詩「漠と祖母」

有原野分

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漠と祖母

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指で作った
輪っかの中に
現実的な私が隠れている

   (こんな夢を見た)

一、酔っ払った親父がよく語っていたインド哲学の中にある宇宙の成り立ちについて私は未だに理解できないでいた

ニ、酒を飲んで飲んで飲んだのに私はどうやら親父の子供のままで風呂の湯が冷えきるまでまだ時間がかかりそうだった

三、過去から見える町はいつだって気怠くて詩を書くということはすぐそこに見える暗闇に飛び込んで行くことに似ている

目が覚めて
まず思うことは
獏という
悪夢を食べてくれる
架空の生き物で
眠れないほどの
悪夢を見たときに
亡くなった祖母から
聞いた話を覚えていた
それ以来私は
悪夢を見る度に
獏と祖母を思い出すのだが
獏が食べた夢は
もしかしたら指の中に隠れていた
現実だったのかもしれない

祖母が亡くなったとき、
私は病室でただうつむいていた。

痺れるような星の瞬きが
視界の縁で滲みながら光り
私は指の中に月をしまい込む
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