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ほっこりティータイム
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中庭では、既に指示を出していたメイドが待ってくれており、俺の姿を見つけるなり一礼し――続いてシャルロットの姿を見て、一瞬驚いたようにも見えたが、それもすぐに押し隠した。
素直じゃねぇな、「なんと可愛らしい!大変よくお似合いですシャルロット様!」とベタ褒めしてくれてえぇんやで?
俺とシャルロットが向かい合うように丸テーブルに着くと、焼き菓子が皿に並べられ、紅茶が注がれ――
「ちょっと待った」
俺はそれを見逃さなかった。
何故か、ティーポットが二つ用意され、『俺とシャルロットとはそれぞれ別のポットで淹れていること』に。
寸のところで俺はシャルロットの紅茶を取り上げると、自分に注がれた紅茶とで、香りを嗅ぎ比べて……うん、香りが違うな。
シャルロットのカップの紅茶、明らかに何か混入してるぞ。
毒か下剤か危ないクスリか……何にせよロクでも無い。
「……俺とシャルロットとの紅茶、微妙に香りが異なるぞ?何故同じものを用意しない?」
「は……香りにバリエーションを持たせてご用意しました」
なんて言ってるが、そんなもんで誤魔化せるなんて思うなよ。
「必要ない。同じ物を用意してくれ」
「で、ですが……」
「余ったぶんはお前達で分け合えばいいだろう。……それとも、『俺とシャルロットとで分けなければならない理由でもあるのか』?」
「……滅相もありません。すぐにご用意し直します」
するとメイドは『シャルロットのカップを下げて、俺の紅茶を注いだティーポットで淹れ直した』。
アホかお前は。
今のは「自分は後ろ暗いことをしようとしてました」って自白してるようなもんだぞ?
さて、こいつもとっちめてやろうか……いや、今はシャルロットもいるし、何より楽しいアフタヌーンティータイムを血で汚したくない。
「さて、いただくとしようか」
「…………」
すると、シャルロットはぱちくり、ぱちくりと瞬きを短い間隔で繰り返している。
「あの……、お兄様……」
「ん?」
ふと、おずおずとシャルロットが俺の顔を窺ってきた。
とは言え、それは大した理由ではなかった。
「その……これは、食べていいのでしょうか………?」
「もちろんだ。シャルロットにも食べてほしい」
そのためにお前をお茶に誘ったんだからさ。
俺の言葉に頷いたシャルロットは、もう三回ほど俺の顔とお茶菓子を見比べてから、
「で、では……いた、だきます」
そーっと、そーっと、ガラス細工を手にするような手付きで焼菓子――これはフィナンシェかな?――を口に運ぶ。
俺もフィナンシェを一口。
うん、これは普通に美味い。
紅茶も、前世の俺が飲み慣れていた市販の紅茶とは比べ物にならんくらい美味いし、こんなの何杯だって飲めるじゃないか。
さてシャルロットの反応は如何なものかと見やれば。
「美味しい……」
一口するまでは、これは本当に食べていいのか迷っていたようだが、一度「美味しいものだ」と認識すれば、齧歯類――リスとかハムスターのようにはむはむと食していく。
「シャルロット、慌てて食べなくてもいい。誰も取り上げたりしないから、ゆっくり味わっていいんだ」
「ふぁ、ふぁぃっ……」
食べながらも、シャルロットはすぐに背筋を伸ばして頷く。
よしよし、ここにある分は全部食べていいからな。
素直じゃねぇな、「なんと可愛らしい!大変よくお似合いですシャルロット様!」とベタ褒めしてくれてえぇんやで?
俺とシャルロットが向かい合うように丸テーブルに着くと、焼き菓子が皿に並べられ、紅茶が注がれ――
「ちょっと待った」
俺はそれを見逃さなかった。
何故か、ティーポットが二つ用意され、『俺とシャルロットとはそれぞれ別のポットで淹れていること』に。
寸のところで俺はシャルロットの紅茶を取り上げると、自分に注がれた紅茶とで、香りを嗅ぎ比べて……うん、香りが違うな。
シャルロットのカップの紅茶、明らかに何か混入してるぞ。
毒か下剤か危ないクスリか……何にせよロクでも無い。
「……俺とシャルロットとの紅茶、微妙に香りが異なるぞ?何故同じものを用意しない?」
「は……香りにバリエーションを持たせてご用意しました」
なんて言ってるが、そんなもんで誤魔化せるなんて思うなよ。
「必要ない。同じ物を用意してくれ」
「で、ですが……」
「余ったぶんはお前達で分け合えばいいだろう。……それとも、『俺とシャルロットとで分けなければならない理由でもあるのか』?」
「……滅相もありません。すぐにご用意し直します」
するとメイドは『シャルロットのカップを下げて、俺の紅茶を注いだティーポットで淹れ直した』。
アホかお前は。
今のは「自分は後ろ暗いことをしようとしてました」って自白してるようなもんだぞ?
さて、こいつもとっちめてやろうか……いや、今はシャルロットもいるし、何より楽しいアフタヌーンティータイムを血で汚したくない。
「さて、いただくとしようか」
「…………」
すると、シャルロットはぱちくり、ぱちくりと瞬きを短い間隔で繰り返している。
「あの……、お兄様……」
「ん?」
ふと、おずおずとシャルロットが俺の顔を窺ってきた。
とは言え、それは大した理由ではなかった。
「その……これは、食べていいのでしょうか………?」
「もちろんだ。シャルロットにも食べてほしい」
そのためにお前をお茶に誘ったんだからさ。
俺の言葉に頷いたシャルロットは、もう三回ほど俺の顔とお茶菓子を見比べてから、
「で、では……いた、だきます」
そーっと、そーっと、ガラス細工を手にするような手付きで焼菓子――これはフィナンシェかな?――を口に運ぶ。
俺もフィナンシェを一口。
うん、これは普通に美味い。
紅茶も、前世の俺が飲み慣れていた市販の紅茶とは比べ物にならんくらい美味いし、こんなの何杯だって飲めるじゃないか。
さてシャルロットの反応は如何なものかと見やれば。
「美味しい……」
一口するまでは、これは本当に食べていいのか迷っていたようだが、一度「美味しいものだ」と認識すれば、齧歯類――リスとかハムスターのようにはむはむと食していく。
「シャルロット、慌てて食べなくてもいい。誰も取り上げたりしないから、ゆっくり味わっていいんだ」
「ふぁ、ふぁぃっ……」
食べながらも、シャルロットはすぐに背筋を伸ばして頷く。
よしよし、ここにある分は全部食べていいからな。
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