もう我慢なんてしません!家族からうとまれていた俺は、家を出て冒険者になります!

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聖女を救え!

キースと聖女様

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俺の無言の問いかけに、キースが困ったように笑った。

「昔……故郷にいたころ、たまたま聖女様がいらしていてね。お会いしたことがあるんだ。もしや、と思ってはいたんだが」

聖女様は懐かしそうに目を細めた。

「うふふ。だから言ったでしょう?『あなたは大丈夫』だって。家族を見つけたのね」
「はい。覚えています。『思うようにしなさい。大丈夫、あなたはきっとあなたの家族を見つけるわ』……どういう意味かと思っておりましたが……。サフィが俺を家族にしてくれたとき、初めてあなたのおっしゃっいていた意味が分かりました」

そういうことか、と俺は胸を張った。

「うん。同じお家で、毎日一緒に生活して一緒に笑って、辛いときには側にいる。それって家族でしょ?血のつながりはなくても、ゲイルと俺は親子だし、キースと俺は家族なんです」

きゅ、とキースの手を握れば、キースが幸せそうに目を細めて俺の手を握り返してくれる。

「ナージャのお母様、安心して。キースは幸せにしますのでね!」

にこにこしてたら、目の端にリオが寂しそうに俯いたのが見えた。
昔、俺はリオのこと、公爵たちのことを家族じゃないって言ったけど。あれから6年。ずっと一緒にいてくれた。困ったときには力を貸してくれた。一緒に泣いて笑って過ごしてきた。

「あとね、そこのリオも一緒のおうちじゃないけど、家族なの。俺たちはみんな心で繋がっているのです」

とたん、目を見開き泣きそうにくしゃりと顔をゆがめるリオ。そのまま手で顔を覆ってしまった。
おいでって呼んだら、顔を隠したままたどたどしい足取りでやってくる。
そんなリオもキースと一緒にぎゅうっ!

こんな時に、なんだけど。
こんなきっかけがあったから言えた。

「家族じゃない」って、その時の俺はそう思っていたけれど。それだけのことはされたんだけど。
その後ずっとリオたちは俺を「大切な家族」として大事にしてくれた。何よりも俺のためにと動いてくれた。
家族だと思っているよって、その行動で、態度で示し続けてくれた。
俺がキースを家族って言っても、ちょっと寂しそうに笑って……。
血のつながりで、リオたちを家族って言ってるわけじゃない。その行動で、気持ちで俺の頑なな心を溶かしてくれたから。
だから、俺は言えるようになったんだよ。

「リオもね、今はちゃんと家族だって思ってるよ」

リオがぎゅうっと俺に抱き着いてきた。

「僕も、僕だって、サフィは家族だって思ってる。ずっと、ずっとそう思ってるよ!」

涙声のリオの背をぽんぽんと叩いて宥めてやる。ほんとは俺だって。何年も前から思ってたよ。言えなかっただけ。聖女様がいるからかな。今なら言える気がしたんだ。
言えてよかった。



すると聖女様の穏やかで優しい声がした。

「素敵なご家族なのですね。サフィ、キースもその中に入れてくれてありがとう。私の力は癒しと浄化。だけど、ほんの少しだけ、未来が見えることがあるのです。以前見たキースの未来にはあなた方がいたわ。キースはきちんと自分で未来を掴んだのね」

「サフィが掴んでくれたんです」

キースが笑った。

「はい!掴みました!迷子の冒険者がおりましたのでね!」
「言い方!」

みんなで笑いあって、少しだけ空気がやわらかくなったところで。




そろそろ本題にまいりましょう。

「あのね、聖女様。聖女様のお身体がどうなっているのか、ゲイルに診せてください。俺とゲイルは最強のヒールが使えるんです。ゲイルはお医者さんでもあります。帝国に文化交流に来たというのはうそです。一応交流もしますけれども、ほんとは、ナージャのお母様に元気になってもらうために来たの。聖女様の未来も掴みましょう!」


聖女様の手をそっと握ってお願いする。
するとナージャも聖女様に抱き着いた。

「お母様、お願いです。私の友人を信じてください!お母様を治療するために海を越えてきてくれたのです。お願いします!」

キースも頭を下げてくれた。

「私からもお願いいたします。ゲイルもサフィも信頼に足ると私が保証いたします」
「ゲイル叔父さまとサフィは本当にすごいんです!王国一の力を持っております!どうか信じてください!」

リオも必死で頭を下げてくれる。

「聖女様。他国の、しかも会ったばかりの俺たちを信頼してって難しいかもだけど。
ナージャの友としての俺たちを信じて欲しい。キースの家族としての俺たちを信じて欲しい。
あなたを、ナージャを助けさせてください!」
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