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第3章
夏休み その4 花火大会⑰ ~夏の終わり~
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見事ツーショットでの花火鑑賞に至った3組も三者三様だった。
当初は人前でベタベタするのに抵抗があった英治は、同じくほのかの手だけは終始離さず握ったまま人混みで溢れる会場内を二人仲良く回り夏祭りを満喫した。その後も生徒会用のシートには戻らずに、カップルなどが所々いる公園の林の際に移り、ほのかが英治の腕を組みながら高校生活最後の花火大会を堪能したのであった。
一方、今回最もドラマッチな展開を経て恋人同士になった一とすみれは時間が経つにつれて、自分たちの行いのあまりの恥ずかしさに共にシートの上で小さくながりながら、肩を寄せ合い時折見つめ合っては、今の状況を信じられないように小さく笑い二人の最初の記念日を祝う花火を見上げていた。
最後に様々な偶然が重なり二人となった二郎と四葉は、言葉少なげにラムネとパンを食べながら花火を見ていた。今この時ばかりは余計な言葉が必要ないほどの美しく、そして、儚げに夜空に消えていく光の花々を見つめるのであった。
そんな時間がしばらく続いた後、四葉が不意に言った。
「ありがとうね、二郎君。君のおかげで今年の夏休みは楽しかったよ。正直、毎日バイトと大樹の野球の応援くらいしか何の予定も無いはずだったから」
「急にどうした、別に俺は何もしてないけど」
四葉は首を横に振りながら、二郎に向かって再び言った。
「そんなことはないよ。あの日の放課後に声を掛けてもらってから色々あって、遊園地でばったり会ったり、一緒に神宮に野球の応援に行ったり、そして、今日二人で花火を見たり、夏休みが始めるときはこんな風になるなんて思ってなかったから、やっぱり、ありがとうだよ」
二郎は四葉の言葉を聞きながら、確かになんやかんやでこの夏休みで四葉との距離は近くなった気がするくらいには共に時間を過ごしたのかもしれないと思い直した。
「そっか、確かに俺も楽しかった、かな。なんといっても二度も予想外のところで『焼きたてパン工房 佐藤さん』に出くわすとは思わなかったし、野球の応援も俺一人じゃ絶対にできないような経験ができたし、むしろ俺の方こそありがとうだわ」
二人はお互いに感謝を述べながら、放課後に偶然会ったあの時からほんの数ヶ月の間に随分、偶然が重なり、そして、二人の距離が近づいていることを実感した。
ちょうど今花火を並んで見る二人の距離はカレーパン1つ分空いている程の距離であったが、今後二人は偶然ではなく、お互いの意志を持ってその距離を縮めていくのか、はたまた、今の距離感こそがちょうど良い関係と思うのか、今はまだ考えもつかないそんな二人だった。
こうして様々な出来事を経験した彼ら彼女らは、夏を超えて新たな季節を迎えるのであった。
当初は人前でベタベタするのに抵抗があった英治は、同じくほのかの手だけは終始離さず握ったまま人混みで溢れる会場内を二人仲良く回り夏祭りを満喫した。その後も生徒会用のシートには戻らずに、カップルなどが所々いる公園の林の際に移り、ほのかが英治の腕を組みながら高校生活最後の花火大会を堪能したのであった。
一方、今回最もドラマッチな展開を経て恋人同士になった一とすみれは時間が経つにつれて、自分たちの行いのあまりの恥ずかしさに共にシートの上で小さくながりながら、肩を寄せ合い時折見つめ合っては、今の状況を信じられないように小さく笑い二人の最初の記念日を祝う花火を見上げていた。
最後に様々な偶然が重なり二人となった二郎と四葉は、言葉少なげにラムネとパンを食べながら花火を見ていた。今この時ばかりは余計な言葉が必要ないほどの美しく、そして、儚げに夜空に消えていく光の花々を見つめるのであった。
そんな時間がしばらく続いた後、四葉が不意に言った。
「ありがとうね、二郎君。君のおかげで今年の夏休みは楽しかったよ。正直、毎日バイトと大樹の野球の応援くらいしか何の予定も無いはずだったから」
「急にどうした、別に俺は何もしてないけど」
四葉は首を横に振りながら、二郎に向かって再び言った。
「そんなことはないよ。あの日の放課後に声を掛けてもらってから色々あって、遊園地でばったり会ったり、一緒に神宮に野球の応援に行ったり、そして、今日二人で花火を見たり、夏休みが始めるときはこんな風になるなんて思ってなかったから、やっぱり、ありがとうだよ」
二郎は四葉の言葉を聞きながら、確かになんやかんやでこの夏休みで四葉との距離は近くなった気がするくらいには共に時間を過ごしたのかもしれないと思い直した。
「そっか、確かに俺も楽しかった、かな。なんといっても二度も予想外のところで『焼きたてパン工房 佐藤さん』に出くわすとは思わなかったし、野球の応援も俺一人じゃ絶対にできないような経験ができたし、むしろ俺の方こそありがとうだわ」
二人はお互いに感謝を述べながら、放課後に偶然会ったあの時からほんの数ヶ月の間に随分、偶然が重なり、そして、二人の距離が近づいていることを実感した。
ちょうど今花火を並んで見る二人の距離はカレーパン1つ分空いている程の距離であったが、今後二人は偶然ではなく、お互いの意志を持ってその距離を縮めていくのか、はたまた、今の距離感こそがちょうど良い関係と思うのか、今はまだ考えもつかないそんな二人だった。
こうして様々な出来事を経験した彼ら彼女らは、夏を超えて新たな季節を迎えるのであった。
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