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#4 推しとの甘く長い夜
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「わぁ、すごい……」
天井まで届く大きな窓からは、宝石をちりばめたような都会の光が広がる。こんな豪華な部屋、私の人生で縁があるはずもない。
「これくらい当然。俺、売れっ子だからさ」
呆然と立ち尽くす私に、アラタは優しく微笑む。
窓際のソファへと導かれ、隣に座ると、彼がプロデュースした新作香水の、瑞々しくも甘いシトラスの香りがふわりと漂った。
「この香り、アラタさんがプロデュースした香水ですよね」
「よくわかるね」
「発売初日に買いました」
「次の新作は、愛香ちゃんに俺から直接、プレゼントするよ」
アラタは私の髪をすくい上げると、首すじに指先でそっと触れた。
「あれ、克哉と同じところにホクロがある」
「よくご存知で」
嫌味ではなく、心から感心してしまう。
克哉とアラタの間に流れる濃密な時間。複雑な思いが胸をよぎる。
「やっぱりイトコ同士だね。愛香ちゃんと克哉、顔のパーツがよく似てる」
アラタの指が私の唇をなぞる。
幼い頃は、兄妹と間違われるほど似ていた私と克哉。
「こんなこと、克哉に怒られるかも……」
「まさか。こうなることは、あいつも予測していると思うよ。あいつは、僕たちの関係がどうなるか、誰よりも楽しみにしているはずだ」
まるで、この時間が克哉の掌の上で展開するショーであるかのように言う。
逃げ場のない独占欲の檻に閉じ込められていく感覚。
「まだ、ここで話す? それとも……あっちに行く?」
アラタが指差したのは、真っ白なシーツが整えられた大きなクイーンサイズのベッド。
沈黙を肯定と受け取ったのか、アラタは私を軽々と抱き上げた。シャンプーのCMで見た、あのお姫様抱っこ。画面越しに憧れたその腕の中に、今、私がいる。
シーツの上に沈められ、アラタの重みが重なる。
「愛香ちゃん、キスして?」
アラタは私の顔をじっと見つめる。距離が縮まり、熱い吐息が混じり合う。
キスを、私から……?
「愛香ちゃんは、俺専用のセラピスト。僕を女性不信から救い出して。……こんなに欲情するのは、久しぶりなんだ」
その告白は、私の理性を粉々に砕いた。
「ほら、早く」
指先が、口の中に入ってくる。
「キスは、するよりされる方が好きなんだ」
抗えない魔法にかかったみたいに、私はアラタの唇に吸い寄せられた。
軽く触れただけで、身体中に火が走る。
「んっ……ふ、ぁ……」
私のワンピースのファスナーに、彼の長い指先が触れた。服を脱がされる感触に、身体がびくりと震える。
「柔らかいね、愛香の唇。キレイな肌だ。ここも……ここも」
彼の唇が、首すじや鎖骨、そしてあらわになった肩を熱く辿っていく。自分でも驚くほど甘い声がこぼれた。
「今まで、誰ともダメだったのになぁ」
耳元で囁かれ、太腿をなぞる指先がさらに深奥へと進む。
「ねえ、愛香ちゃん。あの夜、覗いたときから、本当はずっとこうなることを望んでいたんだろ?」
「そ、それは――」
否定できなかった。あの背徳的な光景を見てから、私の心は取りつかれたように、ずっと熱を帯びていた。
「身体は素直だね」
「あっ……あ、らた、さん……」
「呼び捨てでいいよ。だって、画面越しではいつもそう呼んでるだろ?」
私は彼の背中に腕をまわし、その熱を逃さないようにしがみついた。
「……アラタ」
「うん、よくできました」
都会の夜景が、二人を閉じ込める檻のように輝いている。
不意にアラタが指先の動きを止めた。
「俺は確かに克哉に抱かれていたけど――、本来は攻める方が得意なんだ」
その告白と共に、アラタのまとう雰囲気が一変した。
優しく私を抱き上げていた腕に力がこもり、私の両手首は頭の上で、彼の片方の大きな手のひらによって簡単に封じ込められた。
「……っ!」
逃げられない。
見上げれば、そこにはぞっとするほど真っ直ぐな視線があった。テレビで見せるキラキラとした輝きではない。暗く、深く、私の芯までを見透かし、支配しようとする。
「体力には自信あるんだ。知っていると思うけど、東京ドームを3時間駆け回って歌い踊るくらいね。一晩中、抱き続けるから、覚悟してね」
「あ……らた……」
名前を呼ぶ声さえ、熱に浮かされて掠れてしまう。
アラタは満足そうに口角を上げると、空いた方の手を私の背中にまわす。
指先が器用にホックを弾くと、支えを失った下着が肌を滑り落ちた。あらわになった姿を熱い視線に晒され、私は思わずギュッと目をつぶる。
隠そうとする腕すらも力強く押しのけられ、アラタの顔がゆっくりと下りてきた。
「かわいい、ここも」
熱い舌先が蕾をチュッと音を立てて捕らえる。
吸い上げられる刺激に腰が跳ね、つま先までが痺れた。何度も、何度も、なぞるように遊ばれるたび、私の胸の奥は甘く、切なく溶かされていく。
「ほら、目を開けて。俺が君をどうしてるか、ちゃんと見ていて」
指先がさらに深奥をなぞるたび、頭の中が真っ白になる。
いつもはマイクを持つ指先が、私のすべてを暴き、蹂躙していく感覚に、抗うどころか自分から腰を浮かせてしまっていた。
「夜は長いからね。もう無理って泣いても、許してあげないよ」
天井まで届く大きな窓からは、宝石をちりばめたような都会の光が広がる。こんな豪華な部屋、私の人生で縁があるはずもない。
「これくらい当然。俺、売れっ子だからさ」
呆然と立ち尽くす私に、アラタは優しく微笑む。
窓際のソファへと導かれ、隣に座ると、彼がプロデュースした新作香水の、瑞々しくも甘いシトラスの香りがふわりと漂った。
「この香り、アラタさんがプロデュースした香水ですよね」
「よくわかるね」
「発売初日に買いました」
「次の新作は、愛香ちゃんに俺から直接、プレゼントするよ」
アラタは私の髪をすくい上げると、首すじに指先でそっと触れた。
「あれ、克哉と同じところにホクロがある」
「よくご存知で」
嫌味ではなく、心から感心してしまう。
克哉とアラタの間に流れる濃密な時間。複雑な思いが胸をよぎる。
「やっぱりイトコ同士だね。愛香ちゃんと克哉、顔のパーツがよく似てる」
アラタの指が私の唇をなぞる。
幼い頃は、兄妹と間違われるほど似ていた私と克哉。
「こんなこと、克哉に怒られるかも……」
「まさか。こうなることは、あいつも予測していると思うよ。あいつは、僕たちの関係がどうなるか、誰よりも楽しみにしているはずだ」
まるで、この時間が克哉の掌の上で展開するショーであるかのように言う。
逃げ場のない独占欲の檻に閉じ込められていく感覚。
「まだ、ここで話す? それとも……あっちに行く?」
アラタが指差したのは、真っ白なシーツが整えられた大きなクイーンサイズのベッド。
沈黙を肯定と受け取ったのか、アラタは私を軽々と抱き上げた。シャンプーのCMで見た、あのお姫様抱っこ。画面越しに憧れたその腕の中に、今、私がいる。
シーツの上に沈められ、アラタの重みが重なる。
「愛香ちゃん、キスして?」
アラタは私の顔をじっと見つめる。距離が縮まり、熱い吐息が混じり合う。
キスを、私から……?
「愛香ちゃんは、俺専用のセラピスト。僕を女性不信から救い出して。……こんなに欲情するのは、久しぶりなんだ」
その告白は、私の理性を粉々に砕いた。
「ほら、早く」
指先が、口の中に入ってくる。
「キスは、するよりされる方が好きなんだ」
抗えない魔法にかかったみたいに、私はアラタの唇に吸い寄せられた。
軽く触れただけで、身体中に火が走る。
「んっ……ふ、ぁ……」
私のワンピースのファスナーに、彼の長い指先が触れた。服を脱がされる感触に、身体がびくりと震える。
「柔らかいね、愛香の唇。キレイな肌だ。ここも……ここも」
彼の唇が、首すじや鎖骨、そしてあらわになった肩を熱く辿っていく。自分でも驚くほど甘い声がこぼれた。
「今まで、誰ともダメだったのになぁ」
耳元で囁かれ、太腿をなぞる指先がさらに深奥へと進む。
「ねえ、愛香ちゃん。あの夜、覗いたときから、本当はずっとこうなることを望んでいたんだろ?」
「そ、それは――」
否定できなかった。あの背徳的な光景を見てから、私の心は取りつかれたように、ずっと熱を帯びていた。
「身体は素直だね」
「あっ……あ、らた、さん……」
「呼び捨てでいいよ。だって、画面越しではいつもそう呼んでるだろ?」
私は彼の背中に腕をまわし、その熱を逃さないようにしがみついた。
「……アラタ」
「うん、よくできました」
都会の夜景が、二人を閉じ込める檻のように輝いている。
不意にアラタが指先の動きを止めた。
「俺は確かに克哉に抱かれていたけど――、本来は攻める方が得意なんだ」
その告白と共に、アラタのまとう雰囲気が一変した。
優しく私を抱き上げていた腕に力がこもり、私の両手首は頭の上で、彼の片方の大きな手のひらによって簡単に封じ込められた。
「……っ!」
逃げられない。
見上げれば、そこにはぞっとするほど真っ直ぐな視線があった。テレビで見せるキラキラとした輝きではない。暗く、深く、私の芯までを見透かし、支配しようとする。
「体力には自信あるんだ。知っていると思うけど、東京ドームを3時間駆け回って歌い踊るくらいね。一晩中、抱き続けるから、覚悟してね」
「あ……らた……」
名前を呼ぶ声さえ、熱に浮かされて掠れてしまう。
アラタは満足そうに口角を上げると、空いた方の手を私の背中にまわす。
指先が器用にホックを弾くと、支えを失った下着が肌を滑り落ちた。あらわになった姿を熱い視線に晒され、私は思わずギュッと目をつぶる。
隠そうとする腕すらも力強く押しのけられ、アラタの顔がゆっくりと下りてきた。
「かわいい、ここも」
熱い舌先が蕾をチュッと音を立てて捕らえる。
吸い上げられる刺激に腰が跳ね、つま先までが痺れた。何度も、何度も、なぞるように遊ばれるたび、私の胸の奥は甘く、切なく溶かされていく。
「ほら、目を開けて。俺が君をどうしてるか、ちゃんと見ていて」
指先がさらに深奥をなぞるたび、頭の中が真っ白になる。
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