青春クロスロード ~若者たちの交差点~

Ryosuke

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第6章

一日千秋⑭ ~男の嫉妬と優しい嘘~

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「山田先輩、真紀ちゃん先生連れてきましたよ」

 そう言いながら部屋に入ってきた美沙子と校医の坂井真紀の登場で2人の世界から意識を戻した二郎は無性にバツが悪くなり、簡単に事情を説明した後、忍を真紀に任せて保健室を後にしていた。

 そんな浮き足立つ二郎の背中を追いかける美沙子がどこか腑に落ちないと言った表情で声を掛けた。

「ちょっと先輩、そんな急いでどうしたんですか。忍先輩の側にいてあげなくて良かったんですか?」

 美沙子の問いに背を向けながら二郎が答えた。

「別に俺がいても何も出来ないだろう。それにやるべき事はやったし、早いところ尊や神部に状況知らせてやった方が良いだろう」

「それはそうですけど、だったら私一人が戻れば済む話ですし先輩はあのまま保健室にいて良かったんですよ」

 美沙子は二人の浅からぬ関係を察して気を回すも二郎の意志は変わらなかった。

「ば、ばーか、さっきも言ったが俺とあいつはお前が思うような関係じゃないぞ。バカタレが。それよりも忍の家には連絡できたか?」

 なかなか本音を語ろうとしない二郎に不満そうな美沙子は呆れた表情で言った。

「本当に素直じゃないですね。えぇはい、真紀ちゃん先生が連絡してくれまして、お姉さんが迎えに来てくれるみたいです」

「そうか。ならよかった。・・・ありがとうな、それから面倒を掛けてすまなかったな」

 前を歩く二郎の表情を見ることは出来なかったが、その声で二郎が忍のことを本気で心配していたという事が美沙子にはひしひしと伝わるようだった。

 そんなやり取りをしている内に二人が体育館に戻ると、男女バスケ部共にまだ最後の3on3の練習試合をしていたため、それが終わるのを待って二郎達は事の詳細を尊や歩に伝えた。それから練習終了後のクールダウンを終えた歩と尊に二郎は一言「後は上手くやってくれ」とだけ伝えて保健室に向かう二人を見送るのだった。

 その一方、保健室で未だ意識が戻らない忍は夢幻の中にいた。そこには普段とは様子が違い真剣に心配する眼差しで自分を見つめる二郎が何かを言っているようだった。

(いつもごめんな。これからはもっとお前を大切にするから・・・だから早く目を覚ませてくれ。頼む、忍)

 そんな言葉を二郎が自分に言ってくれるわけがない。きっと夢だ。自分に都合の良い夢を見ているんだ。そう思いながらも差し伸べてくれた二郎の手を握るとそこには確かに温かな手のぬくもりを忍は感じていた。それは夏休み以降、二郎と微妙な関係が続いた間には感じることが出来なかった安心感のようなものだった。

 しかし、そんな優しい時間は長くは続かなかった。二郎の手の温もりは気がつけばなくなり姿形も霧散していくのだった。それを引き留めようと必死で声を上げる忍はそこでようやく目を覚ますのであった。

(待って!お願いだから待って、二郎)

「行かないで!!」

 悲鳴のような声を上げて起き上がった忍の目の前には二郎はおらず、忍が目を覚まして一安心といった様子の校医の真紀がいた。

「やっと目を覚ましたみたいね。大丈夫?何か言っていたけど怖い夢でも見たのかしら?」

「え?・・・あたし・・・ここは・・・あれ?坂井先生?」

 真紀の言葉に我に帰った忍は自分の現在の状況が上手く飲み込めないのかキョロキョロと部屋を見渡していた。

「本当に大丈夫?あなた部活中に頭を打って脳震とうを起こしたみたいなのよ。それでバスケ部の子達が保健室に運んでくれたって訳よ。状況は理解できた?」

「保健室?えーっと・・・あたしは・・・3on3をしていて・・・そっか、あの時滑って頭を打ったのか。・・・痛ってって。あぁ頭がズキズキする・・・」

 そう言って後頭部を忍が押さえながら一先ず状況を飲み込み一息ついた時、尊と歩が姿を現すのだった。

「失礼します。バスケ部の者ですが・・・。あ、忍、目を覚ましたのね。もう大丈夫なの?」

「どうした?忍、大丈夫なのか?」

 そんな二人に返事をしたのは真紀だった。

「来たみたいね。ちょうど今さっき目を覚ましたところだから、あまり騒がないでおいてちょうだい」

 思わず大きな声を出して注意を受けた歩は小さく頭を下げながら小声で真紀に忍の容態について問いかけた。

「すいません、真紀ちゃん先生。それで忍は大丈夫なんですか」

「えぇ安心して。少し頭を打ったせいでたんこぶが出来ているみたいだけど、その他は問題無いと思うわ。今日一晩ゆっくり安静にしておけば明日から問題無く生活できるはずよ。大きな怪我にならなくて良かったわね、成田さん。おっと。私は顧問の小原先生に貴女が目を覚ましたことを知らせてくるわね。たぶんそろそろ職員会議も終わる頃だし少しここを空けるけど大丈夫かしら?」

「わかりました。よろしくお願いします」
 
 そう言いながら保健室を後にする真紀を見送って、忍は歩と尊に話し掛けた。

「歩も尊も心配かけてゴメンね。部長のあたしが皆の足を引っ張っていちゃ他の部員に示しが付かないよね。本当にごめん」

「何言っているのよ。いつも誰よりも頑張っている忍に皆感謝はすれど、こんなことくらいで文句を言う子なんてウチの部には誰もいないってことくらい、忍だって分かるでしょ」

「そうだぞ、忍。こんな時くらい部活の事じゃなくて、自分の体の事を考えなきゃダメだぞ」

 必死で励まそうとする歩と尊の言葉に申し訳なさそうにする忍が恐る恐る問いかけた。

「でも、大事な練習試合の直前で練習を中断させてしまったはずだし、皆に迷惑を掛けてしまったのは紛れもない事実でしょう。最近のあたしは全然部活に集中できてなくて本当にダメだ。はぁ~」

 さらに落ち込む忍に尊がどうにか励まそうと声を上げた。

「確かに一時中断はあったが、忍を保健室に運んだ後は、きっちり今日の練習メニューをこなしたし、日曜日の練習試合への準備はしっかり出来たから問題なんかないさ。なぁ神部?」

「そうよ。忍が抜けた後でも皆集中を切らさずに練習に取り組んでいたし、逆に忍が途中で試合を抜けた時のための良い予行演習にもなったし、ダメなことばかりでもなかったわよ。それとも忍がいなきゃあたしらだけじゃ何も出来ないとでも思っているわけ?どうなのよ、忍」

 尊のフォローと歩の強気な言葉を聞いた忍は、独りよがりになりすぎているのかもと思い直していた。

「そっか。そうなら良かった。・・・うん、そうだよね。そんなにウチの部の皆は頼りなくないわよね。副部長として部を引っ張ってくれてありがとう、歩」

「分かれば良いのよ。だから安心して今日明日はゆっくり休みなさいよ。日曜日はキッチリエースとして活躍してもらわないと困るんだから良いわね」

「そうだぞ。こういう時に協力するのがチームワークだろう。何でも自分で背負いすぎないで少しは甘えることも覚えないとな」

「うん、そうだね。本当にありがとうね、二人とも」

 なんとか忍のメンタルケアを成功させた歩と尊がお互いに視線を合わせながら安堵の息を吐いていた時、忍が何処か落ち着きのない様子で口を開いた。

「そういえばさ。あたしをここに運んでくれたのは誰だったの?」

 その言葉に尊と歩は息を止めて再び視線を交わしていた。そして数瞬の後に尊がそれに答えた。

「それは俺と歩がここまで運んだんだ。その後はさっきも言ったが、坂井先生に任せて俺たちはすぐに練習に戻ったが、それがどうしたんだ?」

「そう、なんだ・・・・」

 その言葉に忍が何かを考え込むような素振りを見せると、歩は驚いたように尊に視線を向け小声で耳打ちをした。

「ちょっと中田君ってば。なんでそうなるのよ。さすがに嘘をつくのはマズいんじゃないの?」

「神部、落ち着け。考えても見ろよ。二郎はあんなことを言っていたけど、忍が迷惑を掛けて一番気にするのは二郎だと思わないか。悔しいが忍にとって部の中で一番貸しを作りたくないのはあいつだと思うぞ」

「確かにそうだけど・・・」

「ずっと黙っておく訳じゃないさ。あれだけ人が見ていたんだ。すぐに忍の耳にも事実が伝わるだろうさ。だけど、今は少しでも安心させて休ませた方が良いだろうし、二郎にも上手くやってくれって言われただろう。これはつまり嘘も方便と言う奴だ」

 尊の言い分に一理あると頷く歩は渋々ながら尊に話を合わせることにした。

「確かにそうかもね。なんだかんだ山田に迷惑を掛けたって言うことが一番忍には堪えるかもしれないし、今だけはしょうがないか。これは忍にとって優しい嘘って事だよね」

「あぁ、そうだ。その通りだ」

 二人がひそひそ話をする一方で自分の夢だったのか現実だったのか定かではない朧気な記憶を辿っていた忍が我に戻り左手に微かに残る温もりを確かめうっすらとハニカムようにつぶやいた。

「そっか。あたしの思い違いだったのかな・・・でも、あの時の二郎は凄く優しかったなぁ・・・」

 何かをぼそぼそと言っている忍に気がついた歩が顔をのぞき込んで言った。

「どうしたの、忍?なんかちょっと顔が赤いけど大丈夫?」

「え?いや、べ、べつに何でもないから安心して!」

「そうなの。無理しないで体調悪かったらすぐに言ってよね」

「分かったわ。ありがとうね」

 そんな二人のやり取りを見ながら尊は自分のしでかした行動に苦虫を噛みしめていた。

(これが嫉妬なのか。俺は二郎に嫉妬しているのか。あいつが忍のために何をしたのかを、俺は忍に知って欲しくなかったのか。だからあんな嘘をついたのか俺は。二郎は大勢の前で堂々と忍を守ろうと行動したというのに俺は姑息に忍に嘘を吹き込んで恋敵の足を引っ張るってか。クソ、何をやってんだよ俺は!)

 そんな3人の下に校医の真紀と顧問の小原に、偶然廊下で出くわした忍の姉である奏が姿を現した。

 それから真紀が小原と奏に状況説明を済ませて、忍の体調が安定してきたことを確認すると忍は着替えを済まして保健室を出るのであった。

 真紀と小原と別れ、忍は姉の奏、歩、尊と共に玄関口へ向かっていた。

「あんた大丈夫?こんな大きなタンコブ作っちゃって、女の子なのだからあんまり無理しちゃダメだよ」

「ゴメン、奏姉。それとありがとう迎えに来てくれ」

「迎えに来るくらいどうって事ないわよ。ちょうど今日は講義が早く終わって暇だったからね。それよりあまり部の皆さんにも迷惑掛けないように気をつけるのよ」

「うん、ゴメン。気をつけます」

「うん、分かればよろしい。それじゃ車取ってくるから少しそこで待っていてくれる」

「わかった」

 そう言って奏は忍達を玄関前に待たせてその場を離れた。

「良いお姉さんじゃん」

「まぁね。普段はめちゃくちゃな事を言ってくるけど、こういう時はやっぱり頼りになる姉貴なんだ」

「そっか」

 付き添いで忍と共に待っていた歩の言葉に尊が我慢でき無いといった様子で言い放った。

「それにしても、忍にそっくりで、その、美人なお姉さんだな。初め保健室で見たとき驚いて叫びそうになったぞ」

「そんな似ているかな?そう言えば二郎がこの前家に来たときも姉貴とかお母さんとあたしを見間違えたって言っていたけど」

「そうなのか。お母さんも忍に似て美人なのか。そうか」

 尊のなんだか不純な浮ついた言葉に歩が鋭く反応して尊の横腹にきつい一撃を食らわせた事に忍が気付くことはなかった。なぜなら、忍の下に意外な人物が現れたからだった。

「忍先輩、少し良いですか?」

 そう言って忍に声を掛けたのは美沙子だった。

 美沙子は二郎に言われたとおり、一言忍に謝りたいと思い忍が保健室から出てくるのを玄関前で待っていたのであった。

「あれ、三嶋ちゃん。こんなところでどうしたの?」

 驚く忍に美沙子は事情を説明して深々と頭を下げて謝罪をしたが、忍は二郎が言ったとおり、美沙子の謝罪を受け取らず、逆に迷惑と心配を掛けてしまったことを謝った。

 美沙子は自分以上に潔く深々と謝る忍を見て思わず微笑を浮かべていた。

(もう山田先輩には敵いませんね。本当に忍先輩のことなら何でも分かっちゃうんですね)

 そんな美沙子の様子を不思議そうに見つめる忍は後ろでじゃれ合う尊と歩が聞こえないようにこっそりと美沙子に耳打ちをして聞いた。

「ところで三嶋ちゃん。一つ聞きたいことがあるんだけど良いかな」

「どうしたんですか」

「あたしが気を失っていたとき、あたしを保健室に運んでくれた人って誰か分かる?」

「え?!・・・・」

 忍の問いに美沙子は一瞬時を止めて息を飲んだ。

「ゴメンね。いきなり変なこと聞いて。歩と尊は二人が運んだって言うのだけれど、別の人もいた気がしてそれでどう言う状況だったか教えて欲しくて」

 その言葉を聞いて美沙子はつばを飲み込んで小さな声で答えた。

「済みません。バタバタしていてあまり詳しいことは分からないのですが、歩先輩と中田先輩が忍先輩を運ぶのは見ましたよ。多分他には誰もいなかったと思います」

「そっか。そうなんだ。やっぱりあたしの勘違いだったのかな」

 落ちつかない様子の美沙子は我慢できずに問いかけていた。

「どうしてそんなことを聞いたのですか」

「え?うん、実は気を失っていたときになんとなくだけど誰かが手を握っていてくれた気がして、それが二郎だったんじゃないかって・・・・うんん、何でもないわ、ゴメンね。気にしないで。もう遅いしあなたも早く帰りなさい。今日は本当にごめんね。遅くまで残ってくれありがとうね」

 朧気な記憶を辿りながら答える忍だったが、途中から尻つぼみとなって最後は自分の言葉を打ち消すように言葉を切って美沙子に帰りを促し会話を終えようとしたのであった。

「はい。それではお大事にしてください。お先に失礼します。先輩方もお疲れ様でした」

 そう言って美沙子はモヤモヤを抱えながら忍の下を離れた。

(山田先輩、本当にこれで良かったんですか。私はそうは思いません。だって好きな相手にだったら、迷惑を掛ける事は確かに気になるかも知れないけど、本気で自分の事を心配してくれたんだって知ったらそれ以上に嬉しいって思うはずだから。だから忍先輩だって本当の事をきっと知りたかったはずです)

 そう思いながらも律儀に二郎との約束を守った美沙子はどこかやりきれない表情を浮かべながら帰途につくのであった。

 二郎は美沙子と体育館へ戻る際に一つ約束をしていた。それは今日あったことを忍に聞かれてもはぐらかしておくというモノだった。二郎は今回の事を忍が知れば自分に対して負い目や貸しを作ったと考えると思い、ダブルブッキングやこれまで雑な態度を取っていた事を謝るまでは今日の出来事に関しては出来れば知られないままにしておきたかったのだった。そのため歩や尊が事情を説明している可能性も考えたが、一応美沙子にだけは忍に謝罪に行くと言うことも聞いていたので口止めをしたのだった。

 結局は尊と歩も二郎の事は伏せていたため、この日忍が真実を知ることはなかった。しかし、この事が二郎と忍の二人の関係に大きな影響を与えることになるとは、この時は誰も知る由もなかった。
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