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上海 波

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“今の幸せ”

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♪ダンダカダンダダンダカダンダ♪
大音量で激しい洋楽が聞こえる。
「んんん」
寝返りを打ちながらむにゃむにゃと起き上がる。寝ぼけながら洗面所で顔を洗う。
パッとしない顔が鏡に映り込む。ハァとため息をする。
朝食は焼いたパンと火玉焼きというザ・朝食みたいなメニュー。食べ終えると歯を磨き,身支度をする。
いつもと変わらない黒のワイシャツに茶色のストライプ,いつも持ち歩いている赤いペンダントが首にかけてあるかと握りしめる。明るいおうど色の地毛をポニーテイルにし、銀色のピンで左側の前髪をまとめる。
24歳でノーメイクはどうなんだと問われることもあるがそれは個人の自由だろと私は思う。まぁ周りの女子がしっかりメイクを決めている中私だけノーメイクなのはまぁ少し気にしてはいるが、私にメイクをさせるととんでもないことになる。高校生の時1回挑戦してみたもののとても人前に立てない有様でそれがトラウマそれからは全くしていない。
カバンを持って外に出ると炎天下の日差しが自分に降ってくる。
「あっつ」
つい声に出していまうほどの暑さにため息をする。
あぁ憂鬱だ。これだから夏は嫌なんだ。夏にろくな思い出がない。はぁ,夏なんて早く終わって欲しい。
都会を感じる高いビルの連なりを横目に通り過ぎながらボォーと歩く。
たどり着いたのは周りのビルに比べて一回り大きいビルの前。看板には「FOBESSO」と書いてある。ここはとある派遣会社である。
「おはようございます(*^^*)」
ゲッ この声は…
振り返ると予想どうりの顔が目の前にあった。
「た、太子か,おはよう。」
「先輩ィ太子って呼ばないでくださいよォ。
俺の名前は大輝ですよ」
常にニコニコしながら話している彼は聖徳太輝。私の後輩だ。聖徳太子に名前が似すぎてみんなから太子と呼ばれている。そして似ているのは名前だけでなく,能力も似ている部分がある。
「それに先輩今ゲッて思いましたよね」
これだ。大輝はエスパーのように人の心を読む。(聖徳太子は人の心が読めたのではないかと言われている。)さらにはデリカシーの欠片もなく,普通気づいても言わないだろということを平気で言う。正直苦手だ。というか怖い。
「気のせいよ」
「そうでしたか」
ニコニコしてるのがさらに怖い。まぁ恐怖を覚えながらもなんだかんだよく喋っているのは不思議なものだが(主に太輝から話しかけてくるが)。
オフィスに着くと自分の席に着く。部屋の中央より右側の列の前から2番目。
出社早々太輝に出くわすなんて今日はとことん憂鬱だ。ハァとため息をつく。
「おはようございます(●︎´▽︎`●︎)」
隣を振り向くと華奢な女子と目が合った。
「衣桜、おはよう」
彼女は桜樹川 衣桜(おきがわ いお)。太子と同じく私の後輩だ(太輝と同期)。名前に「桜」という字が2個あるだけに髪は桜色(地毛らしい)。地毛が明るいおうど色の私からしたら心強い仲間だ。
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