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抱き締めても良いですか?
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しおりを挟む「申し訳ありません。手で塞ぐ行為もキスと呼ぶのであれば、私は桃ノ木様とキスをしたことに……」
「待て……待ってくれ……ちょっと瑛太さんぶん殴ってきて良いか?」
「え……」
「あの人……!!」
誤解を招くようなことをしてくれたものだ。リビングから飛び出そうとした俺を浩介が全力で止めている。
「桃ノ木様を殴る行為は、見過ごせません!」
「あの人のせいで俺……! お前が浮気してるって思って!」
「え!?」
「仕事中もそればっか考えて! 後輩に呆れられて! お前……苦しめた! ごめん!!」
謝るのが先だった。浩介を力一杯抱き締めた。
「ごめん! お前は何も悪くなかった!」
悪くないのに責めてしまった。泣かせそうだった。抱き締めた俺を、抱き返してくる。
「……私は、あなたの側に居ても良いですか?」
「居てくれなきゃ困る!」
「……良かった!」
少し震えていたその体を撫でてやる。正直に話した。
「お前が瑛太さんとキスして、体触らせてんじゃないかと思って頭きてた」
「……腹部を押されたり、擽られたりはしていましたが……」
「それが、お前が感じてる声に聞こえてたんだよ。つか、触られたのか?」
浩介を引きはがした。戸惑うように見つめてくる。
「いけなかったでしょうか?」
「……ちょっと来い」
分かっている、浩介と瑛太は兄弟みたいなもの。瑛太に触られたところで、浩介は何も思わないのだろう。
だが、携帯電話の向こうでは、確かに浩介が喘いでいるような感じだった。特に、通話が切れる少し前は、かなり興奮しているように聞こえた。
浩介をベッドに押し倒し、手で口を塞いだ。
「どこから触られた?」
「腹部を、押されました……ぅん」
グッと押すと、眉間に皺を寄せてくぐもった声を出している。
「それから?」
「脇やお腹、太腿を擽られ……うっ……ふっ!」
俺の手に、くぐもった声を出しながら悶えている。特に、太腿が弱いのか、長身を捩って堪えていた。
瑛太が、じっとしていろと言えば、浩介はじっとするだろう。分かっていてやったのが腹立たしい。俺さえまだ、こんな悶えている浩介は知らないのに。
「他には?」
だんだん、浩介の顔が赤くなっていく。俺を見上げ、視線をそらしている。
「何、やっぱり何かやましいことがあるのか?」
言えない何かがあったのか。知らず睨んでしまう俺に、浩介が違うと首を横へ振っている。目元を隠した浩介は、観念したように告げた。
「……耳たぶを……揉まれましたが……苦手で」
「……へ~~……あの人、マジでぶん殴るかもしれない」
「止めてくださ……ぅん! ふっ……ぁっ」
身を竦めるほど感じるのか。耳たぶを揉む俺の手を引き離そうとしている。その手に力が入っていない。筋肉の塊である浩介が骨抜きになっている。
両手で両耳を揉んでやる。顔を真っ赤にした浩介の目が潤んでくる。
「お前……俺も知らない姿を瑛太さんに見せるなよ」
「……わ、分かりませ……くっ!」
「くそっ! こんな可愛い姿を、あの人は!」
兄弟のように育った仲だと分かっていても、こんな姿は俺だけが知っていたかった。弱々しく俺の手に自分の手を重ねている浩介。耳穴に指を入れるとビクッと震えている。
「そ、その様なことはされていません!」
「……じゃ、俺が初めてだな?」
「もう、良いでしょうか? これ以上は……あっ! 何を……!?」
変態になった気分だ。浩介の顔を抱き締め耳穴に指を入れながら、彼のベルトを抜いた。チャックをおろし、下着の中からモノを取りだした。少し反応していたそれを握り締めてやる。
「お前、まさか瑛太さんの前でも立ってないよな?」
「そのような……ことは決して……!」
「ほんと……イラつく!」
激しく擦ってやった。浩介が俺にしがみ付いている。何度か擦るとイッている。濡れた自分の手を見ると、訳の分からない虚しさが込みあげた。
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