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43話 サントリナさんと秘密の部屋
しおりを挟む「というわけで、改めて紹介するよ。ボクの知り合い、魔女のサントリナだ」
「初めまして可愛い魔女さん。アタシはサントリナ。ビャクヤでポーション……回復系の薬品を専門に扱うお店をやってるの」
「は、初めまして、ベルベルです。えっと、アサツキさんに誘われてヘイリオスから来ました」
サントリナさんにわたしがヘイリオスのお城に召喚されてからの経緯を説明する。
アサツキさんの知り合いだからか、わたしが異世界から来た元勇者候補だということを伝えても特段驚くようなこともなく、わたしのつたない説明を穏やかな笑みを浮かべながらゆっくり聞いてくれた。
「……っていう感じで、わたしを勇者候補から外した貴族の方々から再び戻ってこないかとスカウトされて、それが嫌でこの街に逃げて来た感じです」
「なるほどねえ、ベルベルちゃん、この世界に来たばかりなのに大変だったわねえ」
「そんなわけで、しばらくビャクヤに滞在する間、ベルベルちゃん共々君のところで世話になるよ」
「ええ、アタシの家なんかでよかったらゆっくりしていってね」
「お世話になります……!」
サントリナさん、優しい……
「あ、部屋なんだけど、いつもの地下のとこでいいかしら?」
「ああ、大丈夫だよ。今は何も“飼育”してないのかい?」
「そうねえ。今は開発中のポーションは無いから」
……飼育? 開発中のポーション?
「な、なにか地下で飼ってたん……ですか?」
「ええ、新しくポーションを開発するときにちょっとねえ」
「販売する前にちゃんと効果があるか試さないといけないからね」
「ああ、なるほどなるほど」
たしかに、お薬の開発とかも動物で実験やって、販売前に人で臨床試験やって、ようやく承認されて売りに出せるって聞いたことがある。
異世界でもそういうのちゃんとやってるのね。
「開発するときはなんの動物飼ってたんですか? やっぱりネズミとか?」
「前飼ってたのは若い男の子ねえ」
「へえ、若い男の……えっ?」
「やっぱり効果を見るなら若い男の子が1番だからねえ」
「……えっ?」
「サントリナ、純粋無垢なベルベルちゃんがドン引きしてるよ。あと君が少年を好んで臨床サンプルにしてるのはただの趣味だろ」
「あらやだ、ごめんなさいねえ。お詫びにこの前開発したポーション、1本いる?」
「い、いらないです……」
魔女ってやっぱり、魔女なんだなあ……
__ __
「それじゃあ、ベルベルちゃんはここに泊まってねえ」
「わあ、可愛いお部屋……!」
サントリナさんのお店の地下室はかなり広く、個室が4部屋と、洗面台とテーブル、ソファが置いてあるダイニングスペースが真ん中に設置されていた。
「一応お掃除はしてあるけど、前にいた子の物とか残ってたらごめんなさいねえ」
「前にいた子って、例のポーション開発の……」
「ベルベルちゃんの3、4つ下くらいの可愛い子だったわ」
「……わたし、なにか新しいお薬のテスターとかやらされないですよね?」
「今のところは大丈夫よ」
今のところは?
「サントリナ、ボクはいつもの部屋でいいかい?」
「ええ、問題ないわ。あ、今度は作った毒薬ちゃんと持って帰りなさいよ。あの部屋に来た子がジュースと間違って飲みそうになって大変だったんだから」
「あっはっは、ごめんごめん」
それはごめんで済む問題なのかしら。
「そういえばわたしが泊まる部屋、男の子が住んでたにしてはなんというか、だいぶ可愛らしい装飾な気がするんですが」
「最初はもっと殺風景な部屋だったのよ。でもポーションの副作用で部屋にいた子がどんどん女の子っぽい趣味に目覚めちゃって」
「大変じゃないですか!!」
「でも実験終わってしばらくしたら元に戻ったみたいよ。というわけで、これがその時開発したファンシーピンクポーション」
「そんなの開発中止してください!!」
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