【完結】ドジな新人マネージャー♂に振り回される、クールなアイドルの胸キュン現場 <TOMARIGIシリーズ>

はなたろう

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#1

3.アイドルを分析

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夏になった。

デビューから半年が経ち、TOMARIGIの勢いも、少しだけ落ち着いてきた。メディアは飽きるのが早い。


TOMARIGI人気を持続させ、トップアイドルにする。それは、担当マネージャーとして、なにかできることはないか。

事務所の会議室で、僕と泊さん、TOMARIGIの3人でミーティングをした。


「これを見てください」


プロジェクターに自作のプレゼン資料を写し出す。色とりどりのグラフや表が表示された。


「グループ全体と、個人アカウント、それぞれSNSでのコメントを、キーワードごとに分類・集計しました。ファンのニーズ、TOMARIGIに期待するものを、これで客観的に把握できます」


伊勢くんの瞳に、驚きの色が浮かんだのを、僕は見逃さなかった。


「伊勢くんのカフェでの投稿、蒼真さんのファッション、片倉さんの愛猫。これらは、、エンゲージメント率が他の投稿より約20%も高いんです」


「推しのオフショットは、ファンに喜ばれるからね」


泊さんがうなずいた。


「そこで、ご提案があります」


僕は、手元のタブレットを操作し、YouTubeのページを表示した。


「TOMARIGIの公式チャンネルは、ミュージック動画やダンスビデオがメインで、企画ものは少ないですね」

「まぁ、カッコイイ路線で売ってるからね」


片倉さんがおどけて言った。


「先ほどの、ファンが関心のある内容で、企画するのはどうでしょうか」

「それなら、YouTube専門の企画会社に相談するか?」


泊さんが呟いた。僕は静かに首を振る。


「いえ、デビュー間もないグループです。メンバー3人とファンが一緒に作るYouTubeにしたいです。できるだけ、ファンの希望に寄り添いたい」

「一緒に作る、か」


伊勢くんが微笑む。


「ファン参加型のゲーム実況とか?」


片倉さんが目を輝かせて言うと、蒼真くんもスマホをいじりながら言った。


「料理対決もいいね。俺、包丁さばきには自信ある」

「意外な一面やギャップが見れたら、面白いですよね」


色々とアイデアが出たところで、泊さんは「わかった、検討してみよう」と力強く頷いた。


会議が終わり、メンバーが退出していく。

蒼真くんと片倉くんは別の仕事があるため、泊さんに連れられ出て行った。

静かに部屋には伊勢くんと僕だけになった。


伊勢くんは僕の隣の席に座り直し、タブレットをじっと見ていた。


「よく、こんなに調べたな」

「僕、運動は苦手だけど、数字には強いんです」

「このグラフは?」

「投稿時間ごとのファンの反応率です。伊勢くんのフォロワーは、夜22時以降に活動している人が多く、曜日によるバラつきは、他の2人より少ない、それと——」


伊勢くんは熱心に僕の話を聞き、時折、質問をしてくる。その真剣な眼差しに、僕は胸が熱くなった。

少しは見直してくれたのかな。


「僕、伊勢くんのこと、たくさん知れて良かったです」

「俺のことを知りたい、ですか?」


伊勢くんは少し驚いた顔をした。


「もっと知りたいです。伊勢くんの好きなもの、好きな場所……」

「好きなタイプとか?」


予想外の言葉に、僕はドキっとした。いや、そんな必要ないのに。


「そ、そうですね。ファンならみんな興味あるネタです」

「湊さんは?」

「え?」

「俺は、湊さんに興味が沸いたところだよ」


それは、どのメディアでも見たことがない、とっても意地悪そうな笑顔だった。


「えーーと、僕なんて。知るに足らないもんですよ、はは」


あれ?なんでこんなに、ドキドキするんだ?僕の心拍数、やばくないか?

至近距離でアイドルに見つめられたら、誰だって冷静ではいられない。……はずだ。
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