367 / 538
連合案件
お母様のお話
はてさて。お母様の御用は「王妃様教育」だった。
レオンからバース君の話を聞いたようで、俺に「帝国と他の国の関係」「それぞれの国の特性」についてお話してくれたのでありました。
そのお話の内容は、バースくんとか、ゲイルとか、学校で聞いた話とほぼ同じ感じでござった。
お母様のお話はその「まとめ」みたいになってて、すんごくわかりやすかった。
そうしてお母様はそっと俺の頬に手をあて、俺にこう言った。
「あのね、サフィちゃん。バースの方があらためて親書を持ってこちらに来るというお話なのだけれど。正式にそのお話を頂いたわけじゃないから、私たちはまだ知らないことにしておくわね?
きちんと話がまとまったらゲイルが仲介をしてくれると思うわ。
だから、サフィちゃんは無理する必要は無いの。ゲイルに任せてしまいなさいな。
後は私たち大人が国として正式に対応します」
ちょうど「ゲイルのとこに顔出そうかなー」なんて思ってたところだった俺は、思わずギクッ!
そんな俺をみてお母様が「ほおらね」と言わんばかりのお顔。
「レオンと婚約したとはいえ、まだ仕事として外交をするのは早いわ。
レオンだって外交として顔を出すようになったのは、12を過ぎてからなのよ?
子供が無理をする必要はありません!」
「え?そうなの?なんかレオンってずっと皇太子として子供のころから外交とかもちゃんとやってきたのかと思ってた!
だってなんでも知ってるし、すっごくちゃんと『王子様』なんだもん!」
「うふふ。あの子のアレは、元からの性格なのよ。一人っ子だったからか、自分がしっかりしなきゃって思っていたのでしょうね。
……でもね?サフィちゃんと出会ってからあれでもだいぶ子供っぽいところを見せるようになったのよ?」
確かに!!
「色々いったけれど、無理して『皇太子の婚約者』のお仕事をする必要はないっていうことなの。
でもね」
ここでお母様はくるりと目を回し悪戯っぽく笑った。
「サフィちゃんはそれでもバースの方とお話ししたいのよね?」
「バレてた!……そうなの。ゲイルにお任せしたんだけど、冒険者の俺を頼ってきてくれたんだもん。冒険者サフィとしてもうちょっとお話したりしたいなって」
やっぱりね、と俺のお鼻をちょんっと指でつつくお母様。
「レオンの婚約者としてではなく、単なるサフィちゃんとして『お友達に』なればいいの。
帝国の時だってそうだったでしょう?お友達を助けたい、ということがたまたま外交に繋がっただけ。
そういうことならば、私は止めないわ。
子供のうちは自分が思うがままにおやりなさい。
色々な人と知り合って、色々なことを感じて、学ぶの。
それこそが将来この国を良くする力になってくれるはずよ?
だから、こっそり行くのはやめること!分かりましたか?」
俺はかんっぺきに「負けたー」だった。
お母様ったら俺のこと全部読んじゃってる!
「はあい。分かりました!
お母様、俺のこと全部分かっちゃってる。なんだかゲイルみたい。どうしてわかるの?」
不思議に思って聞いてみたら、お母様がとっても優しく微笑んだ。
「だって私はサフィちゃんのお母様だもの。当たり前でしょう?」
…………当たり前。そうだね。
お母様は俺のお母様なんだもの!
「……お母様。俺、お母様がお母様になってくれて嬉しい!」
「うふふ。私もよ。可愛いサフィちゃん。
だからお母様に何でも相談してね?レオンやゲイルでもいいわ。
私のことももっと頼って頂戴ね?約束よ?」
「うん!約束!!お母様、大好きーーー!!」
お母様のお話は、とってもとっても素敵なお話だった。
「お妃様教育」じゃなくって、「子供の教育」だったのでした。
夕ご飯後、「ゲイルのところに行く」とレオンに話すと、レオンも「やっぱり」というお顔。
レオンも俺がそう言いだすってわかってたみたい。
「皇太子としてじゃなくて、単なるサフィの保護者レオンとして付いていってもいい?もちろん非公式に」
いいけど……バースくん、腰を抜かしそう。
先に俺だけでお話してからね。それまでは隠れていてね。
あなたにおすすめの小説
結婚式の翌朝、夫に「皇太子の愛人だろう」と捨てられました――ですが私は、亡き国王の娘です
柴田はつみ
恋愛
母の遺した薬草店を守りながら、慎ましく暮らしていたアンリ。
そんな彼女に求婚してきたのは、国内でも名高い騎士にして公爵家当主、アルファだった。
真っすぐな想いを向けられ、彼を信じて結婚したアンリ。
けれど幸せなはずの結婚式の翌朝、夫は冷たく言い放つ。
「君を愛していると本気で思っていたのかい? 」
彼はアンリが第一皇太子と深い仲にあり、自分との結婚は身を隠すための偽装だと誤解していたのだ。
アンリは実は、亡き国王の婚外子。
皇太子にとっては、隠して守らなければならない妹だったのである。
何もしなかっただけです
希臘楽園
ファンタジー
公爵令嬢であり王太子の婚約者であった私は、「地味だ」という理由で婚約を破棄され、王宮を去った。
それまで私が担っていた役目を、誰も知らないまま。
――ただ何もしなくなっただけで、すべては静かに崩れていく。
AIに書かせてみた第14弾は、「追放ざまぁ」系の短編。
あなたの愛したご令嬢は俺なんです
久野字
BL
「愛しい令息と結ばれたい。お前の家を金銭援助するからなんとかしろ」
没落寸前の家を救うため、強制的な契約を結ばれたアディル。一年限りで自分の体が令嬢に変わる秘薬を飲まされた彼は、無事に令息と思いを通じ合わせることに成功するが……
「お前がいると息が詰まる」と追放された令嬢——翌週から公爵家の予定が全て狂った
歩人
ファンタジー
クラリッサは公爵家の日程管理を一手に担う令嬢。前世の社畜経験を活かし、行事計画、来客対応、予算管理まで完璧にこなしていた。
だが婚約者ヴィクトルは言った。「お前がいると息が詰まる。もっと華やかな女がいい」
追放されたクラリッサが去った翌週、公爵家の予定が全て狂い始める。
舞踏会の招待状は届かず、外交晩餐会の料理は手配されず、決算書類は行方不明。
一方クラリッサは、若き領主の元で「定時退社」という夢を叶えていた。
「もう、残業はしません」
「通訳など辞書で足りる」と追放された令嬢——三国会談で、婚約者は一言も話せなくなった
歩人
ファンタジー
宮廷通訳官エレノーラは五つの言語を操り、婚約者クラウスの外交を陰で支えてきた。
だがクラウスは言った。「通訳など辞書で足りる。お前は要らない」
追放されたエレノーラは隣国で新たな道を歩み始める。
一方、クラウスは三国会談の場で辞書片手に立ち往生。
誤訳が外交問題に発展し、窮地に陥ったその場に、隣国の通訳官として現れたのは——。
「その言葉は、もう翻訳できません」
悪役令嬢にされたので婚約破棄を受け入れたら、なぜか全員困っています
かきんとう
恋愛
王城の大広間は、いつも以上に華やいでいた。
磨き上げられた床は燭台の光を反射し、色とりどりのドレスが揺れるたびに、まるで花畑が動いているかのように見える。貴族たちの笑い声、楽団の優雅な旋律、そして、ひそやかな噂話が、空気を満たしていた。
その中心に、私は立っていた。
――今日、この瞬間のために。
「エレノア・フォン・リーベルト嬢」
高らかに呼ばれた私の名に、ざわめきがぴたりと止む。
「仲睦まじい夫婦」であるはずのわたしの夫は、わたしの葬儀で本性をあらわした
ぽんた
恋愛
サヤ・ラドフォード侯爵夫人が死んだ。その葬儀で、マッケイン王国でも「仲睦まじい夫婦」であるはずの彼女の夫が、妻を冒涜した。その聞くに堪えない本音。そんな夫の横には、夫が従妹だというレディが寄り添っている。サヤ・ラドフォードの棺の前で、夫とその従妹はサヤを断罪する。サヤは、ほんとうに彼らがいうような悪女だったのか?
※ハッピーエンド確約。ざまぁあり。ご都合主義のゆるゆる設定はご容赦願います。