もう我慢なんてしません!家族からうとまれていた俺は、家を出て冒険者になります!

をち。「もう我慢なんて」書籍発売中

文字の大きさ
342 / 538
サフィ大忙し

ブリードさんに分かって欲しいの

まず、最初に言わなければならぬこと。

「一応、聖獣みたいにその地を守ってるつもりなんだよね?確かにこれまでは共存して守ってくれてたんだと思うよ?
だけど、結婚して浮かれすぎ!今は迷惑しかかけてないの気付いてまするか?
ブードたちがドタンバタンするから地震が起きちゃって、近くの人が大変になってるの。
仲良きことは美しきこと。しかしながら、騒音で近隣に迷惑をかけては言語道断!
あのね、いつまで新婚さんなのですか?巣作りしてからもう一か月くらいになるでしょお?
ジークだってよぼよぼしてたし、可哀そうだよね?このままだと、嫁ドラに逃げられるよ!いいの?
もしくは過労でジークが儚くなってしもうたらどうするの?」

畳みかけるようにこんこんと諭せば、ブリードは全く気付いてなかったみたい。

「なんと!地震を起こしておったとは!それは我の手落ちよ。すまなかった。
しかしなあ、ドラゴンの巣作りは数か月は続くものなのだぞ?何しろ数百年に一度くらいの周期だからのう。その分期間も長くなるのだ。
それに、我々くらいになると腹の中の卵に魔力をたっぷり込めねばならぬ。子はそう簡単にできるものではない。なかなかに大変なことなのだぞ?」

そ、そうなの?

俺はくるりとゲイルを振り返った。
大人なら知ってると思って。

「あのね、ドラゴンの巣づくり、数か月続くんだって。数百年に一度だからだって。あと、卵に魔力をたっぷりこめないといけなくて子供は簡単にはできないんだって。知ってた?」

するとゲイルは顔の前で手を振り振り。

「いくら俺でもドラゴンの子作りについてなんぞ知らん」

クリスもうんうんと頷く。

「ドラゴンの出産自体がめったにないし、ドラゴンに近寄れる奴はいねえからな。生体なんてよく分かっちゃいないんだよ。だからドラゴンは自然災害とか天災扱いされるんだ。今の話だって、たぶんこの世界初の知識だぞ?それこそ、学術書に記載されるレベルだ」

ほうほう。一応ブリードに聞いておこう。

「あのね、今聞いたこととか秘密にした方がいい?ガクジュツショとかに載せてもいい?」
「別に構わぬぞ?知られたところで我らには影響はないからな」

おお!太っ腹!

「ギルド長!今のガクジュツショに載せてもいいって!良かったね?」
「おお!助かるぜ!連絡しとくわ!」


意外なところで豆知識が増えてしまった。
が、その内容はと言えば、バース君たちに絶望をもたらしてしもうた。

「………数か月……。まだまだあれが続くのか……?」
「それだと冬に十分な食料が確保できねえ……」

うーん。確かに。今でさえ大変でボロボロなんだもんねえ。


あ、食料で思い出した!アレも言わなきゃ!

「あ、あとね、お肉なんだけど!牛のお肉は勝手に取ったらだめでしょ!
こないだ森で取ってこーいしたのは『リンロンに迷惑かけられたからその意趣返し!リンロンから取ってこーい』だったでしょ!バース連合、ブリードがもともと住んでるとこは、守らなきゃなところでしょ?人間が頑張って育ててるものを奪ったらいけません!」

ここ大事!牛の肉に味をしめちゃったのって、俺のせいだし。

するとブリード、これはちょっとだけ罪悪感があったみたい。
誤魔化すみたいに目をウロウロさせながら、

「しかし、雌に餌を運ぶのは雄の甲斐性なのだ。巣作りのときはなるべく良いものを与えたいだろう?」

なにその「気持ちわかるよね?」みたいなの。
俺はおもいっきり左右に頭を振った。

「人から奪ったものはダメでしょ。野生の野良を狩るのが男ってもんでしょうが!」

するとブリード、子供の俺相手では分が悪いと思ったのか、相手をゲイルに変えてきた。

「ゲイルなら分かるであろう?お主もサフィを作る際に雌に良いものを与えたであろう?」
「俺に番はいねえぞ?サフィは俺と同じ血は引いてるが、厳密にいえば俺の……姪の子、だからな。だがサフィにいいもんを食わせてやりたいから気持ちは分かるぞ?」

「そうだろう?」

ぱああ、と顔を明るくするブリードだが、ゲイルがきっぱりに言い放った次の言葉で打ちのめされた。

「だがなあ、男なら人様が育てたもんを奪ったらダメだろ。野生の生き物を狩る、近くにいなきゃ遠くまで狩りに行く!それが男ってもんだと俺は思う」

ゲイルううう!かっこよ!さすがゲイル!

「そうだよね!そうだよね!俺だってイカとか野生のやつを自分で狩って振舞ったし?
あのね、確かにジークにいいものを与えたいっていう気持ちは素敵。だけど、人のものをとったらばダメ。そこはちゃんとしましょう!」

「しかし、森の獲物を狩ると狩りつくしてしまうぞ?さすれば生態系が崩れ、他に影響がでるかもしれぬ。大きな魔物が減れば、その魔物が捕食していた小物が爆発的に増えることになるぞ?」

……ふむ。てことは、冒険者さんたちが狩りやすい獲物が増えるってことだよね?
大物が増えたらば困るけど、それならば問題ないんじゃない?
ごはん足りなくて困ってるっぽいし。あくまでもバースでの話だけど。

感想 892

あなたにおすすめの小説

結婚式の翌朝、夫に「皇太子の愛人だろう」と捨てられました――ですが私は、亡き国王の娘です

柴田はつみ
恋愛
母の遺した薬草店を守りながら、慎ましく暮らしていたアンリ。 そんな彼女に求婚してきたのは、国内でも名高い騎士にして公爵家当主、アルファだった。 真っすぐな想いを向けられ、彼を信じて結婚したアンリ。 けれど幸せなはずの結婚式の翌朝、夫は冷たく言い放つ。 「君を愛していると本気で思っていたのかい? 」 彼はアンリが第一皇太子と深い仲にあり、自分との結婚は身を隠すための偽装だと誤解していたのだ。 アンリは実は、亡き国王の婚外子。 皇太子にとっては、隠して守らなければならない妹だったのである。

何もしなかっただけです

希臘楽園
ファンタジー
公爵令嬢であり王太子の婚約者であった私は、「地味だ」という理由で婚約を破棄され、王宮を去った。 それまで私が担っていた役目を、誰も知らないまま。 ――ただ何もしなくなっただけで、すべては静かに崩れていく。 AIに書かせてみた第14弾は、「追放ざまぁ」系の短編。

あなたの愛したご令嬢は俺なんです

久野字
BL
「愛しい令息と結ばれたい。お前の家を金銭援助するからなんとかしろ」 没落寸前の家を救うため、強制的な契約を結ばれたアディル。一年限りで自分の体が令嬢に変わる秘薬を飲まされた彼は、無事に令息と思いを通じ合わせることに成功するが……

「お前がいると息が詰まる」と追放された令嬢——翌週から公爵家の予定が全て狂った

歩人
ファンタジー
クラリッサは公爵家の日程管理を一手に担う令嬢。前世の社畜経験を活かし、行事計画、来客対応、予算管理まで完璧にこなしていた。 だが婚約者ヴィクトルは言った。「お前がいると息が詰まる。もっと華やかな女がいい」 追放されたクラリッサが去った翌週、公爵家の予定が全て狂い始める。 舞踏会の招待状は届かず、外交晩餐会の料理は手配されず、決算書類は行方不明。 一方クラリッサは、若き領主の元で「定時退社」という夢を叶えていた。 「もう、残業はしません」

「通訳など辞書で足りる」と追放された令嬢——三国会談で、婚約者は一言も話せなくなった

歩人
ファンタジー
宮廷通訳官エレノーラは五つの言語を操り、婚約者クラウスの外交を陰で支えてきた。 だがクラウスは言った。「通訳など辞書で足りる。お前は要らない」 追放されたエレノーラは隣国で新たな道を歩み始める。 一方、クラウスは三国会談の場で辞書片手に立ち往生。 誤訳が外交問題に発展し、窮地に陥ったその場に、隣国の通訳官として現れたのは——。 「その言葉は、もう翻訳できません」

悪役令嬢にされたので婚約破棄を受け入れたら、なぜか全員困っています

かきんとう
恋愛
 王城の大広間は、いつも以上に華やいでいた。  磨き上げられた床は燭台の光を反射し、色とりどりのドレスが揺れるたびに、まるで花畑が動いているかのように見える。貴族たちの笑い声、楽団の優雅な旋律、そして、ひそやかな噂話が、空気を満たしていた。  その中心に、私は立っていた。  ――今日、この瞬間のために。 「エレノア・フォン・リーベルト嬢」  高らかに呼ばれた私の名に、ざわめきがぴたりと止む。

「仲睦まじい夫婦」であるはずのわたしの夫は、わたしの葬儀で本性をあらわした

ぽんた
恋愛
サヤ・ラドフォード侯爵夫人が死んだ。その葬儀で、マッケイン王国でも「仲睦まじい夫婦」であるはずの彼女の夫が、妻を冒涜した。その聞くに堪えない本音。そんな夫の横には、夫が従妹だというレディが寄り添っている。サヤ・ラドフォードの棺の前で、夫とその従妹はサヤを断罪する。サヤは、ほんとうに彼らがいうような悪女だったのか?  ※ハッピーエンド確約。ざまぁあり。ご都合主義のゆるゆる設定はご容赦願います。