ゆるいイケメン。

はしもと

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ゆるいイケメン。

ゆるいキャンプ。

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俺は飛鳥と同じ班になり、
飛鳥が「おい、静!黒澤さん誘えよ」
とうるさいので黒澤さんを誘った。

すると、誰か女子を誘おうと黒澤さんが探していたところにギャルの花ちゃんが話しかけ同じ班になり、

ギャルの花ちゃんが入るということはそこにチャラ男の橋本くんも入る。

という流れで5人の班が完成した。

飛鳥とチャラ男くんが話してるところ一回も見てないけどね、俺。

キャンプを通してクラスがもっとひとつになればいいな、と柄でもないことを思う。

でもたしかに、そのほうが今後の体育祭とか文化祭も楽しいし、なにより気持ち的に楽だと思うのだ。

結局ゆるく楽しいのがいちばん良いのである。


ということでキャンプ当日である。

行きのバスは爆睡。
そのため到着直後は寝ぼけてぽやぽやであった。

小さな山の上にあるコテージまでは徒歩。
どうせならバスで連れて行ってくれたらいいのに‥‥。


さて、キャンプといえばカレーである。
ごはんは飯盒を使って炊くようだが、料理をしたことのない俺には少々レベルが高い。

ギャルの花ちゃんがトントンとにんじんを切っている。
あれ、意外と手際がいいじゃないか。

「へぇ~!花ちゃんやるねぇ」

チャラ男に褒められてちょっと頬を染めている花ちゃん。

その隣で黒澤さんがたまねぎを切りながら泣いている。

泣いている黒澤さんを見てあたふたする飛鳥。

「大丈夫よ。たまねぎのせいだから」

なんてベタな展開なんだろうか。

「指でも切ったかと思ったよ」

「飛鳥きゅん、もしかして律ちゃんのこと好きなの?」

どストレートなのは花ちゃんである。

飛鳥は再びあたふたしはじめる。
ところで、飛鳥きゅんとは?

「飛鳥きゅん意外と乙女じゃーん!かーわいいっ」

花ちゃん、もうやめてあげてくれ。

「おい!やめろ!ギャルだからって許されないぞ!」

「あー!ギャルへの偏見最低!これじゃ黒澤さんはあげられないなー」

「す、すまん」

素直か!!!!

当の黒澤さんはというと、たまねぎを切り終えてついに号泣している。
ごめんね、俺がやってあげればよかったね。

ちょっと目薬さしてくる、と言ってコテージまで向かおうとする黒澤さんをチャラ男くんが呼び止める。

「黒澤さん、ひとりじゃ危ないよ。着いていくから」

「えっ、ひとりでも大丈夫だよ」

「いいじゃーん!ついてってもらいな」

花ちゃんの後押しもあり、黒澤さんにはチャラ男くんが付き添った。
飛鳥はちょっと残念そうな顔をしているが。

気になるのは花ちゃんである。
ふたりの後ろ姿を見つめる花ちゃんの表情はどこか複雑だったのだ。

俺にはその表情の意味がまだわからない。

ほぼほぼ花ちゃんが作ったカレーはほんとうに美味しかった。

「花ちゃん天才!!」
とチャラ男くん。

「花ちゃん、今度料理教えて!」
と黒澤さん。

「な!なんだこの美味いカレーは!!」
と飛鳥。

「カレー以外も食べてみたいねぇ」
と俺。

花ちゃんは全員の言葉にとっても嬉しそうに笑っていたが、その視線はたったひとり、カレーを頬張るチャラ男くんを見つめているのであった。


夜は早く寝たいのに強制参加のキャンプファイヤーである。

他クラスにはちらほらとカップルができ始めているようで、火を囲みながらイチャイチャする奴らもいた。

俺は飛鳥の隣に座り、ただ火を眺める。
火の明るさや暖かさには、なんとなく癒し効果があるのだろうか。
非常に眠くなってきた。

眠気覚ましに飛鳥に尋ねてみる。

「黒澤さんのとこ行かなくていいの?」


飛鳥は俺の前であたふたすることはなかった。

「いや、べつに俺、黒澤さん恋愛対象じゃないからね」

え?そうなの?

「なんかほら、アイドルっていうかさ、気持ち悪いと思うけど、芸能人のファン的なかんじで見てる」

なるほど。
これが恋じゃないのか。
じゃあ恋ってなんだろうか。

恋愛って難しいんだな。

ふと、火の向こう側に女子に囲まれるチャラ男くんが見えた。
その女子たちの隅っこでつまらなそうにしている花ちゃんを見つけた。

「あのチャラチャラした男、月岡の気持ちに気付いてるのか?」

は?

「おい、静おまえ見ててわからないのか?月岡、絶対あいつのこと好きだろ」


え?花ちゃんが?チャラ男を?
いつもノリで一緒にいるように見えていたが、たしかに先ほどのカレー作りのときから様子が違う。

いや、本当はもっと前から変化があったのだろう。

飛鳥でも気付くことに気付けなかった自分が一番やばいんじゃないか、と思いつつ、チャラ男くんの気持ちが気になり始める俺であった。


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