆に傅かれ崇められてきたの?自己肯定感の固まりすぎ!
「会ってすぐに分かった。君は特別な子だ」
は?なんて言った?
「特別ってなに?」
ナージャは当たり前のことのように禁断の言葉を口にした。
「だって君、聖女だろ」
「「「「はあああああ⁈」」」」
「このおバカっ‼︎なんで知ってるの⁈なんで言っちゃうのおおお!」
パッチーン!
ナージャの頬に俺のビンタが炸裂!
ナージャは言葉もなくそれをまともに受け、驚愕の表情で倒れ、気を失ってしまった。
や、やっちまったーーー!
どどどどうしよう?
とりあえず
「ひ、ひーる!ミニ!」
ピッカーン。
頬の腫れがみるみる消えていく。
よいしょ、とナージャの身体を起こして椅子に座らせた。
「ナ、ナージャ?」
「う……うーん……。あれ?私は……」
「俺がパッチーンしたらばたんきゅうしたの。
ごめんね。ナージャ、弱々なのにパッチーンして。
あれくらいで倒れちゃうなんて思わなかったの」
誠意を持って謝罪したが、ナージャはどんどん項垂れていく。
「大丈夫?
あのね、仲良くしないって言ったけど仲良くしてもいいよ。怖い人かと思ったけど、いばりんぼなだけの弱い子だったし。弱いものいじめは良くないもんね!
ナージャは弱すぎるから、もっと身体を鍛えるべきだと思う。頑張ろ?」
「サフィ、やめてあげな?もうナージャ、瀕死だから」
「俺、あんなんサフィに言われたら立ち直れねえわ……」
「屈辱よねえ」
「う、うるさい!私は普通だ!
君たちのように暴力的でないだけだ!」
「うんうん。そうだね。普通だよねー」
「憐れみの目で見るのをやめろ!無礼だぞ!」
「憐れんでなんてないよー。大丈夫大丈夫」
優しくしてあげたのに、なぜかナージャは怒って出て行ってしまった。
変な子だよね。
たしかに俺は最強だ。聖女だし(ヒミツでけど)、魔法の能力だってピカイチ!権力も後ろ盾も凄いことになっている。この国で俺に手出しする貴族はいないだろう。
平民で何も知らない人には、たまに絡まれるけど、そっちはギルドの後ろ盾や俺のツエエでなんとかなる。
だから。
俺もみんなも油断していたのだ。
レインボーが分かった日にはあんなに警戒していたのに。
屋敷から出ず、結界を貼りゲートで行き来するほど厳重体制を築いていたのに。
平和なら毎日に平和ボケしてしまった。
その日、俺のクラスに1週間遅れの転校生が来た。
豪奢なオレンジ色の髪を波うたせ、瞳は金色のタイガーズアイ。覇者のオーラに溢れた様子はまるで獅子のよう。
「はじめまして。私はナージャ・ベルクリフト。アッシュハルト帝国から留学してきた。仲良くしてくれると嬉しいな?」
教室に入って来たときから俺にロックオン!
仲良く、と言いながら俺だけに向かって微笑んだ。
ひ、ひいい!何このひと!なんか変!
むちゃくちゃ俺を見てくる!
「じゃあ、みんな。授業までまだ時間がある。ナージャと仲良くしてやってくれ!」
先生はサクッとナージャを置いて出て行ってしまった。
ひい!ナージャ、まだ俺を見てる!
ビビり散らしていたら、ナージャはスタスタと俺の横に。
すかさずリースくんが俺を庇って前に。リースくん!カッコいい!
「サフィに何か用でも?」
するとナージャはリースくんを綺麗に無視。スッと膝を折り俺の手を取って手の甲にチュウをしてきた。
「ぎゃあ!」
俺は慌てて手をブンブン振る。
き、気持ち悪いっ!!
「名前を聞いてもいいか?」
教室中が固唾を呑んで見守る中、俺は答えた。
「名前はさっきリースくんが呼んでました!」
「君の口から聞きたいんだ。教えて?」
「イヤです!」
キッパリとお断りして、慌てて手を取り返す。
しかしナージャはしつこかった。
「この国の者は、留学生に対してとてもつれないんだな……。残念だ」
くそう!コイツ嫌いっ!
「サフィラス!サフィって呼ばないでね。仲良くないので。サフィラスって呼んでくださいませ」
「よろしく、サフィ」
「サフィって言わないで!よろしくしません!」
俺のあからさまな塩対応にみんなドン引きだけど、知らん!
会ったばかりだけど、ナージャはダメ。背中がビリビリしてる。コイツは敵だって。
オコな俺の背をぽんぽんと宥め、今度はミルくんが俺とナージャの間に割り込んだ。
氷点下の視線をナージャくんに向け、毒舌炸裂!
「帝国では嫌がる子に無理やり迫るような教育をしているの?これはマナー違反なんじゃない?
悪いけど、仲良しって無理になるものじゃないでしょ?サフィはかわいいから一目惚れしちゃったのかな?でももう少し考えて行動したら?嫌われたく無いでしょ」
ミルくん!なんて頼りになるの!
でもミルくんに叱責されてもナージャは堪えていないようだった。心底不思議そうな表情で首を捻る。
「?だって考えている間に奪われたら困るだろう?」
あ。こいつ話が通じない人だ。
きっと王族。みんなが自分に従うのが当たり前だと思ってる。
俺は心底ムカついた。
ナージャに対峙すると、すうー、と息を吸った。
「困るのはナージャだけでしょ。俺はぜんぜんこまりませんし?そもそも、奪われるってなに?ナージャのものじゃないよね?人をモノみたいに言う人、キライ。仲良くしたくありません!だから近寄らないでくださいませね。
それでもしつこかったら、変態さんって認定するから!ヤバい人決定だから!
あと、俺のお友達にも嫌なことしたらダメだからね!
俺ツエエですので!悪い人にはお仕置きしますのでね?」
ふう!言ってやったぜ!
俺だって言う時には言うんだからね!
フンスと胸を張れば、教室から拍手がおきた。
「凄いよサフィ!やればできるんだね!」
「サフィ、えらいぞ!よく言った!」
こんなアウェイな状況でもナージャはめげなかった。
「何か誤解してないか?
あのね、私が手に入れたいと思って手に入らなかったものは無いんだ。その代わり、私は自分のものは大切にする。サフィのことも可愛がって欲しいものを全て与えて幸せにするぞ?」
どんだけ皆に傅かれ崇められてきたの?自己肯定感の固まりすぎ!
「会ってすぐに分かった。君は特別な子だ」
は?なんて言った?
「特別ってなに?」
ナージャは当たり前のことのように禁断の言葉を口にした。
「だって君、聖女だろ」
「「「「はあああああ⁈」」」」
「このおバカっ‼︎なんで知ってるの⁈なんで言っちゃうのおおお!」
パッチーン!
ナージャの頬に俺のビンタが炸裂!
ナージャは言葉もなくそれをまともに受け、驚愕の表情で倒れ、気を失ってしまった。
や、やっちまったーーー!
どどどどうしよう?
とりあえず
「ひ、ひーる!ミニ!」
ピッカーン。
頬の腫れがみるみる消えていく。
よいしょ、とナージャの身体を起こして椅子に座らせた。
「ナ、ナージャ?」
「う……うーん……。あれ?私は……」
「俺がパッチーンしたらばたんきゅうしたの。
ごめんね。ナージャ、弱々なのにパッチーンして。
あれくらいで倒れちゃうなんて思わなかったの」
誠意を持って謝罪したが、ナージャはどんどん項垂れていく。
「大丈夫?
あのね、仲良くしないって言ったけど仲良くしてもいいよ。怖い人かと思ったけど、いばりんぼなだけの弱い子だったし。弱いものいじめは良くないもんね!
ナージャは弱すぎるから、もっと身体を鍛えるべきだと思う。頑張ろ?」
「サフィ、やめてあげな?もうナージャ、瀕死だから」
「俺、あんなんサフィに言われたら立ち直れねえわ……」
「屈辱よねえ」
「う、うるさい!私は普通だ!
君たちのように暴力的でないだけだ!」
「うんうん。そうだね。普通だよねー」
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「憐れんでなんてないよー。大丈夫大丈夫」
優しくしてあげたのに、なぜかナージャは怒って出て行ってしまった。
変な子だよね。
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