102 / 102
第3章 地下3階層
102話 ライザーの父
しおりを挟む「やっきにく~♪ やっきにく~♪」
「ソラにい、テールスープ半分あげる……」
「あ、ああ……ってそれ、ルナが飲みきれないだけだろう」
焼肉くいーんユグドラ駅前店。
ライザー活動を終えた俺を待っていた両親と妹たちが本日のユグドラバトルの祝勝会をしてくれるということで、みんなで焼肉食べ放題へ。
父さんも一緒なのはだいぶ久々だ。多分母さんともども、妹たちに言われてユグドラバトルの中継見てたんだろうな……
「ソラ、最近はどうなの? ちゃんとごはん食べてる? 出来合いの物でもいいけど、栄養バランス考えて食べなさいよ」
「だ、大丈夫大丈夫。クラフターみたいなこと言うんだから……」
「もぐもぐ……ホラにーひゃん、くらふらーっへなひ?」
「ヒナ、一旦食い終わってから喋りな」
「ふぁーい」
「ソラにい、冷麺半分あげる……」
「俺は食べ放題の助っ人じゃないんだが……」
好き勝手食べる妹たちとその相手をする俺……そしてそんな俺たちを見ながら食事をする両親。
まあ、昔から家族の食事ってこんな感じだったな。
「…………ソラ。ライザーの方は、どうなんだ」
「……最近、中級ライザーになったよ。まだバイトもしてるけど、ほとんどライザー活動の稼ぎだけで食っていけてる」
「…………そうか」
「もぐもぐ、ごっくん。おとーさん、ソラにーちゃんは凄いんだよ! 前は全然ランクが上がらない雑魚雑魚にーちゃんだったけど、今はフロアランクぐんぐん上げて大活躍なんだから!」
「今日の試合も、ゴリラみたいな人に勝ってたでしょ……? あれで知名度も上がって、人気急上昇中……彼女もいる」
「アオイねーちゃんっていうんだよ!」
「あらそうなの? ソラったらそれを早く言いなさいよ~!」
「いやアオイは彼女じゃなくてただのバイト先の後輩だから……」
「…………ただの後輩を、名前呼びはしないだろ」
「そうだそうだー!」
「と、父さんまで乗っからなくていいからっ」
―― ――
「ふぃ~いっぱい食べた~!」
「色々食べれて、満足……」
「俺はルナのお下がりばっか食って腹一杯なんだが」
焼肉店で散々食べて飲んで、最後にデザートを食べてシメにする。
っていうかこれ、俺の祝勝会だったんだよね?
妹の残飯処理で呼ばれたわけじゃないよね?
「…………タバコ、吸ってくる」
「もう少ししたら出るから1本だけにしなさいよー」
母さんはちょくちょく電話してたけど、父さんはマジで久しぶりだったな。
ライザーやるって言って家出てから、ほとんど帰省してなかったし……ここ最近は、父さんに反発して帰らなかったというより、第1階層をクリアできない自分が情けなさ過ぎで会えなかったところが大きいけど。
「……実はお父さんね、30才くらいまではフリーターだったのよ」
「えっ、そうなのか?」
「お義父さん……ソラたちのお祖父ちゃんに、30までに結果が出なかったら就職するって約束して、それまでは夢を追ってたんだけど、結局うまくいかなくって。30才からだと未経験でそれなりの仕事に就くにもだいぶ苦労して……そんな感じだったから、ソラにも『夢を追うならせめて大学は出ておけ』って言ったのよ」
「そうだったんだ……」
実際、ライザーを始めたは良いものの結果が出ずに年取って体力が落ちて引退からの就職……という人はかなり多い。
中級、上級で活躍してたライザーならまだしも初級ライザー程度の実績を評価してくれる企業は正直ほとんど無いのが現状で、30、40過ぎても高卒フリーターという元ライザーは結構いる。
「でもソラにーちゃんは今活躍してるんだし、引退してもユグドラタワー関係の会社に就職できるんじゃない?」
「あはは、そんな世の中うまくいかないって。むしろ中級ライザーになれただけでも奇跡みたいなものだったんだから」
ライザー活動を始めてから今までの辛い数年間を経験してるからこそ、現状の上り調子を楽観視しないでがんばろう。
「…………なんの話をしてたんだ?」
「いや、父さんも大変だったんだなーって」
「おとーさんも昔は雑魚雑魚とーちゃんだったんだね!」
「雑魚雑魚は遺伝する……」
「…………お前、話したのか」
「あら、なんのことかしら?」
―― ――
これにて第3章完結!
第4章~はカクヨムにて連載中です!
0
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
役立たずと言われダンジョンで殺されかけたが、実は最強で万能スキルでした !
本条蒼依
ファンタジー
地球とは違う異世界シンアースでの物語。
主人公マルクは神聖の儀で何にも反応しないスキルを貰い、絶望の淵へと叩き込まれる。
その役に立たないスキルで冒険者になるが、役立たずと言われダンジョンで殺されかけるが、そのスキルは唯一無二の万能スキルだった。
そのスキルで成り上がり、ダンジョンで裏切った人間は落ちぶれざまあ展開。
主人公マルクは、そのスキルで色んなことを解決し幸せになる。
ハーレム要素はしばらくありません。
素材ガチャで【合成マスター】スキルを獲得したので、世界最強の探索者を目指します。
名無し
ファンタジー
学園『ホライズン』でいじめられっ子の生徒、G級探索者の白石優也。いつものように不良たちに虐げられていたが、勇気を出してやり返すことに成功する。その勢いで、近隣に出没したモンスター討伐に立候補した優也。その選択が彼の運命を大きく変えていくことになるのであった。
スキルハンター~ぼっち&ひきこもり生活を配信し続けたら、【開眼】してスキルの覚え方を習得しちゃった件~
名無し
ファンタジー
主人公の時田カケルは、いつも同じダンジョンに一人でこもっていたため、《ひきこうもりハンター》と呼ばれていた。そんなカケルが動画の配信をしても当たり前のように登録者はほとんど集まらなかったが、彼は現状が楽だからと引きこもり続けていた。そんなある日、唯一見に来てくれていた視聴者がいなくなり、とうとう無の境地に達したカケル。そこで【開眼】という、スキルの覚え方がわかるというスキルを習得し、人生を大きく変えていくことになるのだった……。
40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私
とうとうキレてしまいました
なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが
飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした……
スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます
英雄召喚〜帝国貴族の異世界統一戦記〜
駄作ハル
ファンタジー
異世界の大貴族レオ=ウィルフリードとして転生した平凡サラリーマン。
しかし、待っていたのは平和な日常などではなかった。急速な領土拡大を目論む帝国の貴族としての日々は、戦いの連続であった───
そんなレオに与えられたスキル『英雄召喚』。それは現世で英雄と呼ばれる人々を呼び出す能力。『鬼の副長』土方歳三、『臥龍』所轄孔明、『空の魔王』ハンス=ウルリッヒ・ルーデル、『革命の申し子』ナポレオン・ボナパルト、『万能人』レオナルド・ダ・ヴィンチ。
前世からの知識と英雄たちの逸話にまつわる能力を使い、大切な人を守るべく争いにまみれた異世界に平和をもたらす為の戦いが幕を開ける!
完結まで毎日投稿!
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
~最弱のスキルコレクター~ スキルを無限に獲得できるようになった元落ちこぼれは、レベル1のまま世界最強まで成り上がる
僧侶A
ファンタジー
沢山のスキルさえあれば、レベルが無くても最強になれる。
スキルは5つしか獲得できないのに、どのスキルも補正値は5%以下。
だからレベルを上げる以外に強くなる方法はない。
それなのにレベルが1から上がらない如月飛鳥は当然のように落ちこぼれた。
色々と試行錯誤をしたものの、強くなれる見込みがないため、探索者になるという目標を諦め一般人として生きる道を歩んでいた。
しかしある日、5つしか獲得できないはずのスキルをいくらでも獲得できることに気づく。
ここで如月飛鳥は考えた。いくらスキルの一つ一つが大したことが無くても、100個、200個と大量に集めたのならレベルを上げるのと同様に強くなれるのではないかと。
一つの光明を見出した主人公は、最強への道を一直線に突き進む。
土曜日以外は毎日投稿してます。
【超速爆速レベルアップ】~俺だけ入れるダンジョンはゴールドメタルスライムの狩り場でした~
シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
ダンジョンが出現し20年。
木崎賢吾、22歳は子どもの頃からダンジョンに憧れていた。
しかし、ダンジョンは最初に足を踏み入れた者の所有物となるため、もうこの世界にはどこを探しても未発見のダンジョンなどないと思われていた。
そんな矢先、バイト帰りに彼が目にしたものは――。
【自分だけのダンジョンを夢見ていた青年のレベリング冒険譚が今幕を開ける!】
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる