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31話 第7エリアへの行き方
しおりを挟むエール王国、王政エリア。管理局本部。
「……第8エリアのピックルスがやられたらしいな」
「ああ、なんでもプリティ☆デビルとかいう訳の分からん女子供に惨たらしくぶちのめされたらしい」
「今も行方不明らしいな」
「オレはデビルアイランドのデスベアーさんのエサになったって聞いたぜ」
「ええ……なにそれこわい」
「うふふ、まあそれは大変ねえ~」
「クラウト様、なにか知ってそうですね?」
「さあ、私はなにも~? それよりモッツァレルちゃん、あなた気を付けた方が良いんじゃない~?」
「ヘ? アタシですか?」
「まあ、そうだな。第8エリアがやられたんだ。次は第7エリアかもしれんぞ」
「うっわ、それダルすぎなんですけど。まじダルビッシュ」
(((ダルビッシュってなんだ……?)))
__ __
エール王国に乗り込み、怒涛の勢いで第8エリアを解放することに成功した俺たちプリティ☆デビル一味は、
国王サイザーの母であり、協力者のクラウトさんのお願いで、第7エリアの牢に幽閉されているシスターを救出するべく、作戦を練っていた。
「それで、どうやって第7エリアに行くんだ? あの壁を超えるのは容易じゃないと思うんだが」
エール王国の下層部は8つのエリアに分かれているのだが、それぞれのエリアの境目には巨人もびっくりの石壁が設置されているのだ。
「前はあんな壁なんてなかったんじゃがのう」
「変身してジャンプすれば余裕ルナ」
「いや目立ち過ぎかよ。すずめじゃねえんだぞ」
一応隣のエリアに移動できる門は存在するのだが、商人などの一部の許可された人たちだけだ。
「まあ実はこっそり入れる場所を知ってるルナけどね」
「知ってんのかよ」
さっきのジャンプうんぬんはなんだったんだよ。
……。
…………。
「このお店ルナ」
「……“にこにこ駄菓子商店”」
ルナの案内で俺とサタンがやってきたのは、第7エリアと隣接している小さな駄菓子屋さんだった。
「随分とぼろっちい店じゃの」
「てか異世界にも駄菓子とかあるんだ」
「串刺しさん次郎とか美味いのじゃ」
それなにが串刺しになってんの? 次郎さん?
「こんにちはルナ~」
「っておい、ルナは会話しない方が」
「ここは大丈夫ルナ」
「いらっしゃい……」
中に入ると、いかにも駄菓子屋の店主ですって感じのばあさんが奥から出てきた。
「“うまい壁”をくださいルナ。あとおトイレを貸して欲しいルナ」
「ほう……アンタらが」
ばあさんは奥に一度引っ込むと、なにやら鍵のようなものを2つ持って戻ってきた。
「はいよ……洗面所は隣のプレハブ小屋じゃ」
「ありがとルナ」
「じいさんによろしくのう……」
ばあさんから鍵を受け取った俺たちは、店の隣にあるトイレの中へ入る。
「なあ、今の会話はなんだったんだ? うまい壁ってなんだよ」
「クラウトさんから教えてもらった“壁越え”の合言葉ルナ」
ルナはトイレの奥にある用具入れに向かい、下を指さした。
「ここから第7エリアに行けるルナ」
「これって……鍵穴か?」
ルナが指さした先には、小さな穴が空いている。
「なるほどのうさきほど預かった鍵はここの物じゃったか」
そのままルナは用具入れの床にある穴に鍵を差し込んだ。
ゴゴゴゴゴ……
「うわっ床が勝手に動いたのじゃ!」
「スライド式ルナ」
鍵を回し、カチャっと音がしたと思ったら床がいきなり横にスライドし始める。
ゴトッ! ボトッ!
「っておい! 上に乗ってる掃除用具とか全部落ちてったぞ」
「カモフラージュ用ルナ」
「そういう問題じゃないじゃろ」
スライドした床の下には地下へと続く階段が現れた。なるほど、ここを降りていけば第7エリアに通じてるってわけだな。
「さあ、無限の彼方へレッツゴールナ!」
「気分は脱獄囚だけどな」
「まあ拙者たちも指名手配されておるしの」
これから牢に囚われているシスターとやらを助けに行くのに、こっちも囚人みたいなもんだからな。
__ __
ゴゴゴゴゴ……
「おお、こっちも勝手に開いた」
用具入れの地下階段を降りてしばらく歩き、突き当りに現れた階段を上がった先にある小さな穴に、ばあさんから貰ったもう1本の鍵を差し込む。
すると再び天井、というか床がスライドして地上に出ることができた。
「ここは……」
「便所じゃな」
入ってきたトイレの用具入れと同じ作りだ。本当にエリアをまたぐことができたのだろうか。
「あっお店の名前を見るルナ!」
「店の名前? ……あっ」
「“わくわく駄菓子商店”じゃの」
第8エリアの駄菓子屋はにこにこ駄菓子商店だったか。どうやら同じところに戻ってきたわけではなさそうだ。
「こんにちはルナ~」
「っておい」
がららっと店の扉を開けてルナが中に入っていく。アイツ見た目がぬいぐるみなの自覚してんのかな。
「……いらっしゃい」
「おトイレ借していただきありがとうございましたルナ。うまい壁も美味しかったルナ」
「……ばあさんは元気してたか?」
「元気だったルナ」
「……そうかい」
向こうのばあさんと壁で隔たれてしまったのだろうか。くそう! 国王の奴、許せねえぜ!
「相変わらずクソ不味い菓子売ってんのかなあのジジイはって言ってたルナ」
「……今度アレに会ったらいつまで売れ残りの腐った菓子並べてんだクソババアって言っといてくれ」
「オイ」
心配して損したんだけど。
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