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第1章 転移~小鬼族対戦編
第14話 対小鬼族戦④ 小鬼の王
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スリングがソレを見つけたのとほぼ同時刻。
シュンとシルは敵の中心を掻い潜りつつ、レシット山脈方面へと順調に進んでいた。
「シュン。やっぱり妙だ。数が多すぎる」
既に私とシルで屠った小鬼族の数は100を超えている。
樹上から弓と魔法による攻撃は圧倒的だった。
上を取れるというのはそれだけで大きなアドバンテージとなるのだ。
それでもその数は減っている気がしない。
「元々1000を越えてるんだし、まだまだじゃないの?」
シルは難しい顔をしている。
腑に落ちないといった風だ。
「いや、さっきから風叫で戦況報告が来ているが、別部隊でも相当数を狩っているらしい。それに加えて、気配探知のスキルを持っている斥候からの報告だと数が減っていないらしい」
風叫とは、風囁の上位魔法で、より広範囲に声を届かせる事ができる。
更に風囁の場合対象が一人だが、風叫は多数に同時発声できる。
私にこの声が届いていないのは、伝令対象を選択できるから、私が対象として選択されていない為だろう。
ただし、デメリットもある。
選択範囲は種族単位が基本となる為、敵にも声が届いてしまう可能性がある事だ。
今回の戦闘は小鬼族が相手だから、遠慮なく使っているけど、国での戦争なんかだと、種族が入り交じるため、安易に使用出来ないんだとか。
「それってどういうこと? 予想よりも敵の数が多いの?」
シルは眉間に皺を寄せている。
「いや、これは数が多いというより……!? シュン! 止まって!」
シルに腕で制止されて、着地した樹上で動きを止める。
「あれは……なんだ?」
シルの呟きに前方を見る。
気付かない内に森の出口まで来ていたらしく。
木の間からは山肌が顔を覗かせていた。
其処にソレは居た。
ゴブリンやホブゴブリン達がひしめき合う中、更に体の大きな緑色の生物がいる。
その体は大きく、3mを超えているだろうか。
顔は……ゴブリンだ。
「見た事もないけど、あれもゴブリンだろうか」
シルが考えを巡らせながら、目を離せないでいる。
そこでソレは起こった。
ゴポォ
粘液質な液体が溢れ落ちる様な不快な音。
いや、『様な』ではなかった。
目の前のデカゴブリンの口が大きく開かれ、それは出てきていた。
緑の粘液塗れのソレは醜悪な顔をして、小さな体躯をしていた。
正しくゴブリンだった。
「まさか! ゴブリンを産み出しているのか!?」
シルが驚愕と不快感を露にした顔をしている。
それとほぼ同時だった。
風叫が届いた。
今度は私の耳にも聞こえるものだった。
知っている相手だったからだろう。
対象に私も入れてあった様だ。
『兄貴! 全員を待避させるか、全戦力を山と森の境に寄越せ! 小鬼の王だ! このままだと際限無く奴らは産まれ続け、全てを奪い尽くすぞ!』
スリングさんの声だった。
切羽詰まった様な声だ。
何時も軽口を叩いているあの人らしくない。
そんな声だ。
シルが飛び出すのはその声が響いたのとほぼ同時だった。
矢を番え、風魔法を纏わせて、王に向かって放った。
その矢は私が今まで見た中で一番疾かった。
それくらい見事なものだった。
でも、その矢は届かなかった。
王の前に小鬼族が集団で盾となり、肉の壁となって勢いを殺していた。
王の前で止まった矢は20匹程の小鬼族を貫き、射殺した上で止まっていた。
王はシルを一瞥した後、目の前のゴブリン諸共矢を囓り、咀嚼した。
私はシルを追いかけていた。
シルは動揺していたのか、既に樹上を降り、開けた場所に立っている。
いや、矢を届かせる為には、降りるしか無かったのかもしれない。
王と私達の間にはまだ距離があった。
でも、もう樹上に戻ることは出来ない。
既に周りを小鬼族に囲まれ始めたからだ。
私の身体は震えていた。
シュンとシルは敵の中心を掻い潜りつつ、レシット山脈方面へと順調に進んでいた。
「シュン。やっぱり妙だ。数が多すぎる」
既に私とシルで屠った小鬼族の数は100を超えている。
樹上から弓と魔法による攻撃は圧倒的だった。
上を取れるというのはそれだけで大きなアドバンテージとなるのだ。
それでもその数は減っている気がしない。
「元々1000を越えてるんだし、まだまだじゃないの?」
シルは難しい顔をしている。
腑に落ちないといった風だ。
「いや、さっきから風叫で戦況報告が来ているが、別部隊でも相当数を狩っているらしい。それに加えて、気配探知のスキルを持っている斥候からの報告だと数が減っていないらしい」
風叫とは、風囁の上位魔法で、より広範囲に声を届かせる事ができる。
更に風囁の場合対象が一人だが、風叫は多数に同時発声できる。
私にこの声が届いていないのは、伝令対象を選択できるから、私が対象として選択されていない為だろう。
ただし、デメリットもある。
選択範囲は種族単位が基本となる為、敵にも声が届いてしまう可能性がある事だ。
今回の戦闘は小鬼族が相手だから、遠慮なく使っているけど、国での戦争なんかだと、種族が入り交じるため、安易に使用出来ないんだとか。
「それってどういうこと? 予想よりも敵の数が多いの?」
シルは眉間に皺を寄せている。
「いや、これは数が多いというより……!? シュン! 止まって!」
シルに腕で制止されて、着地した樹上で動きを止める。
「あれは……なんだ?」
シルの呟きに前方を見る。
気付かない内に森の出口まで来ていたらしく。
木の間からは山肌が顔を覗かせていた。
其処にソレは居た。
ゴブリンやホブゴブリン達がひしめき合う中、更に体の大きな緑色の生物がいる。
その体は大きく、3mを超えているだろうか。
顔は……ゴブリンだ。
「見た事もないけど、あれもゴブリンだろうか」
シルが考えを巡らせながら、目を離せないでいる。
そこでソレは起こった。
ゴポォ
粘液質な液体が溢れ落ちる様な不快な音。
いや、『様な』ではなかった。
目の前のデカゴブリンの口が大きく開かれ、それは出てきていた。
緑の粘液塗れのソレは醜悪な顔をして、小さな体躯をしていた。
正しくゴブリンだった。
「まさか! ゴブリンを産み出しているのか!?」
シルが驚愕と不快感を露にした顔をしている。
それとほぼ同時だった。
風叫が届いた。
今度は私の耳にも聞こえるものだった。
知っている相手だったからだろう。
対象に私も入れてあった様だ。
『兄貴! 全員を待避させるか、全戦力を山と森の境に寄越せ! 小鬼の王だ! このままだと際限無く奴らは産まれ続け、全てを奪い尽くすぞ!』
スリングさんの声だった。
切羽詰まった様な声だ。
何時も軽口を叩いているあの人らしくない。
そんな声だ。
シルが飛び出すのはその声が響いたのとほぼ同時だった。
矢を番え、風魔法を纏わせて、王に向かって放った。
その矢は私が今まで見た中で一番疾かった。
それくらい見事なものだった。
でも、その矢は届かなかった。
王の前に小鬼族が集団で盾となり、肉の壁となって勢いを殺していた。
王の前で止まった矢は20匹程の小鬼族を貫き、射殺した上で止まっていた。
王はシルを一瞥した後、目の前のゴブリン諸共矢を囓り、咀嚼した。
私はシルを追いかけていた。
シルは動揺していたのか、既に樹上を降り、開けた場所に立っている。
いや、矢を届かせる為には、降りるしか無かったのかもしれない。
王と私達の間にはまだ距離があった。
でも、もう樹上に戻ることは出来ない。
既に周りを小鬼族に囲まれ始めたからだ。
私の身体は震えていた。
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