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第2章 地下2階層
40話 地下2階層
しおりを挟む「よし、着いた」
ユグドラタワーのリフトに乗り込み、地下へと降りる浮遊感で内臓がフワッとなるような感覚を覚えながらしばらく待つと、ポーンという音と共に目の前の扉が開かれた。
「ここまで来るのに大体5分ってところだな……」
地上階層の第1階層から第2階層に移動するのには10秒もかからないのに対し、地下1階層までは約3分、そしてこの地下2階層まではプラス2分……かなり地下の奥の方まで来ているのだろうか。
それとも別の空間に転移しているとか……まあ、その辺りは俺が考えても仕方ないか。
「さて、あのゴキブリまみれだった地下1階層の下はどんな感じになってるの、か……」
リフトの外に出た俺の目に飛び込んできたのは、まばらに生えた木々の間に、白い布で作られたボロボロの家のようなものがいくつも建てられた、まるで森に住む部族の集落のような光景だった。
「な、なんだここは……?」
天井を見上げると、地下1階層のような青い空と濃霧は確認できず、薄暗い曇天の空がどこまでも続いていた。
「もしかして、人が住んでいるのか?」
周囲の家を観察してみるも、人の気配は感じられない。
家の外に出ている人もいなくて、集落は静まり返っていた。
「なんだろう、昔は人が住んでいた廃墟的なのをイメージしたフロアなのかな」
地下1階層の感じなら、今はこの廃墟にモンスターが棲みついているのかもしれない。
少し慎重に探索してみよう。
「きゃああああああああああああっ!!」
「っ!?」
探索を進めようと1歩踏み出した俺の耳に、女の子の叫び声が飛び込んでくる。
「何かに襲われてる!? やっぱり、人がいるのかっ!?」
俺は急いで叫び声が聞こえた方へと走っていく。
似たような白い布の家を回っていくと、1軒の家の前にイノシシのような頭をした大男がいるのを発見する。
その大男は、家の中にいる誰かを無理やり外に引っ張り出そうとしていた。
「ブヒヒヒヒヒヒヒイ!!」
「嫌あっ!! だっ誰か助けてっ……!」
「っ!!」
あの家の中にいるのは、恐らくさっきの叫び声の女の子だ。
この状況……放っておくわけにはいかないな。
「おいブタ野郎! その子を離せ!」
「ブヒイ……?」
俺の存在に気付いたブタ男が女の子の手を掴んだままこちらに振り返る。
身長は2メートル近くあって、だいぶガタイが良い。
ガタイが良いというか、デカくて太ってるというか……筋肉もあると思うけど、かなり腹が出ていて見苦しい。
「ブッヒヒイイイイイ……!」
「きゃっ!」
俺の存在に腹を立てたのか、女の子を掴んでいた手を離してこちらに向き直り、臨戦態勢を取るブタ男。
「あ、ちょっと待って、まだ武器を出してなかっ」
「ブッヒイイイイイイイイイイイイイイ!!」
「うおっ!?」
リフトから降りたばかりで戦闘準備が出来ていなかった俺の事情など知らんとばかりに、ラグビー部もびっくりの違法タックルをしてくるブタ男。
……しかし、俺には全て〝視えて〟いた。
「フライングした割にはずいぶん遅いな!!」
「ブヒィッ!?」
魔装の力で身体能力と動体視力が更に強化された俺は、突撃してきたブタ男を避けてひざ裏に蹴りを入れ、これまた魔装の力で強化された貫通力バツグンの拳で倒れる途中のブタ男のみぞおちに渾身の一撃を食らわせた。
ト〝コ〝ッ!!!! バッキイイイイイイイイン!!!!!!
「フ〝ヒ〝ッイ〝イイイイイイイイ!!??」
「ん? この感触……コアか」
ちょうどみぞおちの裏にコアがあったのか、何かが割れるような感触と共に、ブタ男は断末魔をあげながら消滅した。
「ドロップは、今回は無しか……しまった、せめてモンスターの種類を確認しておけばよかった」
「あ、あのっ」
「君、大丈夫? 掴まれた腕とか、痛く、ない……?」
「は、はい! 大丈夫です!」
助けた女の子に声をかけられ、振り返る。
するとそこには、ファンタジーアニメでしか見ないような、スッと長い、先の尖った耳をしたライムグリーンの髪の少女が立っていた。
「助けていただきありがとうございます!」
「…………ユーアー、エルフガール?」
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