もう我慢なんてしません!家族からうとまれていた俺は、家を出て冒険者になります!

をち。「もう我慢なんて」書籍発売中

文字の大きさ
307 / 538
俺とレオンの婚約式

踏み出そう

打ち合わせをばっちりすませ、婚約式当日はゼンには姫としての衣装、セオには騎士の正装で式に参列してもらうことになった。

お母様のお見立てのドレスを身に纏ったゼンは……端的に言おう。妖精!たおやかで儚げ、浮世離れした美貌はまさにエルフの血筋って感じ!

「ふ、ふわああああああ!!綺麗!!めちゃくちゃ綺麗でござりまするううううう!!
姫でしかないっ!俺の知ってるどんな女性よりも姫!」

ここであるお方からの視線を感じ、慌てて付け足す。

「お母様以外に!
俺の知ってる綺麗なお姫様ってお母様だったんだけど、ゼンもお姫様っ!!」

満足気に頷くお母様に俺はほっと胸をなでおろしたのでした。




セオの騎士姿もとっても凛々しかった!
長い髪をキリリと後ろで一つに結んだその立ち姿。
すらりとした長身に白皙の美貌も相まってどこか倒錯めいたものを感じる美しさだ。
単体でだと性別不明なんだけど、妖精姫なゼンの横に立つことでセオの凛々しさが強調されておる!

「ほうほうほう!これは絵本の表紙にしたいくらいでござりまするな!セオ、カッコよですぞ!!」

うんうんうん。

感心していたらばレオンがなぜかライバル心を燃やし始めた。

「サフィ。私も今度アーマーをつけてみようかと思うんだけど。一緒に選んでくれる?」

いやレオンには必要ないでしょうに。魔法があるんだから、そんなに剣で戦うことってないでしょお?






こうして準備万端整え、その時を迎える。

そう、わすれがちなのですが、メインはリンロンではない。
俺とレオンの婚約式なのですよ!!


一応主役なので、俺もレオンも大忙し。
朝からあらゆるところを磨き上げられ、クリームを刷り込まれ(「まあまあ!何もしていないのにこのお肌?」とか「シミひとつないじゃないですかあ!うらやましすぎますっ」と驚かれた。俺はやってないけど、ゲイルとかレオンとかは俺にせっせと色々やっておりますのでね。それでは?)いろいろなものをシュッシュぱたぱたされ。
何も始まっていないというのに既に疲れております。

ぐったりとしておりましたら、着替え終わったレオンがやってきた。

「サフィ?準備はできたかな?」

「もうできておりますよ。とてもお可愛らしくなられました!殿下、ご覧くださいな!」

パンパカパーン、な感じで侍女さんたちが俺を前に押し出すようにして両サイドに分かれた。

そうしたらレオンからも俺がよく見えたと思うけど、俺からもレオンがよく見えた。
レオン、めっちゃんこカッコいい!
俺の婚約者、輝いている!物理的に!
真っ白な衣装に金髪が映えまくりなんですがあああ?!
眩しいを通り越して眩いです。
パアアアアアアッ、なエフェクト効果しすぎて本体が見えないって感じ!

「ひゃああああ!カッコよきですっ!レオンカッコよき!俺の婚約者、美形すぎるううううう!」

こんなの美の暴力ではあるまいか?
元々カッコいいのは知ってたけど、なんかちょっとだけ知らない人みたいで照れる。

てれてれもじもじ。チラリ。
てれてれもじもじ。チラリ。

あ、あれ?
レオン、来なくない?

なぜだかレオンが近づいてこない。なんとレオン、入り口で停まったままフリーズ!ピクリとも動きませぬ!
でも視線は俺に釘付け!ガン見!

こらあかん!
とててと走り寄りペタリと触れるとレオンがガタンとふらついた。

「!!だ、大丈夫?!どうしたのですか?」

慌てて支えたらば、かあああああっとみるみる真っ赤に。
顔を片手で押さえるようにして俺から目をそらす。

「あ、あの、ごめんね、サフィ。ちょっと……可愛すぎ。
なにこれ無理でしょう。私のサフィ可愛すぎやしないか?無垢な天使がいるよ?本当にサフィは私の婚約者だよね?あれ?私の妄想?もしかして夢だったりする?少しつねってみてくれないか?」

久しぶりに出たレオンの早口!おキョドりなされておる!
とりあえずリクエストにお答えして、せのびしてレオンのぽっぺをぎゅう!

「!いた……くない。やはり夢か……」

なぜか諦めたようにガクリ。

「いやいや!痛いでしょお!何言っちゃってんの?
神経通ってる?大丈夫?!」

パッチーン!

両手でほっぺ挟みをしてようやく目が覚めた。

「痛い!……良かった、現実だった!
サフィ!!ああ、私の婚約者!サフィ!!これで皆にサフィは私のものだと示すことができる!!」

おおおお!!今度は超ハイテンションレオンだああああ!!
ぎゅううううっと抱きしめられ、おでことデコを合わせてぐりぐりぐり!
いたたたたたた!おでこ赤くなっちゃうううううう!

侍女さんたちはこんな状況で「殿下……!おめでとうございますうう」と涙をぬぐっている。
鼻をすする音も聞こえてくる。
どうやら彼女たちにとっては感動のシーンらしい。

俺的には面白シーンなのですがね。
俺はカッコいいだけじゃないこんなかわいいレオンが大好きなのです。

「レオンは俺のだっていうのも言わなきゃね!
ついでにヒール!」

とりあえず赤くなったほっぺをとおでこをヒールしておいてあげた。





お揃いの真っ白な衣装に身を包み、皆が待つ大広間へ。

そこには既に王国の貴族たち、お友達、帝国勢、リンロンが揃っております。
ちなみにロンドは到着してそのまま式に参加する形だ。
問題ありありな人たちが一体どんな人なのかちょっとワクワク。
レオンにはあらかじめ「ロンドが気になるのは分かるけど、絶対にきょろきょろしないようにね」と言われている。
ロンドの場所は分かっているから、凝視しちゃわないように気を付けようと思う。



俺の片手はしっかりとレオンに握られ、腰にはレオンのもう一方の手が添えられている。
聖女の発表会よりも人数は増えているんだけど、問題なっしんぐ!
どんなことがあっても大丈夫。俺とレオンだったらなんとかなると信じてるから。

俺は隣に立つレオンを見上げ、囁いた。

「あのね、俺を選んでくれてありがとう。ずっと一緒にいてくださいましね」

ぎゅ、と強く引き寄せられ、そのままホッペにちゅ!

「それは私のセリフだよ?大好きだよ、サフィ」

俺のお気に入りの空の青が幸せそうなアーチを描いた。


さあ、行こう。新しい一歩!
お互いがお互いのものだってみんなにしらしめよう!
それでもって、ロンドをコテンパンにしてしまいましょー!








感想 892

あなたにおすすめの小説

結婚式の翌朝、夫に「皇太子の愛人だろう」と捨てられました――ですが私は、亡き国王の娘です

柴田はつみ
恋愛
母の遺した薬草店を守りながら、慎ましく暮らしていたアンリ。 そんな彼女に求婚してきたのは、国内でも名高い騎士にして公爵家当主、アルファだった。 真っすぐな想いを向けられ、彼を信じて結婚したアンリ。 けれど幸せなはずの結婚式の翌朝、夫は冷たく言い放つ。 「君を愛していると本気で思っていたのかい? 」 彼はアンリが第一皇太子と深い仲にあり、自分との結婚は身を隠すための偽装だと誤解していたのだ。 アンリは実は、亡き国王の婚外子。 皇太子にとっては、隠して守らなければならない妹だったのである。

何もしなかっただけです

希臘楽園
ファンタジー
公爵令嬢であり王太子の婚約者であった私は、「地味だ」という理由で婚約を破棄され、王宮を去った。 それまで私が担っていた役目を、誰も知らないまま。 ――ただ何もしなくなっただけで、すべては静かに崩れていく。 AIに書かせてみた第14弾は、「追放ざまぁ」系の短編。

あなたの愛したご令嬢は俺なんです

久野字
BL
「愛しい令息と結ばれたい。お前の家を金銭援助するからなんとかしろ」 没落寸前の家を救うため、強制的な契約を結ばれたアディル。一年限りで自分の体が令嬢に変わる秘薬を飲まされた彼は、無事に令息と思いを通じ合わせることに成功するが……

「お前がいると息が詰まる」と追放された令嬢——翌週から公爵家の予定が全て狂った

歩人
ファンタジー
クラリッサは公爵家の日程管理を一手に担う令嬢。前世の社畜経験を活かし、行事計画、来客対応、予算管理まで完璧にこなしていた。 だが婚約者ヴィクトルは言った。「お前がいると息が詰まる。もっと華やかな女がいい」 追放されたクラリッサが去った翌週、公爵家の予定が全て狂い始める。 舞踏会の招待状は届かず、外交晩餐会の料理は手配されず、決算書類は行方不明。 一方クラリッサは、若き領主の元で「定時退社」という夢を叶えていた。 「もう、残業はしません」

「通訳など辞書で足りる」と追放された令嬢——三国会談で、婚約者は一言も話せなくなった

歩人
ファンタジー
宮廷通訳官エレノーラは五つの言語を操り、婚約者クラウスの外交を陰で支えてきた。 だがクラウスは言った。「通訳など辞書で足りる。お前は要らない」 追放されたエレノーラは隣国で新たな道を歩み始める。 一方、クラウスは三国会談の場で辞書片手に立ち往生。 誤訳が外交問題に発展し、窮地に陥ったその場に、隣国の通訳官として現れたのは——。 「その言葉は、もう翻訳できません」

悪役令嬢にされたので婚約破棄を受け入れたら、なぜか全員困っています

かきんとう
恋愛
 王城の大広間は、いつも以上に華やいでいた。  磨き上げられた床は燭台の光を反射し、色とりどりのドレスが揺れるたびに、まるで花畑が動いているかのように見える。貴族たちの笑い声、楽団の優雅な旋律、そして、ひそやかな噂話が、空気を満たしていた。  その中心に、私は立っていた。  ――今日、この瞬間のために。 「エレノア・フォン・リーベルト嬢」  高らかに呼ばれた私の名に、ざわめきがぴたりと止む。

「仲睦まじい夫婦」であるはずのわたしの夫は、わたしの葬儀で本性をあらわした

ぽんた
恋愛
サヤ・ラドフォード侯爵夫人が死んだ。その葬儀で、マッケイン王国でも「仲睦まじい夫婦」であるはずの彼女の夫が、妻を冒涜した。その聞くに堪えない本音。そんな夫の横には、夫が従妹だというレディが寄り添っている。サヤ・ラドフォードの棺の前で、夫とその従妹はサヤを断罪する。サヤは、ほんとうに彼らがいうような悪女だったのか?  ※ハッピーエンド確約。ざまぁあり。ご都合主義のゆるゆる設定はご容赦願います。