ダンジョン塔の地下迷宮~俺だけ入れる激レア階層を駆使して最強を目指す~

ふぃる汰@単行本発売中

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第1章 地下1階層

21話 ユグドラコロシアム

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「ゴクゴク……うーん、微妙っすねぇジンジャーアイスティー。先輩にあげるっす」


「いらないよ。絶対不味いじゃんそんなの」


 ファミレスでの食事も落ち着き、ドリンクバーでオリジナル飲料を調合してどちらが美味しい飲み物を作れるかのバトルフェイズに入った俺と日奈多さん。
彼女が『ハチミツ生姜湯みたいで美味しくなるはず』とか言って作ってきたジンジャーエールとアイスティーの混合飲料は失敗に終わったようだ。


「先輩のそれなんすか? メロンパンジュース?」


「なんだよそれ。カルピスメロンソーダだよ」


「ずるいっす! 全然冒険してないじゃないっすか!」


「そんなことない、冒険してる冒険してる」


 ふふ、日奈多さん……俺はもうそういうのは卒業したんだよ。結局ほどほどが1番良いんだから。


「そんなんだからいつまで経ってもフロアランク1の初級ライザーなんすよ」


「ぐはぁっ!?」


 唐突な日奈多さんからのダイレクトアタックで俺のライフポイントはゼロになった。


「先輩が中級ライザーになったらうちも応援できるのになー」


「応援って、それは〝コロシアム〟に出場したらでしょ? 俺は出る気無いよ」


「えー出ないんすかユグドラコロシアム。ライザー同士の魂震える激アツバトルっすよ」


 『ユグドラコロシアム』


 ユグドラタワーでのライザー活動が少しずつ一般にも認知され、活動初期にライザーとなった人たちが第20階層を突破して中級ライザーが誕生し始めた頃。
タワーの周囲を無人の更地にしてユグドラセンターの建設を予定していた時、唐突にタワーの横に巨大なカプセル状の建物が出現した。


 建物の中は何もない空間だけが広がっており、当初はその見た目からユグドラエッグと呼ばれていたが、調査によりいくつかのことが判明した。

 ・そのカプセル状の建物の中に入れるのは、第20階層を攻略したフロアランク21以上の中級ライザーだけである。

 ・建物の内部では、フロアにいる時と同じように魔装やユグドラタワー産の武器を装備して行動することが出来る。

 ・建物の壁は視認性の高い透明で頑丈な素材で出来ており、外部から内側を観察することが出来る。

 ・カプセル内はモンスターやフロアボスなどは存在せず、魔石や素材のドロップもない。

 ・カプセル内で瀕死になると、ユグドラタワーと同じように回復した状態で外に強制転移し、その日は入ることが出来なくなる。


 これらの条件により、今後この建物をどう活用するかという意見がなされた結果、内部に入れるフロアランク21以上のライザーたちがユグドラタワー内でしか使えない特殊な装備や武器を用いての対人戦を行なう『ユグドラコロシアム』として運営されることになったのだ。
ちなみにこの対人戦のことを『ユグドラバトル』という。


「試合に勝ったら結構賞金出るって聞きましたよ。特に自分より高ランクの人に勝ったらフロアの観客爆上げっすよ」


「それってDJライブとかのフロアじゃない?」


 コロシアムの周りに建設された観客席に加え、外から中継、撮影した映像を各家庭でも視聴することが出来る。
試合の勝ち負け予想を公営ギャンブルとして実施していたり、ゲストとして有名なライザーが実況解説をしたりということもあって、ユグドラコロシアムでの興行は非常に盛り上がっていた。


「それにほら、ユグドラバトルで活躍できれば人気者になって女の子にモテモテっすよ!」


「モテモテねえ」


「年下JKから大人気になって猛烈アタック不可避っすよ。アタックチャ~ンス! っすよ」


「古いなネタが」


「元ネタは知らないっす」


「芸人の方か……それでもまあまあ古くない?」


 そもそもユグドラバトルの出場条件がフロアランク21以上の中級ライザーなわけだし、今の俺には考えても仕方がない事だな。


「……とはいえ、あんまし人気になられても嫌なんすけどね」


「ん、なんか言った?」


「なんでもないっすよー。あっ和取先輩! 〆にエスカルゴ食って良いすか?」


「別に良いけど……そんな食後のデザート感覚でエスカルゴ食うJKとか初めて見たよ」


「最近ガッコーで流行ってんすよ。〆エスカルゴ」


 渋いな最近の女子高生。



 
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