30 / 32
第2章
第4話 サリクス林道。
しおりを挟む
コルサ村を後にした私達は順調に旅を続けていた。
野宿も何度か行ったが、特に危険な魔物や魔獣に襲われる事もなく、シルとの二人っきりにも慣れてきた。
まぁ、未だに距離感が急に近い時があってドキドキする事もあるけど……
あと、たまに凄く優しい瞳で見つめられる。
あれは何なんだろう。
途中、何度か魔獣が出たこともあったけど、角兎や迷犬、迷猫くらいだ。
この魔獸達は、特に群れを作るわけでもなく、案外何処にでもいる。
角兎は、頭に鋭い角が生えた魔獣で、蛙兎の近類種だ。
角にさえ気を付ければ危険がある訳じゃない。
自分からは襲ってこないけど、お肉が美味しい、あと、毛皮が暖かい。
角と毛皮は、街でちょっとした小遣い程度の値段で売れるらしく、見かけたらとりあえず、狩っていた。
迷犬は、犬が少し大きくなった様な魔獣で、基本一匹で出てくる。
群れから離れた野犬が魔獸化したものじゃないかって言われてるらしい。
噛みつく力は強く、小鬼族よりも素早いけど、シルや私の速度に勝てる程じゃない。
単体で出てくることもあって、近付かれる前に倒すことができた。
この子もお肉が中々美味しい。
迷猫は、ちょびっとだけ厄介者。
迷犬と同じ様に基本は一匹でしか出ないんだけど、幻惑魔法を使ってくるから、攻撃が中々当たらない。
攻撃力自体はあまり強くないから、やられることはないけどね。
あと、厄介なのは、お肉が美味しくない……
そんな感じで、旅を進めて五日。
私達は、サリクス林道に入っていた。
▼△▼△▼△▼△▼△
「ルべリアの街までは、あと二日ってとこかな」
焚き火の火に照らされて、シルは残りの道のりを告げる。
「はい。熱いから気を付けてね」
シルは紅茶を携帯用のカップに注いで渡してくれた。
「ありがと。あちちっ! フーッフーッ! そういえば、コルサ村のおばさんが言ってたサリクス林道ってこの辺りだよね?」
私は紅茶を一口啜って、辺りをキョロキョロと見渡してみる。
ルレージュ大森林程ではないが、鬱蒼とした林が広がっている。
今、私達が野宿している場所は、サリクス林道の途中にある、拓けた場所だ。
「そうだね。林道はもう少し続くけど、今のところ襲われる気配もないし、大丈夫じゃないかな?」
「襲われても、シルがいれば安心だしね!」
「いや……そこまで信頼されると、逆にプレッシャーだよ」
シルは私の言葉に、苦笑いをしながらポリポリと頬を掻いている。
「ふふふ。そろそろ休もっか! 今日は私から見張りをする番だからね! 安心して!」
トンッと胸を叩いた私を見て、シルは「無茶はしないでね」と一声かけて、眠りについた。
私達は、夜営の時に見張りを交代でする事にした。
最初はシルが見張りを受け持つって言ってたんだけど、七日も夜営をするのに、休み無しとかあり得ない。
『私達は仲間なんだから、役割は分担! それに休まずに進んで、もし戦闘中にミスを犯したりしたら、私も危ないんだから! だから、見張りは、こ! う! た! い!』
と、シルに有無を言わせずに決めたのだ。
こっちに来てから、シルと接して分かった事がある。
シルは、妙に過保護な所があるから、ちゃんと意見を通すには意志を見せないといけない。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
シルが眠ってから、私は焚き火の火を絶やさない様にして、スーちゃんと戯れていた。
「スーちゃんは『使い魔』なのに、何が出来るのかなぁ? 今のところ可愛いだけだよねー?」
「キュ?」
スーちゃんは木の実を齧るのを止めて、小首を傾げている。
「可愛いなぁ! もう!」
スーちゃんの鼻先を軽く弾くと、顔を洗う様な動作で、両手をクシクシしている。
うむ。我が使い魔ながら、最高に愛らしいではないか。
「ンムッ!?」
そんなやり取りをしていたら、急に後ろから口を押さえられた。
何!? 誰!?
「んー! んー!「ギュ!」「イテェ! 何だコイツ!? 黄色栗鼠か!?」
私の口を押さえていた方の手を、スーちゃんが噛み付いた。
「誰!?」「!? シュンどうしたの!? お前! 何者だ!? シュンを離せ!」
私が声を上げた瞬間、シルが飛び起きた。
「何するの!? 離しンングッ!?」
「少し黙ってな!」
私は、また口を押さえられて、お腹を殴られて、気絶した。
野宿も何度か行ったが、特に危険な魔物や魔獣に襲われる事もなく、シルとの二人っきりにも慣れてきた。
まぁ、未だに距離感が急に近い時があってドキドキする事もあるけど……
あと、たまに凄く優しい瞳で見つめられる。
あれは何なんだろう。
途中、何度か魔獣が出たこともあったけど、角兎や迷犬、迷猫くらいだ。
この魔獸達は、特に群れを作るわけでもなく、案外何処にでもいる。
角兎は、頭に鋭い角が生えた魔獣で、蛙兎の近類種だ。
角にさえ気を付ければ危険がある訳じゃない。
自分からは襲ってこないけど、お肉が美味しい、あと、毛皮が暖かい。
角と毛皮は、街でちょっとした小遣い程度の値段で売れるらしく、見かけたらとりあえず、狩っていた。
迷犬は、犬が少し大きくなった様な魔獣で、基本一匹で出てくる。
群れから離れた野犬が魔獸化したものじゃないかって言われてるらしい。
噛みつく力は強く、小鬼族よりも素早いけど、シルや私の速度に勝てる程じゃない。
単体で出てくることもあって、近付かれる前に倒すことができた。
この子もお肉が中々美味しい。
迷猫は、ちょびっとだけ厄介者。
迷犬と同じ様に基本は一匹でしか出ないんだけど、幻惑魔法を使ってくるから、攻撃が中々当たらない。
攻撃力自体はあまり強くないから、やられることはないけどね。
あと、厄介なのは、お肉が美味しくない……
そんな感じで、旅を進めて五日。
私達は、サリクス林道に入っていた。
▼△▼△▼△▼△▼△
「ルべリアの街までは、あと二日ってとこかな」
焚き火の火に照らされて、シルは残りの道のりを告げる。
「はい。熱いから気を付けてね」
シルは紅茶を携帯用のカップに注いで渡してくれた。
「ありがと。あちちっ! フーッフーッ! そういえば、コルサ村のおばさんが言ってたサリクス林道ってこの辺りだよね?」
私は紅茶を一口啜って、辺りをキョロキョロと見渡してみる。
ルレージュ大森林程ではないが、鬱蒼とした林が広がっている。
今、私達が野宿している場所は、サリクス林道の途中にある、拓けた場所だ。
「そうだね。林道はもう少し続くけど、今のところ襲われる気配もないし、大丈夫じゃないかな?」
「襲われても、シルがいれば安心だしね!」
「いや……そこまで信頼されると、逆にプレッシャーだよ」
シルは私の言葉に、苦笑いをしながらポリポリと頬を掻いている。
「ふふふ。そろそろ休もっか! 今日は私から見張りをする番だからね! 安心して!」
トンッと胸を叩いた私を見て、シルは「無茶はしないでね」と一声かけて、眠りについた。
私達は、夜営の時に見張りを交代でする事にした。
最初はシルが見張りを受け持つって言ってたんだけど、七日も夜営をするのに、休み無しとかあり得ない。
『私達は仲間なんだから、役割は分担! それに休まずに進んで、もし戦闘中にミスを犯したりしたら、私も危ないんだから! だから、見張りは、こ! う! た! い!』
と、シルに有無を言わせずに決めたのだ。
こっちに来てから、シルと接して分かった事がある。
シルは、妙に過保護な所があるから、ちゃんと意見を通すには意志を見せないといけない。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
シルが眠ってから、私は焚き火の火を絶やさない様にして、スーちゃんと戯れていた。
「スーちゃんは『使い魔』なのに、何が出来るのかなぁ? 今のところ可愛いだけだよねー?」
「キュ?」
スーちゃんは木の実を齧るのを止めて、小首を傾げている。
「可愛いなぁ! もう!」
スーちゃんの鼻先を軽く弾くと、顔を洗う様な動作で、両手をクシクシしている。
うむ。我が使い魔ながら、最高に愛らしいではないか。
「ンムッ!?」
そんなやり取りをしていたら、急に後ろから口を押さえられた。
何!? 誰!?
「んー! んー!「ギュ!」「イテェ! 何だコイツ!? 黄色栗鼠か!?」
私の口を押さえていた方の手を、スーちゃんが噛み付いた。
「誰!?」「!? シュンどうしたの!? お前! 何者だ!? シュンを離せ!」
私が声を上げた瞬間、シルが飛び起きた。
「何するの!? 離しンングッ!?」
「少し黙ってな!」
私は、また口を押さえられて、お腹を殴られて、気絶した。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
転移先で日本語を読めるというだけで最強の男に囚われました
桜あずみ
恋愛
異世界に転移して二年。
言葉も話せなかったこの国で、必死に努力して、やっとこの世界に馴染んできた。
しかし、ただ一つ、抜けなかった癖がある。
──ふとした瞬間に、日本語でメモを取ってしまうこと。
その一行が、彼の目に留まった。
「この文字を書いたのは、あなたですか?」
美しく、完璧で、どこか現実離れした男。
日本語という未知の文字に強い関心を示した彼は、やがて、少しずつ距離を詰めてくる。
最初はただの好奇心だと思っていた。
けれど、気づけば私は彼の手の中にいた。
彼の正体も、本当の目的も知らないまま。すべてを知ったときには、もう逃げられなかった。
【ご報告】
2月15日付で、誤字脱字の修正および一部表現の見直しを行いました。
ただし、記載内容の趣旨に大きな変更はございません。
引き続きよろしくお願いいたします。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
クラス転移したら種族が変化してたけどとりあえず生きる
アルカス
ファンタジー
16歳になったばかりの高校2年の主人公。
でも、主人公は昔から体が弱くなかなか学校に通えなかった。
でも学校には、行っても俺に声をかけてくれる親友はいた。
その日も体の調子が良くなり、親友と久しぶりの学校に行きHRが終わり先生が出ていったとき、クラスが眩しい光に包まれた。
そして僕は一人、違う場所に飛ばされいた。
72時間ワンオペ死した元球児、女神の『ボッタクリ』通販と『絶対破壊不能』のノートPCで異世界最強のコンビニ・スローライフを始める
月神世一
ファンタジー
「剣? 魔法? いいえ、俺の武器は『鈍器になるノートPC』と『時速160kmの剛速球』です」
あらすじ
ブラックコンビニで72時間連続勤務の末、過労死した元甲子園優勝投手・赤木大地。
目覚めた彼を待っていたのは、コタツでソシャゲ三昧のダメ女神・ルチアナだった。
「手違いで死なせちゃった☆ 詫び石代わりにこれあげる」
渡されたのは、地球のAmazonもGoogleも使える『絶対破壊不能』のノートPC。
ただし、購入レートは定価の10倍という超ボッタクリ仕様!?
「ふざけんな! 俺は静かに暮らしたいんだよ!」
ブラック労働はもうこりごり。大地は異世界の緩衝地帯「ポポロ村」で、地球の物資とコンビニ知識、そして「うなる右腕(ジャイロボール)」を武器に、悠々自適なスローライフを目指す!
……はずが、可愛い月兎族の村長を助けたり、腹ペコのエルフ王女を餌付けしたり、気づけば村の英雄に!?
元球児が投げる「紅蓮の魔球」が唸り、女神の「ボッタクリ通販」が世界を変える!
異世界コンビニ・コメディ、開店ガラガラ!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる