カフェへの依頼

桃月熊

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『憂鬱』の中には

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「するとこの文字は真犯人に拠る捏造って
 言いたいんだな?」

「完全に捏造ではなく、被害者が書いた文字に
 真犯人が文字を書き加えたと考えるべきです。
 もしも仮に被害者が高輪ゲートウェイ駅の事で
 憂鬱を感じていて自殺したのならば、
 遺書に憂鬱と書き記す筈です。
 態々死の直前に書く必要はありません。
 死の直前に書く文字は、犯人を記す為に
 書くと思われます」

「それで、文字を書き加えたのは誰なんだ?
 目星が付いてるんだろう」

ボールペンと紙ナプキンを蚊間知警部から受け取る。

憂鬱

と書いた。

「この文字に隠れている名前は『トニオ』です。
 憂鬱の鬱の上をよく見ると分かります。
 あだ名がトニオかアントニオの人物が被害者の関係者に居ると思いますので
 詳しく話を聞いてみてください」

「そうか、早速調べてみる」

蚊間知警部は料金を支払って出て行った。
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