もう我慢なんてしません!家族からうとまれていた俺は、家を出て冒険者になります!

をち。「もう我慢なんて」書籍発売中

文字の大きさ
242 / 538
ただいまーの学園生活

お兄様が甘ーい

帰ってから、変わったことがある。
てゆーか、旅の時から気づいてた。

お兄様が…お兄様が、あまーい!あまあまなのです!
前に告白みたいなことはあったけど、時々ドキドキするようなことを言ったりしたりしてもいつもは優しいお兄様のままだった。
だから俺はある意味安心しちゃってた。
好きになるのを待つ、って言ってくれたし、まだこのままで大丈夫だって。
なのになんか…俺を見る目が甘いの!甘すぎるんだよおおお!

帝国で婚約者のふりをしたからか、まだ婚約者扱いのまんまなの。クセになったとか?

前世でも恋人とかいなかったし、そういう扱いされたことなかったから、むちゃくちゃソワソワしてしまう。それで俺が挙動不審な感じになればなったでお兄様はなぜか「嬉しい」というのですよ。意味がわかんない!
オルウエイズ甘すぎて、胸焼けしそうなのだ。

王城でも、お久しぶりのハルトおじさま、おかあさまがすぐに気付いた。

「レオン。サフィちゃんの嫌がることはしちゃあダメよ?」

「きちんと婚約するまでは保護者の意向を汲むようにな?」

うーん。嫌…というわけじゃない。
ただなんだか落ち着かないだけなのです。
いつものお兄様がよきなのにいっ!

魔法でなんとかなるかとお兄様の手をぎゅっとして、目を見つめながら

「元に戻ってくださいませー」

と念じてみたら、

「?」

と首を傾げ、何故か顔を近づけて来た!

「ち、ちかいちかいちかい!それ以上近づいたら、ちゅーしちゃうでしょうが!」

慌てて手を放してお口を抑えたら不思議そうに

「違うの?」

ときた!
どうしちゃったのお兄様!

そしたら、ゲイルか俺を手招き。

「?どうしたの、ゲイル?」

「あー…言わないつもりだったんだが…伝えておく」

しぶしぶ耳打ちされたのは……、

「なあああああ!
酔っ払った俺が抱っこしてと迫ったあげく、お口にちゅーしたですとおおおお⁈
う、う、う、うそでしょお!!」

「な、なんだと!いつのまにそこまで!」
「あらあらあらあら!まあまあまあまあ!」

おかあさま、何故にウキウキわくわくしていらっしゃる!あなたの息子が俺に襲われたのですぞ⁈

真っ青になった俺はお兄様の前にズザザとスライディング土下座!

「も、もーしわけございませんでしたーーっ!!!」

された方のお兄様はといえばきょとん。

「え?どうしたの?」

「ファーストキスを奪ってしまいもうした!すみませぬ!この責任は……「ちょっとまてええい!!」

言いかけたところをすっ飛んできたゲイルに口を塞がれる。

「さ、サフィちゃん⁈不用意な発言はヤメロとあれほど言っただろ?考えてから発言しような⁈」

チッとお兄様とおかあさまから舌打ちが聞こえた気がするけど、気のせいだよね?

「えと……」

考えてからというので考えてみた。
やはり、王子様の初めてを無理やり奪ってしまったからには、責任を取らねばなるまい。

「この責任は俺が「だからヤメロって!!何を言うつもりなんだ?早まるな!コイツに言質を取られたら終わりだぞ⁈
安心しろ!レオンだってどうせあれが初めてじゃねえよ!だよな、レオン」

え?まさか!
……確かにお兄様ももう成人なされておる。
俺の知らないところであんなことやこんなことも……

想像してみたら、なぜか胸がギュウっとした。
ズキンズキンと痛みのようなものを感じてきゅっと胸を抑える。

「?どうした、サフィ。どこが痛いのか?」

「痛い…みたいな気がする…。お兄様が誰かとちゅーしたのかなって思ったら、なんかギュウってしたの」

「あらあら!まあまあまあ!」

「お前、それは……」

ゲイルが渋ーいお顔。ヤバい病気とか?
念のためヒールしとこ。

「ヒール」

あれ?
ヒールしてもまだなんか変な気がする。
むー。

「……ヒール効かないみたい。ゲイル、お腹すかすやつやってみて。お腹かもしれない」

ちょっと怖くてドキドキしながら頼めば、ゲイルが複雑ない表情で首を振った。

「うーん。まさかそれ、医者でも治せないって例のやつ…か?くそう…認めたくねえ…」

すると何故かお兄様が満面の笑みで「私なら治せるかも」などと言い出した。

「やってみていいかな?」というので念のためお願いしたら、向かい合わせにお膝に乗せられて、そのままギュウって抱っこされた。

「あらあら!まあまあまあ!」

おかあさま、さっきから「あらあらまあまあ」しか言ってない。どうしちゃったの?

「これ、抱っこですが?」
「ふふふ。しばらくこうしていたら治ると思うよ?試してみて?」

うーん。ほんとか?
赤ちゃんみたいなお膝の向かい合わせ抱っこはちょっと恥ずかしい。

赤くなりそうなお顔をお兄様のお胸にぎゅっと押しつけることで隠した。
ドキドキドキドキ。
早めのお兄様の鼓動が伝わる。
あれ?お兄様、緊張してる?自分で抱っこしてきたくせに、変なの!

「……どう?まだ痛い?」

え?何もしてないのに治るわけ……ん?…あれ?

「え⁈痛くない?治ったみたい。
お兄様、なんの魔法使ったの?ヒール?
お兄様、ヒール使えた?」

首を傾げる俺に、お兄様は優しく目を細めた。

「魔法ではないんだけどね。ふふふ。
サフィが自分で気付くまではナイショ。早く気付いてね?」

「?わかった」

なんだかわからないけど、お兄様が治してくれた。
そしてあれがお兄様の初めてじゃなかった。
なんと、俺が小さい時に「かわいいなあ!」って思わず俺にちゅーしてしまったらしい。
奪われてたの、俺でした!良かったあ!

「責任は取るからね?」

「いや、大丈夫です!お互いさまってことでね!よきよき」

にへっと笑えば、お兄様が苦笑。

「喜んで責任を取るつもりなんだけどね」




「あらあら!まあまあまあ!」









感想 892

あなたにおすすめの小説

結婚式の翌朝、夫に「皇太子の愛人だろう」と捨てられました――ですが私は、亡き国王の娘です

柴田はつみ
恋愛
母の遺した薬草店を守りながら、慎ましく暮らしていたアンリ。 そんな彼女に求婚してきたのは、国内でも名高い騎士にして公爵家当主、アルファだった。 真っすぐな想いを向けられ、彼を信じて結婚したアンリ。 けれど幸せなはずの結婚式の翌朝、夫は冷たく言い放つ。 「君を愛していると本気で思っていたのかい? 」 彼はアンリが第一皇太子と深い仲にあり、自分との結婚は身を隠すための偽装だと誤解していたのだ。 アンリは実は、亡き国王の婚外子。 皇太子にとっては、隠して守らなければならない妹だったのである。

何もしなかっただけです

希臘楽園
ファンタジー
公爵令嬢であり王太子の婚約者であった私は、「地味だ」という理由で婚約を破棄され、王宮を去った。 それまで私が担っていた役目を、誰も知らないまま。 ――ただ何もしなくなっただけで、すべては静かに崩れていく。 AIに書かせてみた第14弾は、「追放ざまぁ」系の短編。

あなたの愛したご令嬢は俺なんです

久野字
BL
「愛しい令息と結ばれたい。お前の家を金銭援助するからなんとかしろ」 没落寸前の家を救うため、強制的な契約を結ばれたアディル。一年限りで自分の体が令嬢に変わる秘薬を飲まされた彼は、無事に令息と思いを通じ合わせることに成功するが……

「お前がいると息が詰まる」と追放された令嬢——翌週から公爵家の予定が全て狂った

歩人
ファンタジー
クラリッサは公爵家の日程管理を一手に担う令嬢。前世の社畜経験を活かし、行事計画、来客対応、予算管理まで完璧にこなしていた。 だが婚約者ヴィクトルは言った。「お前がいると息が詰まる。もっと華やかな女がいい」 追放されたクラリッサが去った翌週、公爵家の予定が全て狂い始める。 舞踏会の招待状は届かず、外交晩餐会の料理は手配されず、決算書類は行方不明。 一方クラリッサは、若き領主の元で「定時退社」という夢を叶えていた。 「もう、残業はしません」

「通訳など辞書で足りる」と追放された令嬢——三国会談で、婚約者は一言も話せなくなった

歩人
ファンタジー
宮廷通訳官エレノーラは五つの言語を操り、婚約者クラウスの外交を陰で支えてきた。 だがクラウスは言った。「通訳など辞書で足りる。お前は要らない」 追放されたエレノーラは隣国で新たな道を歩み始める。 一方、クラウスは三国会談の場で辞書片手に立ち往生。 誤訳が外交問題に発展し、窮地に陥ったその場に、隣国の通訳官として現れたのは——。 「その言葉は、もう翻訳できません」

悪役令嬢にされたので婚約破棄を受け入れたら、なぜか全員困っています

かきんとう
恋愛
 王城の大広間は、いつも以上に華やいでいた。  磨き上げられた床は燭台の光を反射し、色とりどりのドレスが揺れるたびに、まるで花畑が動いているかのように見える。貴族たちの笑い声、楽団の優雅な旋律、そして、ひそやかな噂話が、空気を満たしていた。  その中心に、私は立っていた。  ――今日、この瞬間のために。 「エレノア・フォン・リーベルト嬢」  高らかに呼ばれた私の名に、ざわめきがぴたりと止む。

「仲睦まじい夫婦」であるはずのわたしの夫は、わたしの葬儀で本性をあらわした

ぽんた
恋愛
サヤ・ラドフォード侯爵夫人が死んだ。その葬儀で、マッケイン王国でも「仲睦まじい夫婦」であるはずの彼女の夫が、妻を冒涜した。その聞くに堪えない本音。そんな夫の横には、夫が従妹だというレディが寄り添っている。サヤ・ラドフォードの棺の前で、夫とその従妹はサヤを断罪する。サヤは、ほんとうに彼らがいうような悪女だったのか?  ※ハッピーエンド確約。ざまぁあり。ご都合主義のゆるゆる設定はご容赦願います。