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第2章 地下2階層
38話 雑魚雑魚にーちゃん
しおりを挟む「あ、母さん? ……そう、今うちにいる。とりあえず今日のところは大丈夫。……うん、ちょっと話聞いてみるわ。また連絡するから」
家出してきた妹たちを部屋に入れ、実家に電話をかけて安否を報告しておく。
まあ、実はヒナとルナの家出は今回が初めてじゃないし、親も俺のところに行ってると思ってたっぽいからとりあえずは問題解決。
とは言っても、中学生のうちから頻繁に家出なんかされたらたまったもんじゃないとは思うが。
「……ふう。それで、なんで家出してきたんだ?」
「ソラにーちゃん、ヒナお腹空いたー! ごはん作って!」
「ソラにい、まずは食事にしよう……」
「それは普通提供する側が言うもんだろ」
冷蔵庫を開けて、買ってきた酒を仕舞いつつ常備菜を確認する。
「ピーマンとタマネギ、これは……ニラか。前にニラ玉したときの余りだな」
今日はコンビニ弁当を買って来たけど、普段は週イチでスーパーに食材を買い出しに行っているので、それなりに料理が作れそうな感じのストックはある。
コンビニ弁当はまあ、明日食えばいいか。
「冷凍庫は……豚ひき肉があるのか。それなら……ヒナ、ルナ。夕飯、ガパオライスで良いか?」
「「なにそれ?」」
―― ――
「いただきまーす! はぐはぐ……美味しーい!」
「ちょっと、変な匂いするけど結構美味しいかも……」
「死んだザリガニみたいな匂いするね!」
「もうちょっとマシな表現にしてくれ……まあ、ナンプラーとオイスターソース入ってるからな」
最近エスニック料理にハマってる俺が作ったなんちゃってガパオライスは、腹をすかせた妹たちにそこそこ好評みたいだ。
本当はピーマンじゃなくてパプリカが良いんだけど、まあそこまでこだわりはないので美味しければなんでも良いだろう。
「もぐもぐ……ソラにーちゃんちの米、なんか細長くてぱさぱさしてるね!」
「ソラにい、貧乏だからこんな租米しか買えないの……?」
「租米って昔の年貢米の事で、低品質の安い米って意味じゃないからな。あとこれはジャスミンライスだ。エスニック料理にはこっちの方が合うんだよ」
まあ、貧乏なのは間違ってないけど。
「それで? なんで家出してきたんだ?」
「おとーさんとケンカした!」
「やっぱりか……」
なんとなく理由は想像がついていた。
そんでもって、ケンカの内容も……
「おとうさん……またソラにいのこと馬鹿にしてた」
「お前たちはアイツみたいになるなよーってさ。あったまきちゃった!」
「ソラにいは、夢を追って頑張ってるのに……」
父さんはライザーという職業を認めていないタイプの人間だ。
その為、高校を卒業してから大学にも専門にも進学せず、かと言ってまともな職にも就かないでバイトしながらライザー活動をしている俺の事を色々な意味で馬鹿にしている。
いや、馬鹿にしているというよりは、育て方を失敗したとか思っているのかもしれない。
妹たちには俺みたいになって欲しくないから、実家では俺の事を反面教師の例としてよく話題に出すのだろう。
……まあ、でも父さんの気持ちも分かるっちゃ分かるんだよな。
進学するなら金を出すって言ってくれたのを頑なに断って、わざわざこんな暮らしをしているのだ。
長男がこれじゃあ、世間体もそんなに良くないだろう。
「兄ちゃんさ、最近フロアランク11になったんだ」
「えっそうなの!? ライザーになってからずっとランク1の雑魚雑魚にーちゃんだったのに!?」
「雑魚雑魚にーちゃんやめてね」
「ソラにい、有名ライザー……?」
「まだ全然そんなんじゃないけどさ、少しずつ活躍出来てきてるとは思う」
多分、父さんは親戚からも俺の事で色々言われてるんだろうなあとは思う。
母さんは『子供には借金と犯罪以外は自由にやらせるべし』って感じで、そういうの気にしないタイプだけど。
「まあだから、今は父さんも俺の事を認めてくれてないけど、ライザーとして一流になれれば、いつかきっと認めてくれる……いや、認めさせるから。それに、父さんも二人の将来を真剣に考えてくれていると思うぞ」
「「うん……」」
「というわけで、今ごろ父さんも反省してる……かもしれないから、今日はうちに泊まっていって、明日実家に帰りなさい」
「「はーい」」
やれやれ、酒を飲みまくってぱーっとやるのはまた今度だな。
「って、あーっ! ソラにーちゃん指輪してるー!」
「ソラにい、結婚したの……? ルナ以外の女と……」
「そのネタもういいって」
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