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第3章
夏休み その4 花火大会➀ ~恋と尊とエビフライ~
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8月中旬、夏休みも残すところ2週間となった頃、二郎は相変わらず特にやることもなく真面目に部活で暇を潰していた。この日は3年の先輩達が夏のインターハイ予選を早々に敗退して、新体制の男子バスケ部になってから初めての練習試合を行っていた。
現在の男子バスケ部は二郎達2年が4人、一年が5人の合計9人が所属していたが、この日は1年の2人が家の用事で欠席したため7人が参加することになった。しかし、1日通して4試合行い、その上、試合の審判や得点係を出すとなると、選手交代などで人が足りなくなることが予想されたため、新体制のバスケ部で部長となった2年2組の中田尊は女子バスケ部へ応援要請をし、同じく女子バスケ部の部長となった成田忍に試合の補助として参加してもらえる事となった。もちろんタダではない。二郎達男子バスケ部2年の4人が忍に夕食を奢るという条件が尊と忍の間で交わされていたのだった。
この時この夕食会がこの夏休みの最後に起こるある惨劇の幕開けとなる事に誰も気づくことはなかった。
男子バスケ部2年は二郎、一の他に部長となった中田尊と小野大和の4人がいた。尊と大和は現在2年2組で同じクラスであり親友と呼べる仲の良い関係だった。
尊は単純明快の筋肉バカで、良くも悪くも裏表のない性格とあって交友関係も広く、どちらかと言えば女子よりも男子にモテるタイプの男だった。また身長が180cm以上あり運動神経も良く部内のエース的な存在だった。ただバスケを始めたのは高校からだったので、幼少時からバスケ一本でやってきた忍のような絶対的エースと言うよりは部で一番出来る程度のものだった。
中学時代になんとなく陸上部で高跳びをやっていた尊は琴吹高校に入学したとき、バスケ部からの執拗な部活勧誘を断れず、行くだけ行って断ろうと思い部活見学へ行った時、隣の女子バスケ部いた一人の女子部員に一目惚れをした。
それは入学早々に入部を済まし、すでに練習に参加していた忍だった。高校一年の時点で身長170cmあり、中学時代から活躍していた忍は3年の先輩よりも大きく女子バスケ部にとってのゴールデンルーキーとして迎えられており、とても目立つ存在だった。尊はその時点では忍が同学年とは知らなかったが、短髪、長身でスラッとしたボーイッシュな忍のプレー中に見せる真剣な表情や時折見せる可愛い笑顔などバスケを全力で楽しむ姿に見惚れて、その日のうちに入部する事を決断した。
それから尊は部活に全力を注ぐようになり、一気に上達することになるが、それも全て女子バスケ部で活躍を見せる忍と仲良くなりたい、そして、忍を振り向かせたいという不純な動機がそこにはあった。
ただ悲しいことに尊は非常に単純でいつしか忍にアピールする事を忘れ、あまりに部活に没頭していたため、1年半近く経った2年の夏の時点でも、忍にとっては部活命のバスケを愛する良い奴程度にしか思われてなく、尊の想いは成就する気配が全くないといえる状態だった。
そんな現状を危惧した尊は練習試合で部員が少ないことを口実に忍を誘い夕食に行くという作戦に打って出たのであった。この時二人で行くのではなくて、二郎や一、大和を誘ったのは、この後、計画した事を実行するには二人きりよりも話しが進めやすいという目算があった。
練習試合を終えた尊は予定通り、忍を夕食に誘い二郎達5人は駅前のファミレスに行くことになった。一通り注文を終え、試合の反省や雑談をしていると尊が4人の話しを遮って話し始めた。
「そういえばさ、皆は花火大会はどこか行ったか。俺はまだ今年行けてないんだよな」
「花火大会?俺も行ってないけど、なんだいきなり」
「俺も行ってないよ。本当は昭和記念公園の花火を見に行く予定だったけど、台風で中止になったから行けなかったよ」
「私も部活が忙しくて行けてないわ。もうこの時期じゃ全部終わっているでしょ」
「俺も行ってないわ。それがどうしたんだ、尊」
二郎、一、忍が答え、最後に大和が返事をして尊に話を返した。
「そうか、実は俺も一と同じく昭和記念公園の花火大会に毎年行っているんだけど中止になって行けてないんだ。せっかくの夏休みに一度も花火を見ないとなんか損した気がしてさ、それで色々調べたらまだ一つやる予定みたいなんだよ」
「そんなのあったけ、だいたい7月か8月の上旬で終わりだった気がするけど」
「先週確か墨田川の花火大会があってそれで大きな花火大会は都内では最後の気がしたけどどうだろうな。地元の青梅の花火大会も8月の初めにやったしなぁ」
大和と二郎があれこれ言っていると一がその答えを提供した。
「尊、それって8月末の武蔵村山の花火大会のことじゃないか」
「さすが一、当たりだよ。実は規模はそんなに大きくなくて、会場に行くまでの交通の便があまり良くないけど、武蔵村山の花火大会はあまり混まない穴場らしいぞ。屋台もそれなりに出て、いろんな出し物とかも花火の前にやったりする地元のお祭りみたいな感じらしいんだわ」
尊はここぞとばかりに花火大会の魅力を語り皆が興味を持つように必死で祭りの概要を説明した。
「へー、そうなんだ。一はよく知ってたね。稲城に住んでいるあたしにとっては武蔵村山ってまったく関わりが無くて全然知らなかったよ」
南多摩の稲城市民で府中市の高校に通っている忍にとっては村山や小平、東大和といった北多摩エリアは交通の便も悪くほとんど行くことのない地域だった。もちろん、そのさらに北西にある青梅や羽村、福生などの西多摩エリアは地図の位置関係すらもよく分からない未開の地として忍は考えていた。
「まぁ俺も実は生徒会で話が出て聞いた話だけどね。尊の言うとおり、バカみたいに混まなくて結構良いらしいよ。生徒会長の英治先輩が小平住まいで毎年見に行くらしくて、3組の書記の巴ちゃんも立川の北側に住んでいて近所らしくて昭和記念公園の花火大会より混まなくて良いって言ってたよ」
一の話を聞いて二郎、大和、忍の3人が納得していたところで、尊が本題に切り込んだ。
「まぁそういうことだから、皆でその花火大会を見に行かないか。花火自体は夜の7時45分から8時30分までで短いけど、屋台も出てちょっとした出し物もあるみたいだから少し早めに行って夏を満喫するのはどうだ」
「俺はもともと生徒会のメンバーで行く予定だったから、会場で合流する感じでも良ければいいよ」
「俺は花火だけで良いから適当にふらっと見に行くわ」
「俺も予定無いし、参加するぜ」
(よし、一は生徒会で二郎は遅れて参加か、大和には事情を説明して協力してもらえば、忍と二人きりになれるチャンスがあるかもしれない。後は忍が来てくれれば作戦は成功だ。ここは焦らず冷静に忍を誘うだけだ)
尊は男子3人の参加を確認後、本命の忍へ声をかけた。
「忍もどうかな。今年まだ花火を見れていないなら良い機会だし、他の3人も来るみたいだからさ。・・・俺と、一緒に熱い夏の思い出を、つ、作ろうじゃないか」
尊にとっては何日も悩み考えた一世一代のデートの誘いの決め台詞だったが、忍はそんなことよりも腹が減っていた。
「お待たせしました。ハンバーグとエビフライのセットです」
「あ、やっときた。私のハンバーグ!エビフライも2本も付けてもらって本当におごりで大丈夫?あぁ花火大会だっけ。それなら友達にも声かけてみて、都合がつけば参加するよ。じゃ、お先にいただきまーす!」
「おう、そうか、エビフライ美味いよな。いっぱい食べてくれ。も、もちろん友達も誘って大丈夫だから。日程は8月24日、8月第4週の日曜日だ。時間は夕方の6時頃に集合で良いと思うから話してみてくれ」
尊がおおまかな日時を皆に伝えて、この場での話しは終わった。
二人のやり取りに何かを察した二郎は一抹の不安を感じつつも、そこでは深くは考えずに運ばれてきたタンドリーチキンとメキシカンピラフを食べ始めた。
現在の男子バスケ部は二郎達2年が4人、一年が5人の合計9人が所属していたが、この日は1年の2人が家の用事で欠席したため7人が参加することになった。しかし、1日通して4試合行い、その上、試合の審判や得点係を出すとなると、選手交代などで人が足りなくなることが予想されたため、新体制のバスケ部で部長となった2年2組の中田尊は女子バスケ部へ応援要請をし、同じく女子バスケ部の部長となった成田忍に試合の補助として参加してもらえる事となった。もちろんタダではない。二郎達男子バスケ部2年の4人が忍に夕食を奢るという条件が尊と忍の間で交わされていたのだった。
この時この夕食会がこの夏休みの最後に起こるある惨劇の幕開けとなる事に誰も気づくことはなかった。
男子バスケ部2年は二郎、一の他に部長となった中田尊と小野大和の4人がいた。尊と大和は現在2年2組で同じクラスであり親友と呼べる仲の良い関係だった。
尊は単純明快の筋肉バカで、良くも悪くも裏表のない性格とあって交友関係も広く、どちらかと言えば女子よりも男子にモテるタイプの男だった。また身長が180cm以上あり運動神経も良く部内のエース的な存在だった。ただバスケを始めたのは高校からだったので、幼少時からバスケ一本でやってきた忍のような絶対的エースと言うよりは部で一番出来る程度のものだった。
中学時代になんとなく陸上部で高跳びをやっていた尊は琴吹高校に入学したとき、バスケ部からの執拗な部活勧誘を断れず、行くだけ行って断ろうと思い部活見学へ行った時、隣の女子バスケ部いた一人の女子部員に一目惚れをした。
それは入学早々に入部を済まし、すでに練習に参加していた忍だった。高校一年の時点で身長170cmあり、中学時代から活躍していた忍は3年の先輩よりも大きく女子バスケ部にとってのゴールデンルーキーとして迎えられており、とても目立つ存在だった。尊はその時点では忍が同学年とは知らなかったが、短髪、長身でスラッとしたボーイッシュな忍のプレー中に見せる真剣な表情や時折見せる可愛い笑顔などバスケを全力で楽しむ姿に見惚れて、その日のうちに入部する事を決断した。
それから尊は部活に全力を注ぐようになり、一気に上達することになるが、それも全て女子バスケ部で活躍を見せる忍と仲良くなりたい、そして、忍を振り向かせたいという不純な動機がそこにはあった。
ただ悲しいことに尊は非常に単純でいつしか忍にアピールする事を忘れ、あまりに部活に没頭していたため、1年半近く経った2年の夏の時点でも、忍にとっては部活命のバスケを愛する良い奴程度にしか思われてなく、尊の想いは成就する気配が全くないといえる状態だった。
そんな現状を危惧した尊は練習試合で部員が少ないことを口実に忍を誘い夕食に行くという作戦に打って出たのであった。この時二人で行くのではなくて、二郎や一、大和を誘ったのは、この後、計画した事を実行するには二人きりよりも話しが進めやすいという目算があった。
練習試合を終えた尊は予定通り、忍を夕食に誘い二郎達5人は駅前のファミレスに行くことになった。一通り注文を終え、試合の反省や雑談をしていると尊が4人の話しを遮って話し始めた。
「そういえばさ、皆は花火大会はどこか行ったか。俺はまだ今年行けてないんだよな」
「花火大会?俺も行ってないけど、なんだいきなり」
「俺も行ってないよ。本当は昭和記念公園の花火を見に行く予定だったけど、台風で中止になったから行けなかったよ」
「私も部活が忙しくて行けてないわ。もうこの時期じゃ全部終わっているでしょ」
「俺も行ってないわ。それがどうしたんだ、尊」
二郎、一、忍が答え、最後に大和が返事をして尊に話を返した。
「そうか、実は俺も一と同じく昭和記念公園の花火大会に毎年行っているんだけど中止になって行けてないんだ。せっかくの夏休みに一度も花火を見ないとなんか損した気がしてさ、それで色々調べたらまだ一つやる予定みたいなんだよ」
「そんなのあったけ、だいたい7月か8月の上旬で終わりだった気がするけど」
「先週確か墨田川の花火大会があってそれで大きな花火大会は都内では最後の気がしたけどどうだろうな。地元の青梅の花火大会も8月の初めにやったしなぁ」
大和と二郎があれこれ言っていると一がその答えを提供した。
「尊、それって8月末の武蔵村山の花火大会のことじゃないか」
「さすが一、当たりだよ。実は規模はそんなに大きくなくて、会場に行くまでの交通の便があまり良くないけど、武蔵村山の花火大会はあまり混まない穴場らしいぞ。屋台もそれなりに出て、いろんな出し物とかも花火の前にやったりする地元のお祭りみたいな感じらしいんだわ」
尊はここぞとばかりに花火大会の魅力を語り皆が興味を持つように必死で祭りの概要を説明した。
「へー、そうなんだ。一はよく知ってたね。稲城に住んでいるあたしにとっては武蔵村山ってまったく関わりが無くて全然知らなかったよ」
南多摩の稲城市民で府中市の高校に通っている忍にとっては村山や小平、東大和といった北多摩エリアは交通の便も悪くほとんど行くことのない地域だった。もちろん、そのさらに北西にある青梅や羽村、福生などの西多摩エリアは地図の位置関係すらもよく分からない未開の地として忍は考えていた。
「まぁ俺も実は生徒会で話が出て聞いた話だけどね。尊の言うとおり、バカみたいに混まなくて結構良いらしいよ。生徒会長の英治先輩が小平住まいで毎年見に行くらしくて、3組の書記の巴ちゃんも立川の北側に住んでいて近所らしくて昭和記念公園の花火大会より混まなくて良いって言ってたよ」
一の話を聞いて二郎、大和、忍の3人が納得していたところで、尊が本題に切り込んだ。
「まぁそういうことだから、皆でその花火大会を見に行かないか。花火自体は夜の7時45分から8時30分までで短いけど、屋台も出てちょっとした出し物もあるみたいだから少し早めに行って夏を満喫するのはどうだ」
「俺はもともと生徒会のメンバーで行く予定だったから、会場で合流する感じでも良ければいいよ」
「俺は花火だけで良いから適当にふらっと見に行くわ」
「俺も予定無いし、参加するぜ」
(よし、一は生徒会で二郎は遅れて参加か、大和には事情を説明して協力してもらえば、忍と二人きりになれるチャンスがあるかもしれない。後は忍が来てくれれば作戦は成功だ。ここは焦らず冷静に忍を誘うだけだ)
尊は男子3人の参加を確認後、本命の忍へ声をかけた。
「忍もどうかな。今年まだ花火を見れていないなら良い機会だし、他の3人も来るみたいだからさ。・・・俺と、一緒に熱い夏の思い出を、つ、作ろうじゃないか」
尊にとっては何日も悩み考えた一世一代のデートの誘いの決め台詞だったが、忍はそんなことよりも腹が減っていた。
「お待たせしました。ハンバーグとエビフライのセットです」
「あ、やっときた。私のハンバーグ!エビフライも2本も付けてもらって本当におごりで大丈夫?あぁ花火大会だっけ。それなら友達にも声かけてみて、都合がつけば参加するよ。じゃ、お先にいただきまーす!」
「おう、そうか、エビフライ美味いよな。いっぱい食べてくれ。も、もちろん友達も誘って大丈夫だから。日程は8月24日、8月第4週の日曜日だ。時間は夕方の6時頃に集合で良いと思うから話してみてくれ」
尊がおおまかな日時を皆に伝えて、この場での話しは終わった。
二人のやり取りに何かを察した二郎は一抹の不安を感じつつも、そこでは深くは考えずに運ばれてきたタンドリーチキンとメキシカンピラフを食べ始めた。
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