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第七話
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田舎町よりは都会に近づく方がいい。
しかし、手足の無い女を連れた男なんて、きっと疑われる。
そう考えたセナは、都会よりすこし離れた、大きめの街に行くことにした。
この際、はっきりとした名前まで公開する。
というか、ここまでそれが無かったのは、セナが名前を知らなかったから。
今まで住んでいたのは、ハイマルア王国の最東南地方にあるフィロスという街。
次に向かうのは、フィロスから西に向かって行ったところにあるガルナという街。
規模で言えば同じくらい。
近場に森が多く、ゴブリンやウルフよりはオークの生息が多い。
ハイアルマ王国の形は大きな五角形に近い形の大陸の中で上の角と左下の角を直線で繋いだくらいの領土を持っている。
その線の真ん中から右下の角までを繋いだ領土はローアルマ帝国、余りの部分は聖アルマ法国。
主にこの大陸ではその3国が覇権を争っている。
それが、このアルマ大陸。
そして、西へ向かうということは、セナの生まれ故郷であるローアルマから逃げる形になる。
それは、現状のセナにとっては最も大切なこと。
この世界において、最強格の称号はいくつかある。
【勇者】を筆頭に、【聖女】や【剣聖】、【賢者】などが人類の希望組。
【魔神】を筆頭に、【魔王】や【魔女】、【四天王】などが人類の敵組。
その他には【Sランク冒険者】と【Aランク冒険者】、【聖騎士】【女神】【神巫】【災厄】【死淵】等。
この世界にはセナの敵になりうる強者が多すぎる。
この誰もが、セナと敵対した時に瞬きもできず殺される可能性を持っている。
特に、ローアルマ帝国でセナは指名手配犯となっている。
元々のパーティメンバーに裏切られた結果の冤罪ではあるが、そんなことは関係無い。
帝国には【勇者】と【聖女】がいる。
セナとしては、その2人も殺したいところだが、現状では秒で頭と胴体がバイバイするだけ。
【勇者】は帝国の最大戦力。
規格外の力を持つ化け物。
そして【聖女】は死者の蘇生すら可能にする全帝国民の憧れの的。
【勇者】は【聖女】を守り、【勇者】が死んでも【聖女】が生き返らせる。
そして、【聖女】は、セナと同じ孤児院で育った幼馴染であり、将来を誓い合っていた仲である。
「思い出すだけで吐きそうだ。」
名前はライラ。
その才能を見出され、史上最年少の10歳にして【聖女】となった稀代の天才。
小動物系で愛され体質な彼女に、セナも夢中で、一番年齢の近いセナと仲も良かった。
「気色悪い。」
「ぁぁ……?」
「ぁあ、いや、ごめん。ユゥリのことじゃない。」
とはいえ、現在のセナの記憶のライラと比べたら、生きてるのかすらわからない状態のユゥリの方がまだ可愛い。
完全な逆恨み……とも言えない複雑な事情。
と、そんなこんなでセナたちはガルナへと到着した。
◇◆◇
余所者を通す際の検問所へ向かう。
検問所の兵士たちは、ユゥリを見て吐いた。
「そ、その女、生きているのか?なんて酷い……」
「オークか、ゴブリンの苗床にされていたクチか、お前、その女とどういう関係だ?妹か?」
「……夫婦です。」
セナは俯きながら答える。
「こんな状態、殺してやった方が、その女のためなんじゃないのか?」
「お前も不幸になるだけじゃないのか?」
「……ユゥリは意思の疎通もちゃんとできます。精神が崩壊していなくて、生きる気があるんですよ。」
声を震わせながら、訴えかけるようにそう言う。
「しかし……その傷を治すとなれば、幻レベルの回復アイテムか、それこそ【聖女】様でもなければ。」
「彼女の面倒を見る覚悟はできてます。戦闘にも覚えがありますし、生活くらいはできます。」
「……分かった。困ったことがあったら言いなさい。出来るだけ力になろう。」
「……ありがとうございます。ところで、この町で水が汲める場所はどこですか。」
「街の中央と南口の方に噴水がある。その近くに宿があるから、そこで桶を借りるといい。」
最後に感謝を述べ、街へと入る。
必要ならユゥリに受け答えもさせようと考えていたがその必要は無く。
兵士たちも優しい人達のようだ。
そんな人たちが守る街をぶっ壊すために来たなんて思いたく無かった。
しかし、手足の無い女を連れた男なんて、きっと疑われる。
そう考えたセナは、都会よりすこし離れた、大きめの街に行くことにした。
この際、はっきりとした名前まで公開する。
というか、ここまでそれが無かったのは、セナが名前を知らなかったから。
今まで住んでいたのは、ハイマルア王国の最東南地方にあるフィロスという街。
次に向かうのは、フィロスから西に向かって行ったところにあるガルナという街。
規模で言えば同じくらい。
近場に森が多く、ゴブリンやウルフよりはオークの生息が多い。
ハイアルマ王国の形は大きな五角形に近い形の大陸の中で上の角と左下の角を直線で繋いだくらいの領土を持っている。
その線の真ん中から右下の角までを繋いだ領土はローアルマ帝国、余りの部分は聖アルマ法国。
主にこの大陸ではその3国が覇権を争っている。
それが、このアルマ大陸。
そして、西へ向かうということは、セナの生まれ故郷であるローアルマから逃げる形になる。
それは、現状のセナにとっては最も大切なこと。
この世界において、最強格の称号はいくつかある。
【勇者】を筆頭に、【聖女】や【剣聖】、【賢者】などが人類の希望組。
【魔神】を筆頭に、【魔王】や【魔女】、【四天王】などが人類の敵組。
その他には【Sランク冒険者】と【Aランク冒険者】、【聖騎士】【女神】【神巫】【災厄】【死淵】等。
この世界にはセナの敵になりうる強者が多すぎる。
この誰もが、セナと敵対した時に瞬きもできず殺される可能性を持っている。
特に、ローアルマ帝国でセナは指名手配犯となっている。
元々のパーティメンバーに裏切られた結果の冤罪ではあるが、そんなことは関係無い。
帝国には【勇者】と【聖女】がいる。
セナとしては、その2人も殺したいところだが、現状では秒で頭と胴体がバイバイするだけ。
【勇者】は帝国の最大戦力。
規格外の力を持つ化け物。
そして【聖女】は死者の蘇生すら可能にする全帝国民の憧れの的。
【勇者】は【聖女】を守り、【勇者】が死んでも【聖女】が生き返らせる。
そして、【聖女】は、セナと同じ孤児院で育った幼馴染であり、将来を誓い合っていた仲である。
「思い出すだけで吐きそうだ。」
名前はライラ。
その才能を見出され、史上最年少の10歳にして【聖女】となった稀代の天才。
小動物系で愛され体質な彼女に、セナも夢中で、一番年齢の近いセナと仲も良かった。
「気色悪い。」
「ぁぁ……?」
「ぁあ、いや、ごめん。ユゥリのことじゃない。」
とはいえ、現在のセナの記憶のライラと比べたら、生きてるのかすらわからない状態のユゥリの方がまだ可愛い。
完全な逆恨み……とも言えない複雑な事情。
と、そんなこんなでセナたちはガルナへと到着した。
◇◆◇
余所者を通す際の検問所へ向かう。
検問所の兵士たちは、ユゥリを見て吐いた。
「そ、その女、生きているのか?なんて酷い……」
「オークか、ゴブリンの苗床にされていたクチか、お前、その女とどういう関係だ?妹か?」
「……夫婦です。」
セナは俯きながら答える。
「こんな状態、殺してやった方が、その女のためなんじゃないのか?」
「お前も不幸になるだけじゃないのか?」
「……ユゥリは意思の疎通もちゃんとできます。精神が崩壊していなくて、生きる気があるんですよ。」
声を震わせながら、訴えかけるようにそう言う。
「しかし……その傷を治すとなれば、幻レベルの回復アイテムか、それこそ【聖女】様でもなければ。」
「彼女の面倒を見る覚悟はできてます。戦闘にも覚えがありますし、生活くらいはできます。」
「……分かった。困ったことがあったら言いなさい。出来るだけ力になろう。」
「……ありがとうございます。ところで、この町で水が汲める場所はどこですか。」
「街の中央と南口の方に噴水がある。その近くに宿があるから、そこで桶を借りるといい。」
最後に感謝を述べ、街へと入る。
必要ならユゥリに受け答えもさせようと考えていたがその必要は無く。
兵士たちも優しい人達のようだ。
そんな人たちが守る街をぶっ壊すために来たなんて思いたく無かった。
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