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第六十六話
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【神魔法:魔弾】はセナによって砕かれ、ただの強いスキル【魔弾】となった。
そのスキルもロミナに戻したため、ロミナがただ神聖教の駒から解放されただけだと思われたが、そうもいかないらしい。
「【神魔法】は神聖騎士の資格であり権威。私のスキルから【神魔法】の要素が消えたという前代未聞の状況に混乱はするだろうが、私がこの立場を追われるのは時間の問題だろう。」
散らかした室内を片付けながら、そう語るロミナ。
神という正体不明の存在が支配する組織なだけあって、建前上で取り繕うことはできないようだ。
「大丈夫だ。私も無力なわけではない。北の方の国に行けば、冒険者として生活するくらいはできるだろう。」
「そうか、なら———」
セナは自身の信頼する伝手の話をして、屋敷の片づけを進めた。
◇◆◇
「達者でな。健闘と無事を祈っている。」
「ああ、また会える日を楽しみにしている。」
追及される前に出ていくということで、信頼する部下にすべてを託してロミナもセナ達と同時に街を出るらしい。違いは、向かうのは正反対の方向ということだけ。
ここから先、セナの戦いの行方が分からない以上、今生の別れになる確率は大きいが、それでも前向きな言葉は言っておく。
「ユゥリ、ベルモット、ラング。セナはかなり危なっかしいようだ。ちゃんと見ていてやってくれ。」
「言われなくても。」
「心得ております。」
「えぇ、私も?」
「じゃあな。また会おう!!」
「それじゃあ、またな!」
ロミナは1人で北へ、セナ達は4人で南へ。
朝日が街を照らし始めた頃には、街から6つの影が消えていた。
◇◆◇
「ということで、レッツ魔王討伐の旅!withフリソス!!」
「なんでコイツついて来てんの?」
街から出て半日近く歩き通しのセナ達の旅路に、いつの間にか入り込んできたその男。
冒険者ギルドであまりにも不審過ぎて距離を取ったハズのGがいた。
「よっす!!やっと気づいてくれた!!結構話してたのにみんな無視するからさ!」
「……いつからついて来てた?」
「え、最初からいたけど、街から出ていくみんなを見て、面白そうだからついて行こうって。」
「誰か気づいてた?」
セナの疑問に、3人とも首を横に振る。
そう、こんな全身金メッキの男が近くにいたのに、誰も気づいていなかった。
(なんなんだコイツ)
やはり、以前と同様に胡散臭い雰囲気を醸し出しているGの全部を警戒しつつも、その異様さへの疑問は解決しない。
そもそも、街を秘密裏に脱出したということで、決して正門から出たわけではない。
朝と夜の間くらいの時間に出ていたセナ達を見かけて、何となくついてきたっていうのも変すぎる。
疑問というか、もはや不気味という領域。
「んじゃ、ついて来るか?迷惑かけないなら良いぞ。」
「えっ!?マジっ!!?やったああ!!セナ!!心の友!!」
同行の許可を得て、やはり目だけ笑っていない笑顔で全身を使ってジェスチャーするG。
しかし、セナはその姿に前とは違った印象を受けた。
「お前、それで本当に喜んでるんだな。」
「えぇっ!!?セナそれホント!?」
Gはもうどこからどう見ても絶対にそうは見えないような喜び方をしているだけだ。実際のところ、心から同行の友と喜んでいるし、それを全身で表現しているに過ぎない。
しかし、その過程、人相、雰囲気、動機、全てがGを胡散臭くしているだけだ。
「よろしく、G」
「フリソスと呼んでくれ!セナ!」
「じゃあ、次に向かう街の話なんだが、Gは行ったことはあるか?」
「なあ!フリソスと呼んでくれ!なあ!」
変な同行者が1人増え、セナ達の旅がやや騒がしくなった。
そのスキルもロミナに戻したため、ロミナがただ神聖教の駒から解放されただけだと思われたが、そうもいかないらしい。
「【神魔法】は神聖騎士の資格であり権威。私のスキルから【神魔法】の要素が消えたという前代未聞の状況に混乱はするだろうが、私がこの立場を追われるのは時間の問題だろう。」
散らかした室内を片付けながら、そう語るロミナ。
神という正体不明の存在が支配する組織なだけあって、建前上で取り繕うことはできないようだ。
「大丈夫だ。私も無力なわけではない。北の方の国に行けば、冒険者として生活するくらいはできるだろう。」
「そうか、なら———」
セナは自身の信頼する伝手の話をして、屋敷の片づけを進めた。
◇◆◇
「達者でな。健闘と無事を祈っている。」
「ああ、また会える日を楽しみにしている。」
追及される前に出ていくということで、信頼する部下にすべてを託してロミナもセナ達と同時に街を出るらしい。違いは、向かうのは正反対の方向ということだけ。
ここから先、セナの戦いの行方が分からない以上、今生の別れになる確率は大きいが、それでも前向きな言葉は言っておく。
「ユゥリ、ベルモット、ラング。セナはかなり危なっかしいようだ。ちゃんと見ていてやってくれ。」
「言われなくても。」
「心得ております。」
「えぇ、私も?」
「じゃあな。また会おう!!」
「それじゃあ、またな!」
ロミナは1人で北へ、セナ達は4人で南へ。
朝日が街を照らし始めた頃には、街から6つの影が消えていた。
◇◆◇
「ということで、レッツ魔王討伐の旅!withフリソス!!」
「なんでコイツついて来てんの?」
街から出て半日近く歩き通しのセナ達の旅路に、いつの間にか入り込んできたその男。
冒険者ギルドであまりにも不審過ぎて距離を取ったハズのGがいた。
「よっす!!やっと気づいてくれた!!結構話してたのにみんな無視するからさ!」
「……いつからついて来てた?」
「え、最初からいたけど、街から出ていくみんなを見て、面白そうだからついて行こうって。」
「誰か気づいてた?」
セナの疑問に、3人とも首を横に振る。
そう、こんな全身金メッキの男が近くにいたのに、誰も気づいていなかった。
(なんなんだコイツ)
やはり、以前と同様に胡散臭い雰囲気を醸し出しているGの全部を警戒しつつも、その異様さへの疑問は解決しない。
そもそも、街を秘密裏に脱出したということで、決して正門から出たわけではない。
朝と夜の間くらいの時間に出ていたセナ達を見かけて、何となくついてきたっていうのも変すぎる。
疑問というか、もはや不気味という領域。
「んじゃ、ついて来るか?迷惑かけないなら良いぞ。」
「えっ!?マジっ!!?やったああ!!セナ!!心の友!!」
同行の許可を得て、やはり目だけ笑っていない笑顔で全身を使ってジェスチャーするG。
しかし、セナはその姿に前とは違った印象を受けた。
「お前、それで本当に喜んでるんだな。」
「えぇっ!!?セナそれホント!?」
Gはもうどこからどう見ても絶対にそうは見えないような喜び方をしているだけだ。実際のところ、心から同行の友と喜んでいるし、それを全身で表現しているに過ぎない。
しかし、その過程、人相、雰囲気、動機、全てがGを胡散臭くしているだけだ。
「よろしく、G」
「フリソスと呼んでくれ!セナ!」
「じゃあ、次に向かう街の話なんだが、Gは行ったことはあるか?」
「なあ!フリソスと呼んでくれ!なあ!」
変な同行者が1人増え、セナ達の旅がやや騒がしくなった。
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