もう我慢なんてしません!家族からうとまれていた俺は、家を出て冒険者になります!

をち。「もう我慢なんて」書籍発売中

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いざ帝国!

船長と船員さんいわく

というわけで。フィガロ船長以下、帝国海軍を丸ッと味方にしてしまいましょー!
とりあえず、お兄様のお部屋だからというので、ミカミカが船長を呼びに行ってくれた。
俺が行っても良かったんだけどみんなに「サフィは大人しくしてろ」って言われたの。
なにそれ人を問題児みたいにさあ!ぶうぶう!

せめて出迎えは言い出しっぺの俺がと、ドアの陰で待機。

「戻ったぞー。フィガロ船長、どうぞおはいりください」
「あ、ああ。私に御用だと伺いましたがどのような……うわあ!」

ドアを開けてすぐ前にいた俺に、船長は腰を抜かすほど驚いた。
まるでドアの陰に俺が隠れてて「バア!」って船長を驚かしたみたいになってしもうた。

「サフィ……」

みんなから非難のまなざしが飛んでくるが、違うんだってばあ!礼儀正しくしようと思っただけなの!

「ごめんなさい船長。お出迎えしたかっただけなの」
「い、いや、こっちこそすまん。サフィがいるとは思ってなくてな」

優しく許してくれたんだけど、でも船長、相当驚いたみたいでまだ胸のところを押さえてる。
心臓とか大丈夫かなあ?

船長の身体に両手でピトっとくっついて船長の胸のところに耳をくっつけてみた。

「な、なにしてるんだ?」
「しーっ」

ドドドドドドドドド ドドドドドドド

船長の胸が早鐘を打っている。これは大変!心臓麻痺とかかもししれん!

「ゲイル!船長死にそう!!」
「はぁ?ピンピンしてるぞ?」
「船長の心臓、ドドドドドって!」

半泣きで船長にしがみつく俺に、ゲイルがガクリと崩れ落ちた。

「サフィ………そりゃ驚いたら鼓動くらい早くなる。心臓に問題はねえよ」

「そうだよ?だから、早く離れようね?」

お兄様がこめかみをマスクメロンにしながら俺を船長から引きはがす。
ギロリ、となぜか船長を睨むお兄様に、船長は両手をあげて降参のポーズ。

「いや、俺はどっちかってえと被害者じゃねえか?悪くねえと思うんだが……」

ゲイルがぽん、と船長の肩を叩いた。

「俺の息子と、拗らせた王子がスマン」
「お兄様、なにかを拗らせてるの?痛い?お腹?撫でてあげようか?ヒールする?」

お兄様のお腹を見つめながら心配すると、お兄様はちょっと赤くなった。

「拗らせてはいないから心配しないで?あとね、簡単に人のお腹を撫でてあげるとか口にしないようにね?」

すると船長が一言。

「拗らせてんなあ……」
「やっぱりお兄様こじってる!って、こじるってなに?痛いの?痛くないの?」

ゲイルが医師の観点から神妙な顔で教えてくれた。

「痛みはない。だが別の意味でイタイ」
「痛いの?痛くないの?どっちなのよ!」
「痛くないっていっているよね?サフィ、私は大丈夫だから!」




この後もいろいろ大変だったのだが、まあそこは端折らせていただく。
とにもかくにも、落ち着いたので船長にはお話をさせて頂きましょう!

「こほん。船長さんを呼んだのはですね、俺からお話があるからなのです」

「うーん。それって拒否していいか?」

なぬ!

「殿下の部屋に王国の全員が集まっていること。何かを相談していたことから、俺は聞かないほうがいいと判断した。聞いてしまえば面倒なことになる気がする。したがって、船の運航に関すること以外の相談ならば拒否だ」

なんと!取り付く島もないとはこのことですね!
だが俺はくじけない。

「検討に検討を重ねた結果、拒否を却下します!」
「却下を却下させて頂こう!って、検討重ねてないよな?」
「船長を呼ぶ前に検討を重ねたしょぞん」
「勝手に俺を組み込まないで頂けますかねえ?」

そこで船長と仲良しになっていたゲイルが参戦。

「まあまあ。フィガロ。実際、これはそっちにとっても悪い話じゃねえぞ?ってよりも、勝ち馬に乗らねえ手はねえんじゃねえかな」
「…………言いくるめる気だろう。舐めんなよ、俺だってそれなりに場数は踏んでんだぜ?聞いちまったら終わりだってのは分かるんだよ。却下だ。その口ぶりだと、俺一人の問題でもなさそうだからな」
「確かに、フィガロだけの問題じゃねえな。帝国の未来をどうするかって話だからな」

船長の顔色が変わった。

「まさか、戦でも仕掛けるつもりか?」
「ははは!やるならとっくにやってるっての!……帝国が勝てるとは思ってねえだろ?」
「…………」

ギラリと目を光らせ悔し気に歯をギリリと噛みしめる船長。
そんな船長を、ゲイルはさらに煽った。

「お前……このままでいいと思ってんのか?思ってるなら、話はここで終わりだ」

両方の手のひらを上に向けてお手上げのポーズをとるゲイル。
けっこう踏み込んだね。ゲイル。でも確かにゲイルの言う通り。これで食い下がらないようなら、話をしても無駄だもん。
だけどね、俺は信じてる。船長はそんな人じゃないよね?



しばらく苦い顔をしていた船長は、おもむろに髪をくしゃくしゃと掻き上げた。

「そんな言い方されて『そうだな』なんて言える分けねえだろうが!ちきしょう!ゲイル、なんとしても俺らを巻き込むつもりだろ!分かった!降参だ!話を聞こう」

皆が集まるテーブルにつかつかと歩み寄り、空いていた椅子にどかりと腰を下ろしたその顔は、どこかスッキリとしているようにみえる。

「よし!えらいぞフィガロ!俺の友人枠に加えてやる」
「なんだよそりゃ!……俺はもうとっくに友人だと思っていたんだがな?」
「図々しい奴め!俺もだっての!」

うん。ゲイルがしっかりと誑し込んでいてくれたおかげかもしれない。
俺のお父様、人たらしがすぎるよね!すき!








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