もう我慢なんてしません!家族からうとまれていた俺は、家を出て冒険者になります!

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俺はA級になる!

アイスドラゴン討伐計画

なんとかイケオジからアイスドラゴンについての情報を聞き出したところによると、アイスドラゴンは全部で三ドラゴン。
通常はらばそれぞれになわばりをもち、番以外で群れになることはない。
しかしどうしたことか、この辺境に三ドラが集まってしまったのだという。

「もともとこの辺境の森に一頭は住みついていたのだ。だが、それがちょうどよく魔物を間引きしてくれていてな。うまい具合に共存していたのだ。
だがそこに流れのドラゴンが現れた。それによって縄張り争いが勃発したのだ」

辺境の向こう側は王国ではない。森をはさんでリンドールという国と、ロンドっていう国。
リンドールのほうは基本的に他国とはあまり交流をしない閉鎖的な国で、ロンドは先代の王の時に王国に侵略してきて返り討ちにしてからは、国力も落ちて大人しくしてる感じの国なんだけど。
まずそのリンドールでお家騒動がおきた。
なんとリンドールの王子が、婚約者がいたにもかかわらず外交として訪問した先のロンドの姫とああなってこうなっていやんアハンしてしまったのだという。
それでロンドは「責任を取れ」って姫を押し付けて、リンドールから賠償のようなものをせしめたい。
リンドール側は「ロンドの罠にはめられたのだ」とそれをはねつけ……。
リンドールの王子の婚約者がこれまた宰相の娘だったとかでもめにもめてしもうた。

でもって、ドラゴンがどこに出てくるのかと言えば……
その「王子浮気事件」が二国間の争いにまで発展!
運悪くその場所となってしまったのが、両国の国境付近。二ドラがそれぞれ住んでいたあたりになってしまったのだという。
でもって、ドラゴンが「うるさーい!」と森を凍らせ大暴れ。それにより両国は痛み分けのような状態になったのだが。
今度はそこから二ドラ同士の争いに発展。その末に森は壊滅状態。辺境の森にすみかを移し……先住ドラとの三つ巴の縄張り争いに発展してしまったのだ。



話を聞いた俺たちは、しぶーいおかお。

「いや、それって、とばっちりじゃん!ドラゴンあんまり悪くないじゃん!
クソ王子の浮気のせいじゃん!
なんなんですかああああ?」

「サフィの言う通りだ。……リンドールの王子を討伐したほうがいいんじゃないか?…もぎに行くか?」

ドラゴンスレイヤーのキースまでもがドラゴンさんに同情的。
ねー。まさかのおおもとが王子の浮気とか!ないわー!ないわああああ!!

もぐの?もしかしてバカ王子のバカ王子をもいじゃうの?
目をキラキラさせてついキースのキースを見たら、キースがさりげなくキースを隠し、「はしたないよ」とレオンに目を塞がれた。



「うむ。二人のいうように、もとはといえば人間側に非があるのだ。となれば、こちらとしても『人に仇名すドラゴン』だと討伐するのもためらわれてな……。ドラゴン討伐、と依頼は出したのだが、穏便に去ってもらえればそれでよいのだ。
それがうまくいかなかった場合に討伐もやむなし、という対応になる」

「うまいこと追い払うとかはできなかったの?」

「そもそもが興奮状態でな。不意を突いて討伐ならなんとかなるかもしれんが、殺さぬように……となると難しいのだよ」

おお。そういうものなのか。

するとミカミカぎむちゃぶりしてきた。

「サフィ、お前、ドラゴンと話ができたりしないか?聖獣の加護とかでさあ。サフィならやれそうじゃね?」

「え?うーん。ドラゴンでも古来種は話せるんでしょ?そのアイスドラゴンは話せるドラゴン?」

「もともといた辺境ドラゴンは、過去に意思疎通したものがおるらしい。他の二頭は不明だ」

「うーん。じゃあ、やるだけやってみましょうかのう!
ダメならドッカーン「ゴルア」して言葉以外で説得してみる」

提案してみれば、兄熊が拳を突き上げた。

「おう!要は拳で脅せばいいんだな!!」

「いや、説得っていったよね?やめて?ドラゴンぎぎの悪い!
まずは平和的な解決をめざしましょー!ドラゴンライダーに俺はなる!」

「ドラゴンスレイヤーはやめたのか?」

からかうように目をくるりと回すキースに、俺は苦笑してみせた。

「うーん。この場合はスレイヤーっちゃうのも寝覚めが悪いしね。
てことで、ライディングをめざしましょー!」





具体的には。
一応、仲良くなる基本として、お肉の塊をたんまり台車に乗せて持っていくことにした。
それを近くで火にあぶり、「ほーら、美味しいごはんあるよー」と注意をひく作戦。
だってずっと睨み合いになってるなら、お腹だって空いてるはず。
第三者の介入&おいしいものというコンビネーションで注意をひかれないはずないでしょ?

でもって、注意をひけたなら、元からいた辺境ドラゴンの説得を辺境の騎士さんたちにお願いする。
俺とキースが残りの二ドラ担当。
分け合ってもいいし、状況によっては一緒に説得を試みる。

お兄様とミカミカは離れたところで大人しく観察していてくださいまし。
だって「討伐依頼」と「同行依頼」の依頼主ってことになってるからね。
依頼主にはひっこんでいてもらいましょ!
決してドラゴンを取られたくないからとかじゃないからね!




「さあ!あのね、月曜日には学校があるの!
たくさんお休みしちゃって課題もたまっておりますのでね、サクサクっと説得するよー!
今から大急ぎでお肉を用意!出発はお昼の12時といたします。
お腹が空くので、むこうでお肉焼き焼きしながらランチしましょー!ってことでおけ?」

「……ドラゴンをおびき寄せながらランチをするのか?」

辺境伯が困惑気味に俺に確認。
俺は「もちろん!」と元気よく頷いた。

「敵意がないよーって示せてちょうどいいんじゃない?」

「いや、ドラゴン討伐ってそんな感じじゃなくね?つってもサフィだもんなー。こんなもんか……。
親父、諦めろ。あんたの天使のこれが通常だ」



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