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第2章 地下2階層
54話 世間的評価
しおりを挟む「いち、じゅう、ひゃく、せん、まん……2万4000円……へへ……すごい稼ぎだ……!」
ライザー活動を終えて地下2階層から脱出した俺は、ユグドラセンターにある魔石の換金所で本日の稼ぎを確認して思わずニンマリしてしまう。
高品質の緑の魔石が小、中サイズ合わせて十数個と、最後に戦った大きなレッドイノシークとインディゴイノシークからドロップした大サイズかつ高品質の緑の魔石が2個。
魔石はクラフターにアイテム作製を依頼するときの素材としても使うので今日手に入れた分を全て売ったりはしていないが、それでも普段のバイト1日分の給料よりも全然多い。
「今まではコイツの餌にしてたもんなあ……そう考えるとお前、餌代ハンパないな」
右手の中指に装着した指輪……魔装NULL改め、魔装ヴェノムイーターを軽く撫でる。
コイツを今の覚醒状態まで育てる為、地下1階層で手に入れた魔石は売らずにほとんど消費してしまったのだ。
「今日はバイトも無いし、明日からの地上階層攻略の為に少し贅沢して精がつくものを食べようかな」
そういえば昨日、日奈多さんに焼肉奢ってくれーとか言われてたっけ。
昨日の今日で都合付くか分からないけど、一応誘ってみようかな……?
「ふんふんふ~ん♪ ん? あっソラさんだ! おーいっ!」
「えっ? あ、コハルさん? ……なんかスキップしてる」
ユグドラタワーの出入り口のゲートから出てきたコハルさんがこちらに向かってブンブン手を振りながらスキップで近づいてくる。
いつもフレッシュで元気いっぱいな彼女だけど、今日は一段とテンションが高い。
「お、お疲れ様。もしかして、何かいいことあった?」
「あっ分かりますか~? 実はわたくし桜ヶ丘コハル、本日遂に第20階層のフロアボスを倒してフロアランク21になりましたっ! 初級ライザー卒業ですっ!」
「おお~すごいじゃん! おめでとうコハルさん!」
「ありがとうございますっ!」
タワーの第20階層を攻略するとフロアランクが21に上がるということだけでなく、ライザーとしても初級から中級へと昇格する。
世間的には中級ライザーからが職業として社会的地位を認められ、プロのライザーと名乗っても問題ない場合が多い。
実際には第1~20階層までのフロアをうろついてモンスターを討伐し、ドロップした魔石を換金して生活する初級ライザーもいるのだが、やはりそれだと大きく稼ぐことは難しいし、世間的にも今の俺のように、貧乏なフリーター生活と同じようなイメージを持たれてしまう。
まあ、フリーターが悪いとは思わないけどね……とはいえバイトしながら夢を追うにしても、ライザー1本で食っていきたいと親を説得するにしても、納得させるにはそれなりに世間的評価が必要な家庭が多いだろう。
うちの父親もそんな感じだし。
「第20階層のボスに苦戦してて、ここ最近ライザー活動が停滞気味だったんです。でも、諦めずに何年も活動を続けているソラさんが第10階層のフロアボスを討伐したって聞いてから、私もこれくらいで諦めてちゃダメだなって……だから、前に進めたのはソラさんのおかげなんです! 本当にありがとうございます!」
「いやそんな、コハルさんが頑張ったからだよ」
まあでも、知り合いの頑張りが報われる瞬間っていうのは見てるこっちも嬉しい気持ちになるよね……いや相手によるか。
同期の郷原くんが昇格したときとか別になんとも思わなかったかも。
「コハルさん、今日はお祝いだね」
「ソラさんお祝いしてくれるんですか!?」
「えっ俺で良いのかい?」
「もちろんです! 焼肉行きましょう焼肉!」
コハルさんのお祝いのイメージ、だいぶ男子高校生だな……まあいいか、俺も丁度焼肉食いたいって思ってたし。
「分かった。それじゃあ行こうか、焼肉屋さん。奢らせてもらうよ」
「やったー! ソラさんの奢り!」
「その代わり、もう一人誘っても大丈夫? 一応コハルさんも知ってる相手なんだけど」
「良いですよー。あっもしかしてアオイちゃんですか?」
「よく分かったね」
こうして俺は、後輩ライザーのお祝いの為に本日の稼ぎが早速消え失せる事を覚悟した。
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