【完結】可愛い義妹のためならば 〜超絶シスコン兄貴の異世界無双〜

こすもすさんど(元:ムメイザクラ)

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シャルの幸せ、俺の幸せ

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「「いただます」」

 お風呂上がりのシャルと、夕食である野菜炒めをいただく。
 もきゅもきゅと炒めた野菜を頬張るシャルは、ふと窓の外に目を向けた。

「どうした、シャル」

「わたし達、これからはここで暮らすんですよね」

「そうだな」

 昨日は村長宅でお世話になったけど、今日からの衣食住はここを中心とするのだ。
 空家と、そこに遺されていた家具を使わせていただく形ではあるが、今日からはここが、俺とシャルの家なんだ。

「ここが新しい自分のお家だと思うと、感慨深くなってしまって……」

 感慨深いとシャルは言うが、その表情には陰がある。

 当然だろう、以前までシャルが住んでいたギャレット家は、"帰るべき場所"ではなかった。
 鎖のついた首輪で繋げられ、部屋とすら呼べないブタ箱に押し込められて。

 だから、ここがシャルにとって本当の意味での"帰るべき場所"なのだ。

「シャル……」

 ……あぁ。今、分かった。

 シャルは、『前世の俺と同じだった』んだ。

 そりゃ、ハイファンタジーな世界と現代日本と言う根本的な違いは多々あるが、拠り所に縛り付けられ、自由と呼べる自由など無かったと言う意味では、同じだ。
 シャルを助けたい、ここから連れ出したいと思ったのは、無意識の内に彼女と前世の自分を重ねていたからだろう。

「あの日、お兄様がわたしに声を掛けてくれて、気にかけてくれなかったら、わたしはずっとあそこにいたと思うんです」

 だから、とシャルは背筋を伸ばした。

「お兄様。不肖の義妹ですが、これからもよろしくお願いします」

 深々と頭を下げるシャル。

「よせよせ、義兄妹でそんな堅苦しいのは無しだ」

 それにな、と俺は言葉を続ける。

「それに、これからは俺と二人だけじゃない。クリスさんやベン村長、村の人達、それと、これからここにやって来る子ども達も。みんな大事な人になっていくんだ」

「大事な人……」

 そんな当たり前のこと。
 だからこそ大切にしなければならない。

 そうだ、俺にとってシャルと言う存在は大切な義妹であり、彼女の幸せな未来のために、俺は、

 そして俺はどうなる?

 シャルが幸せになれば、それで終わりか?
 
「…………」

 今更になって気付いた。
 シャルが幸せになる……素敵な相手と出逢って、結婚して、子どもを産んで。それはいい。

 だが、その先に俺はどうなる?
 シャルの幸せは第一だ、だが、自分の幸せは考えなくていいものか?

「お兄様?」

 どうしたのかと、シャルが顔を覗き込んでくる。

「……いや、俺も少し感傷的になってたみたいだ」

 違うな。
 今はそれを考えるべきではない。
 俺自身も、父上に言ったではないか。

 結婚などいつでも出来る。シャルが自分の力で歩けるようになってからでも遅くはないと。

「っと、ボーッとしてたら冷めてしまうな」

 温かい内に食べるのが一番だ。
 俺は残る野菜炒めを掻っ込むように食べる。

 さて、明日も朝から忙しいし、今日はゆっくり休むとしよう。
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