もう我慢なんてしません!家族からうとまれていた俺は、家を出て冒険者になります!

をち。「もう我慢なんて」書籍発売中

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俺とレオンの婚約式

対決、ロンド!

「ご挨拶が遅くなり申し訳ない。あらためて、レオンハルト・フリューゲルだ。
遠路から私とサフィラスの婚約式のためによく来てくれた」
「サフィラスと申します。わざわざご足労頂き感謝いたしまする」

ぺこり、と頭を下げにっこり微笑めば、王女がひきつった笑顔を浮かべた。

「い、いえ。ロンドの第三王女、ビビアン・ロンドと申します。此度はご婚約おめでとうございます。
なんともお可愛らしいご婚約者ですわねえ」

言葉外に「こんな子供が婚約者?!」って言ってる。うん。だよねー!
でも、レオン俺が大好きなんだもん。それはしょうがないの。

ここでレオンが饒舌に語りだした。

「そうなのだ。サフィラスは私の宝。サフィの憂いは全て取り除くのが私の使命だと思っておるのです」

輝くスマイルを披露してビビ女さんがその光にやられたすきに、会場に向かって声を張り上げる。

「皆も知っての通り、私のサフィは大変可愛らしいうえに、強くて賢い、最高の冒険者でもある。
あらゆる魔法を操り、先日はもとより住んで居ったアイスドラゴンと我が国に迷い込んだアイスドラゴン2頭、さらに遠方より飛来したブリザードドラゴンまで手懐けた」

そっと俺の肩を抱き、愛おしいものを見るように俺に熱いまなざしを注ぐ。
これ演技じゃなくてマジなお顔だね。
レオンからのナイスパスを俺はがっちりと受け取って打ち返す。

「そのドラゴンさんはリンドールとロンドのドラゴンさんのようでしたのでね。
なにかのご縁ではと思い、式に招待させて頂いたのでござりまする。
ドラゴンさんたちは私の眷属となり申した。もう帰らないそうですので、ご承知おきくださいましね」

首をこてりんこして微笑めば、俺のやらかしに慣れているおっちゃんたちから「さすがはサフィだ!!」「うむ!素晴らしいな!」などと賞賛の声が。
帝国勢は「マジか!」とお口パクパク。うん、マジなの。もしよければ今度紹介するね?
あ、ロンドさん、お目目真ん丸だけどちゃんと聞いててね?ここからがあなたたちに大事なことですのでね!

「ところで……祝いの席ではあるが、私のかわいいサフィが気に病んでいることがあってな。失礼だとは思うが確認させてほしい。
リンドールのメーゼン殿下とロンドのビビアン姫の件、と言えば分かるだろうか?」

この言葉にリーゼンが覚悟を決めた表情となった一方、ロンドはわざとらしく「おお!あの件でしたか……姫、お気を確かに!」「まさか、こちらの国にも噂が……」と被害者ぶって嘆いて見せた。なんたる強心臓!
か弱い姫を演出してるんだろうけど……何しろ見た目がド派手なだけに茶番感がすごい!
ほら、帝国勢だって、おっちゃんたちだって胡乱な表情。「はぁ?」「なにしてんだこいつら」になっちゃってる。
レオンも震える腹筋を叱咤し、何気ない風で続けた。が、がんばってレオン!

「……こほん。メーゼン殿下のロンド訪問がきっかけとなり両国が争いになった結果、我が国にも影響が出ておる。
先のドラゴンも、国境に被害を及ぼしておってな。それで私のサフィが討伐に赴いた次第。
今後も争いが続けば我が国にも余波が及ぶ。我が国としてもこれ以上は見過ごせないのだ。
そこで、私とサフィが間に立ち、両国の調停をできればと思うのだが……」

すると勝ちを確信した顔でビビ女が叫ぶ。

「まああああ!!なんという有難いことでございましょう!………お恥ずかしい話ではございますが……私のせいなのでございます………」

胸の前で手を握って目に涙を浮かべヒロイン気取りだ。

「申してみよ」

「……殿下が我が国にいらっしゃった際、私は王女として精一杯おもてなしをさせて頂きましたの。
それを殿下が勘違いされたようで………。茶会の後、どうしても二人で話がしたいのだと部屋に押し込まれ……ああっこれ以上は…私の口からは…っっ」
「なんとお可哀そうな姫!レオンハルト殿下、姫はメーゼン殿下に傷者にされたのでございます!うら若い乙女が……どんなに怖かったことでしょう……。殿下は国に婚約者がある身だというのに、姫と……!!
このような横暴が許されるものなのでしょうか?ロンドはリンドールに責任を取るようにと婚姻願いを申し出ました。
しかし、リンドールは厚顔にも殿下に責任はないのだと、姫の方に責があるのだと、宣戦布告をしてきたのでございます!」

熱弁するビビ&宰相さんには申し訳ないが……ロンド劇場、凄すぎない?
会場は彼らに賛同するどころかシラっとした雰囲気。
だって、ゼンが加害者とビビ女が被害者って、どうみたって違和感爆発なんだもん。
キャスティングが狂いすぎ!

今は王子さまの衣装のゼンと、騎士衣装のセオ。
そろそろお着換えしていただきましょうが。



俺はことさらに無邪気な声で爆弾を投下した。

「えっと、ごめんなさい。よく意味がわからないないのですが……。
どうしてメーゼン殿下とふたりだと傷者なのですか?お部屋にはいったらダメなの?」

ここでサフィとっておきキラキラスマイル!
おめめきらきら、こてりんこ。

さすがのビビ女も、10歳の無邪気な婚約者にはイヤンアハンな事情は言いにくかったようで、ちょっと言葉を濁した。

「あ、あら。サフィラス様にはまだすこおしお早かったかしら?
あのね?婚姻前に適齢の男女が同じ部屋で二人きりで過ごすのは良いことではないのよ?」

ほうほうほう。
もうちょっといじめてみましょー。

「どうしてですか?俺はお母様とも過ごしますけれども?」

こてりんこ。
ブフォっとゲイルが吹き出した。こら!がまんしなさい!

「……………ごほん。私の婚約者は無邪気でとても可愛いだろう?」

レオン、ごり押しましたああああ!ナイスレオン!

「え、ええ……そ、そうですわねえ……」

渾身のロンド劇場を台無しにされ、勢いを失うビビ。
しかし宰相さんは諦めなかった。

「と、とにかく!リンドールのメーゼン殿下には責任を取っていただきたく!ロンドといたしましては、ご婚約を解消し、ビビアン姫との婚姻を結んで頂きたいのです。このままでは姫がいい笑いものではありませんか!」

よし。そろそろいいでしょう。
リンドール側にいくよ、と合図して特大のサフィ砲を放った。

「同性だと王国だと事実婚って感じになるのですが、ロンドは同性でも結婚できるのですか?」

ロンド、ぽっかーん。

「は?何をおっしゃっているのですが?失礼ですが、我々の話を聞いていただいておりましたか?
姫とメーゼン殿下の話をしておるのですよ?」


「だからね、ゼンは女性でしょお?姫殿下だもの。それなのに結婚できるのですか?
そもそも同性なのにどうして同じ部屋にいたらだめなのでしょおか?
意味がわからないのですけれどもね?」
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