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第一章 ふつかわ系少女勇者

2話 戦いは体力を消耗しない方が勝つ

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 エリンの魔王討伐の旅に同行することになった、俺ことアヤト。
 さて、これからエリンと共に戦うにあたって、まずは何をするのかと言えば、俺が使う武器の調達だ。

 そんなわけで、このエコールの町の武器屋に足を運んだのはいいが。

「……本当なら、もっと強い武器を使ってほしいんだけど」

 ごめんね、とエリンは申し訳無さそうな顔をする。
 有体に言うと、『お金がない』。
 実際のところ無くはないのだが、宿代や食料費、その他消耗品などの補充も考慮すると、そう迂闊に散財は出来ないのである。
 勇者として選ばれし少女もしょせんは人間、先立つものにはお金が必要な現実は覆せぬ。

「別に無理に武器を使う必要もないんだぞ?虚刀流……もとい、徒手空拳でも普通に戦えるしな」

 やろうと思えば素手で地割れグランドダッシャーだって起こせるぞ?やり過ぎると地殻変動起こして大変なことになるから普段はしないけど。

「そ、そうなの?でも、無いよりはある方がいいよね?」

「まぁ、武器がある方が選択肢が増えるからいいんだが」

 剣を使う方が良い時もあるし、逆に素手のまま戦う方が良い時もある。そういう使い分けが出来るという程度のものだ。
 と言うか、下手な剣を使いこなすよりも、素手で戦った方が強いと思う。
 剣を持つのはあくまでも、周囲に対して「武装をしている」と言うアピールに近いかもしれない。

「なら、これでいいよ。とりあえずこれで当面は戦える」



 俺が手に取ったのは、赤茶けた刀身が鈍く輝く銅製のロングソードだ。
 安物、とは言わないが鉄製の剣よりも威力や斬れ味は劣るだろうけど立派な武器だ、扱いひとつでドラゴンだってこれで狩れる。

 ――ちなみに俺の理想的な武器のひとつとしては、最高純度のオリハルコンやミスリルを惜しみなく注ぎ込んだ『絶対に折れない』特殊合金の魔双剣だ。アレさえあれば天使でも悪魔でもなんでも斬れる。

「これでいいの?」

「まずはこれを使って、お金を貯めればいいんだよ」

 元が安いのだから、元手だってすぐに取り返せるさ。

「んー、分かった。アヤトがこれでいいって言うなら」

 エリンは鞄から財布を取り出して、支払ってくれる。
 うーん、傍から見ると『女に支払いをさせるダメンズ』だな(ちなみにこの世界の通貨は『ゴールド』と言うらしい)。



 ロングソードを買っていただいたので、早速町の外に出て、試し斬りがてら魔物と戦いに出ます。
 もちろん、エリンも一緒だ。

 手始めに、ゴブリンのような低級の魔物を何体か倒したが……やはり、今の俺の力とここの魔物の強さの差が大き過ぎるな、ロングソードで軽くポコッと叩くように攻撃しても即死が絶えない。

 これ、必要になった時の加減が難しいな……手加減が必要な場合は素手の方がいいかもしれない。

 一方のエリンと言えば、

「んっ、ぎぃっ……!」

 スコップを手にした灰色のモグラ型の魔物――『スコップモール』を相手に四苦八苦している。
 モグラと言っても魔物のそれだ、人間の子どもくらいにはでかいし、力もけっこう強い。
 ショートソードとスコップが鍔迫り合い、ギチギチと金属が擦れる音が鳴る。
 このままじゃ埒が明かないな、アドバイスしてやるか。

「エリン、そういう時は受け流すんだ」

「う、受け、流す……っ?」

 すると俺の言わんとしたことを理解したのか、エリンは急に力を抜いて鍔迫り合いを止め、姿勢を一步後ろにずらす。
 力んでいたスコップモールは、急に拮抗が失くなったことでスコップを空振りし、前のめりにフラつく。

「ほら、今だ」

「えぇいッ!」

 隙を見せたスコップモールに、ショートソードを上段から勢いよく叩き込むエリン。
 頭から深く斬り裂かれたスコップモールは断末魔と共に斃れ、スコップ諸共消失し、ゴールドを落とす。スコップも身体の一部なんだな。

「ふぅ。ありがと、アヤト」

「気にするな、こういう戦い方もあるってだけだ」

 ゴールドを拾いつつ、一旦休憩。

「うーん……」

 水筒を傾けながら、エリンは悩むように唸っている。

「どうした、エリン」

「いや、あのね。アヤトってなんでそんなに強いんだろうって思って。私とそんなに歳も変わらないのに」

 なんでそんなに強いのかって言われてもな。
 ざっと四億年戦い続けてればこれくらいにはなれるよ、なんて言っても「こいつ頭大丈夫か?」みたいな目で見られるだけだ。
 歳も、今の俺の肉体年齢は十七歳くらいだけど、生きてきた年数で言えば、とっくの昔に人間やめてるからなぁ。

「なんでと言われてもな、経験が物を言うとしか言えないんだよ」

 間をおいてから。

「例えいくら力があっても、その力を持っている人間が素人じゃ意味がない。強い力を持つ人間っていうのは、努力をやめない奴のことを言うんだ」

 俺みたいに、力を求めたその果てに色々と達観したりするのも良くないんだけどさ。

「ふむ……」

 エリンは再び考え込む。
 ややあって、姿勢を正して俺に向き直ってくる。

「なら……アヤト、私を鍛えて」

「鍛える?」

 何の、どこを、どう鍛えてほしいのか詳しくプリーズ。

「魔物の相手より、アヤトに教わる方が経験になるかなって。だから、お願い」

 意気込みは良し。
 しかし、これだけは訊いておきたい。

「エリン。君はどうして強くなりたい?」

「どうしてって……これから先、どんどん強くなる魔物に負けないために……」

「それは手段だろう?強くなって、魔物に負けなくなるようになれば、それで終わりか?」

「……」

 やっぱりな。
 がむしゃらに「強くなりたい」って叫んでいる人間にありがちな傾向だ。
 強くなるのが目的になり、肝心なことが見えなくなる。
 そうやって強くなるだけ強くなった時、強くなろうとしたあまり知らぬ間に周囲からの反感を買い、命を奪われた奴を何人も見てきたから。

「私は……勇者だから」

 ふと、エリンが言葉を紡いだ。

「本当は、勇者なんて柄じゃないのに、選ばれたからって魔王討伐の旅に出されて。魔物と戦って、痛くて怖い目に遭うなんて嫌で。……でも、やらなくちゃいけないから」

 きつく唇を噛み締めて。

「嫌だからって、無責任に放り出すのは、もっと嫌だから。だから、早く強くなって、魔王を倒して……もう、剣を持って戦うことなんて、無くなるように」

「……」

 脆くて、危うい。
 今のこの娘は、ただ硬いだけの剣のようなもの。
 硬くて、強いけど、すぐに折れてしまいそうな。
 本当に強い剣は硬いだけじゃない、しなやかで柔軟さも併せてこそ。
 なら、熱を入れて鍛え直せば、本当の意味で強くなれるだろう。

「そこまで言うなら、稽古付けてやってもいい」

 正直に言うと、これまでの異世界転生でも稽古付けた人間は何万人もいる。
 尤も、途中で音を上げてやめた奴が四割くらいいたけど。

「だが、自慢じゃないが俺は人に何かを教えるのが得意じゃないんだ」

 習うより慣れろを地で生きてきたから。
 人に教えるというよりは、"押し付ける"。
 押し付けて、身体に"理解らせる"。

 だから、

「まずは『俺に一撃当ててみろ』。それだけでいい」

「……それだけ?」

 当然、そんなことで稽古になるのかとエリンは疑問に思うだろうさ。
 
「真剣のままでいい。今のエリンの攻撃ならどうせ当たらないし、当たっても大した怪我にはならないからな」

 もちろん俺は丸腰だ。

「むっ……なら、行くよ」

 侮られたと思ったのか、エリンは目を細めると、ショートソードを抜いて、斬り掛かってくる。
 ダメだ、遅過ぎる。これでは低級の魔物に苦戦して当たり前だ。

 ぴっ、と右手の人差し指と中指で、振り降ろされるショートソードの刀身を掴んで止める。

「えっ?」

「ちゃんと受け身を取れよ?」

 すかさず、エリンの手からショートソードを奪い取ると、足払いでエリンの膝を刈り――

「かはっ!?ぅっ、ゲホッゲホッ……」

 背中から地面に落ちて、肺の空気が押し出されたのか、エリンは胸を押さえて咳き込む。

「受け身を取らないと、打ち所によっては死ぬぞ。気を付けろ」

 奪い取ったショートソードを放って、エリンの近くに転がしてやる。

「ほら、もう一度かかってこい。最低でも、殺るか殺られるかって気持ちでやってもらわないと意味がないぞ」

 厳しいようで悪いが、命のやり取りをするんだ。
 中途半端なことをやって、エリンを死なせたくないからな。

「……もう一度っ」

 呼吸を落ち着かせてから、エリンはショートソードを拾って再び俺に挑みかかる。
 さぁ、頑張れ頑張れ。

 ………………

 …………

 ……

「はぁっ、はぁっ、はぁっ……こ、こんなことして、意味あるの……?」

 俺に投げられて地面に叩き込まれたエリンは、荒い呼吸でぐったりと身体を横たえる。
 先程からずっと、俺に斬り掛かろうとして、剣を取られて、すっ転がされる、を繰り返している。
 この鍛錬の意味を解していなら、ただエリンを痛めつけているだけ……そういう風にも見て取れる。
 だが、これはそういう根性論だけじゃないんだよな。

「あるさ。もしも敵に吹き飛ばされた時、すぐに起き上がれるか、そうでないかで、命運が決まることもある。吹き飛ばされた時に身体を強打しないように『怪我を防ぐ』、その後に『敵に隙を与えない』。これはそういう鍛錬でもある」

 指差し数えを見せながら、エリンにこの鍛錬の意味を教える。

「……そうなの?」

「あぁ。例えば今、エリンは攻撃を受けて吹き飛ばされ、怪我をして動けない。そんな感じのシチュエーションだとしよう」

 徐ろにエリンに近付くと、胸ぐらを掴んで強引に立ち上げ――た瞬間に放り投げた。

「ぁぐっ!?」

 全く備えていなかったのだろう、エリンはまともに地面に叩き付けられた。すまんな、許せ。
 喘ぐエリンに俺はすぐに距離を詰めると、ロングソードを抜いて見せる。

「ッ!?」

 殺される、と。命の危機を感じたのだろうエリンは顔を守ろうと腕で覆う。
 しかし俺はそこでエリンの頭のすぐ横の地面にロングソードを突き立てる。

「……え?」

「これはあくまでも鍛錬だし、必要以上に身体を痛める必要も無いからこうしたけど、俺が敵だったら?」

 ロングソードを鞘に納めながら、問いかける。

「……そ、そのまま、殺されてた?」

 恐る恐る答えるエリンに、俺は頷く。
 出来るだけ不安がらせず、鼓舞してやるように。

「でも、もし今のでちゃんと受け身を取って、すぐに体勢を立て直せていれば?」

「……まだ、戦える」

「そう。敵を倒すよりも前に自分が倒されちゃ世話ないってことだな。だから、『戦える状態を極力維持する』って言うのは本当に重要なんだ。分かるな?」

「戦える状態を極力維持する……うんっ」

 俺の言葉を反芻し、エリンは力強く頷くと、ショートソードを拾って構えを取る。

「よし、来い」
 


 二時間くらいは経ったか、そろそろ日が暮れてきた。
 もう何十回もエリンの手からショートソードを奪い取って、地面にすっ転がしてを繰り返して、ようやく彼女の動きの無駄が無くなってきた。
 具体的には、十回投げられた内、四回くらいは受け身が取れるようになってきたってところだ。
 途中で現れた魔物は俺がサッと処理して、エリンは稽古に集中させた。

「よし、今日はここまでだ」

「ぜー、はー、ぜー、ふー……あ、ありがとう、ござい、ましたぁ……」

 エリンの手足や顔は転んだ時の擦り傷だらけで、髪も服も砂埃に汚れてぐしゃぐしゃだ。

「さぁ、町に戻るぞ」

「ご、ごめ、ちょ……休ませて……」

 極度の疲労によるものか、エリンはその場で仰向けになって倒れる。
 ふむ、丁度いい機会だな。
 俺はその場で魔法陣を顕現、淡い緑色の魔法文字ルーンが取り囲む。

「――『オールリジェネレイション』」

 瞬間、俺の全てが"再生"される。
 僅かな傷や汚れも全て無かったかのように。

「よし、使えるな」

 これは、癒しの力の源であるユニコーンの角を魂の中に取り込ませ、さらに神聖魔術を応用した回復魔法、その究極形と言える。

 体力と魔力を全回復、全ての状態異常を強制解除、例え肉体の破損によって死亡していても、髪の毛一本でも残っていれば完全再生可能。
 そして、その余波はエリンにも行き届き、擦り傷は完全に消え、汚れていた肌や髪も元の張りと艶を取り戻していく。
 ……ただ、まだこの肉体は回復魔法に対して反応が追い付いていないようで、回復してもその反動がでか過ぎる、連発は出来ないな。

「あれ?なんか元気になってきた」

 むくりと起き上がって背伸びするエリン。

「あ、すご、んんっ……ぁあっ、ぐっすり寝た次の日みたい……はぁ……っ」

 疲労の色が特濃だった顔もツヤツヤしていて、アンなことやコンなことをシた翌朝みたいでちょっとえっちぃです。
 ……うむ、効果の広域化も問題ないな。成功成功(無心)。

「って、アヤト……今、何したの?」

「回復魔法だよ」

 ホントダヨーウソジャナイヨー。
 うん、カタコトにならなくても、本当だし、嘘じゃない。

「……えっと。私も一応回復魔法なら使えるけど、痛みとか疲れとかがちょっとマシになるくらいの効果しか無いんだけど」

 そうか、勇者だからいくつかは魔法が使えるのか。
 使えると言っても、基本は剣で戦った方が強いから、あくまでも補助程度のものだろうけど。 

「あの……アヤトってほんとに何者……?」

「通りすがりの旅の者だよ。さて、歩けるようになったなら、町に戻ろうか」

 俺は問題ないが、エリンは回復したてで身体が過剰反応しないかどうか気を付けつつ、エコールの町へと帰還する。



 宿屋で二部屋借りて、エリンは早速浴場へ直行だ。ゆっくり浸かって身体を綺麗にしてほしい。

 エリンは長風呂になるだろうから、彼女には予め「俺のほうが先に風呂から上がってると思うから、済んだら呼びに来てくれ」と言っているから、俺自身は風呂から上がったあとは、のんびりベッドでくつろぎつつ――現状の整理だ。

 まず、エリンは国の命を受けて魔王討伐の旅に出ていると言っている。
 なら、その魔王はどこにいるんだとなれば……恐らくはどこかに魔王城なる場所があるはずだ。この手のストーリーの魔王は城にいるというのが定番だから。
 場所としては、人里離れた辺境地か。
 陸地からは隔離されていて、虹の橋を掛けないと渡れないとかありそうだが、俺なら普通に跳んでいけるし、何ならエリンを担いで跳べる。
 なので、魔王城への突入手段に関しては問題ないはず。

 というか、俺が今から魔王城を見つけ出して、外から魔王もろとも完全破壊してもいいんだが……それはやめておこう、あんまり"ルール違反"なことをすると、この時空を崩壊してしまいかねない。

 過去に一度、めんどくさいからって全力出して片付けようとしたら、"俺"というイレギュラーの因果が時空に干渉、崩壊してしまい、こともあった。

 いやぁあの時は本気で焦ったよ、何も無い空間からいきなり亀裂が走って、ブラックホールみたいに"世界"を呑み込んでいくんだから。

 チート使って調子に乗ってたら、ゲームソフトがバグって壊れた、というアレに近い。
 女神様が直接介入してくれなきゃ、俺の魂は時空の狭間を永遠に彷徨っているところだった。

 なので、地道にエリンを強くしながら、真っ当な手段で魔王城に乗り込む方が安全だ。
 ……いざとなれば、手段を選ぶつもりはないが。

 俺の中で黒い算段が立てられていると、コンコン、とドアノックがされる。

「アヤト、お風呂上がったよ。ごはん食べに行こっか」

 おっとエリンか。
 もう少し長風呂になるかと思ったが、意外と早かったな。

「あぁ、今出るよ」

 よっと、とベッドから跳ね起きてドアを開けると、お風呂上がりでツヤツヤのほこほこになったエリンが待ってくれていた。
 うーんさすが勇者、第一印象で損しないって結構重要だ。見た目が可愛いから悪印象を抱かれにくいってことだよ。



「アヤトって、すごく食べるんだね……?」

「ん?」

 食堂で夕食をいただいていると、俺の向かいの席にいるエリンは、信じられないような目をしている。

 確かに俺の目下には山盛りのサラダとか具だくさんたっぷりのポトフとかがあるが、そこまで言うほどだろうか。
 
 対するエリンは、本当にそんな量で足りるのかと思うほどの少食だ。

「追加の注文は俺が自分で払ってるから大丈夫だぞ?」

 ちなみに俺の手持ちのポケットマネーは、魔物から稼いだゴールドをエリンと二等分したものだ。

「いや、そうじゃなくて……そんなに食べて、お腹苦しくならないの?」

「ならないなぁ。むしろ、頼めるならもう少し量が欲しいくらいだが」

 野菜たっぷりなのは嬉しいんだけど、もうちょい肉……即ち、タンパク質が欲しい。
 この後で野生動物を狩って、「上手に焼けましたー!」とか聞こえてきそうな感じに肉焼きでもしに行こうかね。

「えぇ……」

 そんな困惑されてもなぁ。 

 いくら回復魔法が使えるからと言って、それを使うのは人間だ。
 どれだけ魔力のある賢者だとしても、体調不良や寝不足、空腹では十全な魔法を使うことは出来ない。

 武士は食わねど高楊枝?

 残念だがそれは誤りだ。
 いくさに最も重要なのは、心技体ではない。

 骨と、肉と、血だ。

 攻撃も防御も回避も、いいや動物が生きる上で、この三つがダメでは何も出来はしない。

 食べるという字は、「『人』を『良』くする」と書く。
 百戦錬磨の強者も清廉潔白な君子も、ひいては人の歴史は、豊かな食事によって語り継がれていると言っても過言ではない。

 つまり、食事と睡眠は大事だよってことだ。
 人も動物も魔物も、これを基本と資本にして生きているからな。

 夕食をいただいた後は、野生動物を一狩り行こうぜと町に出ようとしたら、夜は危険だからダメって門番さんに止められてしまったので、トボトボと蜻蛉返りし、そのまま流れるように床に就いたのだった。
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