もう我慢なんてしません!家族からうとまれていた俺は、家を出て冒険者になります!

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俺とレオンの婚約式

ハルトお父様、壊れる!

ゴガアアアアン!

ゲイルの拳がハルトお父様の脳天に炸裂した!
あれすんごく痛いやつ!!

しかし、なんということでしょう!それでもハルトお父様、ゲイルを離しません!
全く気にせずご機嫌で笑っている。頭がアレしちゃったのでしょうか?!

「いやめでたい!かわいいサフィが息子になったぞ!ゲイルも私の兄弟となった!
よくやったレオン!」

ゲイルの抵抗をものともせず笑いながらゲイルの顔じゅうにキスをし始めましたーっ!!
嘘でしょ?も、もすかすて、そういうことだったの?
ちょっと動揺のあまり、俺の心の声まで噛みまくってしもうた。

「陛下っ!!ゲイルをお放しくださいっ!
……こらっゲイルを放すのだっ!貴様!
放せといっておろう!!」

何故か激怒した公爵。なんとかハルトお父様をゲイルからひきはがそうと奮闘している。
しかもどさくさまぎれに「キサマ」とかいっちゃってるし!大丈夫か⁈


くるくるされてくらくらする頭を必死になだめ、レオンに聞いてみた。

「れ、れおん……もしかして、あの……ハルトお父様って……」

「ああ、父上は昔からゲイルが大好きだよ?お母様もそれでいいって結婚したらしいしね。
二人は二人で愛し合っているから心配しないで?
ゲイルだけは別らしいから。まあゲイルだからね」

え?いいの?それでいいの?!

どうりで最初っからゲイルに特別扱いだったわけだよ。
ゲイルってばハルトお父様を「ハルト」って呼んで遠慮なしに言いたい放題だったもんね。
それが許されてきた時点で察し案件だったのか……。

「ゲイルは王城に出入りフリーなんだ。結婚してからも自由にゲイルに会えるよ?そう言ったでしょう?なんなら城にゲイルの部屋も用意してあるしね」

「自由に会えるって、そういう意味⁉︎」

「これまでは父上だって一応わきまえて接してはいたみたいなんだけどね?
可愛いサフィが息子になって、おまけに大好きなゲイルと血縁になったっていうので、タガが外れちゃったみたいだね……」


バッキャアアアアア!

なんだかすごい音が聞こえた。ゲイル、やってしもうた!!!

「わははははは!」

ハルトお父様はそれでもゲイルから離れない!

「こら!はなせえええええ!やっぱ婚約は無し!サフィはやらん!!!」

ぐいぐいとなんとかハルトお父様を押しのけようと頑張るゲイル。
そんなゲイルの腰を掴みハルトお父様を足蹴りしてゲイルをハルトお父様から引きはがそうと頑張る公爵。
それにも負けずゲイルにへばりついて離れないハルトお父様。

うんとこしょおお!どっこいしょおおお!
大きなカブじゃん!これ!

「もう正式に封をしたでな!取り消しはできぬのだっ!愛する弟よ!」

ゲイルを抱きしめたままドヤるハルトお父様。ああ、こんなお父様の姿、見たくなかったっ!!!!

「レオンとサフィとの婚約であって、俺はお前とは無関係だ!義兄弟でも兄弟でもねえし!
おい、メアリー、旦那をなんとかしろっ!!」

「ごめんなさいねえ♡この人も拗らせちゃってるからあ……」

お母様……お腐れ申されておりましたか……。




「ゲイル、ゲイル、気持ちはわかるけどそれ以上はだめええええええ!!」

エリアスの悲鳴が聞こえる。
はっ!このままではゲイルが殺ってしまう!
俺は大慌てでハルトお父様に向かってストップをだした。

「ハルトお父様、ステイっ!!!ゲイルを離さないと嫌いになっちゃうからねっ!!!」

バッ!!

ハルトお父様、俺の声を聞いたとたん、ビシっと両手をあげて「触ってませんよ」アピールをしながらゲイルから離れた。
必然的に侯爵もゲイルの腰を離した。ふらふらあ、と床に崩れ落ち肩で息をしている。
公爵、頑張ってたよアンタ!役にはたってなかったけど!


「サフィいいいいいいい!!!」

どがああああん!!
体当たりのようにゲイルが俺に突撃。
しっかりと俺を抱きしめすりすりすりすり、と必死でほほずりし出した。
なんとかあの衝撃から癒されようとしておる。しかもちょっと涙目。
なんで哀れな姿なの!

「ゲイル……よしよし」

こんな可哀そうなゲイル、見たことがない。
いつも余裕の笑みを浮かべ、強くたくましくセクシーでキュートでカッコいい最高のお父様。
まさかこんな風にボロボロにされてしまうなんて……。

「俺のお父様をいじめるなんて、許さぬ!勝手にちゅーしたらダメでしょおお!ちゃんと許可を取ってから!
ゲイルが可哀そうだから婚約はかいしょ……」

「わあああああああああ!!!!」

横からバシッと口をふさがれた。

「んーー!!んーーーーー!!」

「サフィ?!今なんて言おうとしたの?!私は関係ないよね?ね?
ミカミカ、その誓約書を早く金庫に入れてくれ!宝物庫に新設した大金庫だ!大至急!!」

こくりと頷きミカミカが誓約書を抱えて宝物庫にすっ飛んでいくのを見て、ようやくレオンは俺のお口をふさいだ手をどけてくれた。

「ぷはあ!苦しかったあ……」

「ごめんね?だけど絶対に絶対にあの言葉は口にしたらダメだからね!」

「だってゲイルが……」




俺の抗議にレオンは断固とした口調でハルトお父様に命じた。

「父上!しばらくゲイルの半径2メートル以内への立ち入り禁止とします!いいですね?!」

俺を抱きしめたままのゲイルが高速で頷く。
ゲイルが犬ならまだ耳を伏せ尻尾を股にはさんでいたことだろう。


しょぼんとしたハルトお父様。それでも不満そうに口を尖らせた。

「嫌だ」

って、誰え?!拗ねた子供みたいになっちゃってるじゃん!王様ってこんな人だっけ?
もう少し威厳があったはずなんだけど?!

「サフィの前ではカッコつけてたからな。
元来のハルトはこんな感じなんだよ。あいつの本性、レオンとそっくりだぞ?」

ちら、とレオンに視線をやれば、にこっと微笑まれてしもうた。
レオン……拗らせまくる前に俺と婚約できてよかったね。
うんうん。

「あのー。お母様はハルトお父様がこんなになって良いのでしょうか?
浮気なのでは?」

恐る恐る口にすれば、お母様はにっこりとほほ笑んだ。

「うふふふ。この人ね、私のことが大好きなのよ?
でもゲイルだけは別なの。仕方ないわよねえええ!だってゲイルなんだもの♡」

ダメだこの人。目がハートになってる。完全に貴腐人だわこりゃ。

てゆうか、貴族の間のゲイル絶対主義というか「ゲイルだから」「ゲイルだもん」っていう感覚すごいよね。
ヒールの力とサフィールの権力のせいかなって思ってたけど……これ、違うわ。
普通にみんなゲイルガチ勢だっただけか。

そういや公爵もゲイルには弱いじゃん!ゲイルにやりたい放題やらせてたし!
もしかして本当にもしかしちゃう感じだったりするのかな?
エリアナお母様は大好きだったんだろうけど、公爵も別枠ゲイルだったんだなきっと。


だけど、俺は断言できる。

「あのねー!ゲイルのことが一番大好きなのは、俺ですからあああああ!!
でもって、俺のお父様は誰にも渡しませんのでねーっ!ゲイルが欲しければ俺の屍を超えていくがよきなのです!
ゲイルは俺のお父様なんだからねえええええ!!!ゲイル大好きいいいいい!!!!」

俺は聖堂の中心でゲイルへの愛を叫んだ。


ゲイルだいすきいいいい
ゲイルだいすきいいいいい
ゲイルだいすきいいいいいいい

ホールの中で俺の愛が朗々と響き渡る。
ふん、と胸を張る俺に、ゲイルが感極まって叫んだ。

「サフィいいい!お父様だってサフィが大好きだぞおおおおおお!」

サフィが大好きだぞおおおお
サフィが大好きだぞおおおおお
サフィが大好きだぞおおおおおお


「ゲイルううう!!」
「サフィいいいいい!!」

お互いの愛を確認し、ひしっと抱き合う俺とゲイル。
俺は消毒の代わりに可哀そうなゲイルのホッペにたくさんのチュウをしてあげた。





「これってレオンとサフィの婚約式だったよなあ?
なんか……相手が変わってね?」

キースの呆れたような声。

「サフィちゃんはお父様が大好きだからねえ。仕方ない仕方ない」




「………私がこの日をどんなに楽しみにしていたか知っていますよね?
どうしてくれるんですか、父上」

「いや、あの…………レオン、すまぬ。
………………私がお前にキスをして、サフィに上書きしてもらうのはどうだ?」

「却下します!!」

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