骸骨令嬢の恋×濃〇物語~奪って見せます、王太子っ!~

三木猫

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第三章 きょうこい

第四十一話 セイガン大陸へ上陸ですっ!!

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「…上陸出来ると思ったんだけどなぁ~…」
「まさか大陸全域が山脈でおおわれてるとはなぁ~」
…いつの間に隣に来たのかは解らないけれど、操船室に気配を消して入られると普通なら驚くからね。
そもそもさぁ。
「ウーゾ。アンタ留学してたのに何で知らないのよ」
「いや、俺だって毎日成長する山脈がどう成長するかなんて予期出来ねぇよ?」
「…毎日成長?え?あの山達毎日成長してるの?」
「は?嬢ちゃん知らないのか?」
「ちょっと。それどういう意味?私にだって知らない事の一つや二つあるに決まってるでしょ」
私を何だと思ってるのよ。
そう思って言ったら増々ウーゾに驚かれた。だからその反応はどういう意味かってーの。
そして成長する山って何なのよ。さっさと説明しなさいよ。
ジッ…。目力のみで圧を与えると気付いたウーゾが説明してくれた。
「セイガン大陸って動魔法が充満してるんだよ」
「動魔法が充満?でも魔法って無機物に宿るんだっけ?」
「いーや?嬢ちゃんはこの大陸の名産を知ってるか?」
「宝石でしょ?あと学術」
「正解。この大陸は嬢ちゃんが言ったように宝石が良く採掘されるんだ。その宝石は精霊力を吸収し肥大する」
「あ、分かった。山の成長と言うより宝石が大きくなるからその分だけ山の面積が大きくなっていくんだね。だから山が成長しているように見える」
「そういうこと」
へぇ~。…よく考えたら宝石が大きくなるって怖くない?宝石生きてるってこと?
それに大きくなる物ってさ。後で爆発が定番って気がして…違う意味で怖い気もする…。
「フローラ。安心しろ。爆発なんてしないから」
「アレク様?」
背後から現れたアレク様。
なんで考えてることがバレたんだろう?愛ゆえに?
私もアレク様が何を考えているかくらい解るようにならなければっ!
「それはそれとして。上陸港を見つけたぞ」
「本当ですか?」
問うと手に持っていた世界地図を開いて、アレク様は見やすいように四つ折りにしてセイガン大陸を提示してくれた。
持っている赤ペンで現在地を丸つけて、次に港がある場所を丸く囲ってくれる。
「こんな所に港なんてあったか?」
「前にあった港は山の成長でなくなってしまったらしい」
「あー、成程。で今はここって事なんだな」
「アレク様。その付近、海の中はどうなってますか?山が近かったり、その宝石の肥大とかがあると座礁しやすかったりしませんか?」
「港だし船を受け入れやすくなっているはずだから、大丈夫だとは思うが」
「俺もそう思うけど。安全性を考えるとこっちじゃないか?」
ウーゾの案にアレク様が「そっちは…」とまた返事を返す。
どの道でも構わないけど、安全じゃないとね。この船のレア度の高さ半端ないからなぁ。
なんにも気にしないで海に投げ捨てれるのなんてサルくらいだしなぁ。
「フローラ。こっちだ。ここを真っ直ぐに進み…フローラ?」
大体なんでアレク様との二人旅のはずだったのに、こんなに人が増えてるんだろう?
リアンとマリンは良いとして、サルに白藤ちゃん、ウーゾと予想外な人物ばっかり増えている。
「フローラ?」
セイガン大陸に付けば二人で過ごす時間が増えるかしら?
そもそもここがどんな大陸か、あんまり理解してないんだよね。
学術都市ってのは知ってるけど、それくらいだし。
私も留学の機会がなかった訳じゃないけど、我が家は基本的に人と会う場には行かない事が多い。
何でって、それはこの顔だからで。
皆まず間違いなく最初に驚くでしょう?骸骨だし。
だったらこの姿を理解していない他国へ行かないで、顔を見ずにやり取り出来る手紙だけでやり取りした方が周りにも自分にも優しい結果に落ち着くんだよね。
「フローラっ!」
「わっ!?はいっ!!好きですっ!!」
急にアレク様のドアップについ漏れた本音ですが、事実なので勢いで答えてしまっても後悔はない。
アレク様の尊いお顔には麗しい眉間に皺が寄っている。
え?何?なんかアレク様にとって悪い事でも起きた?
「良かった。何度呼び掛けても気づかなかったから、何処か具合が悪いのかと思った」
「え?何度も呼びかけて下さったんですかっ?」
驚いて聞き返すと頷くアレク様に、さっきはないと言ってしまった後悔が別の形でやってきた気がした。
アレク様の言葉を聞き逃すなんて。なんてことなの…。
今度こそ絶対聞き逃さないんだから。どんな状況でも聞き逃さないんだから。
…常にボイスレコーダーでも持って歩こうかしら。
いや今はそんなことに悩むよりもアレク様が私を呼んだ理由を聞かねばならない。
「それでアレク様。私を呼んでくださった理由は…?」
「あぁ。上陸経路の話だが…」
上陸経路。成程。さっき話していた経路が定まったのか。
アレク様のお手を煩わせてしまったわ。猛省しなければ。
上陸経路の説明を聞いて、船をそちらへ向かわせる。
細かい操作になるとリアンやマリンは出来ないだろうから私の腕の見せ所である。
そうしてアレク様とウーゾの指示の下、船はセイガン大陸に上陸した。
港町にある宿屋に部屋を取り、早速セイガン大陸の偉い人と連絡を取るようにマリンに頼む。
リアンは部屋の外で護衛をしてくれている。
「連絡取れるまでは部屋で待機しますか?」
「そうだな。ただ待っているのも暇だし…付近の図書館にでも行ってみようか」
「図書館?」
「ここは学術の都市だからな。至る所に本がある」
「へぇ~」
話には聞いていたけれど、本当に勉学の大陸なんだなぁ。
「けど出歩いてマリンとすれ違ったらどうすんだ?」
「確かにねぇ。大人しく待ってる?」
「なら、この宿屋の中にある図書室に行くか?」
「流石アレク様。それなら宿の人に伝言残していけるしいいですねっ!」
アレク様のイエスマンの私は早速部屋を出ようとしたけれど、リアンがそれにストップをかけた。
「駄目ですよ、お嬢様、殿下」
「あれ?なんでダメ?」
「まだ私達はこの国で動き回る許可を得ていません」
「え?そうなの?」
アレク様がいるからてっきり大丈夫なのだと思っていたけれど。
「なので今はお部屋にお戻り頂いてもよろしいですか?マリンもすぐに戻ってくると思うんで」
リアンがまた何か意味深な事を言う。
でもそんなリアンの言葉に反抗してまで外に出たい訳でもないので、私達は大人しく部屋で待機することにした。
一人で待つならまだしも皆で待っている分には全然苦にはならない。
皆で談笑しながら待っているとマリンが戻って来た。
「お嬢様。良かった。いて下さったんですね」
「リアンが止めたから、出歩かなかったの。それで?何があったの?」
「実は、私も役所に行って気付いたのですが、どうやら今この大陸の公共機関が機能していないらしいんです」
「ん?それはどういうこと?」
「それが…」
マリンの説明を聞く限りだと、こうだ。
マリンが入国許可を得るために役所に行った所、人っ子一人いなかったそうだ。
現代日本と違いこの世界の国の機関は休みというものがない。なのに客も役人もいない。そもそも入口に鍵がかかっていたそうだ。
全く役所の意味をなしていない。
だからマリンはもしかして自分が役所の場所を間違っただけかもしれないと少し街を歩いて、すれ違った学生に尋ねて役所の位置を聞いたのだが。
学生が口にした場所はマリンが行った場所と相違なかったようだ。
ならば何故役所が機能していないのか、機能している場所はないのかと更に問うた所、学生曰く。
『今、役所は何処も動いてないと思うよ。何でって、それを末端の学生である僕に聞かれても。あーでもなんか噂では【聖女】様が祈りを捧げる為のでかい教会を建てる為にお金が必要だとかで余計な予算をカットしてる…とか?あっ、あくまで噂だからっ』
だそうだ。
だから役所は機能していなかった、と言う事のようだ。
「【聖女】ねぇ。その噂だけ聞く限りだと【聖女】と言うよりは【悪女】って感じだけど」
「役所が機能していないのなら、直に国のトップに会いに行くべきだろうが」
「難しくないか?この国の特性を考えると」
「だがその国の機関が機能していないからこの事態になっているんだろう?」
「他大陸に来たのはこれで三ヵ国目だけれど、一度も真っ当に国に入ってない気がするんだけど、気のせい?」
「気のせい、ではないな」
あははーとアレク様と二人苦笑する。
「役所が機能していないと上に会いに行くのもちょっと骨が折れるな」
「そうでもないですの」
今まで話を聞くだけだった白藤ちゃんがウーゾの頭の上に乗っかって言った。
狼の耳の間に兎。…可愛いな、この図。
「役所を通さずともこの大陸を自由に動き回る方法があるですの」
「白藤ちゃん。その方法って?」
「学生になる事ですのっ!」
学生って、あの学生?
学校に通うって事?
「セイガン大陸は外交よりも学力に力を入れている大陸ですの。だから学校は国の機関とは別に動いているですの。留学に来たと言えば手続きしてくれるはずですの」
「成程。それを利用しない手はないですね、アレク様」
「そうだな。…なら、俺達の母校にしようか」
「だな。あの校長がまだ在籍しているなら融通して貰えるかも知れねぇし」
学校、かぁ。
この世界に転生してからは縁がなかったけど…久しぶりに学校に通えるのはちょっと楽しみかもしれない。
「なら決まった所でその学校までまず行こうか」
「念の為にその学校に通える許可が下りるまでは船で寝泊まりした方がいいかしら?」
何せこのメンバーの位の高さと言ったらヤバいからねぇ。
「いや。あそこなら俺がひとっ走りして許可とってくるわ。ここで待っててくれよ」
そう言って私達の答えを待つことなく、ウーゾは窓から外へ飛び出して行った。
…何で入口から出て行かないかな~…。
「ウーゾがああ言ってくれたことだし。フローラ。俺達は二人で大人しく待とうか」
「はいっ!アレク様っ!」
…ん?二人で?
白藤ちゃんは…もしかしてウーゾの頭に乗ったまんま一緒に行っちゃった?
そう言えばサルもウーゾの腰の瓶に入ったままだし…。
ちょっとっ、これはもしかしなくても二人きりじゃんっ!
アレク様とのイチャイチャチャンスっ!
「久しぶりに二人きりだな、フローラ」
「はいっ!アレク様っ!」
両手を広げてくれたのでその胸に遠慮もなく思いっきり抱き着いた。
「学校、か」
「アレク様?」
なんかアレク様が憂い気なんだけど、どうして?
大丈夫なの?心配になるよ?
「アレク様?学校が嫌なら私、何とかして別の接触方法探りますよ?私にとってアレク様が第一なんで」
私がそう言うと、アレク様は一瞬きょとんとして、すぐにその尊いお顔に笑みを浮かべた。
「大丈夫だ。ただ学校にはいい思い出がなくてな」
「?、そうなんですか?」
「祝福が…あぁ、そうか。フローラは知らないんだったな。学校で貰う校章なんだが細工がしてあるんだ」
「校章に?」
「あぁ。校章をつけると祝福を一時的に遮断することが出来る」
……って事は…、アレク様がついたため息の意味を理解した。
「…アレク様、安心してくださいね。アレク様に寄ってくる邪魔な虫は全てなぎ倒しますからねっ!」
「俺としては、フローラに寄ってくる邪魔な虫の方が気になるんだがな」
「そんな虫、いる気はあまりしませんが私はアレク様一筋なのでっ!」
断言してもいいっ!私はアレク様以外に目はいかないっ、絶対にっ!
胸をはって声高に宣言すると、アレク様の瞳は嬉しそうに蕩けて微笑んだ。
うぉっふっ!…眩しい微笑み。私が浄化されていく…。
「俺のフローラは本当に可愛い」
「あ、アレク様…?」
「フローラを眺めていると癒される。だけどそれ以上にこうやってくっついてる方が癒されるな」
直球で甘い事を言われたので、顔が熱くなる。
はたから見たら骸骨が赤くなってるなんて怖い光景だが、今はアレク様と二人しかいないんだから。
私は今のこの状況を思う存分満喫することに決めた。

後にウーゾが戻ってきて早々私の顔を見て叫んだのは言うまでもないことかもしれないが、腹が立ったのでリアンに思いっきり腹パンするように言ったのは仕方ない事だよね。うん。
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感想 1

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みんなの感想(1件)

みおせな
2022.04.02 みおせな

早速読ませていただきましたっ!!
これからの展開めっちゃ楽しみです(´- `*)主人公、すごくかっこいいっ!!そしてやっぱりテンポ感がいいなぁって思います!!

読んでいて、色々気づいて一人で叫びました(笑)なるほどなぁって思いました!!繋がってる感じがすごく好きです♡

はじめから読めるのがすっごく嬉しいです!応援してます(*´ー`*)

2022.04.08 三木猫

ありがとうございますっ!(*'ω'*)

早速読んで頂きありがとうございますっ!(ノД`)・゜・。
前回の美鈴とは違い強さしかない主人公を目指しています(笑)
今回もまた始めて書くタイプの主人公なので試行錯誤中です(*´ω`*)

気付いて頂けて嬉しい限りです(笑)
本編で掬い取れなかったのでこっちでカバーさせて頂きました(≧▽≦)

これからもお心が許す限りどうぞお付き合い下さいませ~(∩´∀`)∩

解除

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