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第4章
人の噂も七十五日㉖ ~一とエリカの階段の会談~
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すみれと二郎が何一つ実りの無い会話を展開している頃、エリカと一は三階別館の階段のさらに先の屋上に通じる階段の踊り場の前にいた。通常屋上のドアは鍵がかかっているため外には出られないが、その踊り場には畳2畳分くらいのスペースがあり二人はそこに来て密会を行った。
「ごめんね、こんなところまで引っ張ってきちゃって。でも、あまり他人には聞かれたくない話を聞くと思うから」
「気にすること無いさ。俺もあまり話せることは無いけど話せることは何でも話すからさ」
「そう、ありがとう」
一はエリカの気遣いを受け取りながらも全てを話すことが出来ないと先に線引きするように言った。
「それじゃ聞くけど、あのお祭りの日に起きた一君が知っていること全てを教えて欲しいんだけど良いかな」
「そう来たか。実のところ俺はあの日バスケ部の連中の集まりに一度も顔を出してないからほとんど何も知らないんだよ。あの日俺が会ったのは生徒会のメンバーと大和、尊それとすーみんだけなんだよ」
「そうなの、二郎君や忍、三佳とは会ってないの」
「そうなんだよ、俺は生徒会のメンバーのために場所取りをしていて、初めの一時間くらい開場を回った後はあの場から一歩も動いてないんだよ。だから他の皆が何をやっていたのか全く知らないんだよ」
一は正直にあの日のことをエリカに話した。
「そうだったんだ。だから三佳も忍も一君の事は知らないって言っていたのか。だったらすみれとはどうして会ったの」
「すーみんは買った焼きそばを一人寂しく場所取りする俺に届けてくれたんだよ。だから俺はあの場から動いてないし、大和と尊とは場所取りで巴ちゃんと会場を歩き回っていた時に偶然会っただけなんだよ。それもまだ夕方6時前で他の皆も来ていない時間だったからエリカの知りたい事とは関係ないと思うよ」
「確かにそうね。つまり一君は今回の噂に出ている三佳や忍、二郎君の事は全く知らないって事で良いのね」
エリカは確認するように一に問いかけた。
「全くその通りだよ」
一の同意を確認したエリカは今回一番聞きたいと考えていた質問をぶつけた。
「だったら、一君の噂に出てきたその女の子は一体何者なの。と言うか、噂は何が本当で何が嘘なの」
「うーん、ごめん。それは相手の事もあるから答えられないよ。エリーも自分の大切な相手の事を誰彼に構わず言いふらしたりしたくないだろ。俺も出来れば相手が了解してから話したいんだ。だからもう少しだけ待ってくれないか。必ずちゃんと話すと約束するから」
一はいつもの穏やかな表情ながらもその言葉の端々に真剣な感情を乗せてエリカに答えた。
その一の言葉にエリカはこれ以上の追求は噂話にたかる連中と変わらないと自制しつつ、最後に一つだけ確認事項を行った。
「分かったわ。一君の言うとおりだわ。でも、あと一つだけ教えて欲しいの。一君がその人と会っていた時間はいつからいつまでだったか教えてもらってもいい」
エリカのどうにか犯人を突き止めたいという思いをくみ取った一は納得して答えた。
「そうだな、確か7時過ぎから終わりまでずっと一緒にいたよ。でも噂に出ている人と一悶着があったのは7時半前後だったと思うよ。俺に言えるのはこれだけだけど、それで良いかな」
「うん、ありがとう。ごめんね、あれこれ聞いちゃって。本当にありがとう」
「俺こそごめん。俺は別に話しても良いんだけど相手がまだ色々と迷っているみたいで、そのうち嫌でも分かると思うからその時はたっぷり文句言って構わないからさ」
エリカは一の物言いに何かを重大な見落としをしているような、2学期に入ってからずっと感じていた違和感のような不思議な感覚にあと少しで気付きそうで気付けないモヤモヤとした気持ちを胸に一との会談を終えて教室へ戻るのであった。
「ごめんね、こんなところまで引っ張ってきちゃって。でも、あまり他人には聞かれたくない話を聞くと思うから」
「気にすること無いさ。俺もあまり話せることは無いけど話せることは何でも話すからさ」
「そう、ありがとう」
一はエリカの気遣いを受け取りながらも全てを話すことが出来ないと先に線引きするように言った。
「それじゃ聞くけど、あのお祭りの日に起きた一君が知っていること全てを教えて欲しいんだけど良いかな」
「そう来たか。実のところ俺はあの日バスケ部の連中の集まりに一度も顔を出してないからほとんど何も知らないんだよ。あの日俺が会ったのは生徒会のメンバーと大和、尊それとすーみんだけなんだよ」
「そうなの、二郎君や忍、三佳とは会ってないの」
「そうなんだよ、俺は生徒会のメンバーのために場所取りをしていて、初めの一時間くらい開場を回った後はあの場から一歩も動いてないんだよ。だから他の皆が何をやっていたのか全く知らないんだよ」
一は正直にあの日のことをエリカに話した。
「そうだったんだ。だから三佳も忍も一君の事は知らないって言っていたのか。だったらすみれとはどうして会ったの」
「すーみんは買った焼きそばを一人寂しく場所取りする俺に届けてくれたんだよ。だから俺はあの場から動いてないし、大和と尊とは場所取りで巴ちゃんと会場を歩き回っていた時に偶然会っただけなんだよ。それもまだ夕方6時前で他の皆も来ていない時間だったからエリカの知りたい事とは関係ないと思うよ」
「確かにそうね。つまり一君は今回の噂に出ている三佳や忍、二郎君の事は全く知らないって事で良いのね」
エリカは確認するように一に問いかけた。
「全くその通りだよ」
一の同意を確認したエリカは今回一番聞きたいと考えていた質問をぶつけた。
「だったら、一君の噂に出てきたその女の子は一体何者なの。と言うか、噂は何が本当で何が嘘なの」
「うーん、ごめん。それは相手の事もあるから答えられないよ。エリーも自分の大切な相手の事を誰彼に構わず言いふらしたりしたくないだろ。俺も出来れば相手が了解してから話したいんだ。だからもう少しだけ待ってくれないか。必ずちゃんと話すと約束するから」
一はいつもの穏やかな表情ながらもその言葉の端々に真剣な感情を乗せてエリカに答えた。
その一の言葉にエリカはこれ以上の追求は噂話にたかる連中と変わらないと自制しつつ、最後に一つだけ確認事項を行った。
「分かったわ。一君の言うとおりだわ。でも、あと一つだけ教えて欲しいの。一君がその人と会っていた時間はいつからいつまでだったか教えてもらってもいい」
エリカのどうにか犯人を突き止めたいという思いをくみ取った一は納得して答えた。
「そうだな、確か7時過ぎから終わりまでずっと一緒にいたよ。でも噂に出ている人と一悶着があったのは7時半前後だったと思うよ。俺に言えるのはこれだけだけど、それで良いかな」
「うん、ありがとう。ごめんね、あれこれ聞いちゃって。本当にありがとう」
「俺こそごめん。俺は別に話しても良いんだけど相手がまだ色々と迷っているみたいで、そのうち嫌でも分かると思うからその時はたっぷり文句言って構わないからさ」
エリカは一の物言いに何かを重大な見落としをしているような、2学期に入ってからずっと感じていた違和感のような不思議な感覚にあと少しで気付きそうで気付けないモヤモヤとした気持ちを胸に一との会談を終えて教室へ戻るのであった。
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